深い森の中、突然地面が蠢いたかと思うと何かが這い出してきた。
それは人のようにも見えたがどこか違和感を覚える。男にも女にも、大人にも子供にも見える奇妙な者であった。
「あー内臓(中身)吹き飛ばされたのに生きてるなんてビックリだ」
這い出して早々深く息を吸ってそんなことを暢気な声で言ってのけた。
「致命傷じゃなかったんだろうけど埋められちゃうくらいには死んでたんだろうな、あはは」
無邪気に笑いながら体の形を整える。これは比喩ではなく事実だ。体が人としてはおかしい有りえない蠢きを見せたと思うと歪み、抉れていた体が何の変哲もない一人の少年? 少女? の姿になった。
「まあ生きてることだしあの探偵をもう一度驚かせてみようかな? とりあえずはX(サイ)として俺は生きていくんだ。やりたいことなんて……まぁ色々あることだしのんびりやろっかな」
彼? 彼女? は無邪気で清清しい表情のまま空を仰ぎ見ていた。
彼? 彼女? の名前はX(サイ)。怪盗Xiと恐れられた世界的大犯罪者だ。彼? 彼女? はその肉体を自由自在に変化させることが出来、身長体重体格性別など定まった形など無い。一応生誕したのは17年前、その時の性別は女などの情報はあるもののXはたいした意味を見出してはいない。
怪盗Xiは自分であり自分は怪盗Xなのだ。それだけで十分。それこそが大切な自分の中身であった。
「人のいるところまでのんびり行こうかな? それともすぐに出ようかな? ……どっちでもいいや」
Xは一応決めていたXの外見、少年の姿にして歩き出した。
「そうだ、最初に会った人を驚かしてみよう、そして……」
無邪気な笑みを浮かべながら森の中を進んでいった。
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「ほう、結界に僅かな揺らぎ?」
『はい。よくあるブレとも誤差の範囲とも思えるのですが場所が場所だけに一応報告をと』
落ち着いた声で、頭が異様に長い、妖怪ぬらりひょんと見まがうほどの老人は電話口で報告を聞いていた。それもそのはず、彼は近衛近右衛門、この麻帆良学園の理事長であるからだ。
「ふむ、わざわざ気に掛けずともエヴァがそんなことをするとは思えんのだがのう」
『ですがあの……』
「まあ安全を確かにしたい気持ちは分かる。丁度高畑君がおる、彼に見に行ってもらば十分じゃろう」
『いえ申し訳有りません』
「ふぉっふぉっふぉっ気にせずとも良い。君みたいなまじめな教師がおってこそ安全が守られるのじゃ」
近右衛門はそう締めくくり電話を切った。
「と言うわけじゃ高畑君、すまぬが確認に行ってくれぬか? 場所はエヴァの家より三百mほど北のところじゃ」
「構いません。では」
壮年の草臥れた男、高畑・T・タカミチは二つ返事で了承し現場に向かって行った。
「ふむ、胸騒ぎは勘違いではなかったかの」
誰に聞かせるでもなく近右衛門は呟いた。
短いです
続くか不明です
罵倒されたら嬉々として危機を感じて続きを書く
行き当たりばったりです