怪物強盗は好き勝手に生きるそうです   作:アシダカ伍長

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続きが欲しいなんてお兄さんびっくりだ
約束どおり嬉々として危機を感じて書ききった


第2話:出会いは突然【逢】

 人気の無い森の中のログハウス周囲にマッチしたこの建物には人目を避けるようにある人物が住んでいた。その人物は魔法使い。人間ではなく吸血鬼。また厳密には一人とは言いがたい。世話係のような従者と共に暮らしているからだ。

 そしてその吸血鬼は昼間から居間のソファーに寝間着姿のままでだらけていた。本日は日曜日、学生も社会人もお休みであるため特に問題があるわけではない。ただだらしないだけだ。

 

 「マスター、せめて部屋儀にお着替え下さい」

 「はぁ~。別に誰かに会う予定も無いんだからかまわんだろう」

 「……」

 

 従者の言葉は即座に却下されてしまいそのまま沈黙が続いてしまった。

 

 「はぁ。これからは誰かに会う予定があればすぐにでも着替える。それでいいだろ面倒くさ!?」

 

 だらけてきっていた吸血鬼、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルは緩んだ空気を変え、何かを探るように顔を引きしめる。

 

 「マスター僅かな反応ではありましたが結界を超える反応に非常に良く似たものです。反応地点の距離を考えると直々におもてなしをしたほうが良いかと」

 

 このときエヴァンジェリンはこの侵入者に午後のひと時を潰した責任をどうとらせるか思考をめぐらしていた。

 完全な八つ当たりである。

 

 「マスターこちらへ、準備は出来ております」

 

 忠実 ()な従者、絡繰茶々丸の言葉に従い、不愉快そうな顔でエヴァンジェリンは着替えに向かった。

 

 

 

~~~~

 

 

 

 「もう少しだったな」

 「はい。まもなく現場になります」

 

 陽光の照る森の中を静かに歩きながら彼女、エヴァンジェリンは殺気を撒き散らしていた。周りに注意を払いながら油断無く発せられる殺気は常人には耐えられないほどである。

これは侵入者を挑発、威圧するためにやっていることだがエヴァジェリンの今浮かべている攻撃的な笑みもあわせるとプロでも馬鹿でも接触を避けるほどの効果があった。

 

 「マスター、もう少し殺気を抑えないと誰も出て来れないかと思いますが」

 「これでいい。これでいいんだ」

 

 現場まで目と鼻の先というところにあるちょっとした木の生えてない広場のような空間で立ち止まった。そこで殺気をさらに強め、いつでも懐の魔法薬を取り出せるようにしながらエヴァンジェリンは茶々丸に答える。

 

 「侵入者は何者か知らんが相当楽しめそうだ。茶々丸は気づけないようだが……さっきから私を見ている、いや観察(み)ていると言うべきか」

 

 その言葉を聞くと茶々丸は全身に仕込まれたあらゆる感知機器を全開にして周囲を探る。しかし何も感知できない。

 

 「私も正確な場所は分からない。だから釣っているんだ」

 「マスター……」

 「私も半ば本気の殺気を出しているが……緊張を微塵も感じさせないな」

 

 エヴァンジェリンはさらに笑みを深めながら侵入者の登場を今か今かと待ち構える。エヴァンジェリンには自分に襲い掛かるという確信があった。これほど自分を観察いている相手が見逃すはずが無いと。

 すると突然、エヴァンジェリンは湧き出した気配を感じた。

 

 「マスター!」

 「すぐそこだ問題ない」

 

二人の視線の先には一本の木がある。どうやら二人から死角になるように隠れているようだ。

 

 「マスターどうなさいますか……マスター?」

 

 対応を確認しようと茶々丸はエヴァンジェリンに質問したが何も反応は返ってこない。エヴァンジェリンの先ほどまで浮かべていた笑みは消えており今は焦りの表情が浮かんでいる。

 

 「馬鹿な……そんなことが……奴は……死んだと……」

 「何言ってんだ? 俺が死ぬわけねーだろ」

 

 エヴァンジェリンの呟きに答えるように赤髪の男が出てきた。

 

 「たくよー光ん中で生きろって言ったのにまーだこんなことしてんのか」

 

 けだるそうに頭をかきながら少しずつ距離をつめる赤髪の男、服装もエヴァンジェリンが最後に見た時と変わらないナギ・スプリングフィールドは言葉を続ける。

 

 「やっぱじじいに丸投げしたのはは失敗だったか? まあ俺も失敗したみたいだしおあいこか」

 

 エヴァンジェリンは混乱の渦に飲み込まれている。それは自分のあらゆる感覚が目の前の男をナギ・スプリングフィールドであると判断している。自ら受けるあらゆる情報が目の前の男がナギ・スプリングフィールドであることを疑わない。

 だが、

 

 「貴様は……」

 

 エヴァンジェリンは、

 

 「何者だ!」

 

 自らの記憶、感覚による判断よりも、唯一つの不確かなもの長年の勘により偽者と判断した。

 

 「 “氷の13矢”!!」

 

 魔法薬を使用し放たれた魔法が目の和えの男に殺到する。

 男はその魔法を全て受け止め、

 

 「あれおっかしーなぁ。十分に観察して騙しきる自信はあったのになぁ。あの探偵とネウロみたいに深く強い絆が会ってもいけると思ったのに、腕が落ちたのかな?」

 

 一人呟いた。

 

 「やっぱり少し人間と違うみたいだしそのへんが原因なのかな? ネウロみたいな魔人の力に近いのも使えるし……でもなぁ簡単に見破られたら怪盗は廃業だよ」

 

 声色も口調もさっきまでとはガラッと変わり、まるで幼い無邪気な子供のような声である。顎に手をやり考えるしぐさをしながら男はエヴァンジェリンと茶々丸を見やる。

 

 「俺ももう少し観察(み)て理解したらその力を使えるようになるかな?」

 

 赤髪の男は見た目を少年に変えた。服装は変わらない。

 

 「殺しはしないから……みせてよ」

 

 そうしてXはエヴァンジェリンと茶々丸に襲い掛かった。

 




このXがこんな積極的なのはエヴァンジェリンのせいです。人間とかだったらやんわりと接触したのに吸血鬼なんて人外やってるから興味持っちゃったんです。遊んじゃったんです。

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