高畑・T・タカミチは今目の前の光景に軽くこめかみを押さえている。
茶々丸が拘束しているエヴァンジェリンと倒れているエヴァンジェリン。二人のエヴァンジェリンがいるのだ。
「申し訳有りません高畑先生、私はマスターを拘束してしまい動けませんの倒れている侵入者の捕縛をお願いします」
「タカミチ、そいつはさっさと拘束しておくに限るぞ」
目の前で倒れているエヴァンジェリンはやはり侵入者であると確認が取れたのだが、どこからどう見ても本人との違いが分からないのでつい躊躇してしまっているのだ。
「わかっているよ。それにしても見事だな。エヴァと見分けが付かない変装、茶々丸君を気絶しながらも操っているところといい無傷で倒れているのが疑問だけど」
「そいつが勝手に魔力切れを起こしたんだ。間抜けじゃなければ私たちはやられていた」
その場にいた三人の視線が倒れているXに集まったとき、
「う、うーん。あー失敗したなぁさっきの薬が無いと使えないのか」
Xは上半身を起こしながら一人呟いた。
「で、あんた誰?」
胡坐をかいて目の前の男、タカミチに声を掛けた。ちなみに姿はエヴァンジェリンのままである。
「うんそうだね、僕はこの麻帆良学園で教師をしている高畑・T・タカミチというんだ。君の名前を教えてくれるかな?」
優しい笑顔のままで言葉を発したが一切の油断無くいつでも居合拳を叩き込めるようにしている。
「そうだな、俺の名前は『X』、『怪盗X』が俺の名前だよ」
自分の顔、自ら定めた顔に戻しながらXはシンプルに答えた。
「「!!」」
しかしそれを見ていた二人は混乱し、共にXという人物について考察を始めた。
「(魔力、気も一般人と同等程度にしか感じない。つまりあの肉体変化は生来の身体能力。つまるところ私と同じ人外か。少々がっかりだな。だとしても茶々丸を操ったのは……催眠術の一種か? あの時にも魔力の類は発していなかったしそうであると考えるべき。魔力も気も使えない身で相当な芸達者だな。もしくは使えないと誤認させているか。『あのこと』も知っていた、怪盗などと自称しているのは何かしら意図があってのことだろう。大ボケのような所作も狙っての物と考えるのが妥当か)」
「(今のは一体!? 気や魔力を使わず、気配すらも同一の物にするとは……危険かもしれないが邪気は感じない。もう少し話をしてから判断するべきか)」
二人ともが一応の結論を出してXを見やる。既に顔体格共に本人の物に戻っていた。
「申し分けないけど僕たちについてきてくれないか? この学園の最高責任者の学園長と話をして欲しいんだ。君は一応学園への不法侵入者ということになるからね」
「えー」
「貴様のような身元不明な奴が侵入しておいて放っておくことが無いくらい分かるだろうが!」
「だって面倒くさいし、普通の人間の中身なんて今は興味はわいてこないし」
Xはなんとなしに放った不満の声だったが、『普通の人間の中身』という単語に二人は大いに意識を奪われた。あまりにもその異常な単語に。
「もういいや。分かったから早く連れて行ってよ」
駄々をこねるのが面倒になったのかあっさりと意見を変えた。
「っ! あ、うんありがとう。それじゃあ僕についてきてくれるかな。エヴァも来てくれ、一緒に説明に参加してくれると助かる」
「……そうだな、分かった。茶々丸付いて来い。対策はちゃんとしてな」
「了解しましたマスター」
こうして高畑はようやくこの麻帆良の最高責任者の下にXを連れて行くことができるようになったのだ。
「(それにしても俺が不法侵入か。あとは学園とか言う単語もあった。俺が死んだのはシックスの掌握していた遊園地跡の外れ、学園なんかあの周囲にも影も形も無かった。もしかしたら死んでから目を覚ますまでに周り全てが変わるほどに時間が過ぎたのかな? もしそうだったら俺を知ってる奴なんてネウロ以外はいなくなっちゃってるかもなぁ)」
Xもただの阿呆ではない。相手に違和感を与えることなく自らの存在を謎に包むことは出来る。伊達に怪盗なんてやっていない。ちなみに今四人は先頭に高畑とエヴァンジェリン、その後ろにX、Xを挟むように最後尾に茶々丸となっている。これは先頭の二人が話し合いながら歩いているためにこうなってしまったのだ。
もちろんエヴァンジェリンと茶々丸は先ほどのは催眠術の一種と当りをつけている。それに対する対策はもちろんすぐさま行った。あれは視覚にうったえたのであろうと予測していた。故に視覚情報は全てカット、今は聴覚などその他の感覚で周りを視ているのだ。そしてその対策は正しい。Xの持っている電子ドラッグは映像によるものしかないのだ。
Xが電子ドラッグをより応用性を持たせるために改造していれば別だがそんなことはしていない。特に興味がわいていないからだ。
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森を抜けるまでXは周りをキョロキョロしたり前を歩く二人をじっと観察したりしていた。だが今はそんなことはしていない。森を抜けたときどうしても目を離せないものが目に飛び込んできたからだ。
ヨーロッパのような街並みにだろうか? もちろんXはそんなものに目を奪われたのではない。目を奪ったのは悠然と佇む巨大な樹、世界樹である。
「(あんな巨大な樹が日本にあるわけ無いよなぁ。本当にココはどこだろう?)」
前を行く二人の服装から見て巨大な樹が育つほどに時間が経っているとはXは思えない。
「ねぇ、今日って何年の何月何日だっけ?」
浮かんだ疑問はすぐに解きに懸かった。
「ん? 今日は2002年の2月8日だけどそれが何か?」
「別にー」
このやり取りでさえも高畑は緊張をはらましていたがXはどこ吹く風だ。
「(過去? それこそわけが分からないなぁ。こんな樹があるなんて聞いたことが……忘れてるのかな?)」
結局Xは自分の現状をあまり理解しないままでいた。
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「タカミチ貴様はどう見る?」
「どうといわれても。まあ不思議な子としかまだ言えないね」
「甘いというか楽観視しすぎだ。奴の目的は不明、能力は未知数、見た目や雰囲気に邪気が無いからと……私は腹に手を突っ込まれたのだぞ?」
「え!? ……まあ学園長の判断が出るまでは無闇に手出しすべきじゃない。もし敵対するならその時に覚悟すればいいさ」
あんな無邪気そうな少年がそんなことをしていたとは高畑も驚いた。しかしそれでも積極的に敵対しないようにと高畑は考えたようだ。
「ふう……結局はあのジジイ次第か。だが奴はナギにも化けていた。それも見た目は完璧にな。もしこれから久しぶりに会った人間が奴、Xではないと確信できなくなるほどのものだ。コレが目的なら奴は見事目的達成だぞ」
「ははは……でもそれが目的かな?彼は『怪盗X』と名乗った。僕は聞いたことは無いけど聞く人が聞けば意味のある言葉なのだと思うよ」
「まぁそれは確かだろうな私も聞いたことは無いが、私独自で調べさせてもらう。タカミチも何かわかったら教えろよ」
Xに聞こえないように声を殺しているが正直Xなら聞こえていてもおかしくは無かったりする。ちなみにXはこの話に興味を持っていないため聞こえてもすぐに忘れている。
話しながら歩いているうちにいつの間にか学園長の部屋の前までやってきていた。
「学園長、侵入者の……Xと名乗る少年を連れてきました」
「うむ、入りたまえ」
高畑は扉をノックして用件を伝える。そうしてXを連れて入ろうと目をやると……
「ようやく気づいてくださいましたか。Xさんは先ほど飽きたと言って私に『高畑先生かマスターが気づくまで大人しく付いていくように』と言う命令を下されどこかに行かれました。何も出来ずに操られてしまいました。マスター何度も申し訳有りません」
Xは既にいなくなっておりその場の二人は何も言えず呆然としてしまった。
ちなみに今回Xはアヤ・エイジヤの能力の劣化コピーを使い、電子ドラッグの対策を一瞬解かせ、その隙に命令を下したのだ。まさに対人間、対機械の初見殺しである。
「おいタカミチ、すぐに探せ! 茶々丸! 超かハカセの元に行ってこの催眠術対策を完璧にして来い!」
そう言うや否や高畑は外に飛び出しエヴァンジェリンも窓から周囲を探るが見つからない。
「ひょっ! 逃げられたのか?」
状況をろくに把握できず学園長の近衛近右衛門はまずエヴァンジェリンに細かい状況を聞くことになった。
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「ふうん。本当に大きな樹だなあ。樹齢どれくらいだろ?」
世界樹のそばに麻帆良学園本校女子中等学校の制服を着込んだ黒髪の少女が佇んでいた。
その正体は勿論Xである。三人の下から逃げ出した際に目に付いた生徒の姿だけを借りたのだ。目くらましのためである。それから目立たないように商店街を歩きながらこの世界樹のもとにやってきたのだ。
「うーん何が起きたのかやっぱり分からないけど……もういいや。俺はココに生きているってことで」
Xの出した結論は『どうでもいい』である。重要なのは自分が何者であるかだけであり現在の居場所など些細なことなのだ。
「でもこれから何しようかな?」
そして目的を見失ってしまった。自分の中身を知ることが目的であったため中身を知った今では目的が無くなっているのである。
「うーん、面白そうな中身の誰かに成り代わって生活してみようかな?」
危険な思考に行き着きそうになった時、
「あ、あの、せっせっちゃんこんなとこでなにしとるん?」
凄く緊張した声色の笑顔の少女が話しかけてきた。
ふぉっふぉっふぉ、ぬらりひょんとのテンプレをあえてはずしたけどコレからどうしよう。
ちなみに私はネギまでは刹那とかこのかとか好きですよ。茶々丸も好きですし。
あと子供の頃って好きな子ほど意地悪したくなりますよね?
ちなみにネギま世界にネウロキャラ出す気はあります。出るのはネウロ原作で死亡確認!なキャラだけですよ。
PS 次話はもう少し早く書いて見せます! ……頑張ります