怪物強盗は好き勝手に生きるそうです   作:アシダカ伍長

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気が着いたら書けていた


第5話:辻斬りにあったら一緒に逃げるよね【拐】

 「せっちゃんこんなとこで一人で何しとるん?」

 

 そこには買い物袋を持つ大人しそうな少女が明らかに緊張した表情で、しかし笑顔で立っていた。

 

 「(せっちゃん?……桜咲刹那、幼馴染、疎遠、再会、このちゃん、お嬢様?)」

 

 Xは目の前の少女から表層に浮かぶ簡単な記憶を読み取りどうしようかと考える。

 

 「(この娘を箱にして成り代わってみようかな?)」

 

 怪盗Xとして動くことを決めて目の前の少女近衛木乃香に近づく。

 

 「このちゃん……」

 「っ! せっちゃ「神鳴流奥義! 斬岩剣!!」

 

 その時、空から二人の間に剣が振るわれた。Xはとっさに木乃香をかばい、腕の中に引きこんだ。振るわれた剣の衝撃から守るためである。しかしその衝撃のすさまじさは一般人である木乃香の意識を刈り取るのに十分であった。

 

 「一般人も巻き込む不意打ちは「お嬢様から離れろおおおおおお!!」

 

 剣先を向け強く言い放つ。すさまじい殺気も共に乗せているが、Xは特に反応しない。聞く耳持たず、と言うことをすぐに理解したXは目の前の少女を詳しく見てようやく気づいた。今時分が借りている姿のご本人、桜咲刹那であると。

 

 「幼馴染の危機に現れたのか」

 

 Xは刹那の顔のまま、腕の中で気絶する木乃香を運びやすいようにいわゆるお姫様抱っこにして言葉を発する。

 

 「早く助けないとこのちゃんが大変なことになっちゃうかも?」

 

 分かり易すぎるあからさまな挑発を行った。しかし、

 

 「貴様あああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 刹那の冷静さを失くすには十分すぎた。

 

 何度も振るわれる鋭い剣閃。しかし一度たりとも掠りもしない。Xは余裕を持ってかわしていた。刹那は大振りのまま力任せに振るっている。Xにとっては隙だらけすぎて造作も無くかわす。

 少なくとも手数を増やさないと体力差的にジリ貧である。

 ただ無為に時間が過ぎるがXはじれったいと思いながらもこれから起こるであろうことを待っていた。上手く行くかは分からないが上手く行った時の反応を見てみたいと思ったからその時を待っていた。

 そして、数十秒間もの攻防はそこに現れた人物によって終わりとなった。

 

 「先生! お願いします!!」

 

 言葉少なく叫ぶ。

 その声に応じて色黒の肌を持つスーツ姿の中年男性は、目の前で背を向けている人物に狙いを定める。

 何せ今、この麻帆良ではある種厳戒態勢がひかれているのだ。その理由はある人物が不法侵入し、逃走中だからである。現在総力を挙げて捜索中のところ、この魔法教師ガンドルフィーニが先ほどの斬岩剣の衝撃に気づいたのだ。そのため確認に来た所、気絶した少女を抱える魔法生徒、桜咲刹那とそれに切りかかる自らに背を向けた人物を見てしまったのだ。そこで先ほどの叫び声、彼の拙速な行動は仕方の無いことだろう。

 つまりガンドルフィーニは後ろから桜咲刹那に襲い掛かってしまったのだ。

 

 「先生、この場を頼みます! 私はその……」

 「みなまで言わなくていい、安全なところに連れて行きなさい」

 

 そう言ってガンドルフィーニの目の前で堂々と侵入者であるXに近衛木乃香を連れ去られてしまうことになる。

 ガンドルフィーニは立ち去るXから目線を今自分が打ち倒した侵入者と勘違いした刹那に戻す。そこで初めて気が付いたのだ目の前の人物も刹那であると。

 

 「な!」

 

 驚愕の声を上げとっさに今いた人物が立ち去った方角に目線を向けると。

 離れたところに勝ち誇った笑みを浮かべるXがいた。顔は本来の物に戻している。

 

 「待っ!」

 

 Xは人一人運んでいるとは思えないほどの速度でそのまま走り去っていった。ガンドルフィーニは追おうとも思ったが追いつける可能性は低いと判断し上への報告と刹那へのしかるべき対応をすべきとした。

 

 「……すまなかった桜咲君、私のミスだ」

 

 まず謝罪をし続いて携帯を取り出して報告をする。その間刹那はただXが走っていった方向を見ていた。

 

 「本当に申し訳ない。私の軽挙な行動が招いた結果だ……すまない……ほんとうにすまない!」

 

 何度も謝罪しながら刹那に肩を貸して立たせ、医務室に向かう。

 だが、刹那はその言葉を全く聞いていなかった。

 

 「(まただ……)」

 「また守れなかった……」

 

 過去の記憶を思い出す。

 

 「また目の前で、守れなかった……」

 

 刹那の心にひびが入った。

 

 「あ……ああ……あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 「桜咲君!」

 「また!……まただ! 私はっ、お嬢様の! 護衛なのに! また……守ることが! でき、出来なかったあああああああああああああああああああ!!」

 

 刹那の泣き叫ぶ声がまわりに響いた。




(`・ω・´)キリのいいところで
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