恐らくあと2話くらい続きます。ごめんなさい。
更新もかなり遅くなってしまいましたし・・・申し訳ないこと尽くしですね。ほんとにごめんなさい。
あ、Aaaaaあaaaaaaaaa
複数のシャドウサーヴァントらしき影たちと交戦していたアインツベルン城に残った一行は突然の出来事に動揺隠せないでいた。
先程まで戦っていたシャドウサーヴァントが四方八方に散ったかと思うと消え去り、代わりに出現したのは細くはあるが何故か頑丈そうに見える黄金の鎖だった。
その鎖は共に戦っていた白いサーヴァント、ウルレシュテムの首、両手足、胴にそれぞれ幾本かずつ巻き付いたかと思うと、そのまま杭のようなもので縫い留められ、完全に彼女を拘束して見せた。
引きちぎろうにも余程丈夫なのかギャリっという音が少し出たぐらいで変化はなく、拘束されている当人にはその鎖に見覚えがあるのか少々不機嫌そうに鎖を見つめている。
「・・・ま、ママっ。」
ただ見ているだけの味方の中からマスターである少女・・・桜のみがウルレシュテムの元に駆け寄っていく。
否、駆け寄っていく、はずだった。
彼女がウルレシュテムの方に駆けていく最中に響いた銃声。
その弾丸は容赦なく少女の細い足に被弾し、特製の礼装を突き抜けて、その片足を潰した。
「え・・・?」
どちゃりっ
嫌な音とともに、無造作に桜の身体が地面に転がる。
「あ、あれ・・・?」
極度の緊張状態故か、はたまたまだ片足が吹き飛んだという情報が脳に伝達されていないのか。
単に自分は転んだのだという認識らしき桜は再度立ち上がろうとしてその体勢を崩した。
「ま、まま。おかしいよ。桜。立てな―――あ。」
続いてまたも銃声。今度は少女のもう一方の足首に被弾し、膝から下が無くなった。
瞬間歌声のような絶叫が響き、動けないでいたウルレシュテムが桜に駆け寄り抱き締めた。
余程無理をしたのか鎖を引きちぎったらしき個所からは肉の焼け焦げた匂いと出血がみられる。
幾本かの残った鎖はいまだに彼女を拘束し恐ろしいほど神々しい輝きを、一層強く放っていた。
安心したのか、痛みでなのかしゃくりあげ始める桜の背中をあやす様にポンポンとさすりたたきながら礼装の様子を確認する。
ドレスは単純に弾が当たったような跡ではなく疑似回路を滅茶苦茶にして潰して壊したようであった。これは、単純に弾いたりすることはできず、恐らくそれは桜にとって致命傷になりかねない何かだ。
(・・・なら)
その礼装の確認をしたウルレシュテムはある覚悟を決めた。それは
再度銃撃。肉がその銃撃を受ける嫌な音。
「ママぁ・・・ひく・・・えっ・・・。」
泣き声は止まることなく続いている。
「だ、大丈夫。大丈夫・・・だから。・・・ね?」
それは―――桜に降りかかるであろう攻撃を全て自身の肉体で受けることだった。
それでも続く銃声は止まることなく、むしろ邪魔だから早く消えろと言わんばかりにウルレシュテムの白い衣を、肌を貫いていく。
その様子を騎士であるセイバーが許すはずもなく遅ればせながらも彼女らを守ろうと剣を片手に前へ出る。
が、その剣のいきついた。その先は―――
―――令呪を以って命じます。セイバー。その白いサーヴァントとマスターの子供を殺しなさい。
―――必死に我が子を守ろうとする母親の、その背後であった。
ザクリ
刺さった剣を引き抜けば銃弾によってできた傷とは比べ物にならない量の血液が、幅広の傷口からどろりと流れ出した。
「っ・・・え?」
桜の泣き声が大きくなる。
一瞬何が起こったのか、周囲どころか行使したセイバー自身も追いつけないでいた。
しかし、そんな心情を余所にセイバーの両腕は次なる一手を、それでも生きているのならと更なる一手をその背中に加えていく。
「や、やめろっ・・・」
既に血濡れのその背中に元の純白は見当たらない。
尚も、ほんの少し身じろいだから―――剣を突き刺す。
「やめろっ」
髪が揺れたから―――剣を突き刺す。
「や・・・めろっ」
間から垣間見た幼くやわらかな指が動いたから―――剣を突き刺す。
「たのむっ・・・もうっやめてくれええええええっ」
白が動いたような気がしたから―――剣を突き刺す。
「あああああああああああああああっ」
叫んで、泣いて。されど、その手は止まることなく庇護するべきだと判断した者を滅多刺しにしていく。
非力な女子供を。
幼子の目の前でその母親を。
セイバーがその手を止めたのは見覚えのある槍によって剣を弾かれた時だった。
「セイバーっ」
「あ、ああ・・・ら、ランサー・・・わたし・・・は。」
「何をしている・・・と言いたいところだが、ああ、大体は把握した。恐らく令呪を用いた強制行為だな?」
颯爽とその場に現れたランサーはズルズルと崩れ落ちそうになるセイバーを支え、ウルレシュテムに視線を遣る。
先程まで抱き締められていた桜はいつの間にか緩んだ腕の隙間から上半身を起こし、ウルレシュテムを懸命に揺すっている。
「ママ、ママ。酷いこと。もう終わった?どうして眠ってるの?」
「桜ちゃん、ママはもう「うるさいっママは少し疲れただけだもんっ」
ねえ、ママ。と既に亡骸と化した自らのサーヴァントに語り掛ける少女の姿は痛々しかった。
「アイリスフィールっ直ぐにこの者たちの手当てをっ「セイバー」
必死なセイバーの懇願めいた声をランサーが遮る。
「お前ならわかるはずだ。もう、このサーヴァントは手遅れだ。」
もうじき座への退去が始まる。という言葉を前に今度こそセイバーは膝をついた。
「そん・・・な。」
そんな沈黙を、この場に似つかわしくない快活な笑い声が切り裂いた。
「ふはははははははっ何をそううなだれることがある?そうしていたほうが見ごたえがありそうな気もするが・・・喜ばずしてどうするのだ?・・・まあ、その女怪を思えばいささか哀れではあるが。」
そんな英雄王の声を余所にただ見ていることしかできなかった雁夜が桜を再度ウルレシュテムの亡骸から引き離そうとする。
その腕を桜は自由の利かない身体のまま振り払った。
「うるさいっうるさいっうるさいっままはっママは疲れてるだけだもんっ死んでなんかないもんっ私を・・・一人になんかしないもんっ」
まるで威嚇するかのように、己に言い聞かせるかのように言い放つ桜の姿は一層の悲哀を感じさせた。
その時、一陣の風と共に黄金の天翔ける玉座がその場に舞い降りる。
「・・・なんだ、来たのか。てっきり道化に徹してこないかと思ったぞ。
「・・・ぬかせ。初めからわかっていたくせに何を言うか
玉座から降りたギルガメッシュに桜がわずかにその沈んだ表情を動かした。
「ぱ、ぱぱっ。ママが、ママが目を覚まさないの。どうしたらいいかなっ。」
ギルガメッシュはそのまま返事を返すことなく桜の傍まで足を進めると桜を抱きかかえた。
いきなり体勢を変えたせいか足の傷口から漏れる血の量が更に増え、血だまりを拡げる。
僅かに表情を歪めるに留めていた桜の頭を撫でてギルガメッシュがやっと口を開いた。
「よく持ちこたえたな。さすが
言って、バツッという何かを打ち抜くような音が聞こえた後、ギルガメッシュの首に回されていた桜の腕がずるずると下がって垂れた。
「・・・ぱ・・・ぱ。ま・・ま・・・・。」
少女の最期の顔は、母親の返り血と口の端から垂れる少女の血で汚れてはいたが、確かに其処には涙を流した跡があった。