失敗作だけど白い特等みたいになれたらいいなー   作:九十九夜

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いるだけで害悪なんて言われたらもうどうしていいかわからないよね。

……でも混沌悪みたいなのって方向性が無いみたいな分そう言われている気がしてならない……

実際は違うんだろうけど。


カルデア側から見た彼女

ズガガガガガガガっ

 

魔弾の雨が頭上から降り注ぐ。

 

「っつ。ロード・カルデアス、展開します!!」

 

宝具が展開されスレスレのところで弾かれたそれは霧散する。

かれこれ十数回目のこのやり取り。

要であるマシュは既に限界が差し迫っており、他のサーヴァントたちも疲労の色が見え始めていた。

 

向こうは既に二人だけ、その筈なのに、その二人が倒せない。

 

「っつ、キャスター!宝具頼める!?」

「おうよ!任せな!!ウィッカーマン!!」

 

ゴウという熱風とともに現われ出でた巨人の如き人形が、燃え盛るそれが二人に迫る。

が、それにこれと言って動じずに少女の方がごく自然に口を開く。

 

「ふうん、随分豪快な目くらましね。ま、いいけど。」

 

スキル:天の糸発動。とぽそりと口にして大男の方に手を伸ばすとまるで首輪の様に黄金に光り輝く何かが緩く漂うように巻き付いた。

 

「え?……天の、糸……?」

 

後ろ側でサポートに徹していたオルガマリーが呆然と呟くのが立花の耳に入る。

視線だけ其方にやると本当にオルガマリーは呆然と立ちつくしていた。

宝具の決まる音にハッとした立花はオルガマリーに言葉を投げかける。

 

「所長っ所長!!しっかりしてください。次が来ます!!」

 

立花がそれが分かったのは単に晴れていく煙の中に未だたたずむ二つの影と光り輝く何かが目視で来たからである。彼の勘やら戦術眼やらはまだ心もとないのだ。

しかし、そんな必死な彼に煙が晴れるとともに恐るべき現実がそこにあった。

 

「そ、んな……。」

 

マシュが悲痛な声を溢す。

 

「マジかよ……。」

 

宝具を使ったキャスターも冷や汗をかいている。

そうして、立花も余りの現状に目を見開き、ヒュっと空気を吸い込んだ。

 

「無、傷……。」

 

そう、無傷。傷一つ無く、二人組は健在だった。

状態異常が付与された様子もない。

 

「ねえ、もう、いいかしら?」

 

にこやかな少女の呟きに。

そして、彼女の手のひらに集中している可愛げのない魔力の密度にカルデア側の背筋が凍り付いた。

 

「っつ、撤収、ッ撤収よ!!」

 

ふり絞るかのような声音でオルガマリーが叫ぶ。

マシュっという立花の声を皮切りに転移によって離脱しようと瞬時に準備を始めるカルデアに、これまた可憐な笑顔で少女は告げる。

 

「うん。賢明な判断ね。―――でも、それはあと数分前でないと意味がないわ。『我が身は王にして王にあらず(ウル・ナンム)』。」

 

少女の手に突如現れた水が濁流となって立花たちに向かってくる。

最早ここまでか、と諦めかけたその時だった。

 

「なんだ?もう諦めると?つまらん、実につまらんではないか。そら、ここは何とかしてやる故足掻いて見せよ!!」

 

傲岸不遜な物言いとともに、本来此処にはいないはずの人物の姿が目の前にあった。

 

「許せ、お前とて創造主に逆らいたくはないだろうが致し方あるまい。―――罷り越せ、天の帯。」

 

その言葉とともにアメンヘルケプシェフの袖口から出てきた何かがまるで結界か何かの様に壁の様なものを作り出した。かと思うと先程の水を相殺する。

 

「そら、今のうちにさっさと転移せよ。」

 

その壁越しに見た少女は寂しげな、されど嬉しそうに笑っていた。

 

 

  ◇ ◆ ◇

 

 

転移でマシュが先程設置していたポータルの場所に戻ってくる。

と皆一様にその場にしゃがみ込んだ。

 

「さて、皆。無事か?」

 

聞こえた声の方を向いて、お礼を言おうとしてぎょっとする。

声の主、アメンヘルケプシェフの姿は他の誰よりも悲惨なものだったからだ。

全身血まみれといっても過言ではない。し、片腕に至っては完全に切断されている。

その切断された腕はもう片方の無事……とも言えないが繋がっている腕で持っていた。

 

「ちょっ藤丸立花!彼にすぐ応急手当を!!」

 

「ん?ああ、何気にするな……あと数時間もすれば元に戻る。」

 

焦るオルガマリーとは対照的にマイペースな口調で当然の様に答えるアメンヘルケプシェフ。

幾度かのやり取りの後無理矢理応急手当を使って治療した。

 

粗方面々が落ち着いてきたときにマシュがポツリと呟く。

 

「あの方……いったい何者なんでしょう。」

 

言わずもがな先程の戦闘に参加していた少女の事だろう。

皆が黙り込む中でオルガマリーが「もしかしたらだけど。」とぽつりと言った。

 

「あの子、天の糸って言ったわよね?」

 

その確認するかのような物言いに立花は頷きマシュが「はい。確かに。」と返事をする。

確かにあの少女は天の糸と言ってスキルを味方の大男に付与していたのは全員が目撃している。

 

「……私の仮説があっていれば彼女、とんでもなくめんどくさい相手よ。でも味方に加えられたらこれ以上ないってくらい頼もしいわね。」

 

そんな様子をニコニコと見守っていたアメンヘルケプシェフを「どうしてあなたがその天の帯とやらを持っているのかも気になるところではあるけれどね!!」といってじろりと睨みつけながらも解説を続ける。

 

「……先に真名だけ言わせてもらうとメソポタミアのウルクの王、ウルレシュテムね。恐らくは、だけど。宝具の名前もアレだし、確定したようなものだわ。はあ、ほんとなんでこんなところで、あんな大物が……。」

 

「ウルレシュテム?」

 

「せ、先輩。ほら、あれです!大晦日から新年にかけて紐を引っ掛けるというおまじないの……。」

 

「ああ!!あの紐神か!!」

 

慌ててフォローを行おうとするマシュに斜め上の答えを立花が出した。

その答えにオルガマリーが顔を引き攣らせる。

 

「ひ、紐、神……?」

 

「あ、あれ?違った?ええと、じゃあヴァレンタインの邪神??」

 

「邪神……って……あなたそんな覚え方してたの?」

 

はあ、とオルガマリーが溜息を吐く。

しかし、藤丸立花……というか日本人の認識としては大体がそんなものである。

そちらに流れて行くにあたって様々に曲解されていき現在はそう言った恋愛行事で気まぐれに祀られる程度だ。

 

「……もういいわ。わかりました。藤丸立花。貴方には個人的に授業を開く必要がありそうね。でも今回は時間がないし、まあ、いいでしょう。そもそも彼女は、というかさっきの彼女は神霊ではありません。生前……半神半人だったころの彼女でしょう。故に彼女が恐らくは天の糸と呼ばれていたころ……詰まる所神と人の調停者として君臨していたころの彼女にあたるわね。その分何事にも公平だし、きっと交渉の余地はあると思うの……これが実は大人の彼女が擬態していたとかなら、話は変わってくるんでしょうけど。」

 

「あの、所長。もし彼女が擬態だったらどうするんですか。」

 

「……その時は逃げに徹して、極力関わらない方向で進めるしかないわね。私たちじゃ到底太刀打ちできないもの。」

 

最低でも高位の神霊か複数の神性持ちサーヴァントがいないとお話にならないわ。と頭を押さえて所長は言い切った。

 

「っつってもあの嬢ちゃん。きっとこっちの話になんざ耳かさねーぜ?」

 

問答無用で攻撃してきやがったしよ……とやれやれとキャスター、クー・フーリンが首を竦めて見せる。

 

「そこは……申し訳ないけれど、マシュとヘルケプシェフに頑張ってもらうしかないわね。」

「悪いがそれは無理だ。」

 

所長の言葉に間髪入れずにきっぱりとヘルケプシェフが断る。

あれは日に一回程度が限界だ、そもそも我は借り受けているだけで本来の担い手ではないからな。とこともなげにいうヘルケプシェフ。その場が騒然となる中、これまた解決策を提示したのも彼であった。

 

「だが、あの者への対策はないこともない。……この場でサーヴァントを召喚することは可能か?」

 

「……出来なくはないけれど、一体何をするつもり?無駄にできる聖晶石何て……。」

 

不機嫌なオルガマリーとはこれまた対照的に快活に笑ったヘルケプシェフは先程の帯の先端を見せつけて言い放った。

 

「決まっておるではないか聖遺物(コレ)でおびき出すのだ!」

 

 

 

  ◇ ◆ ◇

 

 

 

「それじゃあ立花。さっき言った言葉を復唱しなさい。他はこっちで何とかするから。」

 

巨大な召喚陣を敷いてヘルケプシェフを所定の位置に立たせたオルガマリーが立花に召還を促した。

黙ってそれに頷いた立花は陣の方へ向き直る。

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。供物に古き糸の名残。

降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」

 

「――告げる。

汝の身は我が下に、我が運命は汝の剣に。

聖杯の寄る辺に従い、この意、この理に従うならば応えよ――」

 

「――誓いを此処に。我は常世にて糸を辿る者――」

 

「――汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――」

 

シャン

 

シャン シャン

 

シャン シャン シャン

 

明滅を繰り返していた陣が一際激しい閃光を放つ。

と同時に現れたのは―――

 

「……セイバー、ギルガメッシュ。不敬にも我をそのようなもので呼び出したこと、本来ならあらゆる手段を使って後悔させるところだが、良い。今この身は王ではない故な……特別に許そう。」

 

思わずぽかんと口を開けて驚愕する一同。

そこからいち早く覚醒したオルガマリーと、続いて覚醒した立花がどういうことだとヘルケプシェフをみる。

と、肝心のアメンヘルケプシェフは……。

 

「す、すまぬ。友よ……余りの姦しさに、フィルターを掛けるのを忘れてしまった……すまぬ……。」

 

……酷く落ち込んだ様子で、膝を抱えていた。




余り出せなかった姉ちゃんへの反応を書いてみたかった。

このギルガメッシュはなにガメッシュなんでしょうねー(すっとぼけ

……ちなみにメアがいたら強制的にもっと違う誰かが召喚されていた模様。
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