博麗霊夢物語   作:はるちぃ

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お留守番

霊夢が3歳になった頃のお話。

 

◆◆◆

 

ある日、博麗親子がいつものように庭で遊んでいた。

そこに、こちらもいつものように突然現れたスキマ。

いつもは「わっ!」とか言って霊夢を驚かせる紫だが、今日は違った。

普段は隠している妖気が、今日は大量にでていた。

「紫、どうした、なんかあった?」

「人里の近くで妖怪が暴れ始めたらしいわ。しかも相手はそこら辺の低級妖怪なんかじゃない。このままじゃ人里だけでなく幻想郷自体が危ないの!」

「本当か!?急いで準備してくる!」

霊奈はとても驚き、そして深刻そうな顔をしていた。

何が起きたのかはよく分からないけど、なにか大変なことが起きているということは幼い霊夢にも分かったらしい。

霊夢は母が準備をする様子を不安そうな顔で見つめていた。

そして自分の横に立っている、いつもと違う紫のことも。

「ねえゆかり?」

「...」

霊夢は紫のスカートの裾を思いっきり引っ張った。

「ねえねえゆかり!」

「あっ、ん?」

「どうしたの?おでかけするの?れいむは?」

「霊夢は来ちゃダメよ。お留守番してなさい。」

「なんで?」

「今ね、人里の近くで妖怪が悪いことしてるの。でね、その妖怪を放っておくと、幻想郷が壊されちゃうかもしれないの。」

「こわれちゃうの?」

「そうならないように私とお母さんが妖怪を止めてくるから。だから、寂しいかもしれないけど、いい子にお留守番してなさい。」

「...うん、分かった。」

まだ幼い霊夢には、止めるということがどれだけ危険なことか分かっていなかっただろう。

「紫、行こう。」

その霊奈の一言で、2人は行ってしまった。

霊夢は1人残された。

これまでも何度か留守番をしたことがある。

今回も霊夢はいつも通り遊んで待つことにした。

しかし、2人は全然帰ってこなかった。

いつも日が暮れる前には帰ってくるのに、今日は2人が帰ってこないまま夜になってしまった。

──おなかすいたな。ごはんどうしよう。おふろどうやってわかすんだろう。

まだ3歳の霊夢には何も出来ないのが当たり前。

シーンとした神社と空腹と不安で、霊夢は泣き始めてしまった。

霊夢は、泣き声を聞いた誰かが来てくれるかもしれないと思った。

でも、誰も来なかった。

そして、泣き疲れてそのまま寝てしまった。

 

◇◇◇

 

藍は式の橙を連れて博麗神社に向かっていた。

──すっかり遅くなってしまったな。

今ごろ霊夢がお腹をすかせていることだろう。

 

「橙、ご飯は作れるようになった?」

「はい!」

「お風呂は沸かせるようになった?」

「はい!」

「お台所やお部屋の掃除はできるようになった?」

「はい!」

「いま紫様と霊奈が必死に妖怪退治をしている。私もそれの応援に行く。数日間家を空けることになるだろう。」

「はい。」

「橙は、ここじゃなくて、神社で霊夢と一緒に待ってなさい。」

「分かりました!」

 

家を出る前にした会話が思い出された。

橙は、私の誇れる式だ。

大丈夫だろう。

問題は、紫様と霊奈の方だ。

霊夢の世話を誰にも頼んでないのに夜になっても帰ってこないのは、やはり今回の異変は普通じゃないっていうことなのだろう。

一体どんな相手なんだ...。

「藍様?」

「ん?どうした?」

「着きますよ?降りないんですか?」

「....あ、降りよう。」

いけない、ずっと考え事してた。

とりあえず、まずは霊夢のところに。

 

──あれ、寝てる。こんなところで寝てたら風邪引くぞ。

お?

よく見ると、畳が少し濡れていた。

霊夢の閉じているまぶたには涙がにじんでいる。

「...霊夢、遅くなってごめんな。」

橙と布団を敷いて、霊夢を寝かせた。

──早くお母さんを帰らせるからね、霊夢。

「それでは、行ってくる。霊夢をよろしくな。一緒にいてやるんだぞ。」

「はい!気をつけてください!」

霊夢のためにも、戦っている2人のためにも、藍は急いだ。

 

◇◇◇

 

それから3日後、霊夢と橙は一緒に遊びながら、3人の帰りを待っていた。

「まだかえってこないね。」

「うん。」

そんな会話が何度繰り返されたことか。

その度に橙は霊夢に言っていた。

「霊夢のお母さんも、紫様も、藍様も、幻想郷を悪い妖怪から守るために頑張ってるの。だから霊夢も、ちょっと寂しいけど、橙と一緒にお留守番頑張ろう!」

この橙の言葉で、霊夢は寂しいのをぐっと我慢して、泣かずにお留守番できていた。

この日も3人は帰ってこないまま夜になってしまった。

霊夢と橙は、すでに布団で寝っ転がっていた。

この日は何故か眠くなくて、2人でおしゃべりをしていた。

「明日は帰ってくるといいね。」

「うん。」

毎晩していたこの会話をして、さあ寝るかという時、見たことのあるリボンが出現した。

「「あっ!!!」」

そのリボンは空間に裂け目を作り、それを強引に広げた。

そして中からは、霊夢と橙がずっと待っていた3人が出てきた。

 

「おがあざーーーん!!」

霊夢はずっと我慢していた涙を流して叫んだ。

「ゆかりさまー!らんさまー!」

霊夢より年上だからってお姉さんっぽく振る舞っていたけど、橙もやはり我慢出来なかった。

2人は裸足で庭に出て、それぞれに抱きついた。

霊奈や紫や藍は、妖怪退治で服が汚れて、怪我もしていて、体も服もボロボロになっていた。

3人はひどく疲れている様子だった。

でも、ずっと頑張っていたのはこの子達も同じ。

抱きついたせいで汚れてしまった霊夢と橙を見て、霊奈は決めた。

「仕方ないな。みんなでお風呂に入って寝よう。今日は神社に泊まっていって。」

「ええ。そうさせて。ありがとう霊奈。」

その後はみんなでキャーキャー言いながらお風呂に入り、ぎゅうぎゅうの布団に川の字になって寝た。

こうして、霊夢の長い長いお留守番は、幕を閉じた。

 

このあとしばらくは、霊夢も橙もかなりの甘えん坊になってしまったそうだ。




ずいぶん遅くなりました。ごめんなさい。

次回はもうちょっと早く投稿できるように頑張ります!
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