戦争である。
悪魔にすら寛大な俺を奴は怒らせた。
まさか、丹精込めて育て上げようとしている俺のサーヴァントを寄越そうなんて言う輩がいるとは思わなんだ。
それってアレか、マーリンいいなアカウント頂戴とかガイジ案件みたいな物か?
えっ、何言ってんのコイツ?ガイアが許してもアラヤは許さないよ。
「パラケルスス、礼装はまだか!」
「材料が届いたので既に着手しておりますマスター、それにしても通販とは素晴らしい」
「絶対に許さない、絶対に絶対にだ。爪先からじっくり切り刻んでやる」
自宅に帰ってすぐ、俺はキャスター組に指示を出した。
メフィストには攻撃用の礼装を、パラケルススには防御用の礼装だ。
材料はサプリメントからネズミの死体まで通販で注文すれば何でも揃う世の中だ。
「お、おい。なんか坊主の様子がおかしくねぇか?」
「血祭りにして酒池肉林にでもするのだろうか……あっ、ワン」
「動揺しすぎてタマモさんのキャラがブレてますね。そんなことよりお腹が空きました」
何やらサーヴァント達がマシュの近くで集まってコソコソしているが、きっと晩ご飯の話だろう。
王様って言うのは、だいたい腹ぺこだからな。
「イヒヒヒ、マスターよろしいので?」
「魔術でどうにかなる」
「怖いですねぇ、ジャパニーズマフィアみたいですね」
まぁ、そんなことよりも礼装作りが大事である。
メフィストもなんだかんだ、Bランクだからちゃんと作れる。
それに呪いの類いも詳しいしな。
「賢者の石があるから大丈夫だ」
「マスター、十本くらいが妥当です。それ以上は、再生出来るかどうか」
「十分だ。それより、メフィストは作れそうか?」
「専門は天文や気象学なんですがねぇ、魔術で代用すれば問題ないでしょう」
痛む手を押さえながら、サーヴァントの運用方法を考える。
まず、キャスターは今の時点では使えるが基本的には後衛、それに拠点防御が得意なタイプだ。
だから、キャスター組は防衛をさせるとしよう。
次に、ライダーはやはり速度が特徴だ。
ブケファラスに乗って貰えば奇襲は簡単に行くだろう。
バーサーカー組はコントロール出来る気がしないので、もう勝手にさせよう。
前衛で防御はマシュ、攻撃は兄貴がやれば大抵の敵は消せるだろう。
問題は、フェニックスの特性を持つ二名だ。
兄貴の他に、確か妹がいたはずだ。
ソイツが邪魔をすると、少し面倒だ。
「まぁ、その時に考えれば良いか」
俺が数日休んで準備に明け暮れている頃、マシュ経由でグレモリー先輩達も休んでいると聞いた。
確か、修行してるとかだったか。
数日修行して強くなれるなら、みんな修行するわ。
俺はというと、自身は強くなるには時間が足らないので、使い捨ての道具を用いて実力をカバーする作戦だ。
修行する前に礼装作れよ。
「あの廃教会が霊地だったのは大きいな」
「堕天使が儀式をしようとしたくらいですから、後は学校も霊地ですね」
フェニックスは恐らく地属性、悪魔で怪物、神聖な方の生物じゃないから地属性のはずだ。
つまり天、高い神性を持つ者は兄貴とタマモ、やっぱ兄貴ってば使い勝手が良いわ。
兄貴はフェニックスの天敵、ゲイボルグで穿たれた心臓は治らないからさらに大ダメージだ。
回復阻害の呪いはフェニックスと相性が良い。
夜、言われた時間にオカルト研究部にやって来た。
いつも絡んでくる転生者君も、今日は絡もうとはしてこない。
何故なら、グレモリー先輩すら顔を引き攣らせる準備をしてきたからだ。
「アーシア先輩、俺のわがままですんません。キャスター達と引き籠もって下さい」
「元々は私のせいですし、大丈夫ですよ」
こちとら聖女特性の秘密兵器もあるからな。
さて、魔法陣に乗ったらゲーム開始である。
「学校を模したフィールドですか」
「流石ね一誠、看破するなんて赤龍帝の名は伊達じゃないって所かしら?」
「すごいですね~」
学校、少しでも地理的優位を与えたい魔王陛下の慈悲だろうか。
まぁ、俺を転生させた悪魔に比べたら悪魔らしくない奴らだな。
そして、ゲーム開始が告げられた。
「お兄様やお父様もご覧になっているとなると、下手な試合は出来ないわね。さて、まず皆にはこれを配るわね」
そう言ってグレモリー先輩が光る物体を取り出す。
「一誠やアーシア達は知らないだろうから教えるけど、これを耳元に付けておけば同陣営の人とならどこでも通信可能なの」
「必要ない」
「何ですって?」
俺はメフィスト作成の銃を構えながら、グレモリー先輩に言う。
「素人に連携は無理だ。此方は此方の勝手でやらして貰う」
「テメェ、部長の好意を――」
「お前は見ていろ、俺の物(リアルアカウント)に手を出そうとしたらどうなるかな」
突っかかってきそうだった転生者君を銃で牽制する。
今はお前に構っている暇は無いんだ。
「待ちなさい」
「邪魔しないで貰おうか。今は誰でも良い気分なんだ」
他人のアカウントを奪おうとするなんて規約違反、ギルティである。
これはマシュの為でもあるが、ファンとしても大事な戦いなのだ。
「令呪を持って命ずる。キャスター、アーシア先輩を中心に拠点を作れ。重ねて命ずる、バーサーカーども敵を殺せ。更に重ねて命ずる、がんがん行け」
作戦はがんがんいこうぜである。
最後の令呪により、サーヴァント全員が雄叫びを上げた。
やる気が気持ち上がったのかもしれない、ステータスに補正があるといいな。
大丈夫、ウェイバーがやってたしいけるいける。
「おう、マスター!どう動く!」
「敵は臣下だけ前線ですか。僕と合わないタイプのようだ」
「正面だ。そのまま突っ切って校舎に入り生徒会室である本拠地に攻め込む」
「分かりやすくて言い、本陣目指すって訳だ」
ある程度方針を決め、俺達は動き出す。
バーサーカー組、アレキサンダーは俺達とは別行動だ。
バーサーカー達は指示なんかしたって無駄だし、アレキサンダーは王だからか仕えるつもりはないらしい。
俺も納得してしまうカリスマが奴にはある、だから自由にさせたのかもしれない。
まぁ、その三騎は遊撃ってことだ。
「よし、マシュと兄貴行くよ」
「おう、任せな!」
「了解です先輩!」
警戒しながら、運動場を抜けていく。
槍を肩に乗せながら、一定のリズムで槍を揺らす兄貴。
重そうな盾を俺の周囲をグルグル回りながら持つマシュ。
完璧だ、完璧な布陣である。
「クリアです先輩、どうですか!FPSで鍛えました!」
「っても、見晴らしが良すぎて意味ないんだがなぁ」
「そんな、アレキサンダーさんの後ろで勉強したのに」
大丈夫続けていこう、だって可愛いから。
そうこうしてるうちに、誰か接敵したのか、体育館の方で雷が落ちて、登った。
「下と上から雷ですね」
「スパルタクスが宝具でも使ったのかな?今、クラッと来たぜ」
『ライザー・フェニックスさまの「兵士」三名、リタイヤ』
魔力の大幅な減少はまずいので、霊地から搾り取ったキャスター謹製の宝石をポケットから取り出した。
手頃にダイヤモンド、それをポテチのように飲んでは追加で飲んでいく。
炭からダイヤを作成し、魔力を込めるとか流石パラケルススである。
「俺は人間魔力発電所、ゴゴゴー」
「宝石ばっか飲んで大丈夫か?」
「害はないんでしょうか」
大丈夫、問題あれば魔術で何とか出来るはずだから。
宝石を飲み込み続けながら進んでいたら、ランサーが槍を片手に通せんぼする形で俺達を制止させる。
そして人影が見えた。
「私は、ライザー様に仕える騎士カーラマイン!こそこそと腹の探り合いをするのも飽きた!リアス・グレモリーの騎士よ!いざ、尋常に剣を交えようじゃないか!」
「セイバーみたいだぜ、マスター。まぁ、俺は騎士道ってのは理解できねぇが、嫌いじゃ無いぜああいう馬鹿は」
「ランサー、速やかに排除!マシュ、俺を守れ!」
最初の戦いが始まった。