勢いよくベッドに座ったルイズは、寒そうに毛布を身に纏う。
ガンドの影響で、寒気でもするんだろう。
腹パンされたくらいの衝撃はあったはずなのに、啖呵を切る胆力は驚嘆に値する。
どうでもいいがアーシア先輩は修正された世界でどうなったんだろう?悪魔ルートになったのだろうか。
「まずじゃあ、これからのことを話そう。俺は一応、召還に応じてるわけだから誘拐だとかは文句は言わない。だけど、人として扱われないようならば仕事はしない。分かったか?」
「アンタ、さっきと全然違うじゃない」
「あぁ、こっちが素なんだよ。さっきまではふざけてた」
コルベールとか色々聞いてきそうだったからなのとタバサに話しかけられるのとか考えて嘘ついたのだ。あとは、怖すぎてボロが出そうだからな。まさかのヒロイン級の気の強さに断念した。
縛られても睨み付ける凛ちゃんみたいである。
『俺は気の強い女は好きだぜ』
『知ってた』
兄貴からのコメントを頂いたところで、一応現状確認。
聖杯は出せないが、繋がりというのは感じる。
俺の中にみんながいる、ような気はする。
ただし、なぜか受肉出来ない不思議。
「人扱いして欲しいってこと?召使いってこと?」
「もうそれでいいよ」
「でも、アンタ不満そうね。それぐらいしか出来ないじゃない。感覚共有から素材集め、戦闘が使い魔の仕事よ」
「そうだな、戦闘と素材集めくらいなら余裕だ」
「先住魔法が使えるのだから、そうなんでしょうね」
一人、ルイズがうんうんと納得する。
説明面倒だから、それでいいや。
でも、召使い扱いでも困ることがある。
「次に、寝床の件だが」
「学院のメイド達のところで寝ればいいじゃない」
「空きがあるわけないだろ、予想外な召喚なわけだし」
「あああっあんた……まさか、いいいっ一緒に……」
「すごいテンパり方してるけど、そうだよ。一緒に寝かせろ」
ルイズがその言葉を聞いて顔を真っ赤にしながら、無理と言ってくる。
バッカじゃないのとか言いつつ、枕を投げてきて正直かわいい。
やっぱ、くぎゅーってすごいわ。マシュという者がいながら、心を奪われそうだ。
きっとルーンのせい、俺は悪くない。
「俺は床で寝たくない。最低限度の文化的生活を要求する」
「だ、だって結婚前なのよ!なのに、男と同衾なんて……変態変態変態!」
「ばっ、やめろ!枕で叩くんじゃねーよ、添い寝だけでなんもしねぇよ」
寧ろ手を出したら死ぬ、焼き殺されるわ。
『全力で楽しむこと、それが人生の秘訣だよ』
『お前が何を言いたいか分かるが、子供がそういうことを言うんじゃない』
下ネタ大好きな小学生か、と心の中でアレキサンダーにツッコミを入れる。
よく考えたら、小学生くらいだったわアイツ。
「うぅ……絶対?」
「あぁ、約束する」
「約束破ったら、鞭打ちするんだからね!」
「嬉しくないツンデレだな」
っていうか、そもそもお前脱ごうとしてただろ。
一応、今は人として見てるってことなんだろうか。
「さて、やることやったしガチャを回そう」
「がちゃ?」
懐に入ってた呼符を使いたくてウズウズしてたんだ。
でも、どうやって使うんだろうな。
マシュがいないと召喚サークルの設置が出来ない。
そう思って見つめていたら、呼び符が光となって消えた。
五枚全部、消えた。
「はぁぁぁぁぁぁ!?ふっざけんなぁぁぁぁ!おいこら、運営どういうことだ!ちょ、消えたんだけど!バグ、バグなの!詫び石寄越せよぉぉぉぉ!」
「び、びっくりした!きゅ、急に何よぉ……やめてよぉ……」
俺の発狂に、ルイズがキャラ崩壊するほどビビっていた。
お前強気なキャラどうした、いやまぁそんなことはどうでもいい。
五枚分消えたのだが、どういうことなんだ。
『仕様だ』
「おっ、おいおいおい!運営、どういうことだ!お前、見てるのか!」
『世界に合わせた仕様だ』
「ね、ねぇ……なんか、落ちたわよ」
ルイズに指摘されて、はぁと言いながら俺は指さされた方向に視線を向ける。
床に、それはあった。
五枚のカード、それが散らばっていたのだ。
「こ、これは……プリズマイリヤで見たぞ、クラスカードじゃないか!」
そう思ってよく見たら、裏はクラスカードだけど表にはFGOで見たサーヴァンとの姿があった。
ライダー、ライダー、アーチャー、アーチャー、セイバー。
メデューサ、牛若丸、子ギル、アタランテ、ベディヴィエール。
「アイエェェェェ!?ア、アタランテ?アタランテなんで、星4!?っていうかギル様、ギル様来たのやった食費解決だ!ベディなんでいるの!?おま、宝具強いやんけ!牛若に関してはロリかよ!メデューサに関しては痴女かよ」
『い、遺憾の意である。わ、私は痴女などでは』
『こんな形ではありますが、セイバーのベディヴィエール。召還に応じました』
『同じく、牛若丸、罷り越しました。武士として誠心誠意尽くさせていただきます』
『待ってください。私だけ、ちゃんと自己紹介出来てないじゃないですか』
『やぁマスター、そんなに喜んでも貰えると嬉しいよ。ボクのことは気軽に親しみを込めてギルくんとでも呼んでくれ』
『……よろしく』
脳内に直接声が聞こえる。
私と声が似ているな、汝は私と同じか、なんて早見ボイスが聞こえるが中の人が一緒だからだよ。
っていうか、ちょっと待って!声は聞こえるけど受肉はないんですか!?
『仕様だ』
「おま、仕様仕様いい加減にせぇよ!受肉させろや、なんでだし!」
『黙れ、此方にも事情があるのだ』
「知らねぇ―よ!バーカバーカ」
俺の抗議は天の声にスルーされた。
ぐぬぬ、いつか泣かす。
興奮してしまったが、やったぜ。
黄金律持ちが来てくれた、最高だなおい。
「ちょ、ちょっと!アンタ、さっきからうるさいわよ!っていうか、気持ち悪いわ!」
「ベッドの上で仁王立ちしている、ロリに罵られてる件」
「ろり?よくわかんないけど馬鹿にしてるんでしょ、ふざけんじゃないわよ!」
「ちょ、殴ってきた!やめろし、俺に対してはご褒美じゃねぇんだよ!」
「うるさいうるさいうるさーい!」
もうやだ、俺の主がDVしてくるんですけど。
あと、うるさいのはお前だからな。
興奮していた俺も悪かったが、急に強気じゃないか。
メンタル不安定かよ、ビビったり強気だったり、ヒステリー持ちかよ。
「ッ!?」
ビクッとルイズが跳ね上がる。
理由は隣からドンドンドンとすごい音がしたからだ。
というか、壁ドンだった。抗議の方の壁ドンだった。
「あ、アンタのせいで怒られたじゃない」
「あぁ、悪かったよ」
「はぁ……もう寝る。明日起こしてよね」
そう言ってルイズは布団を手にとって、横になった。
そうか、じゃあ俺も寝るか。
「ちょ、なんで入ってくるの!?」
「ベッドで寝てもいいって話だろ」
「朝まで起きて、私が起きてる間に寝なさいよ!」
「なんでそんな辛いことしなきゃなんねーんだよ!ちょっと可愛いからって調子のんなよ!」
「かわ……もう!もっと、離れて!」
顔を背けながらルイズが俺の胸をグイグイ押してくる。
俺は耳まで真っ赤にしながら、思わず言ってしまった俺の言葉に反応するルイズを見て思った。
コイツ行動があざといわ、これで天然なんだからヒロイン力、高いな。
流石メインヒロイン、レベルが違った。
『浮気ですか?処す?処す?』
『心の底からゴメンナサイ』
『先輩、最低です』
『マシュ!第一声が、まさかのそれですか!?』
俺は心の中で謝罪するのだった。
「な、なんか寝にくい……こっち見ないで」
「お構いなく」
「構うわよ!馬鹿じゃないのアンタ!」
「んっふ……お構いなく」
「もう、はーなーれーてー!」
「ちょ、蹴りはやめろよ!また壁ドンされるだろ!ほら来た、今聞こえただろ!」
「うっさいわね、距離が近いのよ!だいたい、いいい一緒に寝るとか無理があるのよ」
「急にもにょるなよ」
この後滅茶苦茶キックされた。