取りあえずと言う形で立ち話もなんだし、公園に移動した。
ちなみに会話はメフィスト頼りである。
「おい、ちゃんと訳してるんだろうな?」
「意訳ですが、イヒヒヒヒ正確ですよマスター」
「ねっとり喋られると信用出来ないわぁ」
ベンチに座りながら、二人の会話を眺め続ける。
こうしてみると、ピエロとシスターという異色の組み合わせにコスプレかよってドン引きされそうである。
海外は知らんけど、日本にシスターはいないから目立つ格好だなぁ。
「あっ、終わった?」
「とぉってもぉ、面白いお話を聞かせて頂きましたよぉ。いやぁ、人間は悪魔よりも悪魔らしくってわたくし更に好きになりましたよ」
「さようかー、なぁなんで俺の後ろに隠れてるの?なんで、アーシアさんが俺の方に来てお前から盾にしようとしてるの?」
「それはぁ、わたくしが悪魔って教えてあげたからですよぉ!ウフフ、フヒィ!」
ニタニタするピエロ、確かに怖いわ。
これで悪魔って言われるなら、冗談の類いだとしても信じれるレベルで引くわ。
悪魔ってクソってわかんだね。
「よし、じゃあ教会に行くぞ。話は聞いてないけど行き先は知ってる」
「流石マスターぁ、英語が出来ないなどと言って理解してるとは悪魔を騙しましたね」
「いや、本当に知らないよ」
知ってるのは話の流れだけ。
よし、じゃあ行くよとアーシアさんの腕を取る。
突然男に捕まれてるのに、首を傾げて苦笑い。
大丈夫か、無防備すぎて俺ってば心配だわ。
「因みにマスターより年上ですよ」
「マジかぁ、マジかぁ……」
「あと、わたくし教会は苦手でして」
知ってた、俺はお前の嫌がる顔がみたいんだよ。
英語で話し掛けてくる彼女に、ノープロブレムを連呼しながら教会に向かっていく。
ちょっと、メフィストが戦力外になったりしないだろうなぁ。
不安になってきたので、戦闘だけは避けよう。
どうしてこうなったのか、これが修正力って奴か。
「マスター、教会が見えてきました。あぁ、虫酸が走る」
「タイミングが悪かったなぁ」
「そんな嬉しそうな顔で言われましても、敵対ですかぁ?やりますよ、わたくし!」
や、やめろー!
パンピーの俺が勝てる訳無いだろ、俺の負け負けぇってなるだろう。
教会って聞くと、この寂れた教会しか街にはない。
教会があるって、日本にしては珍しいよね。
敷地の近くから動こうとしない、電柱にしがみつくメフィストを放置して俺はオッケーと疑問系で彼女に聞いた。
センキュウ―なんて早口で捲し立てるから任務達成である、やったぜ。
「おやおやぁ、こんな所に礼拝ですかぁ?敬虔なる信者様ご来場ですかぁ?」
「あぁ?」
感動に打ち震えていたら、俺のミッションコンプリートをぶち壊す声が聞こえた。
誰だぁ、ねっとり喋るメフィストみたいな輩は……嘘やろ。
そこには、高校生ほどの神父がいた。
アーシアさんはペコリと一礼して、教会の中に入っていく。
「す、すごい……英語がペラペラだ」
アーシアさんと去り際に会話、俺で無きゃ見逃しちゃうね。
結論、コイツ頭良いぞぉ!
「さてさて、昼間っからクソ害虫臭せぇゴミが教会の前に放置とか、僕ちん神父ですし掃除しなきゃいけないなぁ」
「それは酷い」
「テメェの事だよ、ヒャッハー!」
ファ!?
目の前に光る棒、ビームサーベル!?
驚くのも束の間、グイッと背後に引っ張られる。
「ヘェーッヘヘヘヘヘェ!」
「チッ、まぁいい悪魔の方が先に死んだだけだ」
な、何が起こっているのか。
突然、目の前の神父がビームサーベルを出したと思ったら、メフィストが身代わりになって斬られながら笑っていた。
そして、その身体は光になって消えていく。
う、嘘だろ。メフィスト、お前……。
「さぁ、次は……なんだこれ?」
「殺したと思いました?残念、そっちは本体だぁ!」
血だらけになりながら、メフィストが神父の後ろに立っていた。
そうか、あの一瞬で斬られてから霊体化して背後を取った。
斬られてるから意味ないじゃ無いかぁ!
「頭ン中まで蛆でも湧いてるのかねぇ、悪魔さんよぉ!」
「それでは最後の置き土産」
ちょいちょい、とメフィストが指を指す。
その先には、さっきなんだこれと神父が首を傾げた黒い物体。
「3」
「まさか」
「2」
「に、逃げろぉ!アンタも逃げろ」
「1」
「このクソ悪魔、足から手を離せ!」
「パァァァン!世界は終わり!」
走り出す俺の背後で、爆発音が聞こえた。
爆竹を鳴らすような、爆ぜる音だ。
思ったより小規模だな、花火程度か。
ニュースで謎の異音がとか報道されそう。
なんだなんだと、家の窓を開ける人がチラチラ見える。
やっぱり逃げ出して正解だったな、俺が犯人扱いされる所だった。
「メフィスト、無茶しやがって……」
「あの程度で英霊が死にますか、まぁ人間は知りませんけどねぇ」
「うわっ、ビックリした!?」
環境と相性の問題で、大ダメージだったのかもしれない。
それでも自爆するとは、なんて思ってなのにひょっこり本人は現れた。
ちょっと、俺のウルッと来たの返してくれます。
ただ、ビックリさせただけじゃんこれじゃあ。
「好きなものですか?誰かの驚く顔!それがわたくしは好きで好きで好きで!」
「聞いてないよ。まぁ一応……ありがとう」
「あれれ、今何か言いました?聞こえませんなぁ、ん~?」
「う、うるさい!」
取りあえず、神父は懲り懲りだって思いながら急いで帰宅した。
えっ、なんで急ぐかって?アレがフリードって奴だって思い出したからだよ。
つまり、早くアーシアさん助けなきゃ。
家に帰ると、タマモが抱きついてきた。
そして、クンカクンカと臭いを嗅いでからマシュに向かって一言。
「ご主人から女の臭いがする。これは去勢拳行くかニャ、シュシュッ、シュバッシュ!」
「そんな!?先輩……」
「お労しいマシュ様、ビシ!キャットは見た、壁から見た来た勝ったニャ!」
シャドーボクシングを始めたと思ったら、何処からかベニヤ板を持ってきてマシュの横で顔を半分出してふざけ出すタマモ。
マシュもなんか、深刻そうな声を出してるけど雰囲気が楽しそうだ。
「どうしたんだ、一体」
「さっき、サスペンスを見て勉強しました。昼ドラです」
ムフー、とドヤ顔するマシュ。
そっか、専業主婦みたいな物だからね。
掃除した後は煎餅食べながら寝転がったり、いやそんなノブみたいな事はマシュはしないか。
「でもご主人から女の臭いがしたのは本当なのニャ」
「……浮気ですか?」
「しないよ!」
「ですよね、えへへ」
照れくさそうに笑うマシュ、えへへって言う女子初めて見えた。
くっそあざとい、あざといぞマシュ。
まぁ、それは置いといて。
「はい集合、チキチキカチコミ会議始めるよ!ポロリもあるよ、首だけどね!」
庭で筋トレしてるスパルタクス、庭で馬の手入れしているアレキサンダー、庭でバイク弄ってるクーフーリン、庭で園芸をしているパラケルススがやって来る。
お前ら、庭に集中しすぎだろ!なんなの、なんでみんな庭にいるの。
「おう、どうしたマスター。戦か?」
「さっき神父に攻撃された、これは報復するしか無い」
「神父かぁ……神父はマトモなのいないからなぁ……」
遠い目で何かを思い出す槍ニキ、ランサー自害せよ(挨拶)されまくりだもんなぁ。
平行世界の記憶があるとしたら、凄い数で関わってるもんなぁ。
麻婆とかプッチとか、神父って思い出す限りヤバいのしかいないなぁ。
裏切るギロチン神父とか、心臓に杭さして化物になる神父とか、やっぱヤバいのしかいないわ。
「争いはよくないかと」
「女の子が、誘拐されてるんだ」
「アベレージ・ワンの魔術がいかなるものか、ご覧に入れましょう」
反対意見を押し切り、作戦を決行する。
「か弱い女の子を、見捨てて良い物だろうか!コレは、教会の圧制である!」
「ここより叛逆の始まりだ。覚悟を決めろ!」
「僕はいつでも行けるよ。君はどうかな?」
「報酬は猫缶を所望する」
さぁ、武力介入を開始しよう。
「行くぞ、エイエイオー!」
「「「オー!」」」
「こんなノリで良いんでしょうか、先輩ェ……」