The sword revealed the power of its true nature to retrieve the peace.
Excalibur, Kusanagi, and all the other swords talked in myth,legend and saga...
People named those swords in many ways.
But...
They all meant one thing.
The one and only...
The sword of MANA.
動乱の中、人々はその剣を携えた勇者を待つ
その剣は世の平定を取り戻すために真の姿、力を明らかにするという
エクスカリバーや草薙など呼び名を変え、神話や英雄伝説の中に語り継がれるその剣
名は変われど、指すものはただ一つ
その剣、マナの剣という
はるかな昔、マナの力によって進化した文明が地上に栄えていた
やがて人々はマナの力を戦争に利用するようになり、マナの要塞と呼ばれる巨大な船を
生んだ
しかし、あまりに強大なその力は神々の怒りに触れ、神獣が地上へと遣わされた
要塞と神獣の激しい戦いが世界を炎と毒で包み、地上からはマナが失われていった
その時、聖剣を携えた勇者によって、要塞は落とされ、神獣も人々の前から姿を消した
戦争によって文明は失われたが、世界には、再び平和が戻った……
時は流れ……歴史は繰り返す……
滔々と語られる壮大な内容に耳を傾ける。
聖剣。神獣。失われた文明。そして――繰り返される歴史。
どこかで聞いたような設定の羅列だ。多分、日本で触れた娯楽の小片を合わせていけば
同じような話にたどり着くであろうことは想像に難くない。
けれど、僕はそれを信じられないねと笑い飛ばすことはできなかった。
「その聖剣がね、抜かれたらしいの」
太古の言い伝えをなぞっていた唇は、役割を終えたようだ。
「漏れ聞いた話なんだけど、間違いないと思う。北の空に
ら。その後に、各地でモンスターが活性化したようだしね」
「突如起きた変化に、各国は早急な対策を迫られているわ。それは、このパンドーラでも
同じこと……」
僅かに顔を俯ける。身体は、小刻みに震えていた。
「プリム? ――」
どうしたの、と続けようとしたが、彼女が唐突に顔を上げたためそれは叶わなかった。
「あたし、もう耐えられない!」
彼女に似つかわない、弱りきった表情だった。
「ディラックが……ディラックが死んじゃう!」
歳相応の女の子としての顔。涙混じりに発した名は、男のものだろうか。
「それは、どういう……」
短い沈黙。
「あたし、今から卑怯なことを言うわ」
身体が動かない。動けない。
一見落ち着きを取り戻したように見える彼女は、しかし、驚くほどに声に感情が込めら
れていなかった。
淡々とした口調。それに威圧され、意識せずともプリムの話を聞く体となる。
「さっきの聖剣の話」
呟く表情は、能面のよう。
「今、この世界にはマナが圧倒的なまでに足りない。枯渇しているといっても過言じゃな
い」
アラートが脳内で鳴り響く。この先を聞いてはいけない、と。
だけど……。
(僕は、彼女に助けられた。回数にして二回。けれど、それ以上に救われたと思う僕がい
るのは確か)
「そんな中、アキ。君はマナの加護を得た」
「…………」
彼女の言いたいことが分かった気がする。
(彼女が、それを望むのであれば、僕は――)
「アキ。私は、君に――」
決定的な言葉。僕の運命を変える一言が放たれる。そんな気がしていた。
しかし。
道は、分かたれた。
「吉井君?」
「ッ!?」
聞き間違えるはずもない、日本語の抑揚。話の途中だが、思わぬ事態に振り返る。そこ
には――。
「やっぱり吉井君だ!」
「秀吉?」
スカートを穿いた秀吉がいた。何か引っかかるところがあるけれど、紛れもなく秀吉!
「は……? あたしは木下優子よ! 秀吉の姉っ!」
ま、紛れもなく……。そういえば、前に秀吉が『わしには、双子の姉がいる』って言っ
てたような気が……。
「ご、ゴメンナサイ木下さん!」
深く深く頭を下げる。
「それより」
どういった状況かしら。目で、そう訴える木下さん。ああっ、そうだった! 大事な話
をしていたんだった!
「えっと、プリム?」
おそるおそる声を掛ける。
「そちらは?」
「え?」
「そちらの方は? あなたの同郷かしら?」
「あ、うん。そうだけど。話の続きを――」
「そう。それじゃあ、君と同じで知らないことが多いんだろうね。説明してあげなよ。そ
れくらいは問題ないよね」
一気に捲したてるプリム。鈍い僕でも分かる。只事じゃない。
「プリ――」
「アキ」
決意の滲んだ声。
「これは命令。あなたの……命を救った対価」
口をはさめない。
「彼女を、助けてあげなさい」
ごめん。
最後に、それだけ言って彼女は走り去っていった。
「ねぇ」
(プリムは何て言おうとしていた? ……きっと、僕についてきて、って言おうとしてい
たんだ)
(プリムは、右も左もわからない僕を導いてくれた。大切な人だ。そんな恩人に、僕はな
んてことをっ!)
「ねぇってば」
「うるさい!」
僕を振り向かせようと差し出していた木下さんの手を払う。
「あっ」
僕らのどちらが発した音であったか。
眉をしかめた彼女の顔を見て、さらにこんがらがる。
僕がプリムと話を続けていれば。
木下さんが話しかけるのが、もう少し後であれば。
何故僕は、プリムを追いかけない。
プリムは、僕を救ってくれた。
どうして、木下さんまでこの世界にいるんだ。
プリムが。僕が。木下さんが。何故。どうして。どうやって。
絡まる思考は、もはや意味を為していない。
「ああああぁぁぁあぁあぁぁ!」
突如叫びだした僕を周りが怪訝そうに遠巻きに見つめるが。知ったことか! 僕のせい
で。僕のせいでっ!
「
木刀を振りかぶる。狙いは。
「えっ?」
僕の、頭。
「っぐぅ~~っつ! い、いったぁ~」
後先考えない、自分でも馬鹿だと断言できる行動。っていうか、すごく痛いっ!
「な、な、な。何してんのよっ!」
慌て駆け寄ってくる木下さん。そんな彼女に。
「ごめんなさい、木下さん」
誠心誠意謝った。
「まったく! バカじゃないの!?」
あの後、僕はこの世界に迷い込んだ二日前からのことを順に木下さんに伝えた。いきな
りこちらの世界にとばされたこと。モンスターがいること。プリムに道案内をしてもらっ
たこと。
死にかけたことは伏せてあるが、どうにもプリムに助けてもらったことが多すぎて、ど
れほど彼女に世話になったかは木下さんにも伝わってしまったと思う。
だからだろう。彼女が責任を感じて、こんなことを言うのは。
「ごめんなさい」
ぽつりと、木下さん。
「え、なんで木下さんが謝るのさ!」
「タイミング悪い時に話しかけたこと」
「あ、あれは」
「あの時に私が話しかけなければ、結果も違った。そうでしょう?」
うっ……。確かにそうだけれど!
「訳も分からない! そんなところに投げ出されて、見知った顔があったら真っ先に声を
掛けるのは当たり前だっ!」
「僕だって。僕だって振り返った! あの時。プリムの話が大切なことだったっていうの
は、馬鹿な僕にだって分かってたのに!」
「吉井君……」
「寂しかったんだ。この世界に僕を知っている人は、誰もいないから」
そう。郷愁に駆られたのだ。僕を知ってる人が、僕の名前を呼んだことに。ひどく嬉し
さを覚えたんだ。
沈痛な静寂。
けれど、無駄にできる時間は多くない。今こうしている間にも、プリムが危機に瀕して
いるかもしれないと思うと、気が気でない。
ただ、ろくな説明もなしに木下さんを一人この場に残して行くのは、同じ地球出身者と
して出来ない行いであった。
「木下さん、僕はプリムのもとに向かう」
少し考えて、木下さんは言う。
「行き先は、分かってるの?」
「今から聞きこむつもりだけど、問題ないと思う」
ディラックという人物名と、聖剣が抜かれたことで面したパンドーラの問題。これを照
らし合わせれば自ずと答えは導かれるはずだ。
そう伝えると。
「ふうん。理に適っているわね」
納得してくれたようだ。
「ところで」
「?」
じいっと見られる。は、恥ずかしいんですけど。
「あなた、ほんとに吉井君?」
失礼な質問で申し訳ないけど、どうも秀吉の言っていた人物像と一致しないのよ。そう
彼女は言説を明かす。
秀吉よ。君はお姉さんに、僕のことをどう伝えたんだい?
「む。確かに馬鹿だけれど、僕は文月の吉井明久で間違いないよ」
「いや、馬鹿だとかそうじゃなくて。いえ、間違ってないかしら」
泣いてもいいですか?
「と、とにかく。ごめんなさいね、変な質問して。あなたは、文月学園の吉井君だわ」
僕の表情を見た木下さんがフォローに走る。
でもね、と彼女は続ける。
「私も一緒に行くわ。足手まといなのは分かってるけど、それでもついていく」
「どうして」
「仮に追いついたとして。プリムさんに、吉井君があなたと私の関係性について説明した
としましょう」
「もし納得しても、心のどこかでは疑念が渦巻くと思うのよ」
そうかもしれない。いや、その確率の方が高いだろう。
「……危ないよ」
それでも、僕は諌めずにはいられなかった。僕が今生きていられるのは奇跡に等しいの
だ。ましてや、女の子なのだ。危険度は段違い。僕に守り切れる自信はない。ならば、当
面宿に泊まれるだけのお金を渡して、パンドーラに留まらせる方がよほど安全だ。
「モンスター?」
危険の代表格を挙げる木下さん。彼女の眼には、恐れが浮かんでいた。
(できれば、そのまま怖がっていてくれ)
切に願う。
「……さっき、召喚獣出してたよね?」
木下さんが「
身。
「はぁ」
思わず溜息が出る。
「操るの、すっごい難しいよ?」
「女の意地よ」
そう言われては、引き下がるしかなかった。
「戦うことになったら、極力僕に従って。召喚獣の操作能力とモンスターの習性に関して
は、僕に一日の長がある」
「もちろんよ」
「今日は、もう遅いから宿に泊まろう。急ぎたいのはやまやまだけど、野宿じゃ疲れが溜
まる一方だからね」
翌日。
さっそく話を聞きこむ。ことにしたのだが。
「街の様子が変ね」
そう。どことなく活気がないのだ。長い間パンドーラにいたわけではないので、断言は
出来ないがそれにしてもおかしい。
「城に行ってみよう」
「それがよさそうね」
木下さんの同意も得られたので、さっそく向かうことにする。
道中、何人かに話しかけたが、みな虚ろな瞳をしていてまともに話せるような状態では
なかった。
現実離れした状況に恐怖が募るが、それはプリムの危険度も増したことを示している。
心折れるわけにはいかなかった。
「ここが」
城か。その言葉は続かなかった。
間近に見ると、やはり圧倒される。
城内は、外からでも分かるほどに騒然としていて、城を守る衛兵も不安げな面持ちを呈
している。
「すみません」
木下さんが話しかける。これは前もって決めていたことだ。咄嗟の判断では、僕より彼
女の方が優れているだろうからだ。
「何か?」
「街の様子について、お尋ねしたいことがあるのです」
「こちらに」
あれ?
思わず木下さんと顔を見合わせる。予想以上にあっさりと入城を許可されて驚いている
のだ。
衛兵について案内された場所は、広い一室。そこには、人が大勢いて皆不安げな顔つき
をしていた。
「息子は。息子は、どうなってしまうんでしょうか!?」
母親と思われる一人の女性が、兵士にしがみつきながら問う。
「我々も分からんのだ。直に王様からの布達が公布されるので暫し待たれよ」
苛立たしげに、対応する兵士。彼も自分のキャパシティを超える事態に、いっぱいいっ
ぱいなのだろう。誰を責める、責めないの問題ではないのだ。
「王様から話が聞けるみたいだけど……」
「えぇ、いつになるか明言していない。時間は掛けてられないのだから対策を練らなきゃ
ね」
しかし、すぐに浮かぶものではなく、とりあえず情報の摺り合わせを行う。
「プリムさんはディラックという人を探しているのよね?」
「うん、早くしなきゃ死んじゃうって言ってたね」
「死ぬ? 街の人々は、様子はおかしくとも命に係わるものには見えなかったわ
よ」
「そういえば、確かに……」
はっとした顔をする木下さん。何か閃いたのだろうか。
「もし、仮によ」
「原因が分かっていて、その対応にディラックさんが向かったとしたら?」
考え込む。裏に何が繋がっているのか分からないが、国家を敵に回すような行為をした
ことから鑑みて善良なものとは思えない。
「その線が濃厚だね」
「ついでに、ディラックさんがどういう役を担っているのか。例えば、兵士だとか研究者
であるとかが分かれば、ある程度の準備も出来る」
すごいや。確定ではないけれど、僕はその推理が正しいとしか思えなかった。
「じゃあ、早速兵士さんに――」
「待って、吉井君」
手を引かれ、自然身を寄せ合う形となる。
「ディラックさんが城の関係者だった場合、それを探ろうとする私たちは勘ぐられる可能
性があるわ」
「な、なるほど」
頷くも、手に感じる柔らかさと至近距離にある整った相貌に返答がしどろもどろにな
る。
(それにしても、行動する前に先のことをたくさん考えてるんだな)
当たり前のことかもしれないが、自分には無縁だった。ただ、何事においてもそれは、
重要だと痛感した。無益に時間を過ごすことが無くなるのだ。一つ一つは小さくとも、積
もり積もればそれは如実な差となって現れる。
(考えなしの行動ばっかじゃ、いつまでたっても本質的には子ども、か)
少しは直そう。そう決心したのであった。
結局、近くにいたおばさんに聞き込み(おばさんはおしゃべり好きだという考えがあっ
たからだ)、ディラックさんは兵士――それも身分の高い軍関係者であることが分かっ
た。
「軍事行動の一環として、活性化したモンスターの退治に向かった、ねぇ」
モンスターは、聖剣が抜かれてから豹変したという。そして、それと連動するように各
地域で不穏な動きが散見されている、という情報をくれたのもプリムであった。
(ドンピシャだね)
ただ、行って良いものか悩む。ディラックなる人物が向かった先は、妖魔の森という場
所でモンスターもその辺より強い個体がいるらしい。
(ええい、結果は後からついてくる! 行動あるのみ、だ!)
しかし、迷っている時間はなく、行かないという選択肢もまたない。
つい先ほど立てた後先考えなしの行動を控えるという目標は、早くも叶わぬものとなっ
た。
必要な情報を得た僕らは、すぐさま城を後にし街の西側から危険域へと足を踏み入れ
た。
とはいえ目的地は近くないので、襲ってくるモンスター以外は素通りし出来る限り体力
温存に努める。道中にキッポ村という集落があるようなので、一度妖魔の森浅くを捜索し
たら村の宿で休み、本格的な行動は次の日に回すという方針を取る。
「大丈夫?」
想像以上に精神を削られる強行軍に、息が乱れるのを止められないのだろう。目に見え
て疲れが出始めている木下さんを案じる。
「えぇ、って。ふぅ。いいたいところだけど。はっ」
「やっぱり少し休もう」
「でも、わたし、が。無理言ってついてきたのだから……。森の手前までは休みなしで行
くわ」
意志は、固いようだ。
「……分かった。ただ、僕がだめだと判断したら、その時は無理にでも休ませるからね」
やんわりと釘を刺して、道を急ぐ。無駄にエネルギーを消費しないよう、警戒心を高め
ながら。
どれほどの時間、通しで歩き続けただろうか。陽は既に西へと傾き始めているから、五
時間ほどは歩いてたことになる。その甲斐もあって、漸く舗装された道を踏みしめる。人
里が近い証拠だ。
道沿いを進めば、正面に村落らしき景観が目に映る。となれば。
「あと少しで、妖魔の森か」
右手の方角を見やりながらこぼす。眺めた方向からは、水のせせらぎがかすかに聞こえ
てくる。
ちら、と横を窺えば、木下さんは険しい表情で僕と同じ方角を見つめていた。
(……休ませるべき、なんだろうけど)
鬼気迫るような顔つきをした彼女に掛ける言葉は、見つからなかった。言えば聞いてく
れるかもしれないが、ここまで来たら当初の予定通りに進んだ方が、吉であろう。
「行こう」
「……えぇ」
ところどころ階段がある以外は、ほとんど人の手が入っていない自然の中。花とキノコ
と蜂(全部モンスターである)を木刀で伸しながら先を急ぐ。
狭い道を抜け、広場に躍り出る。
聞いていた通りだと、そろそろ到着するはず……なんだけれども。
「『森』は、どこにもないよなぁ」
あたりを見渡すも、それらしい風景は視界にない。右に見えた道の先は大砲屋で、真正
面は突き当りに何本もの石柱が聳えているのみである。
(道を間違えたのかな? けど、好都合なことにモンスターはいないみたいだ)
不安はある。けれど、今は木下さんを休ませる方が先決だ。
「ちょっと休もうか」
無言で首肯する木下さん。彼女から少し離れたところに座りながら、現状と照らし合わ
せて今後の流れを再検討する。
木下さんの状態如何に左右されるだろう、というのが僕の正直な考えだ。僕の戦力は自
分の身を守れるのかすら危ういものだから、彼女には自分の身は自分で守ってもらうこと
になるかもしれない。となると、召喚獣を喚んで加勢してもらう必要があるのだが――
(優先順位を理解して行動に移せる冷静な判断力は、すごいけど……。精神的に休まって
はいないかも)
召喚獣を使役して戦うのは、精神がゴリゴリと削られるのだ。今の彼女にそれが耐えら
れるか。
それに、一番重要なことがある。
「木下さん、召喚獣を喚んでもらってもいいかな?」
「
Aクラス 木下優子 保健体育 382点
「すごっ」
僕と違いすぎる点数に驚嘆する。
「じゃなくて。えっと、そこのちょっと大きい石を持ち上げるようにしてみて」
「もしかしてフィードバックについてかしら?」
召喚獣を操作して歩かせながら核心をついてくる。本当に、頭の回転が速い。
「うん。僕は観察処分者だからそうなってても疑問はないんだけど、こっちに来た影響で
木下さんにもあれが適用されてたらって思うとね。万が一の可能性だけど、試さなきゃ」
召喚獣が石を持ち上げる。その足取りは、覚束ないものだ。やはり細かい操作は難しい
のだろう。
「手に何かをつかんだ感触はないわね」
「うーん、はっきりはしないか」
「ごめんね。……重いものを持たせてみれば分かるの?」
「でも、危ないからなぁ」
もし、落として召喚獣の足元にでも落としてしまってフィードバックがあったら大変
だ。
「一回強めに拍手してみれば分かるよね?」
「待って!!」
召喚獣の力は、まさに怪力と呼ぶに等しい。木下さんほどの点数ともなると、その威力
は計り知れない。そう伝えようとしたのだが。彼女は、止める間もなく実行に移してし
まった。
拍手とは思えないけたたましい音が二、三度辺りに響き渡る。耳が痛むけれど、それど
ころじゃない! 木下さんは無事かっ!?
「ふぅ、大丈夫みたいね」
全身が沸騰するような、それでいて頭は冷えている。そんな心地を覚えた。
「だ……」
「??」
「大丈夫じゃないっ!!」
木下さんが身を怯ませるが、気に留めない。
「君が想像している以上に、ずっと力持ちなんだよ!?」
もし、僕と同じ仕様だったらどうなると思ってるんだ!
その言葉は必死に飲み込んで。
「とにかく!」
「違和感はない、よね?」
「え、えぇ。正常に動くわ」
手を握ったり開いたりしながら、気まずそうに木下さんが告げる。
「ふう~、良かったぁ」
安堵する僕を、じっ、と眼差し強く見つめてくる。
(お、お節介だったかな)
怒気が霧散し羞恥が顔をのぞかせる。居た堪れないよ、僕!
思わず顔をそむける。
「……ありがとう」
ぼそっと呟いた木下さんの声は聞き取れなかった。
「?」
「いえ、なんでもないわ」
どうやら聞き返せそうにはないようだ。
(怒ってないよね?)
少し不安になる僕だった。
前書きの英文ですが、聖剣伝説2を起動して放置した時に流れるものです。
本文冒頭は、それを訳したものになります。
終わり方が中途半端なのは、文字数を考えてになります。まだその辺の見通しや構成力は甘々です。より完成度の高いものを書き上げられるよう、精進いたします。
こんなに投稿が遅れてしまい、読んでいただいている方には申し訳ないです。
理由はいろいろありますが、半分は言い訳です。
内容も、自分が見直して『う~ん』と思ったところがそのままな箇所があったり、色々未熟な点が目立つものではありますが、楽しんでいただければ幸いです。
ご指摘があれば、お教えいただけると有り難いです。
これからも、よろしくお願いします。