時間がかかりましたが、続きを投稿させて頂きました。
右へ左へ、縦横無尽に私の前を動き回るMWを目で追う。
『オラァ!!いくぜぇー!』
MWに内蔵された無線から、そんな声が響く。
けど、動きが直線的っていうか、わかりやすいっていうか。
その間も、目の前のMWは私に狙いを定めながら機体を左右に振って近づいてくる。
『くらいやがれやぁ!!』
私に向けて放たれるペイント弾を、躱す
するとMWは、私の思い描いた通りの軌道で動き、弾をかわし逆に相手の後ろへ。
『なぁ!?』
「ごめんね、ユージン」
それだけ告げ、目の前のユージンの乗るMWにペイント弾を複数撃ち込む。
すべて命中したのを確認したら、次のMW。
すぐに視線をあたりに向けると、青と白のMWが互いにけん制しながら、走り回っているのが見える。
次は、あの2人のうちどっちか1人か、はたまた同時か。
少し気が重い、だってあの2人強いし。
「でも、負けっぱなしは嫌だよね。」
まったくもって勝てる気はしないが、まだまだ訓練の時間は終わらない。
なら続けるしかないわけで。
私は激しく入れ替わる2機のMWを次の標的にして、強くフットペダルを踏み込んだ。
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MWの戦闘訓練も終わり。
結局あの2人には勝てなかった。
少しだるい体でゆっくりと機体の外に這い出ると
さっき私が倒したMWに乗ってたユージンが近づいて、声をかけてきた。
「かぁー、マジでお前。何であれ避けられるんだよ」
「なんでっていわれても…。見えたら避けるでしょ?」
何を言ってるんだろうか、ユージンは。
迫ってくるものが見えて、それを避けることができるなら誰だって避けるだろう。
私が当たり前のことを返すと、彼少し呆れたような顔をして隣にいたもう1人に話しかける。
「当たり前みたいに嫌がって、こいつ。三日月や昭弘もだけどホントお前らどうかしてるぜ…。なぁ、シノ」
「まったくだぜ。化物かってんだよ」
化物だなんて失礼な、正真正銘私は人間だというのに。
最後まで残ってた三日月と昭弘はそうかもしれないが、私はあそこまでめちゃくちゃじゃない。
「私が速いんじゃなくて、そもそも2人の反応が遅すぎるだけだと思うけど」
「そりゃ、阿頼耶識2回やってるお前に比べたら遅いかもだけどよ。」
「ってか、あんな痛てぇのなんで2回も受けたのかが俺には理解できねぇ…」
阿頼耶識かぁ、あの手術は確かに痛かったな。
一軍の人に殴ったり蹴られたりする時とは比べ物にならないくらい痛かった。
「なんでって、マルバ社長がやれって言ったからだよ?」
「は?」
「お前、何言ってんだ…?」
私の言ったことに対してユージンもシノも驚いてるらしい。
さっきの事より当たり前の事なのに、この2人は本当に何を言ってるんだろう。
2人から理解できないものを見るような眼を向けられていると後ろから不機嫌そうな声が聞こえた。
「ちっ、ここに居やがったのか。」
「…お疲れ様です、ハエダさん」
「おつかれっす、ハエダさん」
ユージンとシノにねぎらいの言葉を向けられながらも、不機嫌なままのハエダさん。
はて、いつもはこないのになんで今日は顔を見せに来たんだろう。
不機嫌な様子と、あと誰かを探してるみたいなさっきの言葉。
あ、そういうことか。
「雪華!こい、いつもの
「はい、わかりました。」
そう言えば、今週はまだ一回もなかったっけ。なるほど。
それなら、いつも来ないようなところにハエダさんが来たのも納得できる。
返事を聞いたハエダさんはずんずんと社屋に向かって歩いていく。
「それじゃ、ユージンにシノまたあとでね。」
「…お、おう。」
「ッ!!」
ユージンとシノそう声をかけてから、ハエダさんに遅れないよう私も社屋に向かって歩き出す。
でも、なんで参番組のみんなは私が情事に行く前に声をかけるとすごく辛そうな顔をするんだろう。
私が痛くて気持ち悪いだけで、みんなはちっとも痛くもかゆくもないのに
本当に不思議だよ。
「ちんたらしてんじゃねぇ!!さっさとしねぇか!!」
少し考え事をしてたら、歩くのが遅くなっていたらしい。
前を歩くハエダさんから大きな声で怒鳴られてしまった。
これは今日のはいつもより長くなるかな。
ぼーっとしてた私が悪いんだ、しょうがないか。
でもこれ以上伸びるのはやだなぁ、だから急がないと
「すみません、今行きます。」
すぐに返事をして、慌てて小走りでハエダさんの後ろにつく。
それにしてもなんかいつもよりイライラしてるような気が。
ふと気になりハエダさんの顔を覗き込むと目を吊り上げ、眉を寄せていた。
これは長いだけじゃなくて、いつもより痛いやつになりそうだ。
よし、そろそろ部屋につくし、いつも以上に覚悟を決めないと。
ん、後ろから足音が……。
「はぁ、はぁ。ここにいたんですね、よかったぁ。」
「あぁん?」
機嫌が悪いのを隠そうともせずにハエダさんは、後ろを振り向く。
それに続いて、私も後ろを振り向くと息を切らしたビスケットがそこにいた。
あんなに息を切らしてるなんて、なんか急ぎの仕事でも入ったのかな?
でも、冷静じゃないハエダさんはそこまで考えが回らなかったみたいで、さっきより機嫌を悪くしてビスケットに喰ってかかる。
「何が良かった、だ!ビスケット!!」
「す、すみません、ハエダさん!」
「チッ!で、何の要件だ。俺はこれから忙しいんだ、手短に話しやがれ!!」
「は、はい!細かい内容は聞いてませんが、何やら急ぎのようで社長がハエダさんを呼んでます。」
社長がハエダさんを急ぎで呼ぶほどのこと。
おそらく大きい仕事が依頼されたんだろうけど、どんな仕事なんだろう。
ま、私たちは飼い主の指示に従うだけだからそこまで考えなくていいよね。
「社長が?チッ、わかったすぐに向かう。雪華、今日はいつものはナシだ。さっきまでの仕事に戻りな!!」
「はい、わかりました。ハエダさん」
この後の私に対する指示をした後、ハエダさんはすぐに社長のところに向かっていった。
それにしても運が良かった、今日はあれをやらなくていいんだ。
それを考えるだけでいくらか気持ちが楽になる。
いくら指示が絶対って言っても、痛くて気持ち悪いの嫌だし。
何より、体が臭くなるのが一番いやだし。
よし、それじゃ早くさっきの仕事に戻らないと。
「ビスケットは仕事に戻らないの?」
「あぁ、僕も戻るよ。」
「ん、じゃあ一緒にいこ」
今来た道を、ビスケットと一緒に歩く。
昨日までの訓練の話や、その最中にあった面白い話そんな他愛のない話をしながら歩いていく中でふと、思った。
きっと私のこれからの毎日も、ずっと同じようなんだろうな。
今日みたいな幸運と、今みたいな普通の雑談
そりゃ
あぁ、私はなんて
そんな自分の幸福に感謝しながら、私は今日を生きる。
読了ありがとうございました。
今回は、なるべく主人公雪華の歪んだ精神性を描いたつもりなのですが、いかがでしたでしょうか。
うまく書くことができていましたら幸いです。
今回の話や前話に関しての意見や感想がありましたらくださると嬉しいです。