中編に続き且つ、この巨大イノシシを夜戦で狩りたいと思います。
なお効果がありましたが、無事E-1でヒトミちゃん迎えることが出来ました。
周回は大変でしたが……
ともあれ、気を改めて……
本編であります。どうぞ!
「姉貴、こんな時にスマホぐらい切っておけよ!」
「だって……イムヤさんたちから……御電話が掛かって来たら、いけないから……」
ヒトミを叱るイヨを見た提督は、穏やかな口調で答えた。
「まあまあ、イヨもそう怒らずに。取りあえず事情を話しておくようにな」
提督は彼女にそう伝えると、ヒトミは頷いた。
「はい、分かりました…ごめんなさい、イムヤさん…今は忙しいから、また後で掛け直しますね……」
『うん、分かった!また後でね!』
ヒトミは、すぐにイムヤに事情を話して電話を切った。
因みにイムヤたちは、もうひとりの親友提督が着任している鎮守府に所属している。
演習の際に仲良くなり、たまにこうして連絡し合うことが多い。
「ともあれ奴はまだこの近くにいるから、早く止めを―――」
提督の言葉は最後まで言おうとした瞬間、なにかを察知したのかGM6 Lynxを構えてすぐさま発砲した。
再び鳴り響く轟音、音速を超えた銃弾はその先にいたあの巨大イノシシに命中する。
逃げたと思わせた提督たちを油断させたためなのか、今度は血反吐を吐きながら猛進した巨大イノシシが襲い掛かってきたからだ。
「全員散開、夕張は天龍を連れて離脱しろ!」
「了解!」
「提督、避けろ!」
加古の言葉を聞いて、提督はすぐに前を向いた。
その隙を狙って、巨大イノシシは迷うことなく提督に体当たりしようと猛進する。
まさに四字熟語の猪突猛進と言っても良い。
しかしエグゾスーツ・カスタムに搭載している緊急回避用ブースターがあるため、攻撃を回避することに成功したかに思えた―――
「不味い!」
横に緊急回避した提督に対し、巨大イノシシも横に首を振る。
これに気付き、持っていたGM6 Lynxを咄嗟に盾にする。
このおかげで提督は負傷することはなかったが、代わりにGM6 Lynxがグニャッと折れてしまい使えなくなった。
『提督(司令官)!!!!』
古鷹たちは倒れている提督を見て、援護しようとした。
しかし、提督は『攻撃するな』とアイコンタクトを彼女たちに送った。
もしかしてと思い、とある策に気付いた古鷹たちは理解した一方――― そうとも知らずに巨大イノシシは今まさに止めを刺そうと鼻息を荒らした。
そして狂暴化した猛獣さながらの雄叫び声を上げた直後、体当たり攻撃か、それとも提督を噛み殺そう、ともう一度猛進したときだった。
「簡単に餌にありつけると思うな!」
提督はすぐさま起き上がり、エグゾスーツ・カスタムに搭載しているアビリティを――― ブースタージャンプを起動させる。
間一髪で体当たり攻撃を避けると同時に巨大イノシシの頭上を飛び越え、その巨体に乗ることに成功した。
自身の背中に乗ったことに抗うように必死に提督を振り落そうと、巨大イノシシは雄叫び声を上げつつ、猛牛のように暴れる。
「跳ね馬と言うよりは猛牛だな…… いや、猛豚か……」
皮肉ったジョークを呟きながら、この巨体から落とされないようにしがみ付き―――
「少しキツイ仕事になりそうだな!」
拳を握り締め、巨大イノシシの眉間に目掛けて、思いっ切り右ストレートを決める。
エグゾスーツ・カスタムは、あらゆる身体能力を通常よりも強力にする。
通常の腕力では破壊できないドアはもちろん、薄い装甲に覆われたSUVやMDタレットの上部ハッチぐらいならば、容易く破壊することが出来る。
ましてや眉間にこれを喰らうことは、まるでハンマーでダイヤモンドを思いっ切り叩き壊すかのような勢いである。
「ミギャァァァァァッ!」
激痛に耐えきれず、悲鳴を上げる巨大イノシシはさらに暴れまくる。
しかし効果が抜群であり、まるでエイリアンの戦車を破壊する英雄、敵からは悪魔として恐れられている緑色の強化骨格スーツを着た宇宙戦士のようにただひたすら殴る、殴る、殴ると言った単純な攻撃を何度も繰り返す。
「さすがに殴るだけじゃダメか……」
振り落されまいと、もう一度攻撃をした時だった。
「提督!こいつを!」
加古は腰ホルスターからリボルバーを抜き出し、提督に投げ渡す。
提督はオーバードライブを使用、空中でゆっくりと回転しながらこちらに飛翔するリボルバーを――― タウルス レイジングブルを受け取る。
装弾数良し。提督はタウルス レイジングブルの銃口を、巨大イノシシの眉間に接触させた。
「これでチェックメイトだ!」
某FPS『CoD:G』のラストステージで、ヘッシュが主人公とともに黒幕を倒す際に言い放ったあの台詞と同時に――― 躊躇うことなく引き金を引く。
最高の威力を誇る.44 マグナム弾が撃ち放たれた。
頑丈な皮膚を貫き、銃弾は貫通し続け、そして最後は脳漿までにダメージを与えた。
脳漿に.44 マグナム弾が貫通した途端、巨大イノシシは悲鳴を上げることはなかった。
巨大イノシシの動きは鈍くなり、二、三歩歩きだして、やがてゆっくりと倒れる。
提督は標的が倒れる前に飛び降り、負傷しないようにブースターを展開して起き上がると、レイジングブルを加古に返し、MAULショットガンに切り替えた。
そして一同は、恐る恐る近づいた。
「……本当に死んだ、よな?」
「分かりません……」
提督と古鷹は、不安に思いながらも呟いた。
巨大イノシシは地面に倒れても動かないが、痙攣を起こしているのか足が少しだけ震えていた。
「分からんな… これで死ななかったら戦車か、VTOL攻撃機でも持ち出さないとな……」と加古。
「あれだけの火力を浴びて負傷しても平然でしたからね……」と青葉。
「戦車は鎮守府に3輌あるけど、いくら強力でもこの山岳じゃ使えないからね」と衣笠。
「……後者は先日の戦闘で損傷して、今は修理中だから危なかったわね」と夕張。
「もしも扶桑さんたちが警備している鎮守府に突入したら、ゾッとしますね」と鳥海。
鎮守府には扶桑たちとともに、少数だが戦車3輌を配備している。
余談だが各鎮守府には、現代兵器を配備することも珍しくない。
提督の親友たちでも幾つかは配備しているが、稀にレトロ兵器にこだわり、大東亜戦争で活躍したレシプロ機などを配備する者たちもいる。
現状に戻る。
「改めて見ると本物の怪物だな、コイツは……」
提督はMAULショットガンの銃口で標的をつつくと、本当に置き上がることもなければ、ピクリッとも動かなかった。
「俺や提督に体当たりした奴だからな……」
「提督でも手こずったぐらいだからね」
天龍と川内も、彼と同じく率直な感想を述べた。
あの頭蓋骨はどういう風な構造になっているのかと疑問が上がるぐらいだ。
自衛隊の戦闘用ヘルメット(全般に『鉄帽』とも呼ばれる)や、ライフル弾に対応されているECHヘルメットよりも頑丈だな、と提督は呟いた。
その証拠に.44 マグナム弾が開けた銃創、その穴からはドクドクと血が流れ出ていた。
眉間を貫いた銃弾は頭蓋骨を貫通、そのまま脳ミソを破壊して体内で止まったようだな、と語ってくれている。
「あ、あの……提督……この、巨大イノシシ……どうしますか……?」
ヒトミが訊ねた。
「一応、念のために鎮守府へ持って帰って調査するが、コイツは《ウォーバード》で空輸するしかない」
どう見ても体重はトン単位あるため、MDタレットや軽車輌を空輸できる《ウォーバード》ならば容易いことだ。
「もちろん、コイツでワインや日本酒に合う料理だよな!」
イヨは倒したことよりも、倒した巨大イノシシを使った料理を楽しみにしている。
むろん隠し持ってきていたのか小さな缶ビールを開けて飲んでいた、彼女なりの勝利の祝杯として先に飲んでいる。
「ああ、調査後は肉を熟成させて食べ頃になったときにコイツを使った料理を楽しむか」
『やったーーー!!!』
提督たちは巨大イノシシが祟り神にならないこと、食材として命を頂くことに全員で御経を唱えた直後、無線機で連絡して《ウォーバード》部隊でこれを鎮守府まで空輸することにした。
そして、後日―――
今回の巨大イノシシを倒した証拠に、写真を記念として撮影後は―――
『乾杯ーーーーーー!!!!!!』
提督と、古鷹たちの乾杯に、全員が『乾杯!』と掲げた。
定番の牡丹鍋、内臓やモツ、大根やネギと言った根菜類を使ったもつ鍋を作った。
ほかにシシ肉の塊をオーブンなどでじっくり蒸し焼きにしたローストと、塩と五香粉など香辛料を塗布し、炉で茶色になるまで香ばしく焼いたチャーシューなどの前菜料理。
パンやトーストに塗って食べるパテに似たフランスの肉料理ことリエット。
赤ワインやトマトをベースにジャガイモ、ニンジン、セロリ、タマネギなどの香味野菜を加えて肉が柔らかくなるまで煮込んだ赤ワイン煮込み。
また洋食の定番としてカツレツ、また風変わりとしてシシ肉のメンチカツも用意した。
そして海軍食として、国民食としてのお馴染みのカレーなどと言った様々な巨大イノシシの肉を使った料理を振る舞った。
イノシシ料理のフルコースと、勝利の祝杯と言う名の宴会は壮大に盛り上がった。
提督たち全員では食べ切れないので、親友提督と阿賀野姉妹も参加した。
それでもかなりの量だったので、一部は戦利品として、元帥やもうひとりの親友提督がいる鎮守府に冷凍肉を空輸した。
そして残りは提督たちの食堂として使い、親友提督たちのお土産として全て無駄なく使い切ることが出来た。
「また武勇伝を作ったな、お前は」
「いや、俺たちは作りたくて作ったわけではないからな」
「でも古鷹さんたちの提督さん、阿賀野たちの鎮守府でもスゴく有名になっているよ〜♪」
「そうね。能代たちの鎮守府でも古鷹さんたちの提督が巨大イノシシを倒したことで盛り上がっていますよ♪」
「私も伝授して頂きたいものですね、巨大イノシシを倒したその武術を♪」
「酒匂も古鷹さんたちの司令のカッコいいところ見てみたかったぴゃあ〜♪」
「……そうか、ありがとう////」
親友提督・阿賀野姉妹の言葉を聞いて、提督は照れながら答えた。
親友提督の鎮守府で発行されている艦隊新聞でも提督たちが巨大イノシシを倒したというニュースとともに、この写真でも夫婦仲睦まじく、そして武勇伝として有名になったのは言うまでもない。
「でも、俺が勝てたのはみんなの協力のおかげだし、それに……古鷹たちの愛のおかげだな////」
『はい♡ 提督(司令官)♡♡♡♡』
提督の言葉に、古鷹たちは『愛に勝てるものはない』と笑顔で答えたとか―――
おまけ
盛大なパーティーが盛り上がる最中、ひとりの少女がマイクを握って高らかに宣言した。
「みんな、イヨの歌を聞け〜♪」
ビールジョッキも片手に、良い気分と酔った勢いでイヨは、何かを歌うのだろうかと注目を浴びた。
その彼女が歌った歌が―――
「イヨはまだ14だから〜♪」
有名な昭和アイドルの代表曲を、自分なりの替え歌を披露したのだった。
それを見た提督と、親友提督は思わず飲んでいたワインを、ブッと吐いてしまう。
古鷹たちや他の娘たちは苦笑い、阿賀野に関しては盛大に盛り上がっていた。
「許してね、イヨはまだ…… はっ……!?」
イヨは酔った勢いでハイテンション且つ、歌っていた時だ。
後ろから妙な視線、元より威圧感が半端ないオーラを察知した。
イヨは恐る恐るゆっくりと後ろを振り返った。
「イ・ヨ・ち・ゃ・ん?」
ニッコリと笑顔で答えたのは、姉のヒトミである。
その笑顔の後ろからは黒いオーラとともに、般若面がうっすらと浮き上がっていた。
「あ、姉貴…… これは、その……」
汗をナイアガラの滝と言うべきか、それくらい冷や汗を流しているイヨは自分なりの弁解をしようとして、その隙を見て脱兎のごとく逃げようとしたが―――
「イヨちゃん、これからお説教ね……」
笑顔でガシッと肩を掴まれてしまい、ヒトミに連れて行かれる。
「提督、助けて〜〜〜!」
「提督に助けを求めても駄目です…… ここでお説教です……!」
普段は大人しくてヒトミだが、飲酒しようとする問題児なイヨに堪りかねて怒るときもある。
また提督とイヨはもちろん、古鷹たちなどが傷ついたときは泣きながらグーパンで、深海棲艦を一撃で大破させたこともある。
「私は……いつも飲みすぎ注意って、言っているでしょう……!」
「はい……」
ヒトミがゆっくりと説教すると長くなりかねないため、提督と古鷹たちの仲介も入れて、説教は短く済んだ。
なおこの後、ヒトミもイヨと同じようにあの歌手の代表曲を歌って盛り上がったのは別の話である。
いろいろありましたが、無事倒すことに成功しました。
なお提督の攻撃は、CoD:AWのナイジェリア軍と協力して首相を人質としている首相を救出後、エンジニア(技術者)立ちを救助するステージでミッチェルがKVAの兵士たちが操縦するSUVを倒す際に、アクションで本編と同じように攻撃していましたを再現しました。
最後の銃撃は、CoD:Gでロークに止めを刺す際に、ヘッシュがあの台詞を言い、弟のローガンが引き金を引くシーンを一緒にしました。
続編あると良いですが、あの終わり方だと『G2』へのフラグだと思いますが……
イノシシ料理は一部では本作のような料理もあります。
最後のイヨちゃんのギャグは、前回のヒトミちゃんの着うたがありましたのでノリでやりました。
ともあれ、今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
では次回も古鷹たち第六戦隊の魅力とともに、シュガーテロもお楽しみに!
それでは第12話まで…… До свидания((響ふうに)