今日は終戦日です。政治的なことは抜きにして、我が日本の為に戦ってくれた英霊の方々に感謝の意を示しましょう。
それでは予告通りとある双方からの視点に移ります。
いつも通り楽しめて頂ければ幸いです!
それでは、どうぞ!
日本が新たな戦力を整えている最中、アメリカはどのような動きをしていたのか移ってみる。
アメリカ・ワシントンでは、ハリス大統領が側近たちを集めて、今後の情勢を考えるための検討会議が行われていた。
議論の要点は、台湾関係法をどう解釈するのかである。
親台派であるマリガン国務長官は、すぐさま自国の艦娘たちを編成して艦隊を派遣すべきだと言いたいが、先の観艦式襲撃事件に続き、サンフランシスコ湾で起きたテロ事件により、日本及び、台湾海峡に派遣すべき空母戦闘群が損傷を被ってしまったことを痛く感じていた。
「深海棲艦もだが、あのオリンピアと名乗るテロリストたちを駆逐すれば、台湾に対する義理は果たしたことになります」
この発言に対して、ブロフェルド国防長官は断固反対した。
「それに対してはリスクが大き過ぎます。オリンピアが対米戦も覚悟していたら如何するのです?先の事件らのせいで空母戦闘群が既に行動不可能なのだ。これ以上したら本格的な戦いは避けられない事態となるでしょう」
「あのテロリストどもは、徹底的に根絶やしにすべきなのだ!」
余裕があるうちに叩いておかねばならない、新たな戦力が整え次第にしておかないと厄介になるぞ、と言う勢いを込めた眼を見開いた人物こと、タカ派で知られるフォード副大統領が言った。
「何れにしろ、決着をつけなければならない相手だ。
トム、君の意見はどうなのだ? 我々はどこまで台湾を含めて日本を救うべきなのか?」
ハリス大統領は、トムこと、トーマス・ベリンジャー安全保障担当補佐官を振り返ると、それは難しい問題ですね、という素振りをみせると同時に、更に言葉を繋げた。
「台湾関係法や日米同盟を厳密的に解釈すれば、我々は両国を助けるべきでしょう。しかし其れによって失われる物が大き過ぎます。
本格的な戦いとなれば、先のテロ攻撃のようになることは間違いありませんし、国民もそんなリスクは当然望まないでしょう」
「オリンピアは、その我々の弱腰を見抜いているのだ!」
フォード副大統領が言った瞬間、ペンタゴンから緊急の報せが送られた。全員は何事かと思いきや、偵察衛星の映像を、横須賀軍港を見ていたが、巨大な空母が4隻同時に出現したのを見てのけ反った。
「此れは一体どういう事なのだ!?」
その場で言葉を失った最中、プロフェルド国防長官が叫んだ。
「まるでと言うよりは、かつて我が軍が制式採用していたキティホークが日本本土にいるぞ」
「しかも4隻ですな」
ハワード副長官が言う。
「しかし我が衛星の撮影ミスでない限りは、いや、日本が衛星画像を修正したのでない限りは、こいつらは実在するのです。
つまりどうやって入手したのかは分かり兼ねないが、かつて売却した我がニミッツ級空母《ジョン・C・ステニス》に加えて、日本は新たに強力な空母戦闘群を4隻も手に入れたことになります」
「おまけに九州には、我が軍のF-22《ラプター》ステルス戦闘機もいるではないか。こちらもかつては計画されたのみで頓挫して日本には売却した覚えはないぞ」
「此れと単独で戦ったら、我が軍でも勝つのは難しいでしょう。深海棲艦の空母やオリンピア軍にも空母戦闘群があったとしても、とても太刀打ちが出来ないだろう」
アメリカに続き、中南海も同じく仰天した。
かつて打ち上げられた中国の軍事偵察衛星だったものをハッキングし利用しており、横須賀の基地に浮かぶ4隻の巨大空母の姿を、くっきりと浮かび上がらせたので、深海皇女率いる深海棲艦及び、そしてグランドマザー率いるオリンピア幹部たちはあんぐりと口を開けてしまったほどである。
「一体なんだ。此れらの空母戦闘群を何処から来たのだ。退役はおろか、既に解体された物が甦ったと言うのか!?」
「まさか、アメリカの陰謀とは思われませんが…… 恐らくは張りぼての空母、我々を脅かすための案山子ではないでしょうか」
「我々の進行作戦を遅らせようとする肚ではないでしょうか。日本猿の浅はかな猿知恵に過ぎません」
このような欺瞞作戦は、歴史上では無数にあるのだ。
特に第二次世界大戦最中では盛んに行われ、お互いに欺瞞合戦を仕掛けあったほどだった。
かの有名なアフリカ戦線で活躍したエルヴィン・ロンメル将軍率いるドイツ・アフリカ軍団(DAK)から、モントゴメリー将軍率いる英軍も負けずに偽の野砲や戦車などを作ることは至極当たり前の話だった。
ノルマンディー上陸作戦前夜でも、ジョージ・パットン中将は偽の軍団まで作り、この軍団をわざとドーバー海峡に面して配置。ドイツ軍首脳部は連合軍の上陸地点は、カレー対岸だと思い込ませたのだ。
作戦としては単純なものだが、欺瞞作戦と言うものは、時には大変効果的な作戦でもあったのだった。
うむ、と全員が唸るしかなかった。
一見筋の通った説明だが、如何もそうではないような気が、何か恐ろしい事が起こり兼ねないのではないか、と心を凍らせたのだった。
その瞬間、現実のものとなった。
此れらの艦船が実際に動き出し、衛星を追尾させて見るといなや、駿河湾に出て艦載機のデモ飛行をして見せたのである。
この時の衛星映像は、より分解度の高い優秀な軍事衛星なので、デモ飛行している艦載機がF-35Bだと言うことまで見分けるほどだった。
「やはり、この空母らは実在するわ。如何やってこの短期間で用意したかは分かり兼ねないし、如何やって持ってきたのかも謎だわ。或いは秘密裏に建造していたのかもしれない。こうなっては戦略を根本的に立て直さなければならない」
「敵の空母はいずも型軽空母2隻と、ニミッツ級空母1隻を含めて、合計6隻。我々は4隻。此れで如何やって戦えば良いの?」
「戦争と言うものはやって見なければ分かりません。日本の空母の実力は未知数です。幸い我が軍には原潜の唐級があります。
此れを太平洋海域に駆り出して、彼女たちが横須賀にいる間に、核ミサイルで攻撃したら如何でしょう?」
此れは正に苦肉の策ではあるものの、孫子の兵法が好きなマザーは大きく頷いた。
「その案は大いに宜しい。早速これらを《天窮作戦》として進めるように」
無論、これは孫子の【勢篇】の中に出てくる言葉による命名だった。
この時命令を受けた唐級原潜は、太平洋に向かった。
本艦が持つ核弾頭は、射程距離8000キロを誇るので、太平洋の遥か南から横須賀まで攻撃など可能である。
座標は衛星から貰えば良い、彼女たちにとっては善は急げかつ、偉大なるグランド・マザーの厳命は絶対でもある。
マザーの命令が出てから24時間と経たない間に、唐級原潜は沖ノ鳥島海域近くに辿り着くと発射準備を整えた。
搭載している核弾頭は水爆。威力はメガトン級。此れを喰らえば横須賀どころか、首都東京まで吹き飛ばせる代物だ。
艦長は当初は躊躇ったが、マザーの命令は絶対であるのだ、と言い聞かせつつ、サイロの蓋を開けて1発発射した。
放たれた核ミサイルは白煙を帯びて、轟然たる音とともに上昇。目標設定された横須賀まで向かった。しかし下降地点に入る時、その姿は突然消滅してしまった。
「………」
灰田が異次元の隙間に引き込んで消してしまったからである。
彼のいる世界の意思では、これはオリンピア側のやり過ぎとされたからである。
中南海では、横須賀及び東京壊滅の報告を今かと待ち望んでいたが、30分を過ぎてもそれは全く来なかった。
マザー自身が、衛星監視処まで出向いて調べたのだが弾着の形跡はない。
「これはどうしたことなのかしら」
中南海は、再び呆然たる思いに駆られることになった。
一体日本で、何が起こっているのであろうか?失敗したとは考えられない。
しかし総参謀部では気を取り直し、次の攻略作戦を考えたのだった……
今回は軽く何時もながらの視点移りになりました。今後どのようになるかはお楽しみに。大抵米国がろくな事しでかさなければ良いですが。
次回は戦力準備に移りますのでお楽しみを。
また新作準備のために遅筆になると思いますが、そこはご理解いただければ幸いです。
それでは、第84話まで…… До свидания(響ふうに)