第六戦隊と!   作:SEALs

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お待たせいたしました。
予告どおり、敵空挺部隊の降下を阻止する回であります。

いつも通り楽しめて頂ければ幸いです!
それでは、どうぞ!


第86話︰敵空挺降下作戦を阻止せよ!

しかしオリンピア軍は、まだ諦めたわけではなかった。

まだ空挺師団と特殊作戦軍が残っているからだ。

大陸沿岸地域の飛行場に、各種爆撃機と伴い、Y-20大型輸送機やY-9中型輸送機などの各輸送機300機を揃えており、空挺師団と特殊作戦軍を乗り込ませ、進発の準備を整えていた。

双方を護衛するのは100機のJ-20主力戦闘機を皮切りに、J-16、J-11、降下した空挺師団と特殊作戦軍を援護するためのJ-10戦闘攻撃機、JH-7攻撃機を含めて300機。

これらはかつて中国人民解放軍の主力戦闘機から、中国がロシアから輸入したり自主生産したものまで様々であり、これらは回収したものではあるが、その侮りがたい性能を持っている。

戦略爆撃機も用意している。

主力となるものは隠し玉として用意した米軍のB-2ステルス戦略爆撃機を模倣した全翼機であるH-20ステルス爆撃機に加えて、20機のロシア製戦略爆撃機Tu-22M《バックファイヤ》であり、旧式機であるが、近代化改修してあるH-6戦略爆撃機を配備した。

このような態勢で東シナ海を越える準備を整え、海戦たけなわのときに発進した。

 

沖縄の自衛隊では早期警戒機が探知して、陸自と空自が迎撃態勢に乗り移った。

空自の主力戦闘機は、灰田が齎したF-22《ラプター》60機とF-35《ライトニングII》50機、F-15《イーグル》250機、そしてF-2支援戦闘機100機である。

普段は、もっぱら北方基地にいるF-15も参加していたので、広い嘉手納基地も一杯になっており、ヘリ部隊は沖縄中部にある最大のキャンプ・ハンセンに駐機している。

陸自は迫撃砲や重機、高射機関砲、大中小と言ったありとあらゆる誘導弾、ロケット砲、榴弾砲、ミサイル部隊、そして攻撃ヘリ部隊も準備して敵を待ち構えていた。

 

 

 

 

嘉手納基地にあるレーダーが《敵編隊が300キロまで接近》の知らせを空自に齎すと、F-22などのエンジン音が一段と高まり、各整備員が見守る中を、轟然と滑走を開始した。

銀色に塗装されたF-22率いる戦闘機部隊が、軽やかに滑走路を疾走する。整備員が、各隊員たちが、ちぎれるように帽子を振る者や敬礼をするただなかを、俊敏な空の剣士たちは重力の束縛から解き放たれて、宙を舞い上がる。

 

敵編隊は戦闘機部隊が先に立っていた。

邪魔になる敵戦闘機を先ず片付けようという戦略でこれは正しいが、問題は戦略通りに行くかどうかである。

J-20も《ラプター》もマッハ2のスピードで突進したので、たちまちレーダーに敵機をキャッチした。

厳密に述べると、J-20は《ラプター》をレーダーに捉え切れなかった。前者は所詮『鉄屑のステルス機』であり、後者の完全ステルス性の対宙能力まで備えた機体の前では敵わなかった。

F-22の方が先に敵機を捕捉。空対空ミサイルを発射、たちまち数機を撃墜した。

 

そのフレアの方向目当てに、J-20もミサイルを発射。

周囲一杯に繰り広げられる破壊と爆炎の饗宴。そこに他のオリンピア戦闘機に加えて、F-35やF-15も割り込み、激戦となった。

J-20は奮闘したが、なにしろ《ラプター》には分が悪かった。

蒼空を紅に染め上げて散華し合う空戦を制したのは空自が圧倒的に多かった。オリンピア戦闘機の搭乗員は罵声を上げたに違いない。次の瞬間、飛来してきた空対空ミサイルが、勇敢な戦闘機を、搭乗員の血肉もろとも、粉々に粉砕したのだった。

たちまち100機が50機に減らされてしまい、他のオリンピア戦闘機や戦闘攻撃機も東シナ海に白い水しぶきを上げて、ばたばたと撃ち落とされたのだった。

戦闘機の世界も非常で、少しでも性能や装備が劣る機体は必ず喰われるのである。

互いにミサイルを撃ち尽くすと、固定機関砲による格闘戦に移った。

ここでも日本機は圧倒的に強かった。しかも人間業とは思えないスキルを持った搭乗員たちが乗っており、その反射神経も当然、人間業ではなかった。

 

これらの空戦域の上空を、空挺師団や特殊作戦軍を載せた輸送機部隊が進撃したが、沖縄本島に達する前にF-2支援戦闘機部隊が待ち構えていた。

戦闘機の護衛のない輸送機部隊は、戦闘機の前では敵ではなく、ただのカモである。

たちまち片っ端から空対空ミサイルを喰らって、撃ち落とされてしまった。

精鋭の空挺師団員や特殊作戦軍隊員は降下しようとしたが、まだ海の上であり、ようやく海岸線まで差し掛かり、強引に降下し始めたのだ。

蒼海に似た沖縄の空に白い花びらを彷彿させるパラシュートの花がちらちらと咲き始めた。

しかし、それらを捕捉した高射機関砲の餌食になる為に降りたようなものであり、PAC-3をはじめとする各種誘導ミサイルで、爆撃機や攻撃機は撃墜された。

合わせて約1000人近くのオリンピア兵士が降下したが、その半数は空中で撃ち落とされ、残りの部隊は抵抗虚しく地上に舞い降りたところで包囲されて捕虜及び、蹂躙されてしまう形となった。

だいたい装備と防備の充分な相手に対して、空挺作戦を行うのが無理だったのである。

 

空挺作戦と言うものは、ツボにはまると素晴らしい効果を発揮するが、失敗する例が多い。

第二次世界大戦最中、ドイツ軍はクレタ島の戦いに降下猟兵を送ったが、その半数以上が着陸前に殺られてしまい、見事な失敗に終わった。以降はヒトラーは降下猟兵部隊を使うことを渋った。

連合軍側では、有名なモントゴメリー将軍が考案したマーケット・ガーデン作戦が有名である。

これはライン川に掛かるオランダの橋を次々に奪回してベルリンへの最短路を確保しようとしたものだが、細かい齟齬が度重なり、無惨な失敗に終わり、約7000名近くの捕虜を出した。

一番の手違いは、老兵と少年兵による合同部隊しかいないはずのアーネムの町に、ドイツ軍機甲師団がいたことである。

これはドイツ軍が故意に置いたものではなく、本土防衛戦に伴い、ただ温存する為に置いたものであった。

また空挺部隊相手に長けていたドイツ軍の降下猟兵部隊がいた為、相手が悪かったのである。

つまり、本来はいなかったはずのものだった。

戦争というものは、時々そういった皮肉な場面が生じる。

ことほど左様に、空挺作戦というものは失敗しやすいという見本だった。

前回の作戦が上手く行ったことに味を占めたオリンピア軍が、再びこれをやろうとしたこと自体に驕りがあった話だった。

 

こうして沖縄をめぐる戦闘は終わり、自衛隊の一方的な勝利と言える。

敵には空母が2隻しかいなく、こちらには4隻もあったことから分かっていたことである。

最新鋭機の優劣の差も明暗を分けた。

灰田が送って寄越した複製パイロットたちの人間離れした神業が、敵を一方的に不利にしたのである。

総括して言えば、いくらオリンピア軍が軍事力を誇っていても驕りがあったからだと思われる。

しかし当の本人たちが、それに気づいているのだろうか。

 

 

 

 

中南海では、陳主席が軍部の幹部たちを集めて怒り狂っていた。

 

「一体何なんだ、このざまは!……我が軍は世界最強の軍隊だったはずではないのか?

だが、《天津》は潜水艦に撃沈され、戦闘機は良いように敵機にカモられる。空挺作戦は見事に失敗した。

良いところが、全くないではないか!

特に我が海軍と空軍の消耗は大きい。……この責任は、一体誰が取るのだ?」

 

そう言っても責任は、最高司令官が取るのが当然だが、陳はそうは考えていないようだった。

手近にスケープゴートを探していることは、明白だった。

 

「開上将の自決は見事だったな。古来から兵とは国の大事なり、死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなりと言う。指揮官はああでなくてはならない」

 

陳主席が例によって、孫子の兵法を引用した。

まさか、我々全員に自決しろと言っているわけではあるまいな、と他の者たちは顔を見合わせた。

そんな事をすれば、我がオリンピア軍の組織の箍が外れてしまう。

 

「責任を取って、先ずは私が辞職いたします」

 

范総参謀長が重い口を開いた。

 

「私も同じく」

 

葉政治部主任も言う。

 

「私は、君たちの首を要求しているのではない。さっきああ言ったのは言葉の綾だ。

私が知りたいのは、これ以上戦えるかどうかだと言うことだ。戦術核を使うことも含めてな……総参謀長、我が国の戦力はどれほど残っているのね?」

 

范総参謀長は眼鏡を掛けると、メモを取り出した。

 

「今まで出された概算によりますと、空軍は戦闘機が30%に減り、爆撃機は旧型のみが残り、戦力にはなり得ません。

海軍は深海棲艦を除き、《遼寧》《山東》《福建》のみがなんとか残存しています。《光洋》は、現在南海基地のドックで修理中であり、修理には1年は掛かる予定であります。

次に潜水艦戦力でありますが、原潜は健在。ただし095型潜水艦などのミサイルが、なぜ不調を来したかは定かではありません。

通常型潜水艦は、ほとんどが健在であります。

ただし水上艦艇は、ミサイル駆逐艦の消耗が酷く、戦力50%を割りました。

フリゲートその他の艦艇については、だいぶ残っております。

全体を総括しますと、陸海空を含めて、我が戦力は50%を切ったと言えるでしょう」

 

なるほど、どうにか打開出来る案はないか、と思ったとき、陳の眼はぎらりと輝いた。

 

「グランド・マザー様と深海皇女様との許可を貰い、まずは各都市部にミサイル攻撃をさせた後、日本が迎撃に安心し切ったと油断させたのを狙い、高速艦船を主力とした夜襲部隊による市街地に艦砲射撃、及び自爆ワ級による特攻作戦をさせたらどうだ。少なくとも日本軍の奴らは勝利に浮かれているはずだからな」

 

「それは良いお考えだと思います」

 

安副主席が言った。

 

「早速。準備に取り掛かるようにいたしましょう」

 




今回も日本がまた勝利に伴い、無事に敵空挺部隊の阻止を達成すると言うことになりました。

F-22部隊の活躍もありましたが、やはりラプターはカッコいいですね。私としては究極のステルス戦闘機としてもマニアックですが、YF-23ともども大好きな戦闘機ですね。
超日中大戦でも大活躍していますので、これくらいはお手の物でもあります。

長話はさて置き、次回は敵艦隊との海戦、久々になりますが故に古鷹たち第六戦隊が活躍する回であります。こちらもまた田中光二先生の架空戦記ネタ要素を組み込んでいますのでお楽しみを。

それでは、第87話まで…… До свидания(響ふうに)
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