第六戦隊と!   作:SEALs

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お待たせ致しました。
予告どおり、敵艦隊との海戦、久々になりますが故に古鷹たち第六戦隊が活躍する回であります。
果たしてどのようになっているかは本編を読んでからのお楽しみ。

いつも通り楽しめて頂ければ幸いです!
それでは、どうぞ!


第87話︰新六戦隊出撃!

対オリンピアによる沖縄戦が一段落後、自衛隊はイージス艦を日本海に移動させ、陸自のPAC-3率いる対空部隊などは、6大都市の周辺に移動させていた。

名古屋と北九州市、そして三沢のほかに、これ以上攻撃を喰らっては国家が消滅し兼ねないからだ。

日本の装備を眼にして、『おそらくオリンピアは中距離ミサイル、若しくは極超音速ミサイル、核弾道ミサイルの何れかを見舞ってくるのではないか』と推測していた。

かつての中国と北朝鮮との関係のように考えれば当然のことである。しかも今後のリスクも被り兼ねない。

北朝鮮製のミサイルは約3種類があり、主力となるのはスカッド、ノドン、テポドンだ。

スカッドは、まだ北朝鮮が韓国よりも裕福だった頃にエジプトから購入して開発した短距離ミサイルで韓国全域にまで届かない。またミサイル輸出業において重要な産業の一つとしてパキスタンや中東方面に輸出していると言われている。

 

日本に脅威を与えるものはと言えば、中距離ミサイルのノドンである。

射程距離は約1000キロから1300キロと言われ、日本本土を射程に収めている。

ただし威力は大したことはなく、せいぜい数キロトンと言われている。

北朝鮮は中国やロシアからいくら支援しても、これほど重たい弾頭をロケットに載せて運ぶ技術力を満足にないからである。

テポドンはもともとハワイやアラスカ、そして欧州地域を睨んだ大陸間弾道ミサイルで、日本に落ちることはあり得ない。この名前は、配備された『大浦洞』という地名から由来されている。

ここをアメリカの偵察衛星によって発見されたこともあるが。

ノドンの脅威の一つに、生物化学弾頭があるが、これらは再突入時に発生する高熱で変質または死滅してしまい、ほとんど役に立たないだろう。

ノドンは液体燃料を使うとされていたが、近年では常温保存液体式で、これは長い時間固形燃料と同じように燃料を注入したままで置けることが出来る。

しかもトラックなどの運搬車輌に載せて移動することが可能なので、発射タイミングが掴み難い。

かつては深い洞窟を掘り、そこに収納して、いざ使用するときには引き出していたのである。

日本は静止衛星を北朝鮮地域上空に据えて、常に活動を監視していた。

 

いつノドンが飛んでくるか分からないため、海軍はイージス艦によるSAM3、陸自ではパトリオット・ミサイル、万が一に備えて対空レールガンを配備して備えていた。

これらは、沖縄戦の対空迎撃に於いて相当の成果を収めている。

北朝鮮の保有するノドンは、最大30発程度と目されている。

実はこれは様々な諸説があり、かつて北朝鮮のプルトニウム生産量が曖昧であり、またミサイル製造技術力も同じくはっきりしていないことから、最大200発を保有しているという説もあるが、僅か数発だという説もあった。

自衛隊の統幕監部たちは、その中間をとっていた。

その程度ならば、なんとか撃退出来るのではないかと、統幕監部では踏んでいた。

 

X-day

日本の静止衛星は、平安南道の山岳地帯を移動している巨大なトレーラーを捉えた。それは既に移動式ノドン発射装置であるということは研究されていた。

いよいよ、その時が来た。ノドンの発射炎を捉えたとき、日本の防衛装置は作動する。

ついにフレアが視認された、予想通り30基である。

ノドンはICBM(大陸間弾道ミサイル)のように高くは上がらず、低軌道を通るので迎撃しやすいのは、落下してくる弾頭のスピードが遅いからである。

まず、日本海に展開したイージス艦部隊のスタンダード・ミサイルが迎撃。25発を撃ち落とした。続いて進入して来た10発のうち7発をパトリオット・ミサイル及び、対空レールガン部隊が撃ち落としたが、残りの3発は静岡、宇都宮、東京の江東区一帯に落下した。そのあたりは火の海と化した。

静岡では東名高速と新幹線が破壊され、これによる損害は極めて甚大であり、両方とも日本を横断する大動脈である。

ノドンは大した威力はなかったのが不幸中の幸いが、それでもオリンピアにとっては数キロトンでも地方都市を破壊することが出来た故に望外な成功を収めたことになった。

またしても奇襲攻撃を受けた多くの国民の間からは『オリンピアに報復せよ!』との声が盛り上がった。

 

 

 

同日の某海域。

オリンピア・深海棲艦連合軍は、ついに夜間、高速艦と駆逐艦に伴い、双方の御自慢とも言える改造した自爆ワ級船団を出撃させた。

艦隊編成は旗艦戦艦タ級を筆頭に、重巡ネ級・リ級、駆逐艦といった高速艦を中心に、高性能爆薬を満載した自爆ワ級を護衛していた。

狙いは九州沿岸地域、若しくは本土沿岸地域。奇しくもオリンピアは、第二次世界大戦の幻の作戦と言われた《オリンピック》作戦の進行ルートを模倣したのだ。

戦力が集中している沖縄海域では、艦隊そのものが無駄死になり兼ねないため、守りが手薄な九州、及び四国地方を選んだ。

大隅諸島、口永良部島でも良いが、特に鹿児島には吹上浜方面、北は串木野から南は加世田に至る全長40キロ以上の長大な海岸だ。攻撃地点としては絶好のロケーションだ。

その北西には甑島がある。

幸いにも海は凪いでいるし、敵の妨害もないので、作戦はこのままスムーズにいけるな、と思っていた者たちが多かった。

彼女らは知らなかった。その甑島の北西方面に、自らの天敵が潜んでいることを。

 

深夜 丑三つ時。

戦艦タ級は水平線上にとある船影を捉えていた。船影は複数。此方に接近してくる。船影からして漁船船団かと言うくらいの小さな船影だった。或いは自身のレーダーがゴーストを捉えたかと思えた。

史実でも初期のレーダーは度々故障を起こしていたことは珍しくなく、元は陸上での運用していたものを、試験的に各国は艦船に搭載可能な物を搭載したものの、初期のものは心電図計並みの性能しか持たず物になったのは大戦後期、及び戦後と言うものは言うまでもない。結局頼るのは見張員による目視確認だった。

タ級は、味方重巡、駆逐艦部隊に敵襲を警戒して、甑島の北西海面に進出、遊弋していた。

自身を含めて、味方艦は全てレーダーを備えている。

漁船船団ならば拿捕に伴い、乗組員たちを拉致して、後にオリンピアの奴隷人にすれば良いと考えていた。仮に敵艦ならば撃沈させればお釣りが来る、と、考えるほどの激しい闘志の持ち主だった。

そのためには、味方艦とともに何としてでも成功させなければ、という決心だった。

 

船団は捉えたが、まだ発砲には早い。

此方の射程距離は約2メートル、まだ此方には余裕がある。

その瞬間だった。遥か向こうから数本の白煙が、此方の上空に舞い上がったのが見えた。それはすぐに降下して見えなくなった。それは海面スレスレっとまで降下して、此方に向かってマッハ3のスピードで突進を始めたのだが、直進してくる形なので、タ級たちの眼には見えにくかったのである。

漸く、漁船じゃない。あれは敵艦隊だ!ロケット弾だ!とそう悟った、瞬間だった。数秒後、いや、これはタ級の感覚で、実際にはもっと長い時間だったかもしれない。

タ級は、消えたはずの《ロケット弾》がいきなり眼の前に急上昇して出現すると、逆落としに襲い掛かってきたのを見た。

まるで、ガラガラ蛇が鎌首をもたげて噛みつく瞬間を思わせるスピード、爆装した無人機よりも遥かに速いものだった。

 

グワン!というこの世の終わりを思わせる凄まじい轟音とともに爆風が吹き付けてきて、自身の身体を吹き飛ばされる錯覚すら覚えた。

突入したロケット弾こと、RGM-84《ハープーン》艦対艦ミサイルの1発目はタ級の第二砲塔を直撃し、砲身が半壊させた。

続いて2発目の《ハープーン》が第一砲塔を直撃、此方はさらに悲惨なことになった。

《ハープーン》は装甲甲板を突き抜けて深海艤装内で爆発、紅蓮の炎は艤装内を突き抜けて各所で火災が発生し、爆発のショックで艦殻が裂けて浸水も生じた。

航続していた重巡リ級や駆逐イ級たちにも、災厄が襲い掛かって来た。ある者は頭部に直撃。レーダーや測距儀、艤装管制メカニズムの役割りを担う頭部を失い動かなくなってしまった。

またある者は深海艤装に各々と命中。各艤装を破壊して射撃電路、水圧システムを破壊されて、攻撃力を奪われてしまったが、駆逐イ級などは全て大破ないし撃沈されて、まだ息の根がある個体も炎に包まれて、漂流しているだけだった。

刹那。

 

この様子を見て、チャンス!とばかり攻撃を開始してくる者たちがいた。

 

「全艦、突入せよ!」

 

もう無線封止の必要もなく、旗艦命令が無線で入ってきた。

旗艦を務める古鷹の号令に、待ってました!とばかり加古たちも頷く。

艦隊命令の「突入隊形をつくれ!」が発令。理想の陣形列距離間隔一、200メートルで隊形を整えた。

やがて味方水上偵察機――搭乗妖精タカが操る《震電改二》の照明弾により、本土を目指していた敵艦隊が姿を現した。

 

《戦艦タ級らしきもの1隻、敵重巡数隻、他輸送ワ級集団せるもの発見!》

 

ただちに戦艦タ級に対して酸素魚雷を、生き残った重巡リ級、及び輸送ワ級(自爆型)に対しては砲撃が下命された。

古鷹・加古・青葉・衣笠から各4発ずつ、睦月・如月から各6発ずつの魚雷を投射した。双方が放った酸素魚雷28発の投網は、見事に目標を絡め取った。水面下を突進した鉄のバラクーダは、決死の回避を試みるタ級たちの艦腹に食らいつき、弾頭炸薬のエネルギーをぶちまけた。

生き残った重巡リ級たちは各々と3、4発の直撃を受け、一溜まりもなくへし折れて、文字通りの海軍ナイフとなって轟沈した。

タ級もまた、数本の水柱を高々と噴き上げて、火焔を噴き上げ、速度を落とす。

半身不随となったタ級に、古鷹たちの砲撃が襲い掛かった。蒸気を濛々と噴き上げ、反撃など出来ないタ級たちはたちまちの内に無数の砲弾を浴びて炎上し、大音響をあげて横転した。

 

――さすが、灰田さんの齎してくれた旗艦能力と未来艤装ね。

 

古鷹は内心に呟いた。

灰田が齎したこの旗艦能力と未来艤装こそが今回の海戦で大きく貢献している。今回は古鷹が旗艦を務めることにより、ステルス機能が発揮し、ズムウォルト級駆逐艦並みの能力を発揮することが出来る。彼曰く『旗艦をその都度変えれば各々の能力が発揮でき、僚艦娘たちにも備えることが出来る』とのことだ。今回の夜襲に関して古鷹が最適なため、彼女が選ばれたのもその為である。

また過去に多次元世界の日本に対艦ミサイルなどの未来艤装を貸与したことがあるので、彼にとっては『我々にとってはおもちゃを作るほど簡単です。必要ならば核弾頭搭載のトマホークを貸与することも可能です』というほど、まさに容易いことなのだ。

このNGF(ネオ・グランド・フリート)、つまり新・連合艦隊は、同じく過去にも介入した際、ミッドウェイ作戦直前の大和率いる連合艦隊を大規模改装したことがあるため、灰田が直々と名付けたのだ。

海自とのリンク・システムを可能とした通信システムの大幅な更新、各機関の換装、そして従来の艤装と同じように運用出来る各対空・対艦兵装などと数基積み込むことで、これだけで戦闘能力は大幅に向上することが出来たのだった。

史実でもこうしたハイロー・ミックスは、米海軍ではアイオワ級戦艦などにも近代化改装をし続けて湾岸戦争まで使用。台湾海軍やフィリピン海軍も後継艦が制式採用されるまでは、第二次世界大戦中の駆逐艦を近代化改装して使い続けたほどだ。

さらに高速学習システムを利用したことに伴い、少しの訓練をしただけで古鷹たちは、水を得た魚の如くものにしたのだ。

 

「全艦旗艦に続け。砲撃戦に移る」

 

『了解!!!!!』

 

古鷹の指示が伝えられ、加古以下、青葉・衣笠・睦月・如月が、波を蹴り飛ばしつつ回頭する彼女たちは、燃える敵艦の間をぬってさらに前進する。

敵艦隊の後続にいたワ級たちに対し、旗艦として先頭に立つ古鷹が20.3cm連装砲を撃ち放つ。叩きつけるような砲声とともに、初速の速い砲弾が、大気を裂いて飛翔した。

麾下の加古たちも、各々と主砲を断続的に撃ち続けた。

各自の主砲が閃光を発し、轟音とともに叩き出された砲弾が、銃撃波を振り撒きつつ飛翔する。

弓なりの弾道を描いて飛び渡り、飛翔し白熱した砲弾の驟雨が、自爆型ワ級に襲い掛かってきた。

避けられない死を直感したワ級たちは為す術なく爆沈した。

真っ二つとなったワ級が、二つ折りナイフとなって沈んでいく。高性能爆薬の爆発により、連鎖反応を起こしたワ級たちは次々と火焔の花を咲き誇らせ、殴り倒されたように沈んでいった。

体内に孕んでいる高性能爆薬の重さにより、自由に身動き出来ない輸送艦は、シッティングダックを撃つようなものである。

数分にして、オリンピア・深海艦隊の本土打撃艦隊が殲滅。

沈む前に各基地にその旨通信したが、受け取った双方は茫然とするばかりだった。

かくしてオリンピア・深海艦隊による本土攻撃は失敗に終わり、古鷹たち率いる新第六戦隊が勝利するという結末に終わったのだった。




今回は新しい兵装を装備した古鷹たちが大活躍し、見事勝利を収める回となりました。今回の元ネタは田中光二先生作品の『超空の連合艦隊』(学研版では『超空の大和』)のタイムスリップしてきたMi作戦開始前の大和率いる連合艦隊が日本のハイテク技術を装備。それらを運用して大活躍する作品です。
オリジナル版では対空ミサイルなどの対空兵装やレーダーのみでしたので、とある同志と相談した際に『対艦ミサイルでもいけるんじゃない?』という形で採用しました、アイデアの提供ありがとうございます。
実際にも旧式艦を近代化改装した例は幾つも存在していますからね。実際にリアルさを提供すると、ハープーンミサイルでは戦艦の兵装破壊は難しいそうです、やるならばグラニート辺りが理想的だそうですが、本編では田中光二先生作品の元ネタに合わせてハープーンに採用しました。

なお今回のミサイル着弾場所は、同じく田中光二先生作品の『超日中大戦』を参考にしており、そしてタ級たちの攻撃地点は、『超空の決戦』で米軍が上陸地点を支援するために攻撃した場所がモチーフとなっております。
これからも田中光二先生の架空戦記ネタなどを加えられたら良いと思って書いています。

長話はさて置き、次回はオリンピアに対する報復作戦を開始します。長いのでおそらく3段階に分けると思いますのでお楽しみを。

それでは、第88話まで…… До свидания(響ふうに)

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