予告どおり、台湾を奪還する作戦を開始します。
果たして、どのようなものなのかは本編を読んでからのお楽しみです。
いつも通り楽しめて頂ければ幸いです!
それでは、どうぞ!
試みに台湾の地図をひらいて、見ていただきたい。
台湾はまるでサツマイモを縦にしたような形をした島だが、島の東側は峨々たる山岳部である。
僅かに平野はあるが、西部の台湾海峡の方が大きく開けている。台北はその天辺にあり、数年ほど前にここから高雄まで日本の協力で新幹線が開通した。
台湾のシリコンバレーとも言われる町もあり、電子工業が盛んであり、台湾の経済隆盛を物語っている。
かつては中国との経済連携も密接になり、中国に居住する台湾人の数も膨大なものになったが、今は日本にとって変われており、日本との同盟を結んでいる。
しかし、突如として来た、この災厄は誰が予想しただろうか。
台オ戦争が突然――オリンピア・深海棲艦側から一方的に――はじまり、東風ミサイルを100発近くも受けた沿岸都市は、壊滅状態となった。
しかも双方の爆撃も受けて、これまで蓄積された国富は吹っ飛んでしまった。
それだけではなく、オリンピア軍が侵攻してきたのである。それが旌旗更正作戦の始まりだった。
台湾軍は奮闘したが、10年前までならばいざ知らず、この間に戦力差は逆転してしまった。
いかに善戦しようとも、所詮は物量の差で敵わなかった。
オリンピア軍は上陸作戦を行い、同時に空挺部隊や特殊作戦部隊を送り込み、後方地点など手薄な地域を撹乱した。
台北が占領された時点で、王総統はこれ以上の流血を避けるため抵抗を諦めた。
こうして総統府には、オリンピア軍の紅旗がはためいた。
オリンピア軍は合わせて4個正規師団と1個空挺師団、多数の特殊作戦軍などを送り込み、台湾市民たちを抑圧し、少しでも抵抗する者たちは容赦なく強制収容所に放り込んだ。
オリンピア政府は台湾総統の地位を剥奪して軟禁して、代わりの総督を送り込んだ。名は岸破茂雄という。
この岸破茂雄は冷酷無比な性格の持ち主で、黒歴史でもあるが、元首相でありながらも親中・媚中派国会議員の彼が日本を裏切り、オリンピアに入った理由は『偉大なる中国様の世界的優しさに対して恩を仇で返すだけでなく、膺懲するネトウヨジャップに擦り寄るとは言語道断。そんな国は存在する価値もなければ、死に値する!それに虫唾が走る大嫌いな台湾人たちを世界一良い子である自分の手で社会的にも実力的にも皆殺しに出来ることは楽しいし、同時に世界征服が出来るから』や『私が掲げた楽しい日本を潰した黒木首相や元帥が嫌いだから』とのことだ。
台湾の残っている国富を吸い上げ、オリンピアに送り込むことに全力を注いだのである。
平和な生活を謳歌していた台湾市民たちは、一気に貧民となってしまった。
オリンピアは、中国様に代わり対外的に一国二制度をもって台湾を統治していると宣伝しているが、事実は台湾人たちを強制奴隷化してしまったのである。
この台湾の地図を、首相官邸のオペレーション・センターに集まった首相と危機管理委員会の官僚たち、そして元帥や提督たちなどが覗き込んでいた。
「オリンピア軍の兵力は、合計でおよそ6個師団と想定されます。これはこの狭い島においては並々ならぬ数です」
土橋統幕長が言った。
「台湾上陸作戦において、これを撃滅することは容易なことではありません。古来から、守るよりも攻める方が難しいのであります。攻撃側は守備側の3倍の兵力を必要とするという兵理があります」
「だが揚陸艦を総動員しても、陸自は6個師団もの兵力を一挙に上陸させられんぞ」
中岡防衛相が言った。
「第1空挺団を空挺降下させるとしても、兵力が足りん」
「おっしゃる通りです。ここは正攻法ではなく、搦め手からいきたいと考えます」
元帥が言う。
「どういう意味だね、それは?」
黒木首相が訊ねる。
「つまり、上陸作戦の前に徹底して空爆及び艦砲射撃で敵を叩き、骨抜きにしてから上陸作戦を行うというわけであります」
「……なるほど、それは当然のことだ。かつての米軍のやり口を踏襲するわけだな」
黒木首相は苦笑いした。
大東亜戦争時代の島嶼戦において、米軍はまず徹底した予備爆撃と艦砲射撃で島々を叩き、それから上陸作戦に取り掛かった。
それでもタワラ・ペリリュー・硫黄島などにも見られるように膨大な犠牲を避けられなかったのである。
「しかし、爆撃とミサイル攻撃、古鷹たちによる艦砲射撃だけでは敵を完全に無力化は出来ません。これは歴史が証明していることです。例えばイスラエルとハマスの戦闘、先の英霊たちが行った支那事変時の支那便衣隊の掃討などが良い例です」
提督が言った。
「柘植提督の言うとおり、昔と今では、爆弾やミサイルなど各種類の兵器の威力が違います。弱体化出来ることは間違いないでしょうが、問題の上陸作戦においては激戦は避けられないでしょう」
提督の言葉を繋げるように、元帥は答えた。
このとき、オリンピア台湾占領軍の司令官は姜(かん)上将。
配下の師団はずらりと海岸線に並べ、特殊作戦部隊は山側に配置していた。
台湾の脊梁山脈の最高峰は、約3952メートルの玉山(ユイシャン)である。
東海岸から上陸して、まさかここを越えてくる敵がいるとは思われないが、念を入れたのである。
オリンピア軍の各兵器は重火器からはじまり各種類の迫撃砲・対戦車砲・ロケット砲・地対空ミサイル・地対艦ミサイルに加え、多種多様の榴弾砲・自走砲・戦車部隊と多岐にわたる。
装輪自走車輌の中でも最大級なのが300mmロケット砲などを搭載した物があり、これは車載型で、200キロの弾頭をマッハ5の速力で20キロ先まで飛ばして、標的を破壊することが出来る代物である。このような代物までを台湾で必要とするとは思えないが、コケ威しには持って来いと持参してきたのだろう。
姜上将は、日本軍が朝鮮半島、及び中国本土を攻撃したと知ったときから、台湾攻略作戦もあり得ると感じた。
台湾を解放することこそ、オリンピアに対する最大の打撃にも、面当てにもなるからである。
したがって、『よりいっそう警備を厳重にしろ!我々の同志である日本市民の敵である日本小鬼どもを皆殺しにしろ!』と、自分の部下たちに檄を飛ばしたのだった。
「いざとなれば、台湾市民たちを人間の盾や人間爆弾などとして使う手もある」
オリンピアは、中東やアフリカ地域などのテロリスト、かつての中国人や朝鮮人を彷彿とさせており、人の命をなんとも思わないテロ組織である。
先の観艦式襲撃事件、柱島泊地襲撃事件では使い捨て部隊や自爆部隊を平然と使ったし、かつての中共でも自国が滅ぶまで自国民はおろか、自治区という名の占領地域でウイグル人やチベット人、満州民族、内モンゴルの人々を食肉処理用の家畜みたいに虐殺していたのが物語っている。
因みに深海棲艦が現れるまで親中政権として我が身を大事にしたり、売国行為しか考えなかった某首相を含めて、彼の配下にある日本の親中・媚中議員、そして左翼たちはこれを『綺麗な民族浄化』や『綺麗な軍事侵攻』などと見て見ぬ振りをする、または言葉遊びを変えて絶賛していたほど落ちぶれていたほどだった。
また汚職の罪で死刑になる国は他になく、なにしろ私腹を肥やした碌でもないサイコパス独裁者である毛沢東は『我が国は人口が余りにも多いので、核戦争が起こってだいぶ減ってくれれば助かる』と、平然と公言したほどだった。
これに対して自衛隊統幕監部では、台湾進行作戦の研究を続けたが、やればやるほどこれは難しいと思わざるを得なかった。
6個師団もの兵力を制圧するには、味方は少なくとも8個師団が必要だが、とてもそんなには出せないのが現状だった。
「出せるのはせいぜい4個師団で、それでも人材の足りない陸自からすれば痛いものだ。況してや、これを上陸作戦で消耗しようものならば酷いことになる。陸自が潰れてしまう」
統幕長は、空襲でかなりの部分を無力化出来ると言ったが、それは事実であるにしろ、分厚い敵の兵器を全て打破は出来ない。
空戦や海戦で勝っても戦争というものは、結局最後は地上軍同士の決戦が鍵となるのであり、歩兵の優劣さが勝敗を決めるのである。
その点、中共韓国北朝鮮などを倣ったオリンピアは少数精鋭に減らされてあろうとも陸軍将兵の士気は、極めて高いというべきだろう。
統幕監部は頭を抱えてしまった。
これはなるべくならやりたくない戦いであり、対オ戦争の大義が掛かっている。
その時一人の監部が、思い切ったアイデアを出した。
「第1空挺団を台湾東海海岸の狭い回廊に降ろして、山脈を横断させ、敵の背後を突くというのはどうでしょう。むろん主力部隊は西海岸から上陸しますが」
華蓮(ホワリエン)から豊原(フォンユエン)までは確かに横断路が走っている。狭い道だが舗装路だ。そこを一気に横断しようというのだ。
「しかしC-2やC-130輸送機を総動員しても輸送力が足りんぞ」
土橋統幕長が指摘した。それはその通りであり、第一機数が絶対的に足りないのだ。
「米軍からC-17を借りる交渉をします。彼らは我々にそれぐらいのことはして良い義理はある筈です」
C-17は、C-5《ギャラクシー》に続く世界で2番目に大きい軍用輸送機である。愛称は《グローブマスターIII》。
米軍で使う全ての地上兵器が搭載出来る。
最大積載量は約60トンで、他の貨物を積まないとすれば、完全武装の兵員70人を輸送出来る。またM1戦車《エイブラムス》シリーズも1輌積める。
「うむ、彼らが承知してくれれば良いがな……」
「彼らにも台湾関係法があることですし、きっと承知してくれるでしょう」
「しかし問題は西海岸の上陸作戦だ。ここで相当の苦戦を強いられることは、間違いないぞ」
その時壁際に霧が湧き、灰田が出現したのだった。
「だいぶ作戦計画が難航しているようですね。皆さんの言われる通り、この作戦を強行すれば、大きな被害が出します。少なくとも1個師団ぐらいは全滅するかもしれません。
ですから、私がそれを回避するアイデアを出しましょう。
西海岸を守る敵陣地を目掛けて、ガスを散布する手配をします。これは決して有毒ガスではなく、数時間昏睡するだけのものです。しかし目覚めたときには、貴方がたの捕虜になっているという寸法です。
問題はあくまでガスですから、100パーセント敵地に散布出来るという確証はありません。風向きをよく確かめてから撒く必要があります。しかし上手く行けば、絶大な威力を発揮するはずです」
「なるほど、ガス作戦か」
土橋統幕長が膝を打った。
「それは確かに、やってみる価値はあるな。あくまで慎重にだが」
「この季節は、季節風が西から東に吹きますから、その風に乗せれば良いのです」
灰田は言った。
「まず失敗はしないでしょう」
「うむ、それに人道的でもある」
元帥は苦笑いした。
「戦争に人道的もヘチマもないものだが、人を殺さないで済めば、それに越したことはない」
「この作戦は、いつごろ遂行の予定ですか」
灰田が訊ねた。
「出来れば、一ヶ月以内に遂行したい」
元帥が答える。
「分かりました。それではそれまでガスを用意しましょう」
オペレーション名は、《国性爺作戦》と決められた。
これは日本人の血が混じった鄭成功の活躍にあやかったものだ。
今回は台湾奪還作戦のプランと言いますが、灰田さんの提案によりガス作戦も兼ねて、整えることが出来ました。
このガス兵器は元ネタとなった超日中大戦だけでなく、超日米大戦ではハワイ攻略作戦、超日ソ大戦ではハワイ奪還作戦でも使われております。効果はバツグン故に、決してそれから逃れるのは無理ですね。そして私の知る限りではこれぐらいですね。
果たして今回は如何せんどのようになるかはお楽しみに。
さて次回は台湾奪還作戦、《国性爺作戦》が開始されます。
この作戦でどのような戦いになるかは次回までのお楽しみに。
それでは、第92話まで…… До свидания(響ふうに)