第六戦隊と!   作:SEALs

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お待たせいたしました。
予告どおり、台湾奪還作戦《国性爺作戦》が開始されます。
この作戦でどのような戦いになるかは、本編を読んでからのお楽しみです。

いつも通り楽しめて頂ければ幸いです!
それでは、どうぞ!


第92話:《国性爺作戦》開始!

ワシントンでは、ハリス大統領が各閣僚たちを集めていた。

日本から重要な要請が入ったからである。

 

「在日米軍司令官からの報告によると、日本軍は『台湾攻略のためにC-17を50機貸せ』と言ってきている。何でも台湾に空挺師団を降ろすそうだ。

どうやら台湾を奪取するつもりらしい。随分と大胆なことを考えるものだ」

 

「それで、どうなさるおつもりなのですか?」

 

ブロフェルド国防長官が訊ねた。

 

「うむ。台湾関係法の兼ね合いもあるし、安全保障条約もある日本には借りがあるから、貸してやっても良いと考えている。しかし安全を保障してもらう必要があるが」

 

「ところで大統領、日本はF-22《ラプター》を持ったことをお聞きおよびでしょう」

 

クーパー統合参謀部長が訊ねた。

 

「どうやってかは分かりませんが、手に入れています。しかも60機も。この《ラプター》に護衛させる条件で、C-17を貸してやったらどうでしょう?」

 

「うむ……そうだな。それはいい考えだろう」

 

アメリカにしても台湾は解放してもらいたい。

さもないと国際信義上、気が咎めるのである。とは言え、自分勝手な大国の体質は、少しも変わらない。

さらに細かく話を詰めた挙げ句、日本の要請を了解すること。2週間以内に50機のC-17をグアム経由で、嘉手納基地まで送ることが決定された。

この《国性爺作戦》の空挺部隊は、特殊作戦群や第1空挺団の連隊戦闘団が選抜された。彼らはレンジャー資格もあり、空挺部隊としても精鋭中の精鋭を誇る。

連隊戦闘団と言うのは、本来1000名の大隊兵力に装甲車輌及び、その他の武器を含むフレキシブルな部隊であり、謂わば陸自の戦力の中核である彼らを、C-17輸送機に乗せて空輸する。

同時に降下させるのは機銃付きの高機動車と、歩兵火力支援及び対戦闘車輌能力を兼ね備える16式機動戦闘車、偵察警戒車、指揮通信車などで、高機動車には対戦車ミサイル、または短SAMも積む。

如何にC-17と言えども重車輌は運べない。戦車1輌を運んだら、それだけでペイロードが一杯になってしまうからである。

したがって第1師団連隊戦闘団は、極めて軽装備で進撃することになる。他の装備品は迫撃砲や携行式対戦車ミサイル、対空ミサイル、対戦車携行火器、重火器の類は持っている。

 

「これは極めて迅速を要する作戦である。敵が気付かないうちに峠を越えてしまわなければならない」

 

土橋統幕長は檄を飛ばした。

この戦闘団は《フォルモサ連隊》と名付けられた。フォルモサとは『美しい島』という意味で、台湾を発見したポルトガル人が付けた名前である。

準備は着々と進み、例のガスも到着した。

これはF-15JE部隊の機体下に吊るされたガスボンベから放出される仕組みで、この部隊はF-64部隊によって護衛される形で、かなり低空を飛ばさなくてはならないからだ。

さもないとたちまち対空ミサイルや対空砲火の餌食になる恐れがあるからだ。

 

「このガスは極めて比重が重たいので、多少風が強くてもすぐに地上に沈むはずです」

 

灰田は言った。そして、短時間のうちに希釈される。

それでも念の為に、東海岸から進む連隊戦闘団にはガスマスクを携行することに決定された。

ガスが峠を越えてこないとも限らないからである。

フォルモサ連隊戦闘団の指揮官を務めるのは、小此木1佐。

そして各隊員たちは全員レンジャー資格を持つ者たちが多い。

極寒の北海道で、最も過酷とも言われている冬季演習を重ねており、陸自でも最強の戦闘集団とも言われている。

実行までの間に、幾度も降下訓練を繰り返した。狭い回廊を想定して、そこに降りる訓練を行った。

 

日本空母戦闘群や連合艦隊は東シナ海に出るか、台湾の南を迂回して南シナ海に出るかで、だいぶ議論されたが、安全性を考慮して、南シナ海に出ることが決まったため、したがって潜水艦部隊とともに先発する。

九州と沖縄には例によって各種類の戦闘機部隊が集められた。米軍から貸与されたC-17輸送機部隊も到着しており、さしもの広大な嘉手納基地の輸送機用滑走路も一杯になった。

こうしていよいよ、国性爺作戦の準備は大詰めに入った。

 

X-dayには、日本空母戦闘群と連合艦隊は全て南シナ海に進出しており、高雄の南南西200海里の海上に展開していた。

ここで、まず澎湖諸島を占領しているオリンピア軍の小競り合いがあり、敵は戦闘機を飛ばして来たが、もはや最新鋭機はほとんど消耗し尽くしているので、第二戦の戦闘機でしかなく、難なく撃退出来た。

オリンピアの台湾占領軍は、高雄や台南から深海棲艦や水上艦を出しては来なかった。

これはすでに歯が立たないものを学習しているからだろう。

ひたすら上陸作戦を待って、雌雄を決する覚悟でいると思われた。

 

いよいよガス散布作戦の実行日がやって来た。

嘉手納基地からガスボンベを搭載したF-15JE部隊とF-64部隊が出撃するのと、C-17が出撃するのとが同時だった。

沖縄から台湾までは指呼の間だ。

戦闘攻撃機部隊はマッハ2に近いスピードであるから、輸送機部隊よりも早く攻撃位置につく。

それで良いのである。ガスが効果を発揮しているうちに、フォルモサ連隊戦闘団は降下作戦を行う。

これら全ての作戦を空母戦闘群や機動部隊の艦載機部隊が支援する。

台湾東岸の宣蘭(イーラン)に据え付けられたオリンピア軍のレーダーでは、沖縄方面から飛行する航空機の集団を捉えた。

台湾各地の飛行場から迎撃機の準備をさせた。

Su-57などのような最新鋭機はだいぶ目減りし、数が少ない。多くは二線級のJ-10や11といった戦闘機であり、劣勢さを感じながらも果敢に飛び上がった。

敵機部隊をF-64部隊が阻止している間に、F-15JE部隊は海岸線に沿って、ガスボンベのタイマーをオープンにした。

敵は盛んに地対空ミサイルや高射砲を撃ち上げたが、当たることはなかった……もしかしたら灰田が例の念力を働かせたのかもしれない。

計算通り、その時かなり強い季節風が西から東に向かって吹いており、しかも中央山脈にぶつかって吹き戻されていた。

ガスを使うには絶好の条件である。

F-15JE部隊はガスを撒き終えると、高速で離脱した。

ガスボンベを搭載していた分、対空・対地兵装が少なかったのである。

 

オリンピア将兵には、何が起こったのかよく分からなかった。

無我夢中で地対空ミサイルを発射したら、高射砲を撃っていたりしたのだが、突然ふうっと意識が薄れていき、そのまま昏睡状態に陥ってしまった。

灰田が使ったのは、ライアット・コントロール――つまり暴徒鎮圧用のガスだった。

これには嘔吐ガスというのもあるが、これは副作用が強すぎるので、暴徒鎮圧用には普通には使われない。嘔吐物で窒息する恐れがあるからである。

台北・桃園(タオユエン)・新竹・台中・台西・台南を繋ぐ線を中心にカバーしていた西海岸陣地のオリンピア軍将兵たちは、のきなみ昏睡状態に陥ってしまった。

台北市民や他の市民たちも例外ではなかった。

台北に置かれていた占領軍司令部などもガスの影響を免れず、姜上将自ら昏睡してしまった。

無論、何かの理由でガスを吸わずに昏睡を免れた者たちもいたが、それはごく少数だった。

 

この時――陸自の上陸部隊を乗せた揚陸艦部隊と輸送船団は、空母戦闘群と連合艦隊と行動を共にしていたが、澎湖諸島に向かって北上していた。

監視機の報告から、ガスの効果がはっきりするまで待機していたのである。

灰田の話では『ガスは最大6時間は接続する』ということだ。

であれば、時間はたっぷりある。

上陸部隊は、第3、第4、第6、第10の4個師団である。

主力部隊は、台中から台西に掛けて上陸する。

ここに橋頭堡を作ってしまえば、南北の敵を押さえられる。

台北市内はあまり意識しない。ここは首府ではあるが、軍事的にはあまり重要ではないからだ。

ここで活躍するのはヘリ搭載護衛艦《ひゅうが》で、これが積むSH-60K3機は、哨戒及び制圧に効果を発揮すると思われた。

本来は対潜哨戒ヘリだが、ヘルファイア・ミサイルなど対地用兵器に積み替えたのである。

監視機から『海岸線に動くもの見えず』という報告を受けた揚陸部隊は、設定してあった上陸地点に向かった。

幾つかのグループに分かれて上陸。各都市の埠頭もそのまま使えるので、重装備の上陸も容易だった。

市街地専用の10式戦車3輌、各装輪自走車輌に加えて、その他の各種類の誘導弾、ロケット砲、大型迫撃砲など各種兵器も荷揚げされた。

足りない分は、オリンピア軍の兵器を鹵獲して使えばいい。

その為にオリンピア軍の戦車を含めて、各種類の兵器を研究していたのである。

 

揚陸作戦は3時間で終了。

昏睡しているオリンピア軍将兵たちの確保に掛かった。つまり手足を束縛して、動けなくするのである。なるべく早く捕虜収容所を設営し、昏睡状態から目覚めたらそこに入れる。

海岸線陣地に陣取っていたオリンピア軍は3個師団であり、残りは台北その他に散らばっていると思われた。

自衛隊の当初の目的は、とにかく台中かは台西に掛けて縦深の深い橋頭堡を確保することだったので、ひとまずその要求は果たされた。

しかし、ガスが計算よりも早く希釈されてしまったので、中央山脈沿いにいたオリンピアの特殊作戦部隊1万人はガスの影響を受けなかった。

これらは、かつての北朝鮮の特殊部隊に匹敵すると言われている鍛え上げられたコマンドたちである。

その部隊が海岸部の異変に気づくと、威力偵察部隊を繰り出し、陸自先鋒のフォルモサ部隊と接触。直後、早くも戦闘になった。

特殊作戦部隊は元々コマンドが主体なので、重火器は持っていない。ところが陸自は敵の兵器を鹵獲したので、充分過ぎるほどの火力を兼ね備えていた。

その敵の先鋒部隊をたちまち蹴散らしてしまった間に、C-17編隊が飛行して、いよいよ降下作戦に掛かった。

季節風は中央山脈に遮られており、東海岸にはほとんど風が吹いておらず、降下作戦には理想的な条件である。

 

花蓮を中心に降下作戦を開始した。C-17の巨体から次々と降下部隊が吐き出された。

巨大なパラシュートに吊るされた各車輌も投下された。

計算通り、狭い海岸平野に降りた。

降下作戦は概ね上手くいき、誤って海に落ちてしまった者は、50名ほどだったが、その彼らの捜索は海軍に任せている。

指揮官の小此木1佐は、可及的速やかに部隊を取りまとめ、装備を点検した。

16式機動戦闘車、短SAM、重機付きの高機動車、偵察警戒車が各10輌ずつ、指揮通信車が5輌が確保された。

しかし、これでは全員が高速移動するにはとても足りないため、近隣の町から車輌やトラックなどの徴発が台湾人の協力で速やかに行われ、其処らには事欠かないから、たちまち必要数が確保された。

 

小此木1佐は、すかさず進撃を開始した。

ルートは、花蓮から銅門を経て中央山脈の分水嶺を越えて、温泉地の盧山(ルーシャン)を過ぎ、霧社事件で有名な仁愛(ズンアイ)を過ぎて、埔里(プーリー)に至る。

因みに霧社事件とは、1930(昭和5年)年に日本の統治に反発した現地民が反乱を起こした事件である。

そこからは、西部平野に向けて下る一方である。

小此木たちの任務は、西部山麓に陣取っているはずの敵特殊作戦部隊を背後から衝くことである。

偵察警戒車や16式機動戦闘車を先頭に、トラックや自家用車などの入り混じった車列が延々と中央山脈に向かった。

 

「まさに、ニイタカヤマノボレだ!」

 

小此木は、かつて真珠湾攻撃時に出された台湾の新高山に因んで、こう号令した。




アメリカに怪しまれつつも無事輸送機部隊を貸与しつつ、無事にガス作戦を決行した日本軍は、何の妨害もなく上陸作戦に成功しました。このガスは本当に効果抜群かつ幾度もなく多次元世界の日本軍を救いました故に、戦略価値としても大きく貢献しています。無臭かつ気づいたらふとっ夢のなかに誘いますから。

長話はさておき次回も台湾解放のために進撃かつ、残ったオリンピア部隊を掃討します。果たしてどのようになるかは次回のお楽しみに。

それでは、第93話まで…… До свидания(響ふうに)
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