学園ものパラレル 長政×秀吉   作:とましの

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第10話

伝説に名高いアーサー王はブリテンを守る為に多くの戦へ身を投じた。そしてそんな王の元には円卓の騎士と呼ばれる有能な騎士たちがいる。

そんなナレーションで始まった演劇は一年生がやるにしては本格的だった。そこはやはり金持ちの子息が通う学園ということなのだろう。演劇の衣装や舞台セットなどはすべてプロに発注していた。

黒い鎧を着た長政は本物によく似た剣を手に舞台に立つ。バイトのショーほど大規模ではない舞台で、敵兵相手に剣を振るう。この日のために長政はバイト先のスタッフに頼んで殺陣を学んでいた。

戦いに必要な基本動作はバイトで身に付けている。あとはこの劇を見る全員にこちらの強さを見せつけるだけだ。もちろんこれはショー向けに作られた偽りの強さだが、周囲はそう思わないだろう。

 

やがて大喝采の中で幕がおりると長政は挨拶を待たずに裏へ引っ込んだ。素早く鎧を脱ぐと服装を整えて体育館を飛び出す。風紀委員長は劇を見ただろうか。できることならあの先輩には劇を見てほしくない。偽りの強さを真に受けて好きだなんて言って欲しくなかった。

にぎやかな文化祭の中を歩き回っていた長政は階段で担任教師と遭遇する。階段をおりてきた担任教師はなぜか言いにくそうな顔を見せた。

「あー……なんだ。おまえが生徒会に頼んだ案件だけどな」

「はい」

「ストーカーはさっき捕まえて俺の知り合いに引き渡した」

「ありがとうございます!警察に引き渡したんですねっ」

「あー……まぁ、そんなとこか」

どこか誤魔化すような雰囲気を持った返事に首をかしげていると後方から若者がやってくる。階段をあがってきたのは金髪にピアスという学園には不釣り合いな若者だった。長政のそばで立ち止まった若者は人好きそうな笑みを教師に向ける。

「お疲れー、先生」

「おう、ボスはどうした」

「あの人なら先に帰りましたよ」

教師に対して気安い態度を向けるということは卒業生か何かだろう。そう長政が考えているそばで担任教師の視線が向けられた。しかし担任教師は何を言うこともせず、すぐに視線を若者へ戻す。

「ボスに礼しなきゃな」

「あー、いいですよ。こっちで適当にキノコあげとくんで」

「なんだ、キノコ好きなのか。意外と庶民的だな」

「ですよねー」

あっけらかんと笑った若者は教師にそれじゃあと頭を下げて去っていった。その軽い足取りを見送った長政は教師に目を戻す。

「卒業生ですか?」

「まぁな。それより浅日は音楽の卯月先生と親しいのか?」

「ふえっ!?」

教師から向けられた突然すぎる問いかけに長政は変な声をあげてしまう。慌てて手で口をふさぐと担任教師を見上げた。

「親しいなんて…おこがましい気がしなくもないです」

「卯月先生がおまえのことを心配してたから聞いたんだが、親しくないみたいだな」

「ええと……あまり面識はないです。あっ、でも風紀委員の先生だから、ですかね?」

「確かに卯月先生は風紀委員の顧問だな。けどおまえ風紀と関係ないよな」

担任教師は心底不思議そうに問いかけて来る。そのため長政は担任にどう話せば良いのか悩んでしまう。風位委員長と付き合っていると言えば良いのか。それとも親しい程度に収めていれば良いのか。

長政が悩んでいると、話題の音楽教師がやってきた。階段をおりてきた音楽教師は担任教師のそばで立ち止まる。

「明紫波先生、こんなところで何を?」

「浅日に先生と親しいのかって聞いてたとこだよ」

「私と?浅日君が親しいのは、私ではなく風紀委員長だよ」

「……へぇ、そうなのか」

音楽教師の説明に、担任教師は知らなかったなとつぶやいた。とたんに音楽教師は愁眉を潜めて担任教師を見つめる。

「以前の明紫波先生なら、生徒の異変にはいち早く気付いていたと思いますが」

「んなこと言われてもな……」

「生徒会が適当な事をしていると、我々風紀委員にしわ寄せが来るんですよ。それは理解してくださいね」

「生徒会と俺の不手際は関係ないけどな」

「監督できていないから、そう言っているんです。それよりも、もう昼ですが明紫波先生はいつ職員室へ戻られるんですか」

変わらず厳しい表情のまま、音楽教師は腕を組み担任教師から顔を背けた。

「沖田君とつるんで何かしていたようですが、お弁当いらないのなら言ってください」

「あー、いるいる。じゃあ浅日お疲れさん」

どうやら音楽教師は、担任教師を探しにきたらしい。長政がそう考えている合間に、担任教師は長政の肩をたたき去った。

「……沖田って、さっきのピアスさんの事かな」

つるんで何かをしていたと言うのは、ストーカー排除の事だろう。そこまで考えた長政はひとまず安堵の息を漏らした。

 

 

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