スクールガールストライカーズ~Ains channel~   作:アインス=ウォーレン

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 諸注意

・この小説は、「アインス隊長のいるチャンネル」の物語です。ゆえに登場するメモカはアインス隊長の実際のプレイで手に入れたメモカのみを使って描かれているよ。

・登場する人選は完全にノリと作者の好みで決めてるよ。

・(語彙力と独自性はほぼ)ないです

・完全オリジナル(かつ2分で考えたようなノリ)の謎オブリが登場するよ。

・なんらかのパロディやオマージュが多分に含まれています。

・軽度の鬱、暴力的な描写があるよ。特にあから推し過激派の人は注意して読んでね。




3人のサンタと、小織のクリスマスプレゼント2020

 しんしん。しんしんと。

 今年もアインス隊長のエテルノにも、クリスマスがやってくる。

 

「……隊長。その飾り、小織が付けるよ。」

 少女、降神小織は、宿舎の飾りつけを手伝っていた。

 

「おおー小織ちゃん!助かるよ!でも、まさか小織ちゃんから宿舎のほうも飾りたいだなんて、ずいぶん小織ちゃんも成長したなぁ……ウルウル」

 隊長は、目に涙を浮かべながら、飾りつけの星型やサンタの形のオーナメントを渡した。

 

「……どういうこと?」

「いやほら、だってエテルノに来たばかりの小織ちゃんは、『クリスマスの浮かれた雰囲気、うざい(キリッ)』とか怖い顔で言ってたのに……」

 

 すると、小織は、飾りつけを壁につるしながら口を開いた。

 

「……でも、今は、少しわかるよ。クリスマスを、大切な人たちと楽しく、盛り上がって楽しみたい人の気持ち……昔の小織は、季節の行事を楽しむ余裕もなかったから……今は、皆が楽しめるものは、護りたいと思う……」

 

 

 

「……うっ、うっ」

 

 宿舎の玄関から、誰かの泣く声が聞こえた。

 

「……あから姉?」

 

「小織はこんなに立派に他人を想える人になるなんて……!」

 

「小織ちゃん……!私、嬉しいよぉ!小織ちゃんの成長が嬉しい!」

 

「クリスマスは、これはチキンもお寿司もごちそうなんでも、食わせてやるからな……!あだぢ、いっぱい作るからぁ!!!」

 

 

 

 玄関で泣いていたのは、降神あから、蒼井雪枝、棗いつみの3人だった。

 

「あ、皆おかえり~」

 

「……おかえり。……雪枝さんと、棗先輩は、お姉と一緒になにしてたの?それと、なんで3人とも、泣いてるの?」

 

 

 すると、あからは話し始めた。

「いやその、そろそろクリスマスシーズンだから、境界でデパート商戦(2019年12月新コスイベント参照)をやって、お惣菜でも皆で売ろうかという話をしていたんだ」

 

「まずどうしてそうなったの」

 

「そしたら、準備を進めるうちに調理スタッフが欲しいと思ってね。誰か手伝ってくれる人を募っていたら、蒼井君と棗君が名乗り出てくれたんだ」

 

「わ、私もせっかくのクリスマスですし、なにか新しいこと始めてみたくって……」

 

「ホラ、料理といえば『アタシ』ってところあるだろ?あからさんに教わっておきたいレシピとかもあるし……」

 

 

 

 

 

「……とにかく!今の小織の心意気に、ボクは猛烈に感動しているッッッ!!!だから、今年は特別だ!ボクがなんでも叶えるサンタになろう!小織が欲しいもの、遠慮せずになんでも言ってごらん!」

 

 

 しばらく考えて、小織は口を開いた。

 

「……あから姉の休暇」

 

「そうじゃない!ボクを気遣ってくれる優しい小織の気遣いはとっても嬉しいけど、そうじゃないんだ!」

 

「欲しいもの……でも、ゲームは隊長がクリスマスじゃなくても勝手に買ってくるし……」

 

「この間二穂ちゃんたちと夜明けまで桃鉄やった時は最高だったよね!」

 

「はい!一位だった二穂にキングボンビーを付けた上に駐屯兵カードを叩きつけた小織ちゃん、とてもイキイキしてたよね!」

 

「……ちょっとやりすぎたとは思ってるよ……」

 

「くっ、夜更けまでそんなゲームを楽しんでいたなんて、なんて羨ま……いやダメだ小織!ちゃんと早寝早起きしないと風邪をひくぞ!」

 

「……手洗い、うがい、消毒は今年はちゃんとやってる」

 

「小織ちゃん、アタシも……今年は、せっかくだから小織ちゃんにクリスマスプレゼントを贈りたいんだ!最近は、デリバリーも色々増えたから、料理には困ってないと思うから……なにか現物的なモノで!」

 いつみも、鼻息荒く小織の目を見つめる。

 

「そんなこと言っても……困る……」

 

「わ、私も!最近、WLinkメモカで小織ちゃんといっぱい頑張ったから……!小織ちゃんに、感謝の気持ちを伝えたいんです!プレゼントで!」

 

「で、でも……」

 

「さあ小織!欲しいものをなんでも言ってごらん!」

 

「さあ!」

 

「さあ!!!」

 

 

 

 じりじり小織ににじり寄る3人。小織は、3歩後ろに退くと、口を開いた。

 

「あ……あそこにビキニサンタのひな姉」

 

「え!?」

 

 

 全員が小織が指さした窓の先を振り返ると、まあいつも通りモニカと駄弁っている制服姿の陽奈が歩いていた。

 

 

 

 

「なんだよ~。そりゃさすがにサンタビキニコスなんて見つかるわけがな……ああっ!?」

 

 いつみが叫ぶ。小織の姿が忽然と消えていた。

 

「サンタさんには、隊長の欲しいものをお願いするよ」

 

 小織は、それだけ言うと瞬時に靴を履き、外に飛び出して行った。

 

 

「ああっ!?待つんだ!待つんだ小織~!」

 

「小織ちゃん待って~!」

 

「あ、じゃあウルトラZライザーとウルトラメダルの詰め合わせセットが欲しいなぁ」

 

「子供か!!!……くう、小織ちゃんに逃げられてしまった……!」

 

 3人は慌てて走って追いかけたが、小織の逃げ足が速すぎて一瞬で見失ってしまった。

 

 

「う~ん、結局小織の欲しいものはわからずじまいか……隊長殿、小織の欲しいものに、なにか心当たりはないかい?」

 

「あ、Zライザーは買う気ゼロ師匠ですかそうですか……う~ん、最近は結構ゲームソフトもたくさん買ってあげたし、そもそも小織ちゃん、何も買ってあげなかったらやり込めるゲームが一本だけで数年新作買わずに遊び続けちゃうタイプの子だからなぁ」

 

「小織も、施設を出てからはボロボロの指人形くらいしか買ってあげることができなかったからな……せめて、子供のおもちゃでもなんでもいい。今の余裕があるボクが買ってあげられるものは、なんでも買ってあげたいんだ」

 あからはため息をつく。

 

「アタシも……小織を見てると『現今世界(カレントチャンネル)』に置いてきた弟たちのことを思い出しちゃうな。あの子たちはちっちゃいからお気に入りのおもちゃを取り合いしては、とっくみあいの大喧嘩で……」

 

「小織ちゃん、普段からあまり欲しいものとか、言わないから……それでも、昔よりは少しだけ素直になってくれるようになりましたけど……」

 

「……あ~、買ってあげたい。いいもの買ってもらってにこにこしてる小織ちゃんの笑顔、見たいんだよな~……」

 いつみは、小織の笑顔を思い浮かべて、むふふとふんわり笑った。

 

「私も、みてみたいです……!」

 

 

 

「う~ん、気持ちはまあわかるよ。僕も財布がやばくても、小織ちゃんに美味いものでも食べてもらいたいって思ってついコンビニでアイスとか買っちゃうし……」

 

「隊長殿も、あまり裕福な身分ではないのだから、無理は禁物だぞ。……どうだろう、隊長殿。ボクたちが小織にプレゼントするのを、手伝ってもらえないだろうか?」

 

「アタシからも、頼む!」

 

「お願いします!隊長さん!」

 

 3人が、アインスに手を合わす。

 

 

 

 

「う~ん……しょうがないなぁ。小織ちゃんがガチで嫌がらないといいけど」

 

「ありがとう!そうと決まれば、小織の欲しいものを考えないとな」

 

「なぁ隊長……小織ちゃんが興味を示していたものとか、なんでもいいからなんかないか?」

 いつみが聞いた。

 

「う~ん……最近は僕のオタク趣味に適当に小織ちゃんを付き合わせてるからなぁ……一緒にスマブラやったり、プリキュアとか鬼滅みたり?映画も行ったね」

 

「ああ、今大絶賛人気ですよね!鬼滅!」

 

「そうそう!僕も最近全話観てハマっちゃってね!第六チーム(アルタイル・トルテ)の皆もハマってるんだよ!」

 

「こないだ、あんまり人気だから二穂もエテルノランドの映画館で観れるようにしようか、って言ってましたよ!まだ私は見てないですが、依咲里さんがけっこう詳しいらしくて」

 

「はっ!あれか!DX日輪t」

 

「棗君!小織の年齢を考えるんだ!隊長と違って幼児用玩具でキャッキャする年齢じゃないと思うぞ!」

 

「うっ、あからちゃん……!(このあいだノリノリでトレギアアイで遊んでるところを見られた)」

 

「と、なると……ゲームソフトもダメ、って言ってたよな。う~ん、中学生の年齢で欲しがるもの、かぁ」

 

「というか、中学生ってサンタを卒g」

 

「隊長さん!そんなこと言わないでください!小織ちゃんの年齢ならまだ信じていてもおかしくないんですよ!夢を壊しちゃいけません!」

 

「いやあの子の気質的に絶対信じてないと思うけどなぁ!?」

 

「うぐっ、毎年サンタの役目を果たしてあげられなかったボクの傷をえぐるのはやめるんだ……!サンタを信じれるほど裕福な生活をさせてあげたかった……!」

 

「あっ、なんかゴメン……」

 

「いや、いいんだ。むしろ、だから今からやるんだ隊長殿!!!こうなったら、他に小織の欲しいものを知ってる人がいないか、他の皆に聞きこみに行こう!」

 

 

 

 

 こうして、あからの提案で、3人と1匹は、小織の欲しがっていそうなものを色んなメンバーに聞いてみることにした。

 

「小織ちん?う~ん……今『あもんがす』ってゲームが出たから真乃ちんたちと遊んでるんだよ!それで小織ちんとも遊びたいんだよ!」

 

 

~~~

 

 

「小織っち?う~ん……アコっちの調べでも、欲しいものまでは……ここは無難に、安眠枕やアイマスクみたいなのをおススメするのだ!」

 

 

~~~~

 

 

「なんでそれをあたしに聞くのよ……ま、中学生でも使いやすい基礎化粧品がいいわね。あの子、スキンケアとかちゃんとやってるのかしら」

 

 

~~~

 

「小織ちゃんか~……う~ん、迷うところだけど、手作りケーキなんてどうかなっ!?……やっぱり、普通かな?」

 

~~~

 

 

 

 

「う~ん……確かに、天音もたまにはいいこと言うよなぁ」

 

「そういえば、小織は確かに睡眠は気にしてるんだ……でもどうせなら手作りのほうがいいのか……?うーん」

 

「どれも、確かに小織ちゃんにはぴったりなプレゼントですよね……悩んじゃいます」

 

「じゃあ、ここはやっぱり、中等部の皆に聞いてみるのがいいんじゃないかな!」

 アインスは言った。

 

「おお!その手があったか!さっそく、聞いてみよう!」

 

 

~~~~

 

 

「……いきなり中等部で集まってくれとかいうから、何事かと思ったら、なんだそんなことか」

 二穂は、快く小織以外の中等部を集めてきてくれた。

 

「確かに……小織さん、あまり自分の欲しいもの、言いません。すごく、自分に厳しいです」

 ターニャは、静かに言った。

 

「チカも、小織ちゃんにプレゼントあげたい!こないだ、『権兵衛狸』の噺をしてあげたらちょっと笑ってくれたから、動物の落語の本とかどうかな!?」

 

「狸……イナタヴィードナヤ・サバーカ(ネイティブ発音)、ですか?」

 

「落語じゃなくても、本はいいぞ。知らない知識を得ることは、勉強にもつながるしな!」

 二穂は言った。

 

「本か……確かに、動物図鑑や世界の風景の本なんかも、喜ぶかもしれないな」

 

「ありがとう!参考になるよ!」

 

「やっぱり、二穂は頼りになるね」

 そう雪枝が言うと、二穂は雪枝の肩に手を置いた。

 

 

 

「雪枝。今年は小織にもとても世話になった。今年は、そのプレゼントとは別に、中等部でプレゼント交換会でもやろうではないか!」

 

「に、二穂……!それ、いい!皆で交換会!」

 

「それと……前回桃鉄であたしが最下位だったの、納得いってないからな!?リベンジの10年決戦もやるぞ!」

 

「あ、まだそれも根に持っていたんだね……」

 

 

~~~~

 

「うーん、皆、どう?決まりそう?」

 アインスが3人に聞く。

 

「う~ん……どれも小織が喜びそう、と考えると、なかなか決められないな」

 

「私は、中等部の交換会のこともありますし……2つ考えないといけないですね……」

 

 

「でも……なんか、こうやって他人のプレゼントを一生懸命考えるのって、なんだか楽しいよな!」

 いつみが言った。

 

 

「棗君……!ふふっ、そうだな。小織の喜ぶ顔が、目に浮かぶようでボクもとても嬉しくなるよ」

 

「そうですねっ!……そうだ、小織ちゃん、宇宙の本やUMAの本なんて、喜ぶかなぁ……?」

 

「まさに『キラやば~☆』だね!」

 

「それは去年のプリキュアだろ!……まあ、でもスタプリは面白かったのはわかる」

 

「去年のプリキュアはね、宇宙人がいっぱい出てくるから雪枝ちゃんにめっちゃ布教したい」

 

「じ、実は私、来年の映画に『5』が出てくるって聞いてたので、ちょっと観てみようか悩んでいるんですよ、最近のプリキュア……!」

 

「あれはねー、卒業しようと思っても、気が付くとなんか観ちゃうんだよねー……子供向けとはわかってるはずなのに、なんか観ちゃう」

 

「実際大きなお友達を沼に引きずり下ろすクオリティはあるから、そりゃ観ちゃう」

 

「そんなに面白いのかい?そういえば、デパート商戦のときも、そういう玩具があったっけ。参考のために、ボクも観てみようかなぁ……あはは!」

 

 と、あからたちが楽しく談笑しているときだった。

 

 

 びゅうううぅぅぅ~~~~!!!!!

 

 

 

「……寒ぅ!!!」

 思わずアインスはいつみの胸に飛び込んだ。

 

「おわっ、隊長……あー、でもアタシも助かるかも、ちょっと毛皮ぬくい」

「ひええ……すごい、北風ですね……」

 

 

 

 

「お~~~い!お姉~~~!」

 すると、向こうから陽奈、モニカ、幸子が走ってきた。

 

 

 

「陽奈!さっきのはすごい風だったね!」

「も~!携帯のニュースみてないの?今日凄い急激に寒くなって暴風&猛吹雪とかやばいらしいよ!早く帰らないとマジやばいし!」

 

「あはは~、日本でもこんなに寒くなるとか、ほんと謎だよね~」

 

「あの……ところで、小織さんと皆さんは、一緒じゃないんですか……?」

 幸子が言った。

 

「え?小織?見てないけど……」

 

「あの、さっき……小織さんが一人で歩いてらしたので、どこへ行くのか聞いたんですけど、『あからさんたちとかくれんぼしてるから、境界に行く』って……」

 

「か、かくれんぼ!?……まあ、追いかけたのは間違いないが……まだ、こっちには帰ってきてないのかい!?」

 

「わ、私たちは見てません……か、帰ってきてるんでしょうか……あわわ」

 

「お姉!宿舎!急いで確認!」

 

「わ、わかった!」

 

 あからたちは、大急ぎで宿舎へと走る。

 

 

 

 

 

「小織!!!!」

 バタン!と扉を開けて部屋を確認する。部屋は、明かりもなく日が落ちて真っ暗になっていた。

 

「……まずい!帰ってきていない!」

 

「もう、随分風も雪も強くなってきてるぞ」

 

「……くっ!」

 時刻はすでに6時。外を捜索しようにも、すでに空は暗くなっており、そのうえ猛吹雪で視界は最悪、強風がもっと強くなれば、立っているのも困難になる。つまり、捜索のタイムオーバーまで、もう一刻の猶予もない。

 

「ボクの責任だ……ボクが、小織に執拗に質問攻めにして追いかけたりしなければ……小織は!」

 

「……」

 

「あからさん……」

 

「も~!お姉!今それどころじゃないし!反省とかいいから、とにかく手分けして探すよ!」

 陽奈が強くあからに目で伝える。

 

「……そう、だな。……皆、協力してくれるか?」

 

 アインス、いつみ、雪枝、モニカ、幸子は無言でうなづいた。

 

 

 

 

「……ふふっ、どうやらお困りのようですね」

 

「!……モルガナ様!?」

 

 ニット帽とスノーボード、スキーゴーグルに身を包んだモルガナが、あからの背後に現れる。

 

「小織さんのいる境界なら、おおよそ目星がつきます……案内しましょう。後に続きなさい」

 

「モルガナ様……!ありがとうございます!」

 

「礼ならいりません……さあ、こちらです」

 

 あからたちは、モルガナに続いて走っていく……!

 

 

 

 

 

 びゅうびゅうと吹く猛吹雪。まるで、台風か爆弾低気圧のような、強烈な風が辺りを吹き荒れていた。

 

「小織~~~!!!どこだ~~~!?」

 

「小織~!!!」

 

「小織ちゃ~~~ん!」

 

「小織ちゃ~ん!どこ~!?」

 

 

 猛吹雪の中、あからたちは小織の名前を叫ぶ。

 

「いたら、返事してくれ……小織……!」

 あからは、目に涙を浮かべていた。

 

「お姉!あれ!」

 ハッとして、あからが陽奈の指さすほうを振り返る。吹雪の中、小さな人影が見えた。

 

「小織!」

 あからは、人影に向かって走り出す。

 

「いや……待つんだ!あからちゃん!」

「え?」

 アインスが叫んだが、遅かった。『ソイツ』は、むくりと起き上がる。

 

 

『オオオ~~~~ブ~~~~~!!!!』

「しまっ……!」

 がちゃん!とあからが気づいたときには、あからは透明なガラスの中にいた。

 

「こいつ……!オブリか!?」

 

「あからさん!……スノードームみたいな、オブリに捕まってしまっています!」

 

「くそっ!だったらここから……」

 あからがパトリを取り出すが、

 

「!?パトリが、反応しない!?」

 それどころか、足元が、じわり、と濡れていることに気づく。

 

「なんだ……?水が、しみ込んできている!?」

 

『隊長さん!聞こえますか……!?あれは『スノードームオブリ』です!』

 いつみのパトリから、ティエラの声が聞こえてくる。

 

「先生!?」

 

『あのオブリは……気に入った人間を永遠の思い出にしチャオ☆とドームの中に閉じ込め、あの液体をドームいっぱいに満たし水死体にして永遠に一緒ムーブをしてこようとする最悪な変態サイコパスオブリです!』

 

「最悪どころじゃないくらい趣味悪いな!?」

 

「それどころじゃない!ってことは……あの水がいっぱいになるまでに、あからちゃんを助け出さないと!アインス隊、射砲組!一斉掃射であのガラスを割るんだ!」

 

「了解!……『フェザーゲイル』!!!」

 

「『約束の……ブルーバード』!!!」

 

「『フォース・オブ・ウィル』!!!おらおらおらぁ!!!」

 

「『蒼き世界のソルフェージュ』!!!!」

 

 陽奈、モニカ、いつみ、一斉に砲撃し、雪枝が槍を投げる!

 

 しかし、

 

『ギャハハハハハハアアアアア!!!!!』

 

 突如スノードームオブリの目の前に、雪煙があがり、巨大な氷塊が現れる!

 

「えっ!?」

 

「なにあれ!?」

 

 巨大な氷塊を生み出した、『上半身が真っ赤に燃えながら下半身が氷に覆われる2m級の妖魔』が嗤っていた。

 

『あれはフレイザ……ごほん、『ショートオブリ』です!絶大な氷を操る力と火炎を操る力を持ち、『今季ナンバーワンオブリは私のモノだ!』と固辞してくる極めて厄介な妖魔です!』

 ティエラが言った。

 

「そんな!……今は、急いであからさんを助けないといけないのに!」

 

「お姉も小織も、アタシが助けるッ!『フェザーゲイル』最大出力!!!」

 陽奈は、躊躇なく航空機からコンテナを投下すると、最大出力で砲撃を放った!

 

『オブブブ……ブブワァアアアアア!!!!!』

 ショートオブリは、今度は口から火炎放射を放ち、ビーム砲と火花が散りあう!

 

「貫け……!貫けえええええ!!!」

 

『オブブブブウウウウ!!!!』

 

「!……いかん、陽奈ちゃんのメンタルが不安定で、メモカの出力が落ちてる!」

 隊長が気づくが、じりじりと、火炎がだんだん陽奈に近づいていく。

 

「オッケー隊長!」

「今援護するぞ!!!」

 

『!』

 

 しかし、ショートオブリは、モニカといつみの動きに気づき、巨大砲台を足元から凍り付かせた!

 

「なっ……!?」

 

「これじゃ、砲撃ができない!」

 

「『ロスト・コンバージェンス』!!!」

 モルガナが、陽奈を押し飛ばし、起動砲台板でバリアーを貼って防ぐ!

 

「モルガナ様!?」

 

「くっ、やはりこのメモカではこれが限界、ですか……」

 

「モルガナ様ぁ!」

 

「『貴方』の力は、そんなものではないはずです……色々と、面白いことになりましたが……楽しかったですよ」

 モルガナの起動砲台板に、亀裂が走る。

 

「……もう~!!!!誰でもいいっ!誰でもいいから……あから姉と、小織を助けて!!!!」

 

 

 

 

「……呼ばれて飛び出て~!すい・さん!!!」

 突如、虚空から『隼坂翠』が現れ、『心槍・オルフェリア』でショートオブリを切りつけた!

 

「皆さん!ご無事でしたか!?」

 陽奈たちの後ろから、『湊小春』も駆けつける。

 

「小春ちゃん!翠ちゃん!」

 

「ティエラ先生が、妖魔の危険性を判断して要請してくれたんです!」

 

「霊体化できるわたしなら、猛吹雪の中でも自由に動けちゃうからね!……てなわけで、切り刻んじゃうよ!……って、んん??」

 翠は、ちょっとぎょっとした顔をした。

 

「……翠!?」

 

「なんかこいつ、実体が掴めない!斬っても斬っても、致命傷になってない感じがする!」

 

「やはり、こいつには海波斬がなければ倒せないか……!」

 

「そ、そんなことより隊長!あから先輩が!あから先輩がもうやばい!」

 いつみが指をさすと、スノードームオブリのドーム内はすでに8割が液体に沈んでおり、あからの首まで液体が昇っていた。

 

「あからちゃん!」

 

 

 

 

「あから姉は……小織が助ける!」

 奔る。奔る。奔る。少女は、ただ吹雪でかじかむ手足がちぎれる勢いで、駆ける。

 

 

 

(本当は……少し、照れくさかっただけ。お姉の気持ちが、皆の気持ちが、とても嬉しかった)

 

(でも……小織には、プレゼントは要らない。)

 

 

「キラル……リベール!!!」

 

 降神小織は、『幻想変身』に変身し、召喚獣『ザンザス』を召喚する!

 

 

「ただ、家族を、友達を……大切な仲間を、護る力。それさえあれば……大切な人たち以外は、もう何も要らない!」

 

 ザンザスは、光る玉を放ち、小織は、クロスボウの引き金を引いた!

 

「小織を、怒らせないで!!!!」

 

 

 

 光る玉に小織の矢が命中し、光の玉は光弾ミサイル流星群となってショートオブリに降り注いだ!

 

『オブウウウううウウウ!!!!!』

 

 

 

「小織!」

 

「皆の声が聞こえた……小織のことを、呼んでくれてありがとう」

 

「ショートオブリは倒した!あからちゃん!」

 

「まだ間に合います!間に合わせてみせます!……田中さん!」

 小春は、『究極変身』に変身する!

 

「ア”ア”ッ!?あ、まーさっきまで田中さんだったケド~……じゃないわァ!まあどっちにしろ今はオディールさんですが!親友のアネキくらい救えないでなァ~にが田中さんじゃコラァ!」

 

「いきます!」

 

「合点承知ィ!!!!」

 小春が『終結のガーディアン』のハンマーで、『究極変身if』のオディールの足ごと吹き飛ばす!

 

 

 

(……嗚呼、小織は、無事だったんだな)

 もう、あからは、口も水に浸かり、鼻先ももう水に浸かろうとしていた。

 

(ボクは……結局、生きていくことだけに精いっぱいで……妹たちの幸せだって、あとから勝手に恩着せがましく押し付けることしかしてやれなかった……)

 

 あからは、もはや抵抗を諦め、水に顔を潜らせる。

 

(だから……これはボクへの罰だ)

 

 ドームに液体が完全に満ち、酸素はもうどこにもなくなった。

 

(小織……陽奈……幸せに、生きて、くれ……)

 

 

 

『勝手に諦めてんじゃ、ねえぞーーーー!!!!』

 

『勝手に諦めんな、バカお姉ーーーー!!!』

 

 

 オディールの蹴りが、スノードームのガラスを粉々に叩き壊し、満杯になった水があふれだす!

 

 

「ぷはっ……!げほっ、げほっ……!」

 ドームオブリから解放されたあからは、咳きこんで水を吐き出す。

 

「お姉!今……諦めかけたでしょ!?見てたんだからね!」

 

「……陽奈、ぼ、ボクは……」

 

「あから姉」

 小織は、あからと陽奈の前に立った。

 

「今回のことは……小織が悪いの。意地を張って、境界に隠れたりしたから……」

 

「ちがうっ!それは違うぞ小織!小織は悪くない!悪いのは……このボクで」

 

「お姉は悪くない。小織が悪くないなら……『誰も、悪くない』。お姉や2人が、プレゼントを用意してくれるって言った時……すごく、嬉しかった。」

 小織は、あからを抱きしめた。

 

「自分を責めないで……小織とひな姉を、ここまで育ててくれたのはあから姉だよ。もう、自分を責めないで……」

 

「こお、り……ぐすっ」

 あからは、力いっぱい小織を抱きしめ返した。

 

 

「これにて、一件落着かな」

 アインスは、安心したように笑った。

 

「だな!さーて、今夜は皆で焼き肉でもするか!」

 と、いつみが言った時だった。

 

 

 

 

 ゴゴゴゴゴ……!

 

『まだです!あの2つの妖魔は……『合体』するのです!』

 ティエラが叫ぶ。

 

 倒れたはずのショートオブリとスノードームオブリが、空へと飛びあがり、合体して光りだす!

 

 

『シュゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!』

 

 

 

 

「なんだあれは!?」

 

 それは、巨大なドームのようだった。

 半径300mを、巨大な柵のようなものが取り囲み、ドーム状にあからたちの周りを取り囲んでいた。

 

「まさか……」

 

 そして、柵の部分は轟々と立ち上る炎を上げて燃え盛り始める!

 

『あれは……『フレイミングトリカゴオブリ』!!!燃え盛るトリカゴに相手を閉じ込め、徐々にドームを小さくして焼き殺してしまうオブリです!』

 

「『燃え盛るトリカゴ』、だって……!?剣で切ろうにも、これじゃあ近づけない!」

 

「しかも、段々狭くなってるってマジじゃんかぁ!どーすんだよこれぇ!」

 

「……私が、『私たち』が、止めて見せます」

 雪枝が、前に出た。

 

「雪枝ちゃん!」

 

 

「雪枝さん……今こそ、これの力を、使う時だね」

 小織と雪枝は、『あるメモカ』をとりだした。

 

 

『このトリカゴは、オブリそのもの……強固ですが、WLinkメモカの『氷』の力があれば、止められるはずです!』

 

「いくよ、雪枝さん」

 

「よし、行こう!小織ちゃん!」

 

二人は『WLink純真×無垢』のメモカをセットした!

 

 

 

 

「……ボクも、戦おう」

 あからは、ずぶ濡れの身体のまま立ち上がった。

 

「あから姉、いけるの?」

 

「ボクはもう、大丈夫。……今、夜木沼君はいないが、それでも、ボクは戦える!」

 

 あからは、『星導変身L』に変身する!

 

「もう、ボクは、どんな相手にも屈しない……絶望しない!何度でも立ち上がって見せる!『家族を護るため』なら!!!」

 

 

 

 

 

「……WLinkメモカを持っていないアタシたちじゃ、足手まといになるだけだけど……今夜は!めっちゃうまい焼き肉とかグラタンとか!いっぱい作ってやるから!!!決めてこい!」

 いつみは、そう叫びながら心で想う。

 

(降神三姉妹……施設を抜け出し、身寄りもなしに3人で暮らしていたという3姉妹。別に、フィフス・フォースに入ってから、あるいはあの子たちがエテルノで保護されるようになってからだって、接点なんてなかった。

 

でも、小さい家族を自分一人で育てる大変さを知っているアタシは、とても他人事には思えなかった。

 

なんでもいい。助けてあげたい。困っている人がいるなら。

人が家族を愛するのが当たり前なように、子供がサンタを信じることが当たり前と思えるような。家族や友達が、大切な人たちと笑いあえるクリスマスが送れるように。

 

今、あたしにできることは……料理を作ること。家事をすること。共に戦うこと。

だから……応援させてくれ。力なんてなくていい。

 

誰かが幸せに生きることを、応援したい!)

 

 

 

 

 

 

 

「がんばれーーーー!!!!!」

 

 

 

 

 いつみのエールが、小織、雪枝、あからの背中を押す。

 

 

 

 

 

 

「力を貸してくれ……夜木沼君!!!」

 

 

 

「終わらせます……!」

 

 

 

「大切な仲間を……護る!」

 

 

 

 3人は、それぞれに駆けだした!

 

「凍り付けええええええ!!!」

 雪枝の氷槍が、燃え盛る炎の柵に巨大な氷塊を生み出す!

 

「お姉と、雪枝さんと小織の3人が力を合わせれば……絶対に負けない……!」

 巨大な氷柱の槍が、絶え間なく炎に降り注ぎ続ける!

 

「皆と一緒だから……怖くない……!」

 

「ボクに任せろ!!!」

 あからが跳躍する。あからの賭ける、最大、最強、全身全霊の一撃!

 

 

 

「皆を……!護るんだアアアアア!!!!!!」

 

 

 あからの、燃え盛る烈火の斧が、氷塊ごと巨大なトリカゴを、切り裂いた!!!

 

 

 

『オオオ……グオオおオオオオオおオオオオオおオオオオオおオオオオオ!!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 切り裂かれた『フレイミングトリカゴオブリ』は、まるでチリのように消えていった――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すると、吹雪が、ぴたりと止み、トリカゴがあった真上の上空の雲が晴れ、ぽっかりと綺麗な星空が現れた。

 

「満月……」

 小織の顔が、月明りに照らされ、冬の空で満点に輝く星空。

 

「これって……聖夜の、贈り物になりませんか?」

 雪枝が、思わず笑顔でそう言った。

 

「贈り物って……ただの星空だろ?そんなので、いいのかな……?」

 

「いいんじゃない?少なくとも……思い出には、けっこう残りそうだけどね」

 苦笑いするあからに、アインスが言った。

 

 

 

 

「あから姉、雪枝さん、棗先輩……ステキなプレゼント、ありがとう」

 

 小織は、にっこりと、笑った。

 

 

「……小織も、なにかお返ししなくちゃ」

 

「……ふふっ、その笑顔が、なによりのお返しさ」

 と、笑顔であからが言うと、「ぐぎゅるる~」、とあからのお腹が鳴った。

 

「あっ」

 

「って、あから先輩ずぶ濡れじゃないですか!こんなに寒いんだし、そりゃーお腹もすくよ!皆もお疲れ様!さあかえって焼き肉だ焼き肉~!」

 

「小織、いつみさんのお料理、好き……」

 

「こ、小織!?ぼ、ボクの手料理と棗君の料理だったら……どっちが好きなんだい!?」

 

「………………」

 

「…………」

 

 

「……選べないよ」

 

 

「小織~、せめて嘘つくなら即答してあげなよ~」

 

「陽奈ぁぁぁ!?き、君までボクを否定するのかい!?」

 

「いや、その……あから姉の料理って~、ぶっちゃけ調味料ケチりすぎて味が薄い……」

 

「ぼ、ボクは素材の味で勝負してるんだ!」

 

「でも、お姉の作る野菜料理、美味しい……モヤシ炒めとか」

 

「こ、小織~♡」

 

 

 

「……うふふ、なんだか姉妹って、仲がよさそうで羨ましいなぁ」

 雪枝は、そんな様子を見てほほ笑むのであった。

 

 

 

 こうして、降神三姉妹、雪枝、いつみ、モニカ、幸子、モルガナ、小春、翠たちは、その日は同じ宿舎のこたつで、いつみとあからと雪枝の3人が作ったステキなごちそうで、一足早いクリスマスパーティーを楽しむのであった……。

 

 

 

            

 




 あからちゃん。難しいなぁ。
私、小織ちゃん推し隊長でありながら、あからちゃんと陽奈ちゃんを全く推しておらずなんならメモカもあまりそろってなかったので、今まで知識不足の面がありあまりあからちゃんを書いてきたことがなかったんですよね。というわけで今回はあからちゃんが主役のお話でした。うまくあから推しの人にも納得してもらえるようなあからが描けたかどうか、不安でしかないので感想頂けると幸いです。また次回書いてほしいキャラクター、シチュエーションなどのお題を感想やツイッターに送っていただけると幸いです。ではまた来年のどこかで、新作出せたら、いいなぁ。
アインス(ラスティ)より
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