スクールガールストライカーズ~Ains channel~   作:アインス=ウォーレン

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 今回の主役は、シャルロッテと第05チーム《アマンド・フォーマルハウト》。いつものリーダー定例会議で、謎の無人島の調査をまたもあのポンコツ調査隊が引き受けることになってしまい……!? 五人と隊長を交えた調査隊は、果たして無人島の謎を解くことはできるのか……!?


ポンコツ調査団(隊×)調査記録~新劇のワイルド般若~

「……ハァ、ハァ……!」

「も、もう逃げきれましたわよね!?」

「ヒィ、ヒィ……!フェイちゃんもう走れない~!」

「弱音吐くなデス!まだ、まだ追ってきてるデス~!」

「急げ急げ急げ!!逃げろ!」

 走る、走る、走る。第05チーム《アマンド・フォーマルハウト》の5人と隊長は、必死に走っていた。

「ど、どうしてこんなことになったデス~!!!」

 

 

 

 時はさかのぼること、一日前。

「~今回、新しい島の境界が見つかったんです」

 ティエラが、全リーダーを集めてリーダー会議を開いていた。

「ほう、島……無人島というわけか?」

「またぁ?今回も開拓しろなんて言うんじゃないでしょうね?また宇宙にまで行くのはこりごりよ?」

 二穂と天音が言った。

「いえ、今回はそうというわけではないんです。詳しい説明は、オディールさんに伺いましょう」

「ふははははは!!!!心して聞くがいい!斬撃ガールたちよ!」

 オディールが、ビシッとポージングを取りながら現れた。

「あの、私は斬撃じゃねーデス」

 シャルロッテが手を挙げた。

「こまかいことはどうでもよいではないかちんまいガール!では説明を始めるぞ!」

「ちんまい言うなデス!」

「無視。今回はな~、その、あれだ。オディールちゃんが偶然近くの境界をお散歩してるんるんしていたときのことだ」

「ぐっ、無視しやがるとは、いい根性してるデス……!」

「おっ?なんだこの無人島は?異常に大きな岩山に木々、なんという大自然だ!これはすんごいお宝が眠っているにちがいないと踏んで、私はこの島に足を踏み入れた………」

「……それで、どうだったんだ?」

 あおいが聞いた。

「………それがさー、もううじゃうじゃいんのよー。16mもあるような、超巨大ですごい速さで走りまわる巨大なバケモノどもが!何体も!」

「き、危険じゃないですか!大丈夫でしたか?」

「え?あー、うんまあギリ振り切れたかな私だったらー。いやマジ危なかったけどね~。それと」

 オディールは言った。

「走りまわってる最中に。その島に砦を見つけたのよ~」

「と、砦!?」

「つまり……人工物がある人がいるってことかい?」

「いやー、その線はないと思うな私ゃー。一応入って確認したんだけど~、人っ子一人いなかったね~。中にはまあ古びたベッドとソファがあるくらいで?とっくに滅んでんじゃねーの?外のバケモノどものせいで」

「そ、そうなんですか……」

「でもさー、何個か見かけたんだよね!その砦!それに、あの形……砦というよか、『壁』のようだったつか?とにかく何個も砦が連なって、そん中にたぶん集落でもあったんだろうな~。滅びたんだろうけど」

「お、おい……その話、どこかで聞いたことがあるような気がするのだが」

「気のせい気のせい。あんまり深読みすると早死にするぞヒノミヤガール!……てなわけで、お宝探索と、バケモノ退治?誰か、引き受けてくれる心強ーいチーム、いっないかな~?」

 全員が、顔を見合わせる。

「あ、あたしは嫌よ!そんな変なバケモノの巣窟みたいな島!紗々とか喜びそうだけど、あたしそういうのぜっったい嫌だからね!」

「悪いけど、アタシたちもパスさせてもらうよ。最近急襲妖魔の動きが多くて、手が離せないんだ」

「す、すまんが、あたしらもだ。重要な任務があるのでな」

 天音、ハヅキ、二穂が抜けた。

「となると、残りは我々と第06チーム、第05チームだが………」

「そうですね……ちょっと、怖い、ですよね……」

「あんまり考えたくもねー話デス……めんどくさそうな予感がプンプンしやがるデス……」

「……そうか。なら我々第07チームが請け負おうか」

「ほう、サムライガールが引き受けてくれるか」

「究極装備が充実している第07チームでしたら、任せても安心でしょう」

 と、意見がまとまろうとした時だった。

 

 バーッ!バーッ!バーッ!

 

 

「なっ、何事ですか!?」

「た、たた、大変モシュ~!!また炎上したモシュ~!」

 モシュネが駆け付けてきた。

「はぁ!?またなのモシュネ!?……てか、それアニメの話じゃないの?」

「そう思ってモシュたが、どうやらアインス隊長さんが『アニメよかったけど作画は……』みたいなことツイッターに言ったらしくて、そこから不正ウイルス攻撃を受けてメモカが爆発したモシュ!」

「は、はぁ!?俺のせい!?」

 天音の膝でうたた寝していたアインスが目を覚ました。

「アインス!アンタなにやらかしてくれてんのよ!?」

「いだだだ天音ちゃんストップ!ほんとにそれ俺が原因なの!?モシュネちゃんの不手際じゃなくて!?」

「ううう……ひどいモシュ……毎日大量のメモカの管理を、文句ひとつ言わず引き受けるモシュネのせいにするでモシュか………」

 モシュネが泣き出すと、全員の視線がアインスに集まった。

「………はい、すいません、ワタシガワルカッタデスー……」

「分かればよろしいモシュ」

「……それで、被害があったメモカは?」

「それが、第07チーム全員のメモカモシュ。バックアップは取ってあるから修復はできモシュが、しばらく時間がかかりそうモシュ」

「そうですか………となると、ほかのチームの協力が必要ですね………」

「うっ……」

「ひっ……」

 全員の視線が、シャルロッテと椿芽に集まった。

「……シャルロッテさん」

「な、なんデスか……?」

「………ごめんなさい!引き受けてくださいませんか!」

 椿芽は、ぱんと手を合わせた。

「な、なんデスか!?そ、そんなに嫌なんデス……?」

「じ、実は……」

 椿芽は、シャルロッテに耳打ちをした。

「………はぁ!?映画の鑑賞会をする!?」

「実は、前から第06チームの皆で、楽しみにしていた鑑賞会の予定があって………皆5日前からそれぞれDVDを用意していて、明日明後日の鑑賞会を楽しみにしていたんです!ですから……」

「………そ、そこまで言われたら、仕方ねーデス……不本意デスが、第05チームが引き受けてやるデス」

「ありがとうございます!シャルロッテさん!」

「……助かる。我々第07チームも、メモカの修復が終わり次第、すぐに援護に向かわせてもらう」

「………話は、まとまったようですね。……では、シャルロッテさん。すぐに第05チームに事情を説明し、明日の9時から、出撃してください」

「………わかったデス!」

 

 

 

 

「………くう、あそこで断っておけばよかったデス……」

「いや、それよりもモシュネちゃんが炎上を阻止できれば……」

「………って、炎上の原因はテメーデスアインス!しれっと他人のせいにしてんじゃねーデス!」

「俺何もしてないって!?」

「二人ともケンカしている場合じゃありませんでしてよ!」

「………見えた!あれが、砦!」

 ターニャが指差した先には、50mもの高さがある、古い石造の砦があった。

「よしっ!あそこに逃げるぞ!」

 

 

ばたん。

 ターニャが、砦の扉をぴったり閉じた。

「………」

 大きな足音が止まり、静かになった。

「どうやら、バケモノは去ったようですわね………」

「し、死ぬかと思ったデス………」

「も、もう走れない……フェイちゃん、膝枕して~」

「フェイちゃんも疲れた~お~たいちょ~、よしよし~❤」

「甘やかすんじゃねーデス!だいたいコイツの……」

「あー、まあとりあえずさ、危機も去ったみたいだし、一旦状況整理したほうがいい感じ、だね」

 モニカが言った。

 シャルロッテたちが転がり込んだこの砦には、埃だらけのベッドに、椅子に大きなテーブル。さらに黒板も壁に埋め込まれていた。

「なるほど、な……休息をとりつつ、ここを作戦会議の拠点にするには打ってつけ、というわけだな」

「む……確かに……」

「じゃあ、隊長さんに作戦指揮をお任せします」

「よっしゃあ任せて!」

 アインスは、フェイの膝から降りてテーブルに座った。

 

 全員が椅子に座り、アインスは厳かに言った。

「うむうむ、ではポンk……アマンド調査隊の作戦会議を行う!」

「オイ今なんて言ったデス?」

「ゲフンゲフン。……ではまず、調査対象……あの妖魔の情報を整理しようか。誰か、データを取っている人は?」

「はーい。たいちょーさん。ちゃんと走りながらだけど写真撮ってあるよ~」

 モニカが、パトリのカメラで画像を撮影していた。

「………身長約16m。オディールの言っていた通りだね」

「この妖魔……いつものマギレオブリタイプではなく、人型なんですのね。二足歩行で手足も人型ですわ」

「サイクロプス……!巨人族、かもしれないです」

「待ってね、奴の上半身を写した写真もあるよ~」

 モニカが、巨人オブリの上半身を映し出した。

 

 真っ赤な牙。大きく突き出た2本角。そして、真っ白な顔。2つの黄金の瞳は、すべてをにらみ殺す眼光を放っている。

 

「ひぃぃぃぃ!!!!」

「いやああああ!やだー!フェイちゃん食べられちゃう~!これがほんとのおに~!」

「なんと禍々しい……!まさに魑魅魍魎、悪鬼の類ですわね!」

「2つ目………」

「……あれ、でもこの妖魔……これお面じゃない?」

 巨人オブリは、体の色は青い紋様でおおわれているが、顔と後頭部の間に継ぎ目があり、顔がお面のようになっていた。

 

「…………あの、さ」

「ん?どうかした?たいちょーさん」

「この妖魔………見たことあるわ………」

 隊長が言った。

 

「えっ!?まじ!?」

「俺が見たのはこいつの亜種なんだけどね………こいつは『合わせ鏡の二等身般若』の亜種……さしづめ『合わせ鏡の八頭身般若』といったところか………」

 

「般若……?確か、日本の伝統芸能『能』で用いられる、悪鬼のお面のことデス?」

「二頭身ってなに!?あれの二等身がいたの!?」

「えーと、アマンドが我々の前に来る前の出来事だったしなぁ……そもそもあれって都市伝説だったしどこから話せばよいものか……」

 隊長が頭を抱えた。

「二頭身般若………気になります。日本の伝説、聞きたいです」

「詳しいことはサトカちゃんにでも聞いてくれたら……あ、画面の前の隊長さんはイベントプレイバックの2015年4月の協力戦やエピソード1をみてね!」

「誰に言ってやがるデス」

 

「……じゃあ、たいちょーさんなら、こいつと戦った経験があるでしょ?弱点とかあった?」

「弱点も何もなぁ……相手もパワーと以上に速いスピードでごり押してくるばっかりで、隙も弱点もあったもんじゃなかったから、まあパワー勝負だったよね以前は」

 

 

「………つまり、なんデス?あの巨大なバケモノ相手に、パワーで勝負しろっていうデスか」

「ま、まあ、ね……?」

 隊長は、明後日の方向を見ている。

「ふざけんじゃねーデス!こっちはターニャ以外全員早熟SRメモカしかねーデス!」

「私も、収束していないSR究極装備です……」

「やだー!こんなとこでしにたくないー!フェイちゃんおうちかえる!」

「フェイもこないだの調査の時と同じこと言ってんじゃねーデス!」

「もー、ロッティ落ち着きなって~。あ、お茶にしない?」

「そうですわね……慌ただしくて疲れてたんですの。今紅茶を用意しますわね」

「のんきに何やってやがるデス!!今すぐ撤退の用意!こんなところで足踏みしていたら、周りを取り囲まれて総崩れデス!」

「………気持ちはわかるが、ここは落ち着こう」

 アインスは、静かに言った。

「伍長……?」

「せっかく調査を任されたのに、成果なしで即撤退っていうのは、さすがに早すぎると思うんだ。もちろん、シャルルちゃんが命を最優先する判断も間違ってはいないけどね」

「………では、どうするんデス?作戦はあるんデス?」

「もちろん。こう見えて僕は別のチャンネルでとある王国の軍師をやっていたことがあるんだ。抜かりはないよ」

「………(こいつ、どこかで……?いや、気のせいデス)」

 

 エテルノ

「へ、へっくし!」

「も~、伊緒ちんったら、花粉症?」

「そ、そうなのかな~……気を付けないとなぁ」

 

 

「………まずは、この島全体の地図を入手しないといけない」

 島のマップは、外側の浜辺を除けば、大きな森林がおいしげっているうえ、霧に覆われているため、いまだに島の全容がわかっていない。

「まず、島の全容を把握できるよう、高台に上って地図を撮影する」

「高台、ですか?」

「霧の視界から考えて………島を6つのエリアに分けて6つの高台から地図を入手する」

「ふむ」

「加えて、島の妖魔の生態を観察する。いずれにせよここまで凶暴な妖魔は放置しておくと危ないだろうから対処することにはなるが、まずは発生源やのちの戦いにおけるデータ採取を最優先にしよう」

「おー、さすがたいちょーさんだね!あったまい~♪」

「戦わなくていいなら、フェイちゃんも賛成かな?」

「私は、隊長さんの作戦でいいと思います」

「どうですの?シャルロッテ」

「…………仕方ねーデス。非常にシャクデスが、戦力が不足している以上偵察任務に移行せざるを得ないのは納得したデス。………なら!」

 シャルロッテは、立ちあがってて高らかに叫んだ!」

「アマンド・フォーマルハウト調査団!作戦決行デス!!!」

「お~!!!」

 

 

 

 

 調査開始から2日目

「………よし、そ~っと気配を消して歩くデス……!」

「見つかったら、タダではすみませんわよ………!」

「………にゃ~……」

 シャルロッテたちは、そっと島を行軍していた。

「………ん?」

 アインスは、ふと前を見上げた。

「!」

 ノエルのスカートが、背中の銃にひっかかってめくれていた。黄色い下着が、ちらりと見えている。

(なんという状況だ……ここでこのまま教えてあげたら全員パニックになって声が出てしまう)

 ちなみに、ノエルの前にはシャルロッテを先頭にフェイ、ターニャが一列に並んでおり、後ろはモニカだけだ。

(そうだ、モニカちゃん、それとなく俺が気づいてないふりをするから教えてあげ……)

 と、隊長はモニカに目線を送った。

 しかし、モニカは、なぜか悪魔のような笑みを浮かべながらにやにやしているだけだ。

(たいちょーさん、どうするのかな~?)

(モニカちゃんやめろおおおおおお!!!こういうところでそういう『面白そうだから放置してみる』プレイはいらねえからああああ!!!)

 しかし、何度目でやり取りしてもモニカはそっちがやってと動く気配がない。

(……仕方ない、放置するか………)

 と、隊長が思ったが、やはり何回目をそらしても目の前がパンツなので絶対に視線がそっちに行ってしまう。

(気づけノエルちゃんんんんん!!!!!頼む、それ以上は隊長の股間が危ない……!)

 しかも風向きが変わって、隊長の鼻にノエルの甘い香水の匂いが届いてくる。

(まずい……これ以上は耐えられん………ならば!)

 隊長は、走り出した!

 

「ん、伍長、どうしたデス?」

 と、シャルロッテが振り返った時だった。

 

 ぺたっ。

「ひゃっ!?」

 隊長が、とびあがって前足でスカートの乱れを直した。

 

「きゃ、きゃああああああ!!!!!エッチスケッチワンタッチ~!!!!」

 島中にノエルの叫び声が響き渡る。

「ちょっ、ノエルちゃんそんな大きな声出したら」

「隊長さん、見損ないましたわ………まさか、こんな重要な任務中に、お尻をお触りになるなるなんて……!」

「言い方!!言い方!!えと、これには深いワケが………」

「伍長」

 冷たい声が、隊長の背後に響いた。

「ひいぃ!?」

「軍の規律を破るということが……どぉ~いうことかわかってるデス?」

「いやあの、スカートがめく」

「言い訳無用デス!!!貴様今すぐ営倉入りに……」

 

 ドスン!

 

「!」

「………ま、まさか……」

「……来ます!」

 霧の向こうに、足が見えた。

「い、い、い……」

「いやあああああああああ!!!!」

 全員が、全速力で逃げ出す!

 

「アアァァアア!!!!!!!!」

 八頭身般若は、猛烈なスピードの全速力ダッシュで追いかけてくる!

「いやいやいやいや!!!!もう嫌デス~!!!」

「とにかく走れ走れ~!!」

「走るってどこへ?!」

「とりあえず、猫ヒゲレーダーだとあっち!建物があるはず!」

「隊長、捕まって」

 ターニャに隊長がつかまる。

「それもこれも、全部あんなところでハッスルした隊長さんのせいですわよ!」

「してないよ!?いやまあちょっとはしたかもしれないけど……」

「キサマもう絶対許さねーデス!!前回に続き今回までも!」

「ひぃ、ひぃ~!もうむり~!」

「……見つけた!走って!」

 ターニャが砦を見つけた。

 

 

 

「………し、死ぬかと思ったデス………」

 なんとか砦に入り、ターニャが扉を閉めた。

「本当ですわね………あんなところで声を出さなければ、見つかることもありませんでしたのに……誰かさんのせいで!」

「ぐすん、皆が理由も聞かずにいじめるよ~」

「おー、よしよし、フェイちゃんは何があってもたいちょーの味方だよ❤」

「とりあえず~、砦には入れたんだし、まずはオッケーじゃない?この近く、小高い丘があったから、そこで地図ゲットできるかも!」

「元はといえば………モニカちゃん……」

 隊長はそう言いそうになったけどやめた。

 

「………」

「? シャルルちゃん?」

「近寄るなデス、下郎」

「うっ……」

 もしかして、本気で怒ってる……?

「たいちょー、ロッティが機嫌悪いときは、そっとしておいたほうがいいよ?」

「でも………」

「みんなー、ここの蔵って、食糧庫みたいだよ!干し肉も水もいっぱいある!」

「ん、それはあつらえ向けデス……全員、一時間食事と休養の時間をやるデス。すぐに済ませるデス」

 シャルロッテは、それだけいうとすぐに食糧庫のほうに行った。

 

 

「………まあ、わざわざそれを直しに、あのときとびかかってきたんですの?」

「うん、まあ………ごめんね、ほんとうに」

 干し肉と干しぶどう、水だけの簡素な食事をしながら、隊長はノエルに事情を説明していた。

「まあ、それでしたら、言ってくださればよかったですのに……わたくしこそ、とんだ誤解をしておりましたわ。さすがは隊長さんは、紳士でいらっしゃいますのね」

「いやあ、ほんとごめん……」

「も~、だからフェイちゃんはたいちょーが正しいって言ったじゃない?ノエルもロッティもひっどーい!」

「…………あむっ、ぐぐ…」

 シャルロッテは、必死で干し肉を嚙み千切って食べていた。

「ろ、ロッティ?」

「時間はあまりねーデス。少し休んでくるデス」

 シャルロッテは、早々に食事を済ませると、皿を片付けて席を立ってしまった。

「………あのさあ、フェイちゃん」

 隊長は言った。

「ん?なぁに?」

「俺謝ってきたほうがいいかなぁ?」

「あー………気にしなくてもいいんじゃない?ロッティがああなるのいつものことだし」

「でも、シャルロッテさん、何か思いつめたような顔してました……心配です」

 ターニャが言った。

「……俺、ちょっと行ってくるよ」

「うん、いってらっしゃーい」

 

 

「………」

「シャルルちゃーん」

 シャルロッテは、倉庫の奥、暗い場所でたたずんでいた。

「その、色々、ほんとにごめん……」

「伍長」

 シャルロッテは、隊長の前にしゃがんだ。

「怒ってるわけじゃ、ねーデス」

「シャルルちゃん?」

「私は……悔しかったんデス」

 シャルロッテは、隊長を抱きしめた。

「私は、リーダーとして、統率者として……キサマが羨ましいデス」

「俺が?」

「私は……何度も帝王学を学び、軍の上に立つものとして、戦術やその心構えも学んできたデス……デスが、いざ実戦となると、どうしても、腰が引けてしまう自分がいて……現に、戦うべき戦場で逃げることを選んでしまったデス」

「ああ……最初の砦で撤退を提案したこと?別に、それは戦術としては正しい判断だったとも思うし、いいと思うけどなぁ」

「戦場で、平静を乱されることがなく、常に目標のみを見据え自分のペースを貫き戦うこと……それを、私はできなくて、伍長はできる」

「シャルルちゃん……別に、俺は」

「勘違いしてんじゃねーデス」

 

 がしっ。

 シャルロッテは、隊長の頭を掴んだ。

 

「ひっ……!?」

「さっきはよくもノエルにセクハラして軍を乱してくれたデス……!危うく巨人のエサになりかけたデス」

「あ……それは大変申し訳ありませんでした……」

「そればかりじゃなく、普段からえらく恥ずかしい恰好を着せてくる、昼寝ばっかりして遅刻してくる、女の子を口説いてばっかりで任務中でもおちゃらけている……キサマは軍にいたら、絶対ロクなことにならねーデス」

「か、返す言葉もございません………」

「……でも、お前の能力は、私は高く評価しているつもりデス。……悔しいんデス。私はまだ未熟で、伍長のようなフザけたヘンタイにも、足元に及んでないくらいデス。……だから!」

 シャルロッテは、隊長の身体を持ち上げた。

「私は決めたデス!この任務の中で、死ぬ気で学び取ってみせるデス!いつか、お前に負けねーくらいの、優秀な指揮官になるため、力の限り戦い抜いて見せるデス!」

 

「………ふふっ、そうこなくっちゃ。やっぱ、皆の心配も杞憂だったね」

「なっ……あいつら、なんか言ってたデス?」

「ううん、ちょっとシャルルちゃんが落ち込んでたみたいに見えてたから、心配だねーって」

「べ、別に落ち込んでねーデス!少し虫の居所が悪かっただけデス!」

「ふふ、だと思ったよ。シャルルちゃんは強い子だもんね」

「あ、当たり前デス……!ってキサマ!頭をなでるのやめるデス!/////」

 それでも、隊長は頭をなでるのをやめない。

「……ほらっ!そろそろ休憩の時間も終わるデス!さっさと任務を始めるデス!」

「あいよー」

 

 

 そして、休憩が終わり、シャルロッテたちは再び歩き出した。

「おっ!たいちょー!なんか見えるよ!」

「なにか、光ってます………」

 フェイが指差した先には、淡い光を放つ祠のような何かがあった。

「これは……洞窟?」

「でも、入り口が閉まっているです……開きそうにないデス」

「あっ、なんかここにミニテーブルみたいなのがあるよ?」

 モニカが指差した先には、小さな台。ピコン、ピコンと青い光が点滅している。

「……なんか、見覚えがあるような気がするデス」

「なんか、クレジットカードを置く機械っぽいよね」

「じゃあ、こうやってパトリをピッてやったら、扉開いたりして~」

 モニカが、ふざけてパトリを台の上にかざした。

 

 『ニャオン!』

 

「!?」

 突然、パトリが反応し、音声が流れた。

「あ~!な、なんか残高が減った!?」

「なんでこんなところでプリベイトカードが反応するんデス!?」

「って、見て!」

 すると、祠の光が反応し、ビクとも動かなかった扉が、ひとりでに開いた。

『ロックを解除しました』

「なんかアナウンスついてる!?」

「それより……これは」

「地下階段………ですわね!」

 祠の扉の先は、先が見えないほど長い地下階段だった。

「どこに続いてるデス……?」

「とりあえず、行ってみよう~♪」

 フェイを先頭に、祠の中に入っていく。

 

 祠の中は、まっすぐに続く長い長い廊下だった。

「中は意外とろいひーですのね……」

「ひぃ!?くらいよーこわいよー、たすけてたいちょ~♡」

 フェイは隊長を抱きしめた。

「フェイ、暗いのごとき平気なくせに甘えてんじゃねーデス」

「……向こうに何か見えるね」

「なんですの?」

 すると、淡い色で光る扉が見えた。

「……またここにも、カードタッチの反応があります」

「どれどれ~?」

 モニカがパトリをかざす。

 

『……よくぞこの祠を見つけられましたな あなたたちこそ 粉うことなき 勇気ある者 塔への扉を 今こそ開きましょう~……』

 

「な、なにこれ……?」

 すると、扉が開いた。

「これは……エレベーター?」

「う、動きます!」

 全員がエレベーターに乗り込むと、エレベーターは上へと動き出した!

 

 

「……わあ!」

エレベーターの先は、巨大な見晴台だった。

「おー、いい眺めだね〜」

「島が一望できます……」

霧の隙間から、砦の形や島の地形、森や山の様子が一望できた。

「ノエルちゃん!地図に書いてくれる?」

「お任せくださいな!」

ノエルは、地図にここから見える地形を書き記した。

「まずは第1の目標、達成ですわね!」

「おめでとう!」

「……あれを見るデス!」

シャルロッテが指をさした先には、遠くだが、灯台のようなものが見える。

「あれはおそらく……ここと同じ、塔があるのではないでしょうか」

「おそらくな。数はひぃふぅみぃ...5つ!ここを合わせて6つの塔があるわけか!」

「ってことは、つまり塔を見つければ、ミッション達成ってことだね!」

「なるほど...わかりやすくて結構デス。じゃあ諸君、次の塔を目指して出発デス!」

「あ、その前に……」

隊長は、すぐそばを指差した。

 

 

 

「わ、私たち…!」

「空を……!」

「飛んでるデス〜!!!」

シャルロッテたちは、巨大なハングライダーに乗って空を飛んでいた。

「ちょうど塔の上にこれが置いてあってよかったね!多分島々はこれに乗って移動するのが早いんじゃないかな!」

「空を飛んで移動するとか、普通は考えねーデス!」

「でも、空飛ぶといい景色が撮れるね〜」

「フライングフェイちゃんラ〜ブ❤️」

「高いところ…少し、ドキドキします」

「飛んでる……わたくしたち飛んでますわ〜!」

「お前らうるせーデス!般若が来たらどうするデス!?」

「はーい皆、そろそろ降りるよ〜」

 

 

着地したシャルロッテたちは、ハングライダーを折りたたんでターニャが背負った。

「さて、ここから次の塔まではかなり近いはず……ん?」

隊長がなにかを見つけた。

 

「オブ?」

「オブ!」

原始人のような毛皮の腰巻き。尖った角。木でできた棍棒を手にした妖魔がいた。

「オブリ!?」

「なんか荒々しい見た目をしてるよ!?」

「ブリー!」

謎のオブリは、ターニャに飛びかかる!

「!」

ターニャは、一瞬組み付かれるも、蹴り技ではじき返した!

「ターニャ!大丈夫デス!?」

「荷物……!奪われた!」

野営セットなどが入っているターニャのリュックが奪い取られた。オブリたちは満足げな顔を浮かべながら、取り出したリンゴにかじりついている。

「まあ、なんと野蛮な!」

「この蛮族め!」

「この妖魔は、『蛮族オブリ』と命名しよう……」

「覚悟するデス!蛮族オブリ!」

全員、メモカを使って変身する!

 

「オブ!?」

蛮族オブリたちは、驚いてリュックを置いて逃げ出してしまった!

「航空爆撃!奴らを追えデス!」

「もういい、深追いは無用だ……しかし、あんな野蛮な妖魔がいるとなると、さらに詳しい調査と殲滅作業がいるな……」

「あっ!あいつらお肉焼いてる!」

焚き火には、鍋と焼き魚、巨大な骨つき肉が串焼きにされていた。

「……今夜は遅くなりそうだし、ここで野営にするか……」

「般若は大丈夫デス?」

「俺が見張っておくから、皆はゆっくり休んでて」

「……キサマじゃ絶対寝落ちするのがオチデス。交代で皆で見張ればいいデス」

「デスヨネー……」

「見張りか〜。なんか、星空を見ながらたいちょーとお話しできるって、ろまんちっくだね♡」

「見張りを変なイベントと勘違いすんじゃねーデス。……キサマら、ほんとに任務というものを……」

「それより、お腹すいた〜♡ ノエルちゃん、なんかちょーだい♡」

「焼き魚でしたら……さ、ディナーにいたしますわよ!」

「焼肉と焼き魚でディナーって言われてもな〜……」

「……もういいデス、コイツら……!」

こうして、シャルロッテたちはディナーを楽しんで疲れを癒し、2日目を終えるのであった。

 

 

 

 

3日目。

『端末をタッチしてください』

「ほいっと」

『端末を確認、ロック解除します』

祠の扉が開く。シャルロッテたちは、早朝から活動を始め、昼過ぎになる頃には早くも5つ目の祠を見つけるに至っていた。

「これで塔にも5つ目だね!思ったより早かったかな?」

「任務がスムーズに進むなら、これほどいいことはないデス。この調子なら、今日中に任務は終えられそうデス」

「はい、エレベーター開きまーす」

端末をタッチし、エレベーターを起動する。

 

「……はい、5つ目の地形、攻略ですわよ!」

ノエルが地図を見せた。

「……島全体の周りは、全部見えてるんだね」

「本当デス、島は、よく見ると五角形に見えなくもなく……まだ地図に残せてないのは、霧が濃い中央だけデス」

「中央の塔は、塔の上からなら見ることができますから、おおよその方角は分かりますわ。……そして、もう1つ」

ノエルは、地図を指し示した。

「その真ん中の塔を覆うような形で……砦が五角形に囲んでありますの。さらにその砦の周りに砦。そのまた砦の周りにも砦。三重に砦が護っておりますの」

「一体、なにがあるっていうんだ……?」

「……全ては、真ん中の塔にいけば謎は解けるデス。お前たち、準備はできてるデスか!?」

「おっけー!ロッティ」

「フェイちゃんは、いつでもばっちりだよん♪」

「こちらも、準備できてます」

「わたくしも問題ありませんわよ」

「……じゃあ、行こっか」

「アマンド・フォーマルハウト!出撃するデス!」

シャルロッテたちは、最後の塔に向かって飛び立った!

 

 

 

 

 島の中央は、砦で囲まれているうえに、風もなく常に濃霧に包まれている。

 シャルロッテたちは、砦の門をくぐり、たいまつを掲げながら先へと進む。

「霧が濃いですわね……まさにゴリ夢中ですわね」

「いやー、それたぶん違うと思うけどなーポンコツお嬢」

「なんですって!?」

「お前ら、巨人の気配に気を付けるデス。気づくのが一瞬でも遅れれば命取りデス」

「でも、朝のうちはなぜか一体も出くわさなかった………気になります」

 ターニャが言った。

「怖いこと言うんじゃねーデス……お前たち、早く祠を探してこんな島からとっととオサラバするデス」

「……あっ、光るものがありましたわよ!」

 ノエルが指差した!

「ほんとだ……!霧が深くてよく見えないけど……」

「行ってみるデス!」

 シャルロッテたちは、光の方向へ向かっていった。

 

「祠だほこら~♪」

「鼻歌うたってんじゃねーデ……ス……?」

 祠、と思われた場所には、なぜか黄金色に輝く巨大なラフレシアのような植物が生えていた。

 

 ポロンポロンポロン~………♪

「どこからか、ハープの音色と、賛美歌が聞こえてきます……!」

「んなわけねーデス、ってか、なんデスこの植物は」

「なんか、花の真ん中が泉みたいになってるね……」

「じゃあ、なんか投げたら金のアイテムになったりしないのかな、たいちょー!?」

 フェイが目を輝かせた。

「何馬鹿なことを言ってるデス、女神がいるとでもいうデス?」

「じゃあ期待を込めてレアダイヤ一個あげる」

「ありがとうたいちょー♡ ……えいっ!」

 フェイがレアダイヤを泉に投げた!

 

 ゴゴゴゴゴゴ………

 

「な、なんデス!?」

 すると、泉から、何かが飛び出した。

 

「アッハァ~ン♡」

 

 濃ゆい口紅で化粧をした、八頭身般若だった。

「で、で、でたー!!!!女神!」

「女神じゃねーデス!!一番出たら困る奴デス!!」

「しかも下半身ヒョウ柄のハイレグレオタードってどんなセンスしてるんですの……!?」

「ノエルもしょっちゅう私服でヒョウ柄着てるじゃん」

「あの、皆さん」

 ヘンタイ極まりない八頭身女神般若は、地面に着地した。

 

 

「に、に、逃げるデス~!!!」

 シャルロッテたちは、全員猛ダッシュで逃げ出した!

 八頭身女神般若も全力で追ってくる!

「ひい、ひい……!追いかけられるのはもうこりごりです~!」

「見て!あいつ内股で肘を腰につけながらぶんぶんして走ってる!きもい!」

「あいつは………奇行種だ!」

「テメエそれが言いたかっただけデスアインス!とにかく全員逃げ延びるデス~!」

 全員、猛ダッシュで走った。

 

 

「ぜえ、はあ……ようやく逃げきれたよぉ~」

「霧の濃いエリアから外れたようですね……」

「はぁ、もう、走れませんわ………」

 シャルロッテたちは、地面に倒れこむように寝転がった。

「ここ………建物がありますわね。まるでヨーロッパの街並みのよう……」

「道路も舗装してあるし、まるでしばらく前まで人が住んでいたかのようだ」

「ここも記録に残しておかないとね」

 モニカが写真を撮る。

「………フゥ、フゥ……」

「シャルルちゃん、息が上がってるよ……?さすがに、無理しすぎたんじゃ」

「このくらい、なんでもねー、デス………それより」

 シャルロッテは、立ちあがった。

「また来るデス……足音が!」

「なっ……!?」

 ズン……ズン……と、重い足音が、色んな方向から迫っていた。

「足音………ひとつではありませんわよ!?」

「何体も……四方八方から!」

「ひぃ……フェイちゃん怖いよぉ………」

「よしよし………とはいえ、まずいな、こりゃ」

 アインスも、ごくりと唾をのんだ。

「……きたデス」

 

 一体。二体。三体。四体………

 霧の中から、四方八方を取り囲むように、巨人たちがゆっくり姿を現した。

「八頭身……般若!」

「数は………12体!」

「あんなバケモノがそんなにたくさんいるんですの!?」

「そ、そんな………」

 

 怯えるモニカに、シャルロッテが背中をたたいた。

「諦めるんじゃ……ねぇデス!!!ここで諦めても、意味がねぇデス!!」

 

 シャルロッテは、変身した!

「あの頃を思い出すデス!どんな絶望的状況下でも、諦めることなく任務を遂行していった、最強チーム《アマンド・フォーマルハウト》の真の姿を思い出すデス!ショコラ―デ・ミラに敗北し、アインスのもとに下った今でも!いや、今だからこそ我々は真のメモカの力を解き放つことができるデス!心を曇らすな!前だけ見て前進しろデス!!!!」

 

「ロッティ……」

「私が命ずるデス………全軍!道を切り開け!前進して勝利を掴めデス!!!」

 シャルロッテは、跳躍して突撃する!航空機や空母を召喚し、突撃させていった!

 

 

「……そうだよね」

「ここでわたくしたちが諦めては………」

「アマンドのプライドってもんがないよね!」

「続きましょう!皆さん!」

 ターニャたちも変身し、突撃していく!

 

 

「フェイちゃんの一撃……とくとご覧あれ!」

 フェイが『雲影旋刃』で巨人を切りつける!

「これでハチの巣にしてやりますわ~!」

 ノエルが『スピニング・ダンサー』で4方の八頭身般若に砲撃する!

「ファイヤー!!!」

 モニカが『モーニング・キャンディー』で八頭身般若の眉間を打ち抜いた!

 

「………って、あれ!?」

 シュウゥ……と煙が晴れると、モニカの弾丸は、般若にはあまり効いていないようだった。

「うそ、わたくしもですわ!?」

 般若たちは、弾丸にビクともしていない。

「オオオオオォォ!!!!!!」

「ひぎゃあ!?」

 フェイが蹴り飛ばされて吹っ飛んだ!

「フェイちゃん!」

「ううー……フェイちゃんの一撃も効いてないの~……?」

「怯むなデス!全く効いていないワケがねぇデス!諦めず撃ち続けるデス!」

「なら、私の一撃なら……!」

 ターニャは、究極装備に身を包んだ!

「ニェット!!!!」

 強烈な『シャイニング・ゲート』の拳が、八頭身般若のみぞおちに叩き込まれた!

「オオォ……!」

 ズシィン……と一体が倒れた!

「いけます!シャルロッテさん!」

「油断するなデス!まだ周りに!」

「!」

 6体の八頭身般若が、ターニャを取り囲んだ!

「くっ、数が多い……でも!」

 ターニャが蹴りやナックルで攻撃するが、3体がかりで地面に抑え込まれてしまう。

「ぐっ……放せェ……!」

「ターニャ!!今助けるデス!」

 ターニャが、全爆撃機を八頭身般若に向けた!だが、

 

「オオオオォォ!!!!!」

 シャルロッテの爆撃に、怯むどころか全く効いている様子もなく、拳で爆撃機を叩き落としてしまった!

「ロッティ!」

「くっ、まだまだぁ!!」

 シャルロッテは、爆撃空母を呼び出して突撃させる!

「アアアァァ!!!!」

 だが、八頭身般若は、ジャンプして飛び乗った!

 群がるように1体、2体、3体と組み疲れて、空母は爆発してしまった!

「……まだ…ッ!」

 すると、ドスドスドスと、超高速で後ろから般若が襲い掛かってきた!

「ッ!」

 ボディアッパーで上空に勢いよく吹き飛ばされる!

「ああああーっ!!!」

「シャルロッテさん!!!」

 

 シャルロッテは、薄れゆく意識の中で、虚空を舞いながら言った。

「まだ……終わっちゃ、いねぇ、デス……!」

 空中で、般若がシャルロッテをがっちりキャッチした。

「キサマらは私がいねぇと………なんにもできねぇデス……」

「ロッティ!!!」

「まだ諦めちゃいねぇデス……まだ、ここで……!こんなところで……!」

 般若が、牙が光る真っ赤な口を開いた。

「ぬぅああああああ!!!」

 ターニャが力ずくで抑え込んでいた般若を蹴り飛ばし、シャルロッテに駆け寄る!

「こんなところで、死んでたまるかデス」

「シャルロッテさあぁん!!!」

 ターニャが届かない距離の手を伸ばした瞬間、シャルロッテは口の中に放り込まれた――。

 

 

 

 

 

「私の友達は――――、絶対にやらせはしません!!!

「貴様ら悪鬼に所業も、ここまでだ!!!」

 ふっ、とシャルロッテの身体が、般若の頭上から消えた。

 代わりに、ズバッと般若の首から上が飛んでいった。

 

「なになに!?何が起こったの……!?」

「シャルロッテは……!?」

「あ、あれは……!」

 倒れたシャルロッテを、誰かがそっと地面に寝かせた。

 

 

「よく………ここまで耐え抜いてくれたな。感謝する」

「遅くなっちゃって、ごめんなさいね」

「おまたせっ!チカたちが来たよ!」

「ここは任せて、皆さんは隊長さまをお守りしてください!」

「あたしたち……第07チーム《ショコラ―デ・ミラ》が、妖魔たちを倒して見せます!」

 あおい、栞、チカ、夕依、ほたるの5人が、究極装備に身を包んで対峙した!

 

 

 

「賢宮……ほた、る……」

「シャルロッテさん……本当に遅くなってごめんなさい。シャルロッテさんの作ってくれたわずかなチャンス……絶対に無駄にはしません!」

 

「ふう、間に合ってよかったよ」

 隊長が、ほっとためいきをついた。

「もしかして、隊長さんが呼んでくれたの!?」

「昨日の深夜に、ティエラ先生とモシュネちゃんから連絡があったんだ。明日の昼過ぎにはメモカの修復が完了しそうだから、終わり次第すぐに来てもらうようにって。ほんとは明日から来てもらおうかとも思ったけど、念には念を入れておいて正解だった……」

「その判断は、正しかったようだな、隊長」

 あおいは、ぐっと親指を上げると、隊長はニヤッと笑った。

「チョベリグですわ隊長さん!」

「つっこみたいところだけど今回はフェイちゃんも同意!」

 

「さぁて……栞、いけるな?」

「任せて頂戴。腕が鳴るわね」

「皆さんのご活躍で、敵も疲弊しています。畳みかけましょう!」

 

「まかせて!……いくよっ!!そらそらそら!!」

 チカが『錦鶏宝来大輪華』で敵に怒涛の爆撃を放つ!

「悠久の……グレイシア!!!!」

 栞がビームの矢で複数の般若を一斉に狙撃する!

「《陣ノ式》………踊蹴召喚!」

 夕依が式神を召喚し、疲弊した般若を襲う!

 

 

 あっという間に殲滅されていく敵を見て、ノエルたちは言った。

「……すごい。さすがわたくしたちを倒したチームなだけありますわね……」

「ただ強いだけじゃない………メモカの使い方も……チームワークも、完璧」

「よく見ておけデス………あれが、アインスの実力で出せる真のメモカの力……今の私たちになくて、アイツらにあるのは圧倒的な『戦闘経験』………!」

「チーム歴なら私たちのほうが上じゃない?って言いたいけど……踏んできた場数の『重さ』っていうのかな?」

「アイツらには………全員、覚悟とそれに見合う強さがあるデス。私は……あいつらに、助けられなくてもいいくらい、むしろあいつらを助けてやれるくらい、強くなりてーデス……!」

 私は、あいつらに、何度も救われてばかりデス。モルガナの下で敵として戦っていた時も……今の子のエテルノにきてからも。

 

 

 

 

 

「………これで、全部か?」

 12体いた八頭身般若たちは、全員倒し、無人の町に平穏が戻った。

「よかったよかった~!これで任務を終えて帰れるよ~!」

「ああ、もともと私たちがやる予定だったんだ。任務は引き続いて私たちがやるから、第05チームは先に帰っても………ん?」

 あおいが、何かに気付いた。

 

「オブ?」

「あれは、蛮族オブリ?」

 なぜか、蛮族オブリが、建物の影からこちらを見つめていた。

「こないだ逃げたやつらか?」

「4体……間違いないです」

「なんか、ブタさんみたいで可愛いオブリだね!」

「気を付けたほうがいいよ~。あれも厄介な妖魔だから」

「そうか。ならあいつも今のうちに倒して……」

 あおいが剣を抜いた時だった。

 

「ブオォ~!!ブオォォォ~!!!!」

 蛮族オブリは、角笛を吹いた!

「角笛!?」

「ねぇ、なんか向こうの様子が変だよ!?」

 蛮族オブリの角笛の音に反応し、地面が盛り上がる!

 地面から、八頭身般若が次々に現れた!

「なに!?また八頭身般若だと!?」

「懲りない連中ね……!」

「待ってください!おそらく……あの角笛が巨人の妖魔を呼び出す力を持ってるんじゃないでしょうか!?」

 ほたるが言った。

「なるほど………ということは、あの蛮族オブリを倒さない限り、こいつらは何度でも沸いてくるということか」

「少々、この数の妖魔を相手にするのは、骨が折れますね………」

 

「……なら、ここは私たちに任せるデス」

 シャルロッテが言った。

「そうそう!アマンドにもいいとこ、作らせてよね!」

「私たちでも、やれること、あります。手伝わせてください!」

 フェイ、ターニャ、モニカ、ノエルがうなづいた。

「シャルロッテさん……!? 休んでいなくて大丈夫なの?」

「あの程度の攻撃でやられるほど落ちぶれたつもりはねーデス。それに、ここは……私に作戦があるデス」

「作戦……?」

 シャルロッテは、全員に耳打ちをした。

 

 

 ぞろぞろと増えていく八頭身般若たちを前に、第05チーム、第07チームが構えた。

「行くデス!作戦通りに……突っ走るデス!」

「らじゃー!!!」

 シャルロッテ、フェイ、モニカ、ノエルの四人は、敵に向かって走り出した!

「道を開けるデス!」

「分かりました!」

「行くわよ皆っ!」

「おっけ~!」

 最初に、夕依、栞、チカが強烈な砲撃を浴びせて中央を攻める!

 

「はあぁぁぁぁ!!!」

「たああぁぁぁぁ!!!!」

 敵の中央の布陣が乱れたところに、あおいのURの力とターニャの究極装備の攻撃力でさらに敵の群れに穴を開ける!

 

「この地形なら、壁を伝ってどこへでも移動できる!」

 ほたるが、チェーンフックを使って町の建物の壁を伝って空を移動する!

「皆さん!見えました!向こうへ逃げようとしています!」

 ほたるが、蛮族オブリの場所をシャルロッテたちに伝えた!

「ノエル!」

「逃げようたって、そうはイカの金時計ですわ!」

 ノエルが、蛮族オブリの逃げ道に砲撃をしかける!

「ブォォ~!!」

 さらに3体八頭身般若が出現し、行く手を阻む!

「シャルロッテさんたちの邪魔はさせないんだから!」

 ほたるは、手裏剣を放ち般若を一体撃破する!

「シャルロッテさんの道は」

「私たちが切り開く!」

 ターニャとあおいが、八頭身般若を蹴り(斬り)倒した!

 

「このチャンス、いただきっ!!」

 フェイが、1体目の蛮族オブリを切り裂く!

「調子に……乗らないでよねっ!!!」

 モニカの弾丸が、2体目の蛮族オブリの眉間を貫いた!

「さぁ、エレガントに行きますわよ!」

 ノエルの連続砲撃で、3体目の蛮族オブリがハチの巣になる!

 

「シャルロッテさん!忘れてました!」

 ほたるは、シャルロッテに小さな何かを投げた!

「これは……メモカ!?」

「メンテナンスの途中で、偶然見つかったんです!シャルロッテさんのメモカですよ!」

「………ふん、あのポンコツ掃除機も、たまには役に立つじゃねーデスか……!」

 シャルロッテは、手を伸ばしてメモカを受け取った!

「確かに受け取ったデス!……メモカ、インポート!!!」

 シャルロッテは、『究極装備』に変身した!

 

 

「最後の一撃デス!……食らえ!プリンセス・バーニング!!!」

  シャルロッテは、ステルス戦闘機を呼び出した!

 

「『天穿!!!!ジェットストリイイイィィィィム!!!!!」

 最後の角笛を持った蛮族オブリに向かって、ステルス戦闘機はミサイルを放った!

 

「オブ!?」

 次の瞬間、蛮族オブリと共にミサイルが爆発した!!

 

 

 爆発とともに、角笛が爆発で粉々になった。

「や……やったー!!やりましたよシャルロッテさん!」

 ほたるがぴょんぴょん跳ねて喜ぶ。

「ふふっ……当然デス!」

「いやー、皆大活躍だったね!」

 アインスが喜んで言った。

「お疲れさまでした、隊長さま」

「うんうん、第07チームの皆もお疲れ様!皆よく頑張りました!」

「えへへ~、タイチョーに褒められた~♪」

「ううん、一番は助けを早く呼んでくれた隊長サンと……作戦を考えてくれたシャルロッテさんのおかげだよ!」

 ほたるは、にこやかに言った。

「わ、私、デス……?」

「ああ。集中攻撃による波状攻撃で敵の布陣を裂き、目標の身を一転に攻撃する……シンプル、かつ素晴らしい作戦だった。とっさに思い付いたとしても、常に軍略について考えていなければできるものでもない。さすがは、優秀な指揮官と言ったところだな」

「末葉あおい……」

「ちょっとー、優秀な指揮官は私のポジションなんですけど」

「伍長は黙ってろデス!!!」

「いてー!」

 

「………これが、巨人を呼ぶ角笛の破片ね」

「学園に持って帰って、あとで徹底的に調べさせよう。……もしかすると、例の擬似ステラプリズムとも関連性があるかもしれん」

 あおいは、密封パックに角笛の破片を入れた。

「……さあて、それじゃあフェイちゃんたちはそろそろ帰りますか」

「待つデス。まだ私たちの任務は終わってねーデス」

 シャルロッテが言った。

「え?だってもう帰っていいって」

「せっかくですから、皆さんで一緒にその塔に登ってみたいんですよ!」

 ほたるが言った。

「チカもハングライダー乗ってみた―い!」

「おやつも持ってきましたから、一緒に行きませんか?」

「ほら、チカちゃんも夕依ちゃんも言ってるし、フェイちゃんも行こうよ~」

「ここで帰っちゃったらなんかもったいないって絶対~」

「ううう……たいちょーにノエルまで……!しょーがないなー!」

「これは第05チームが引き受けた任務デス。最後まで、責任をもってやり遂げるデス!」

 第05チームと第07チームは、一緒に最後の祠を目指して歩いた。

 

 

 

「ふ~、ついた!」

 隊長が、一番に塔の上に飛び乗った。

「すごい………!霧が、晴れている……!」

 あれほど濃かった霧は嘘のように晴れ、島全体が塔から一望できるようになっていた。もちろん巨人は、一体もいない。

「こうしてみると、浜辺も山々も森もきれいだし、自然豊かな島なんですね……!」

「それに……巨大な砦と、その中で栄えた町の廃墟。見れば見るほど、謎の島ですわね」

「で、結局この任務で何がわかったんデス?」

「……まあ、それはおいおい分かるんじゃない?俺は無駄だったとは思わないけどな、ね?」

 隊長は、シャルロッテに言った。

「そうだねー。思えば、隊長のあんな必死に助けを求める顔なんて見たことなかったし……♪」

「モニカちゃん!!!マジであの時は焦ったんだぞコラァ!」

「わたくしは、隊長さんとたしなんだ骨付き肉の味、悪くはありませんでしたわよ」

「フェイちゃんは、たいちょーと添い寝できたからぁ……////それで満足かな?♡」

「私も……大変だったけど、隊長さんや第05チームの皆と冒険できて、すごく楽しかった………」

「へー、色々あったんですね!……シャルロッテさんは、どうだったんですか?」

「わ、私は………」

 シャルロッテは、隊長を見た。

 

「………べ、別に、任務は任務デス。そ、それに、コイツがいたせいで、任務に支障が出て、めんどくせーことこの上なかったデス!」

「うう、シャルルちゃんごめんよ~。お詫びに肉球ぷにぷにさせてあげるから~」

「ぎゃっ……テメエ前足を出してくんのやめるデス!た、倒れ……ひぃやあああああ!!」

 シャルロッテは、隊長に押し倒されるように倒れてしまった。

「………!」

「……!」

 自然と、二人の顔が近づく。そのまま、一瞬、時間が止まった。

 

 

 

 

「……伍長、」

 

「あーあー、ロッティはちっちゃいから、隊長くらいの身長でも押し倒されちゃうのか~、ぷくくっ」

「……今、ちっちゃいって言ったデス?」

 ぷちん、とシャルロッテは怒った。

「しゃ、シャルルちゃん?」

「べ、別に身長のせいじゃねーデス!!だいたい、こんな猫ごとき振り回して投げ捨てれるデス!!」

「ちょっ、あっあああああああああ!!! ……あっ」

 隊長は、シャルロッテにジャイアントスイングで振り回されて、そのまま塔の外へ放り出されてしまった。

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

 

 

「た、たた、隊長サーン!!」

「あああタイチョーがぁ!どどどどうしよー!?」

「たいちょーが死んじゃったらロッティのせいだからね!?」

 フェイが責める。

「えっ、いや、あっ……伍長!死んじゃやデス!伍長~!!!!」

 シャルロッテ泣いちゃった。

「猫は高いところから落ちても、大丈夫かもしれないじゃない!皆落ち着いて!」

「と、とりあえず、隊長を探そう!一旦みんな降りるんだ!」

「私、塔の外側にしがみついていないか、外から降りて探してみます」

「木の上にいるかもしれませんわね!隊長さん、いたら返事してくださいまし―!」

「たいちょー!」

「隊長さま~!」

 こうして、シャルロッテたちは、その日は総出でアインスを捜索し、その後ターニャが塔の外側に爪でしがみついていたところを保護され、無事に事なきを得ましたとさ。

 

 

 

 

「…………」

 ざざぁ。ざざぁ。夕焼けの砂浜、彼女は、故郷を離れ、新たな旅立ちを余儀なくされていた。

「……あはぁん」

 さらば、故郷。八頭身女神般若の旅は、これからも続く……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 ……Rメモカだけで戦っていたあの頃が懐かしい……どうも、アインスです。
 このたびは、わざわざアンケートを取ってシャルロッテの話を書かせていただきましたが、スランプに襲われたりやる気が出なかったりとずいぶん前回の話から間をあけてしまい大変申し訳ありませんでした。おかげでアインスチャンネルのメモカ事情を反映して書く小節に、本来登場する予定じゃなかったシャルロッテの究極コスが当たってしまい急きょ登場となりました。(実はチカちゃんのif究極も当てちゃってたり)

 今回のメインは、ズバリ『SR晩成』メモカ!前回の話でもメモカの強さの話はしていましたが、実際隊長さんにはEXRやURメモカ、よくてSR晩成しか使えなくてメモカがない子を育てたくても育てられない思いをしている人が多いのではないでしょうか。
 かくいう私も、本格的に協力戦などへの参加を始めたのはスクストを始めて半年過ぎてからで、それまではURもなくSRとRメモカを使って遊んでいた時期がありました。でも、その間も個人的には天音ちゃんやサトカちゃんと絆を深められて楽しい時間だったので、強さにかかわらずSRメモカに思い入れが強いのです。天音ちゃんの究極でなくて死ぬほど辛かったぞ……あと天音ちゃん総合8位おめでとう!それからあま……あっ、小織ちゃんがすっごい冷たい目でこっちをにらんでいるのでこの辺にしたいと思います。あとがき長々と書きましたが最後まで読んでいただきありがとうございました。小さなことでもいいので感想、それから誤字脱字のご指摘(最近ケアレスミスがひどいので……)よろしくお願いします。感想ほんと何でもいいから送ってね!
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