場所は変わって、レイカーはネロと一緒に修行をしていた。修行をしていたのだが……。
「ね、ねえネロ。これってなんの修行?」
「むっ?何を言っておるのだ?花嫁修行に決まっておるだろ?」
今レイカーがしているのは料理、その前は掃除や洗濯などをしていた。だからエイトたちがいるような外ではなくて、建物の中だった。
「私は強くなりたいんだけど?」
「わかっておる!だが、女ならまずはこれくらいできるようにならなきゃな!」
「私家事なら全部できるんだけど?」
「そ、そうなのか?」
「だから……お遊びはもう終わりよ?」
「ひっ!?」
辺りの空気が一瞬で凍り付いてしまった。レイカーが絶対零度スマイルをすると、ネロは怯えてガクガクと震えた。その震えた声で修行を開始しようと言った。
「ででで、では修行を始める!」
「まずは何をするの?」
「そうだな、余はまだ其方の実力を知らない。だからまずは余と戦おう!」
「わ、わかったわ!」
剣を取ったネロはレイカーに突っ込んだ。ネロの斬撃は早く、避けることが出来ず、ガードすることしかできなかった。そのせいでレイカーの体力は少しずつ減っていった。
このままじゃやられると判断したレイカーはゲイルスラスターで上空に飛び、ネロから離れた。そして手を前に出して、風を作り出して、それを放出した。
「スワールスウェイ!!」
「ぬっ!?」
ネロは驚き、避けるのを忘れて剣で防ぐことにした。風の力は強く、ネロは飛ばされて壁に激突した。
「がはっ!」
「まだよ!はあああ!!」
「ああああ!!!」
ゲイルスラスターを使ってネロに飛び蹴りをすると、ネロは腹を抑えていた。その隙を見て、足技を繰り返し使った。
だが、ネロもやられるわけにはいかないと思い、剣で足を防いだ。そしてそのまま跳ね返した。
「余も少し本気でいくとしよう。我が才を見よ! 万雷の喝采を聞け! しかして讃えよ!開け!黄金の劇場よ! 『
辺りは劇場のようなところに変わり、ネロは突進してレイカーに斬りつけた。剣からは炎が出てきていた。レイカーは倒れて、立ち上がろうして周りを見たときに気づいた。これはエイトと同じ固有結界ということに。エイトとはまた違うが、間違いなく固有結界だった。
「こ、これは……?」
「これが余の技よ!どうだ!参ったかー!」
「ま、参ったわ……」
ネロは固有結界を解除すると、レイカーに手を差し出した。その手を握ってレイカーは立ち上がった。
「其方の力はよくわかったぞ。其方はスピードはなかなかのものだった。あとはそれをどう活かすか……だな」
「そ、それだけ?」
「いや、もちろん他にもやることはあるぞ?だがいっぺんにしても頭がパンパンになると思ったのだ。だからこそ、少しずつ課題を減らしていくのだ!」
「少しずつ…」
「そう焦るでない。きっとエイトも同じことをしておるに決まっておる」
「…そうね」
「うむ!だが、今日はもう遅い。ご飯を食べてゆっくり休んで、明日に備えるぞ!」
「え、ええ」
レイカーとネロは建物の中の空き部屋に入り、休むこととなった。最初はキッチンとかが使えるのか心配だったが、ちゃんと使えるみたいだった。料理はレイカーが作り、ネロは棚に入っていた容器を出したりして準備をしていた。
料理が完成して、椅子に座り、手を合わせた。
「「いただきます」」
ネロはレイカーが作ったシチューを口に運んだ。そしてネロは感動した顔でレイカーに言った。
「うむ!やはり其方が作るものはどれも絶品だな!」
「口にあってよかったわ」
「余もこれくらい料理ができるようになれば……エイトを落とせると思うのだが…」
「ネロ?今何か言った?」
本日2度目のレイカースマイルが出て、ネロはまた怯えた。
「ひっ!?い、いや、余だってエイトが好きなのだ!」
「ネロも?」
レイカースマイルをやめて、ネロに問うた。するとネロは怯えるのをやめて話し始めた。
「う、うむ!余はエイトのことを気に入ったのだ!だからどうにかしてエイトを振り向かせてみたいのだ!」
「ちなみに理由は?」
「構ってくれるからだ!」
「そ、それだけ?」
「今はそれだけだが、余がエイトと関わり続けると、絶対に余はさらにエイトのことを好きになる!そしていつかローマ皇帝の婿として……」
「ね、ネロ?申し訳ないんだけど……」
「むっ?どうしたのだ?」
「私ね、現実世界でエイトと付き合ってるの」
「な、なな、なぬっ!?そ、それは本当か!」
「え、ええ」
「余の恋は早く散るのか…」
「お、落ち込まないで!」
「まあよい!婿は無理でもドキドキさせることは可能だ!あ、そういえば其方のダミーアバター?を見せてくれぬか?メディアのときはなってなかったからだろ?」
「いいわよ」
指でメニュー画面を操作すると、レイカーはデュエルアバターからダミーアバターになった。現実世界のレイカーを初めて見るネロは目を輝かせた。
「おお!これほどの美人だったとは!余といい勝負だぞ!」
「それは嬉しいけど、なんだか恥ずかしいわね」
「其方がこんな美人なら、エイトは美男子だな!」
「ふふっ、鋭いわね。正解よ!」
「おお!なら尚更見たくなってきたぞ!」
「修行が終わったら頼んでみるといいわ」
「うむ!」
場所は変わってエイトたちがいる草原……
「ヘックシュン!」
「うわっ!?びっくりした……」
「風邪かなぁ?」
「この世界で風邪なんか引くわけないでしょ……」
「それもそうだな…」
「そんなことよりも、早く寝て明日に備えなさい。アーチャーなんかとっくに寝てるわよ?」
「ああ…おやすみ」
「おやすみ……」
場所は戻ってビルの空き部屋……。
「というか其方の胸は大きいな。余よりあるんじゃないか?」
「そ、そんなことないわよ」
ネロは自分のと比べていた。ネロもなかなか大きいが、比較するとレイカーの胸の方が余裕で大きかった。
「むむむ……。余もなかなか自信はあるのだが……」
「そ、そんなジロジロ見ないでよ!もう寝るよ!」
「ま、待つのだ!余も寝るのだー!」
2人は寝室に入ると、ちゃんとベッドもあり、そこで寝ることにした。