現実世界に帰ってきた俺は、今後のことを考えた。俺を始末しにきたエネミー、英雄王ギルガメッシュ。今のままでは確実に勝てない。どうしたら……。
「奨真君?」
「っ!?楓子か、ビックリさせるなよ」
「失礼ね、奨真君が勝手にビックリしたんじゃない。それより、何かあったの?」
こういう時の楓子はすごく鋭い。今嘘をついてもバレてしまう。だから俺はさっきまであったことを話した。
「そう……そんなことが…………奨真君」
「ん?」
「もう無制限フィールドに行っちゃダメ。そのエネミーに狙われてやられるだけだわ」
「そんなわけにはいかない!俺はバーストリンカーだ!」
「加速なら対戦でも出来るわ。だから私たちがエネミーを倒すまで絶対にダメ!」
「ダメだ!アーチャーも生きてるかわからないんだぞ!!あんな化け物みたいなやつに勝つなんて無茶だ!!」
「無茶でもやらなきゃダメなの!!」
「………………そうか……、勝手にしろ……」
俺はそういってリビングを出て、外に出かけることにした。
楓子side
奨真君には悪いけど、これも奨真君の為だわ。みんなを集める必要があるわ。私はまずはサッちゃんに連絡を取ることにした。
『楓子か?どうした?』
「サッちゃん、今すぐみんなを集めて。場所は代々木公園だから」
『…………何かあったのか?』
「そのことについて話すから」
『わかった。連絡を取っておこう』
アーチャーを生死不明まで追い込んだエネミー。危険度はかなり高いけど、私たちがやるしかない。奨真君を守るために!
楓子side out
奨真side
俺は家の近くの公園のベンチに座って、今後のことを考えた。どうすればいいんだ。楓子たちを止めなきゃ絶対にギルガメッシュにやられる。でも…………。
「隣いいかな?」
「え、あ、はいどうぞ」
突然女性に声をかけられて、俺はベンチの端に座った。あ、そうだ。パペットが白雪にギルガメッシュのことを伝えてほしいっていってたっけ。とりあえずメッセージを送って、空に顔を向けた。
「何かあったの?」
「えっ?」
「君を見てると何かあったんだなぁって思ったんだけど、もしかして当たってた?」
「まあ……はい」
「もしかして彼女と喧嘩?」
「そんなんじゃないですよ。ただ、このままでいいのかなって思いまして……。俺が何もしなかったらよくないことが起きそうで……。でも、それを伝えたくても……なんて言ったらいいのか。また心配をかけそうで……」
「ぶつからなきゃ伝わらないことだってあるよ」
「えっ?」
今のは……どこかで聞いたことが……。
「昔友達から教えてもらった言葉なの。自分がどれだけ真剣でも何もしなかったら伝わらない。だからこそ、ぶつかって自分の気持ちを相手に伝えるの」
「その友達って……紺野先生ですか?」
「もしかして木綿季の知り合い?」
「知り合いというか病院でお世話になった人です。あなたも先生と知り合いだったんですか?」
「ええ、木綿季には感謝してるわ。あ、自己紹介がまだだったね。私は桐ヶ谷明日菜、高校の教師をしてるわ」
「橘奨真です。高校生です」
「ふふ、じゃあどこかでまた会うかもね。それじゃあね」
「は、はい」
明日菜さんは立ち上がり、公園を後にした。先生の知り合いか。そんなことを思ってると、白雪が俺に気がついたのか、こっちまで走ってきた。
「白雪?」
「エネミーが奨真さんを狙ってるって本当ですか!?」
「ああ、その事なんだけど、楓子はギルガメッシュを倒すまで無制限フィールドには来るなって言ってきたんだが、俺はそれを止めようと思う」
ぶつからなきゃ伝わらないことだってある。確かにその通りだ。なんとしてでも、楓子たちを止めなきゃ!
「それなら私に任せてください!皆さんを説得してみせます!」
「白雪だけに任せるわけにはいかない。これは俺自身の問題でもある」
「ですが、エネミーに狙われてるなら無制限フィールドに行かないほうが!」
「わかってる。でも、俺自身が言わなきゃ意味がないんだ」
「…………わかりました」
「心配してくれてありがとうな。よし、今すぐ無制限フィールドに行くぞ!」
「はい!」
「「アンリミテッドバースト!!!」」