フラっぴーです!
またまた日常編です!
ちなみに今回はちょっと刺激が強い部分も……。
OP12『いつかの、いくつかのきみとせかい』(fhana)
第1話 図書館デート
「図書館か……久しぶりに来るような……」
「そう?私はよく来るけど?」
「今はニューロリンカーの中に電子書籍があるだろ?だからあまり図書館には来ないというか」
俺と楓子は今、渋谷の図書館に来ていた。今日は土曜日で学校もないから、ゆっくり図書館デートってところだな。
「こういうのもいいよ?奨真君もたまには読んでみたら?」
「そうしようかなぁ」
いつもは電子書籍で読んでるから、分厚い本を読むことはあまりない。俺とは逆で楓子はこういう本をよく読むらしい。
「あ、あった」
どうやらお目当ての本を見つけたらしい。楓子は本を取ろうとするが、高くて取れないみたいだ。流石にあの高さでは俺でも届かないな。何か踏み台のようなものがあったらいいけど……。
「これじゃあ取れないわ……」
「楓子、脚立を見つけたからこれを使え。下は俺が支えておくよ」
「あら、ありがとう!よいしょっ……」
楓子が脚立に上って、俺は脚立を抑えた。無事に取れたか気になって上を見ると、楓子の服装がミニスカートだからなのか、太ももが丸見えだった。
「よし、取れたわ!」
楓子の太ももがっ!?ダメだ!これは見ちゃダメな気がする!!
「ありがとう!おかげで目当ての本が取れたわ!」
「そ、そうか。それにしても相変わらず凄い本の数だな」
「約10万冊はあるからね。これほどの紙の本は今では貴重ね」
10万冊って聞いた瞬間、俺は驚きが隠せなかった。これだけの本の中から目当ての本を見つけるのに苦労しそうだからだ。
「でもさ、紙の本ってやっぱり持ち運びが不便じゃないか?重いし」
「たしかに読むだけなら電子書籍の方がいいと思うわ」
読むだけなら楓子も電子書籍の方がいいみたいだ。じゃあ楓子が紙の本にこだわるのは他にも理由があるのか?
「でもね、私は本のデザイン、装丁、紙の質感、そして残された書き込みも全てが大切な情報だと思うの」
「デザインや紙質もか?」
「ええ、そういった部分には本の中身に対する出版側の思いが詰まってたりするの。例えばこの本だけど、最初のページに筆者のサインが入ってるでしょ?これも本の中身に対する思いなのよ?」
「このサインがか?」
「奨真君だって、好きなアーティストからサインをもらうのは嬉しいでしょ?それと同じで、この本を買ってくれた読者に喜んでもらおうと思って残したものなのよ」
「なるほどな、たしかに買った時にサインが書かれていたら嬉しいな。でもそれだったら電子書籍でも買えばあるんじゃないか?」
「うーん、もちろんあるけど、やっぱり形として欲しいじゃない?」
「たしかに」
なるほど、楓子は紙の本には形に残るものが多いし、自分なりのこだわりがあるから好きなんだな。
「奨真君も読みたい本があれば取ってあげるよ?」
「い、いや!それだとまた目のやり場に………あ」
しまった……つい口が滑ってしまった……。
「どういうこと?」
「それは……その……」
「もしかして……さっきも?」
「じ、事故だ!あれは事故だ!」
「えっちね」
「ええっと……」
やばい……何を言っても無駄になってきた……ここはもう認めるしか……。
「ふふ、冗談よ。奨真君になら何度でもみられても構わないし!」
「そ、それはそれでどうなんだ?」
「あそこの席が空いてるから早く行こ!」
「話を逸らしたな……」
楓子が取りにいった席に俺は座った。楓子は本を開くと、俺にも見えるように見せてきた。
「うわぁ……こうやって見ると読むの大変そうだな。電子書籍だと分厚さとかないから全然気にしなかったけど……」
「そう?でもこの方がどれくらい読んだのかわかりやすくて私は好きよ?」
「俺には無理っぽいな……」
ほんと……楓子はよくこんな分厚いものを読めるな……。俺だったらギブアップしてしまいそうだ。
「ん?『ゾーン』か……」
「何十年も前の考え方だけど、アスリートの集中状態が極限まで高められた状態を『ゾーン』って呼んでたらしいわ」
んんっ!?今度は楓子の胸が!?机の上に乗った楓子の胸の谷間が!?
「でも、その状態に至るには脳をある程度コントロールする必要があったみたいね」
「へえ、まるで心意みたいだな」
「そうね。心意は現実世界でいうゾーンのようなものね」
「まあこのゾーンは知識よりも感覚で使うほうがよさそうだな」
「それは人それぞれだと思うよ?感覚よりも知識の方が使いやすかったり、感覚の方が使いやすかったり」
「そ、そうなのか?」
「そりゃそうよ。人には誰だって得意不得意があるもの。それを工夫してどう使うかよ」
「なるほど、深いな」
というかさっきから楓子の胸元が気になって集中できない!!楓子は気づいてないのか!?
「あれ?こんな本あったか?」
「あ、それは私が借りた本よ」
「楓子が?見た感じ絵本だけど……」
「単純に好きな作家さんだからね。久しぶりに読みたくなって。
「へえ、なんか可愛い絵だな」
「そうなの!このオバケちゃん!なんだかういういに似てて!」
「ふ、楓子?」
「もうかわいくて仕方ないのよ!それがまたお話の雰囲気とマッチしてて、最後には虜にならざるを得ないというか!」
「楓子落ち着けって、興奮しすぎだ」
「あら、さっき私の胸元をチラチラ見て興奮していた奨真君に言われたくありません!」
バレてたのかよ……。そういえば楓子はこういうのに鋭いもんな……。隠してたのが馬鹿みたいに思えてきた。
「気づいてないと思ってたの?」
「ま、まあな」
「奨真君が私をえっちな目で見るのに気づかないわけないじゃない!」
「なんで嬉しそうなんだよ……」
「だって、奨真君が私をそんな風に見てくれてるってことは私の体に興味があるってことじゃない!!嬉しいに決まってるじゃない!」
そこまで興奮するものか……。まあ楓子の言う通り、楓子の体に興味はあるが……。
「楓子は彼女だから、もちろん興味はあるけど……」
「あら?もしかして襲えないとか?奨真君って意外とチキン?」
楓子はそう言うと、俺を誘うかのように机に肘をつき、手を頬に当ててこっちを見つめた。ったく……言ってくれるな……。それならこっちにも考えがある。
「誰がチキンだって?」
「ひゃっ……」
俺は椅子ごと楓子に近づくと、手を楓子の腰に回して抱き寄せて、唇を重ねた。まだお仕置きが必要だな。ここはこの図書館の中でも人気のない場所だ。そうそう人は来ないだろう。だから俺は腰に回してた手を楓子の胸に持っていき、そのまま2、3回揉んだ。
「んっ……」
「俺が本気になればこんなことだってできるぞ?まあこの続きは家だな。ここは公共の場だ。こんなところでするわけにはいかない」
「そ、そんなこと言って私の胸を揉んだじゃない」
「ま、まあそうだけど、あれは楓子へのお仕置きというか……」
「それで、感想は?」
「………………柔らかかった」
「ふふ、よかった!さあ、本を直して帰りましょう!」
「あ、ああ」
本を元の場所に直して、図書館を出る。そしてそのまま家に帰ったが、そのあとのことは語るまでもないな……。