アクセル・ワールド 君の隣にいるために   作:フラっぴー

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こんにちはこんばんは!

フラっぴーです!

ついに……ついに1周年がたちました!
あっという間にですね!
ということで今回は本編とは関係ない番外編です!



1周年記念 2人の恋物語

これはブレインバーストや加速、ニューロリンカーといったものが一切ないもしものお話です。ちなみにみんな同じ学校である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________

 

 

 

朝がきた。俺は目を覚まして、制服に着替える。いつものように親と朝ごはんを食べて、学校に行く。

 

 

「行ってきます」

 

 

「「いってらっしゃーい!」」

 

 

扉をあけて外に出る。いつもの道を歩いていると、突然視界が真っ暗になる。

 

 

「だーれだ?」

 

 

この声もよく聞く声だ。あと背中に柔らかい感触が伝わってくる。俺はすぐに答えを言う。

 

 

「楓子だろ。バレバレ」

 

 

「やっぱりわかっちゃうか」

 

 

幼馴染の倉崎楓子。今俺が想いを寄せてる相手だ。昔はただの幼馴染だと思ってたけど、年が経つほど、だんだん魅力的になっていく楓子に俺は惹かれていった。

 

 

「奨真君?私の顔に何かついてる?」

 

 

「えっ!?な、なんでもない!」

 

 

いつのまにか楓子のことをじっと見つめてしまっていた。それに気づいた途端恥ずかしくなって楓子から顔を逸らしてしまう。

 

 

「ほら、早く行かなきゃ遅刻するぞ!」

 

 

「ま、待ってよー!」

 

 

走って学校に行くと、靴箱にはみんながいた。

 

 

「おはよう2人とも」

 

 

「「「おはようございます!」」」

 

 

「よっ!」

 

 

「おはようなの」

 

 

「おはようございますなのです!」

 

 

「グットモーニング」

 

 

「よお!お二人さん!」

 

 

「おはよう……ございます」

 

 

「あ、おはようございます!」

 

 

「おはようございまーす!」

 

 

「おはようございます」

 

 

「おはよう!」

 

 

「おはようございます、今日も元気そうで」

 

 

「おはよう!今日も早いね!」

 

 

「今日も熱々ね……見てられないわ」

 

 

黒雪姫『通称サッチ』、ハルユキ、タクム、チユリ、白夜、あきら、ういうい、美早、ニコ、綸、白雪姫、レミ、マシュ、ジャンヌ、アルトリア、リサ、ジャンヌオルタ。ここにいるメンバーはいつも一緒にいるメンバーだ。挨拶をして、靴を履き替えると、また新たな人物が来た。

 

 

「あ、奨真。おはよう」

 

 

「皆さんおはようございます!」

 

 

「おはようございます……」

 

 

「おはよー」

 

 

「お嬢!放っていくなんて酷いじゃないですか!」

 

 

「蓮くん遅いんだもん!」

 

 

衛宮士郎、イリヤスフィール、クロエ、美遊、蓮がやってきた。どうやら蓮は白雪に置いてかれたらしい……。

 

 

「それじゃあ中等部組はこっちだから、失礼するよ」

 

 

「私たち初等部はこっちなので、しょーにぃ、フーねぇ、またなのです!」

 

 

俺と楓子、白夜とジャンヌ、アルトリアと衛宮、白雪と蓮、マシュは高等部の校舎に向かう。

 

 

白雪と蓮とは一年の教室で別れ、俺たち6人は2年の教室に入る。鞄を置くと、1人の女子が話しかけてきた。

 

 

「あの、橘君。明日って予定とかある……?」

 

 

「明日?明日はちょっと用事が」

 

 

「うぅ……わかった〜」

 

 

俺がそう言うと、落ち込みながら自分の席に戻る。すると、衛宮が俺に問いかける

 

 

「明日何かあるのか?」

 

 

「病院にいって義手の調整をしてもらうんだよ」

 

 

そう、俺は幼い頃に交通事故で右腕を損傷して、切り落とすことになってしまった。それからは義手を使って生活してきた。最初は慣れなかったけど、日が経つことに慣れてきた。今では普通の腕のように扱っている。

 

 

「調整とか大変そうだなぁ」

 

 

「そうか?」

 

 

そんなことあんまり考えないからなぁ……。

 

 

「ねえ奨真君。調整って朝だけ?」

 

 

「えっ?まあ……そうだけど」

 

 

「それならお昼からどこかに出かけない?」

 

 

そ、それって……デート……?い、いや、よく考えろ。楓子は幼馴染として出かけようと言ってるだけだ。一人で浮かれるな。

 

 

「昼からなら大丈夫だ」

 

 

「本当!やった!」

 

 

楓子は小さくガッツポーズをする。それを見た瞬間、ドキッとして心臓が飛び出しそうになった。

 

 

「いつもの病院でしょ?だったらお昼に迎えに行くから待っててね!」

 

 

「お、おう」

 

 

楓子はそう言うと、自分の席に戻る。俺も席に戻ると、明日奈さん教室に入ってきた。

 

 

「みんな、おはよう!今日は一週間最後の日だけど、元気いっぱい頑張っていきましょう!」

 

 

「一週間の最後は土曜ですよー!」

 

 

「が、学校での一週間ってことよ!はい!ホームルームは以上!」

 

 

明日奈さんは黒板に文字を書く。その間にみんな授業の準備をする。俺も教科書とノートを取り出し、準備をする。

 

 

「それじゃあ授業を始めます!号令!」

 

 

「起立!礼!着席!」

 

 

「昨日の続きからね、50ページを開いてね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後、俺は帰る準備をしてると明日奈さんに書類を一緒に運んでほしいという頼みごとをされた。

 

 

「今日のは多いですね」

 

 

「あはは……職員室の私の机の上にいっぱい置かれてて……。しかも高等部、中等部、初等部って分けられてたし」

 

 

その内高等部よりは量が少ない初等部と中等部は俺が持っている。道中、俺は横を振り向くと、その先の廊下で楓子が告白されてる場面を見た。俺は思わず足を止めてしまい、その光景を見る。相手は頭を下げると、数秒後、楓子も頭を下げる。そして、相手は走ってその場から立ち去っていった。きっと断られたんだろう。そう思った途端、俺は安心してしまう。すると、楓子は俺に気づき、手を振ってやってきた。

 

 

「奨真君、もしかして見てた?」

 

 

「あ、悪い。見てた……」

 

 

「全然気にしてないわ。あと、その書類の山は?」

 

 

「明日奈さんの書類だよ。手伝ってほしいって言われて」

 

 

「じゃあ私も手伝うわ!」

 

 

「あ、ありがとう」

 

 

俺は楓子に初等部の書類を持ってもらった。明日奈さんは結構前に歩いてたから急いで追いかけた。

 

 

「あら、楓子ちゃんも手伝ってくれるんだ!助かるわ!」

 

 

「困った時はお互い様ですよ!」

 

 

俺たちは初等部、中等部、高等部の書類整理室に運び終え、明日奈さんはありがとうと言って職員室に戻っていった。

 

 

「俺たちも帰ろうか」

 

 

「ええ」

 

 

俺と楓子はお互い家も近い。だから帰り道も一緒だし、一緒に帰ることが多い。家に帰る時は必ず楓子の家を通り、そこで楓子と別れる。

 

 

「じゃあね、また明日」

 

 

「ああ」

 

 

そのまま家に着き、俺は自分の部屋に入って着替える。ベッドで寝転んでいると、携帯が鳴った。見ると、俺の担当の先生から電話がきていた。

 

 

「もしもし?」

 

 

『やっほー!奨真君元気ー?』

 

 

「元気ですけど、急にどうしたんですか紺野先生」

 

 

『明日義手の調整があるの覚えてるかなーって思って電話したんだけど』

 

 

「覚えてますよ……」

 

 

『ならよかった!あ、調整のついでに面白い機能とかつけてあげようか?』

 

 

「いりませんよ。っていうかあなた医者ですよね?改造とかできるんですか?」

 

 

『もちろんさー!だってそれを作った人と知り合いだよー!』

 

 

「それ理由になってます?」

 

 

この人は全く……。

 

 

「とにかく、明日必ず行くんで、よろしくお願いしますよ」

 

 

『はいはーい!それじゃあねー!』

 

 

俺の義手を作った人……か。俺もいろんなものを作れるけど、義手とかそういったものは作ったことがないからな。どんな人か気になる。

 

 

「奨真ー!ご飯よー!」

 

 

「はーい!」

 

 

俺は下に行って晩御飯を食べ、そして風呂に入ってそのまま寝ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、俺は朝から病院に行き、受付をしてからいつもの部屋に行く。扉を開けると、もう先生は待っていた。

 

 

「来たね、じゃあ早速!」

 

 

「ちょっと待ってください。その変な手つきはなんですか?」

 

 

「だって脱がなきゃ義手が見れないじゃん」

 

 

「自分で脱ぎますから」

 

 

俺は紺野先生に脱がされる前に上の服を脱ぎ、椅子に座り、右腕を見せた。そして紺野先生はドライバーなどの工具を取り出し、義手をいじっていく。やっぱりこの人医者じゃなくて整備士なんじゃないのか?

 

 

「やっぱりあなた整備士じゃ?」

 

 

「んー?ボクは医者だよー?これはボクの特技みたいなものさ」

 

 

「特技でこんなことできます?」

 

 

「できるからできてるんじゃないか。はい、終わり!」

 

 

俺は試しに右腕を動かしたり手を開いたり、握ったりした。うん、どこも悪いところはない。

 

 

「ありがとうございます」

 

 

「いいよいいよ。それで、この後楓子ちゃんとデート?」

 

 

「なっ!?」

 

 

「あれ?もしかして当たってた?」

 

 

デートではないけど、なんでわかったんだ!?

 

 

「なんでそのことを……」

 

 

「いや〜適当に言ったら当たっちゃったんだよ〜。それで、奨真君は楓子ちゃんのことが好きなんでしょ?」

 

 

「だからなんでわかるんですか……」

 

 

「それくらい誰でもわかるよ〜?気づいてないのは楓子ちゃんだけじゃないかな?あー見えて楓子ちゃんは鈍いからなぁ……。奨真君の好意に全く気づいてないみたいだし」

 

 

「やっぱり、ストレートに言ったほうがいいんですか?」

 

 

「さあ?それは君次第だと思うよ?ボクは君じゃないからね。ボクがしてあげられるのは背中を押すくらい」

 

 

「でも……それで今の関係が壊れてしまったら……」

 

 

「ぶつからなきゃ伝わらないことだってあるよ。例えば、自分がどれだけ真剣なのか……とかね!迷ったら当たって砕けたらいいんだよ!」

 

 

「く、砕けていいんですか?」

 

 

「砕けたくなかったら意地でも成功しろってことだよ!」

 

 

「無茶苦茶だ……」

 

 

「ほら、用事があるんだから早く言ったほうがいいんじゃないかな?」

 

 

「そ、そうですね!失礼しました!」

 

 

俺は部屋を出て、病院を出る。すると、病院の前には楓子が待っていた。

 

 

「結構早かったんだね」

 

 

「そこまで時間はかからないからな」

 

 

「ふふっ、それじゃあ行きましょ!」

 

 

俺は楓子に手を引かれ、そのままショッピングモールに行くことになった。ここで何か買うのかな?

 

 

「何買うんだ?」

 

 

「もうすぐ夏休みでしょ?だから水着を買おうと思って!」

 

 

「あーそんな季節だな。って水着なら去年のがあるだろ?」

 

 

「もう!奨真君はわかってない!女の子は毎年この時期に気合いを入れるために水着を買うの!」

 

 

「そ、そうなのか?」

 

 

楓子の去年の水着は凄え似合ってたから別に買い直さなくてもいいのに……。そうしてるうちに店の前に来てしまった。

 

 

「楓子、いいのがあったら呼んでくれ。俺は中を色々と見て回るから」

 

 

「わかったわ!」

 

 

俺は店の中で一旦楓子と別れ、中を見ることにした。俺は去年のがあるから買い直さなくても大丈夫だな。そうだ、楓子の水着を探してみようかな。そして俺は女性用の水着コーナーに行った。

 

 

「お客様、こちらは彼女さんにプレゼントですか?」

 

 

「えっ?えっと……彼女ではないんですけど、幼馴染に……」

 

 

「ちなみにどんな体型ですか?体型に合わせてオススメをご紹介しますが」

 

 

「えっと……背は俺より少し低くて、体も少し細く、あとは……胸が大きい……」

 

 

最後ははずかしくて、小声になってしまったが、店員さんはそれを聞き取り、水着を探す。

 

 

「スタイルがいいんですね。でしたらこれはどうでしょう?」

 

 

普通のビキニタイプの水着だった。色は水色で楓子によく似合いそうだった。これだったら喜んでくれそうだ。

 

 

「ありがとうございます。早速幼馴染のところに持っていきます」

 

 

俺は楓子を探すと、ナンパされてる楓子を見つけてしまった。

 

 

「どっか遊びにいこーぜ」

 

 

「楽しませてやるからよ」

 

 

「楽しませてくれるんですね?」

 

 

あ……楓子のたまにしか入らないドSスイッチが入ってしまった。普段は普通に断る楓子だが、しつこい相手にはスイッチが入ってしまう。ならあのナンパ男はしつこく楓子につきまとったんだろう。

 

 

「じゃあ……スカイツリーのてっぺんからバンジージャンプしてくれませんか?それを見れたらすごく楽しくなれるんですよ」

 

 

「「えっ?」」

 

 

「他にもライオンと格闘するところとか、あとは……そうですね、命綱なしのロッククライミングとか」

 

 

んな無茶苦茶な……普通ならあり得ないことなんだけど、楓子が言うと何故か恐ろしく感じる。まあそういったオーラを出してるんだろう。

 

 

「に、逃げよう!」

 

 

「お、おう!」

 

 

2人は逃げていった。俺は楓子に近づき、軽く肩を叩いた。

 

 

「相変わらずスイッチが入ったら怖いことばっか言うな」

 

 

「逃げられちゃった。ん?奨真君、それは?」

 

 

「楓子に似合うかなっと思って店員さんに選んでもらったんだ」

 

 

「私のために?」

 

 

「も、もちろん」

 

 

「嬉しい!ありがとう奨真君!」

 

 

「それでいいのか?」

 

 

「ええ!」

 

 

「じゃあ買ってくるよ」

 

 

俺は楓子の新しい水着を買うために、レジに行く。会計を済ませて、外で待ってる楓子のところに行く。

 

 

「自分の水着くらい自分で買うのに」

 

 

「いいんだよ。俺からのプレゼントとでも思ってくれ」

 

 

俺は楓子に水着が入った袋を渡した。楓子はそれを受け取り、ありがとうと言ってきた。俺はどういたしましてと言って、昼ご飯を食べるためにフードコートに向かう。もちろん、昼ご飯代も俺が出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれって奨真さんですよね?」

 

 

「はい……」

 

 

「デート……なのかな?」

 

 

 

白雪、綸、レミの3人も水着を買いにきたところたまたま奨真たちを見つけたみたいだった。

 

 

「「「選んでもらったらよかった……」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして午後も色々と店を回って行く。そして今、屋上の休憩所のベンチに座っている。

 

 

「ねえ、夏休みのいつぐらいに海に行くかまたみんなで決めないといけないね」

 

 

「そうだな」

 

 

それからはしばらく沈黙する。数分後、俺がその沈黙を破る。

 

 

「なあ楓子、この前告白されたとき振ってたけど、楓子って好きな人とかいるのか?」

 

 

「私?…………いるよ」

 

 

っ!?その言葉を聞いた途端、俺は無意識に口が動いてしまう。

 

 

「どんな男なんだ?」

 

 

ダメだ……聞いたらダメだ……。

 

 

「その人はいつも優しくて、私のそばにいてくれて、困ってる人を見つけたらすぐに助けに行く人」

 

 

そっか……俺じゃないのか……。やっぱり楓子から見たら、俺はただの幼馴染か……。

 

 

「素敵な人なんだな」

 

 

「うん、もしかしたら、私の運命の人なのかもしれない」

 

 

「その人と結ばれたらいいな。俺は応援するよ」

 

 

俺は立ち上がり、屋上を出ようとする。

 

 

「そろそろ暗くなる。その前に帰ろう」

 

 

「えっ?う、うん」

 

 

そしてそのまま、楓子を家に送ることができた。でも、俺は楓子の顔をまともに見ることが出来ず、ずっと目を逸らしていた。俺も家に帰り、ベッドに寝転がった。

 

 

「はぁ……」

 

 

俺は振られたのか……話を聞く限り、俺がその男に勝てる要素なんかない。それだったら大人しく身を引いたほうがいいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楓子side

 

 

 

あの時、思わず奨真君のことが好きだってことを遠回しに言っちゃったけど、気づいてないのかな?けど、奨真君はそれで少し様子がおかしかった。

 

 

「結局帰り道、顔を合わせてくれなかったなぁ」

 

 

私は枕元に置いてある写真立てを手に取り、それを見つめる。そこには私と奨真君の高校入学祝いのツーショットの写真が収められていた。私はそれをそっと抱きしめた。

 

 

「奨真君……私は……あなたのことが大好きよ」

 

 

 

 

 

楓子side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、俺は特に用事もないけど、外をぶらつくことにした。商店街に来た時、たまたまサッチと出会った。

 

 

 

「やあ、偶然だな」

 

 

「そうだな、買い物か?」

 

 

「うむ、食材を切らしてしまってな。買い出しというわけだ」

 

 

「食材じゃなくて惣菜の間違いだろ?」

 

 

「ばっ!馬鹿にするな!私だって料理くらいできる!」

 

 

「そういうことにしておくよ」

 

 

それだけ言って、俺はその場から立ち去る。サッチをからかうのも面白いな。

 

 

「やることないし、あの人のところに行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君ねぇ……ここは病院だよ?こんなところに来ても何もないよ?」

 

 

「わかってますよ」

 

 

「それで、ここに何しにきたの?」

 

 

紺野先生は薬品棚を整理しながら俺に聞く。

 

 

「特にないって言ったら怒ります?」

 

 

「別に怒ったりはしないよ。でも退屈じゃないの?」

 

 

「先生の話し相手くらいはできますよ」

 

 

「まあボクも今は仕事がないから助かるけど。でも、本当はきた理由があるんじゃないの?」

 

 

はぁ……この人はなんでもお見通しか……。

 

 

「実は……相談があって」

 

 

「なになに?」

 

 

「俺……振られたかもしれません」

 

 

「どういうこと?」

 

 

「楓子に好きな人がいるのか聞いたら、いるって言ってて。『いつも優しくて、私のそばにいてくれて、困ってる人を見つけたらすぐに助けに行く人』らしいんですよ」

 

 

(これ絶対奨真君のことを言ってるよね……その本人は気づいてない……か)

 

 

今思い出したらまた悲しくなってきた。失恋ってこんなに辛い思いをするのか。

 

 

「本当に振られたの?」

 

 

「えっ?」

 

 

「奨真君は本人に告白して、そして振られたの?」

 

 

「告白は……してないですけど」

 

 

「だったら振られたかどうかはまだわからないね。奨真君は楓子ちゃんのことが好きなんでしょ?」

 

 

「ま、まあ……はい」

 

 

「それならちゃんと好きって気持ちを伝えないと、伝わらないよ。それに、楓子ちゃんの言ってる人が君じゃないとは限らないじゃん」

 

 

紺野先生は次々にアドバイスをくれる。聞いてるうちに少しずつ希望がでてきた。

 

 

「だからさ、自分の思ってることを正直に伝えたらいいんじゃないかな。そのほうがスッキリすると思うしさ」

 

 

「……そうですね」

 

 

「アドバイスになったかはわからないけど、自信はついた?」

 

 

「十分つきました」

 

 

「よし!じゃあ当たって砕けちゃいな!」

 

 

「砕けないように頑張ります!」

 

 

俺は一礼してから部屋を出る。病院を出て、楓子の家に走る。昨日は帰り道顔を逸らし続けたから、そのことも謝らないと。いつもの商店街を抜けて、曲がると向こうから歩いてくる人とぶつかりそうになった。俺は咄嗟に避ける。そして走ろうとした時、何故か足が止まった。それと同時に腹のあたりに痛みが走る。俺は腹を抑えると、液体のようなものが手につく感じがした。

 

 

「なんだ…………これ」

 

 

手の平を見ると、真っ赤な血で染まっていた。倒れそうになると、後ろから肩を掴まれ、俺は後ろを振り向かされた。それと同時に、腹にさっきと同じ痛みが走った。きっとナイフのようなもので刺されてるのだろう。もしかしたら、さっきぶつかりそうになった人に刺されてるのだろう。俺はその場に倒れて意識を失いかけると、俺を刺した人の声が聞こえる。

 

 

 

「お前がいるから倉崎さんは振り向いてくれない。それならいっそのこと、お前を消せば……」

 

 

それを聞くと、俺はそのまま意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白夜side

 

 

 

「これだけあれば十分だろ」

 

 

「そうですね」

 

 

俺とマシュは晩飯の買い物に出かけてる。あきらも誘ったけど、アルバイトがあると言ってて断られた。

 

 

「あの、なんか騒がしくないですか?」

 

 

「商店街の外からだな。帰るのが遅くなるが、ちょっと寄ってくか」

 

 

人が集まってるところに行き、その中心を見る。そこには血を流して倒れてる人を見つけた。

 

 

「っ!?おい!!大丈夫か!!」

 

 

俺はその人の体を起こすと、見覚えのある……いや、俺の親友の奨真がいた。

 

 

「おい!!奨真しっかりしろ!!」

 

 

「白夜さん!!一体何が!!って奨真さん!!」

 

 

「マシュ!早く救急車に連絡を!!」

 

 

「は、はい!!」

 

 

その前に人がこうやって倒れてるのになんで誰も救急車を呼ばないんだよ!!

 

 

「救急車が来るまで止血しなきゃ!!」

 

 

「こ、これを使ってちょうだい!!」

 

 

たまたま近くにいたおばさんがタオルを渡してきた。俺はそれをもらい、出血してる腹を抑える。

 

 

「白夜さん!!もう少しできます!!」

 

 

「わかった!!頼む奨真!!絶対に死ぬな!!」

 

 

救急車が来るまで、俺は止血をする。けど、出血は止まらない。数分後、救急車は来て、奨真は中に運ばれる。

 

 

「君たちも乗って!!」

 

 

「「はい!!」」

 

 

みんなに連絡をしてから俺たちも救急車に乗り、病院に向かう。

 

 

白夜side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楓子side

 

 

 

私はベッドで寝転んでる時、グループにメッセージが届いた。差出人は白夜君で、内容を確認した瞬間、私は息が乱れた。

 

 

「奨真君が……出血多量で……意識不明……」

 

 

すぐに病院に行かなきゃ!!

 

 

私は部屋を飛び出し、家を出て病院を目指す。途中で何度か信号に捕まったけど、なんとか病院まで辿り着く。緊急手術と聞いたから、私は手術室の前を目指す。手術室の前にはもうみんなが集まっていた。

 

 

「フーねぇ!!しょーにぃが!!しょーにぃが!!」

 

 

ういういは号泣して私に抱きつく。私も抱きしめ返して、白夜君に状況を聞く。

 

 

「どれくらい経ったの?」

 

 

「まだ十分程度だ。いつ終わるかもわからない」

 

 

「そう……」

 

 

手術が終わるまで、私たちは沈黙して待っていた。でも、いつまでたっても手術は終わらない。そして沈黙を破ったのがイリヤちゃんだった。

 

 

「このまま手術が終わらなかったら……」

 

 

「イリヤ!!縁起でもないことを言わないで!!」

 

 

「ご、ごめん……」

 

 

「でも、長すぎる」

 

 

衛宮君はそう言った。きっと私だけじゃなく、みんなそう思ってるはず。そう思ってると、手術中のランプが消えて、中から紺野先生が出てきた。

 

 

「紺野先生!!奨真君は!!無事なんですか!!」

 

 

「とりあえず傷口は塞いだけど、それでも命に危険が迫っている」

 

 

「そんな……」

 

 

「安心して!ボクがいる限り、絶対に死人は出させない!!そのためにも君たちの協力が必要なんだ!!」

 

 

私たちの協力……。

 

 

「奨真を助けるためならなんだってする!!その方法は何ですか!!」

 

 

「今奨真君は全然血が足りない、だからA型の血を分けてほしい!!」

 

 

A型……だったら!!

 

 

「私の血を使ってください!!!」

 

 

「俺もA型だ!!」

 

 

「私もです!!」

 

 

「わ、私も!!」

 

 

「俺の血を使ってください!!」

 

 

「僕のも!!」

 

 

私と白夜君、レミとイリヤちゃん、蓮君と鴉さんは前に出て言った。紺野先生はついてきてと言って、私たちはその後を追う。とある病室に入り、輸血を開始する。数分後、輸血は終わり、奨真君の容体はかなりマシになったらしい。

 

 

「みんなの協力があって助かったよ。一命を取り留めたけど、いつ意識を取り戻すかはわからない」

 

 

「なんで……こんなことに……」

 

 

「刺された後があるとなると、襲われたということだな。手がかりは全くないが、犯人探しを始めよう。我々を怒らせたことを後悔させてやる」

 

 

「私はここに残るわ」

 

 

「えっ!?楓子姉さんなんで!?」

 

 

「もし奨真君が起きた時に誰もいなかったら寂しいでしょ?だから、私はずっと彼の側にいるわ」

 

 

「うむ、私もフーコに頼もうと思っていた。よし、我々で手分けして探すぞ!」

 

 

「「「「おお!!」」」」

 

 

みんなは病室から出て、手がかりを探しに行く。私はいつ目覚めるかわからない奨真君の手を両手で包む。

 

 

「お願い……早く目を覚まして……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奨真君が意識を失ってから一週間が経った。それでもまだ奨真君は目覚めない。それだけじゃなく、犯人の手がかりも掴めていない。私は学校が終わって、いつものようにお見舞いにいく。

 

 

「奨真君……」

 

 

「一週間が経ったね。でもまだ彼は目覚めない」

 

 

「紺野先生……」

 

 

「正直、彼が生きているのは奇跡に近いよ。普通ならここに運ばれた時点で死んでいた。でも、彼は何とか生き延びた」

 

 

「このまま目が覚めなかったら……」

 

 

「それはないよ。奨真君にはやらなきゃならないことがある。それを終えるまで、彼は絶対に死んだり、植物状態とかになったりはしないよ。それに言ったでしょ?ボクがいる限り、絶対に死人は出させないって」

 

 

そうだった。紺野先生はすごい医者だった。先生がいる限り、絶対に死人は出させないっていうのは本当のこと。先生が患者の治療をしたらどんな病気や怪我も治していた。そんな先生が失敗なんかするわけない。

 

 

「そうでしたね……。なら私は彼がいつ目が覚めてもいいように側にいるだけ」

 

 

「そうしてあげて。彼もきっと……いや、絶対喜ぶよ」

 

 

先生は言い直して、満面の笑みで答えた。絶対に喜ぶ……か。

 

 

「あ、ここだったんだ」

 

 

「えっ?」

 

 

声が聞こえてきた方を見ると、この前告白してきた男子生徒が来ていた。でもなんで……。

 

 

「な、なんで……」

 

 

「ん?知り合い?」

 

 

「橘君が意識不明なのは本当だったんだ。チッ……」

 

 

「っ!?君……何か隠してないか?」

 

 

「えっ?何のことですか?」

 

 

「とぼけても無駄だよ。君のその表情は作り物だ。お見舞いに来るだけなら作り物の顔をする必要なないはずだ」

 

 

どういうこと……彼は奨真君が意識を失ったことと関係があるの?

 

 

「あなたは何か知ってるの?」

 

 

「だから何もないって。何でそんな風になるのさ」

 

 

「いろんな人たちを見てきたボクを舐めないでほしい。ボクは医者だ。人のいろいろな顔を見てきたさ。だから君のその作り物の顔だってすぐにわかるよ」

 

 

「…………はあ、まさか君にここまですごい知り合いがいたとはね……」

 

 

「何か知ってるのね。答えて」

 

 

「この人の前では嘘言ってもすぐにバレそうだし、本当のことを言うよ」

 

 

何なのこの人……一体何を知ってるの……?

 

 

「橘君を刺したのはね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕なんだ」

 

 

 

「「っ!?」」

 

 

それを聞いた私は驚きを隠せなかった。なぜ奨真君を刺したのか、何で殺そうとしたのか。私はどうしてもそれがわからない。

 

 

「何で……そんなことを」

 

 

「だって君は好きな人がいるって言って断っただろ。だったらその人がいなくなればいい」

 

 

「だからって何で奨真君を!!」

 

 

「君、橘君が好きなんだろ。そんなことくらい誰でもわかる。だから橘君を刺したのさ。けど、計画は失敗。橘君は見事に生き残った」

 

 

私は許せなくなった。だから私は彼に近づき、ビンタしようとした。けど、それよりも早く、紺野先生が彼に近づき、胸ぐらを掴んだ。

 

 

「ぐっ……」

 

 

「君……人の命を何だと思ってるんだ!!!!!」

 

 

「きゅ、急に何なのさ」

 

 

「告白を断られて、彼に嫉妬するのは構わない。けどね、自分の都合で人の命を奪おうとするなんてふざけてる!!!!その行為はきっと誰も許さないさ!でも、医者であるボクは誰よりも君を許さない!!!!」

 

 

「紺野先生……」

 

 

たしかに医者である紺野先生は許さないと思う。でも、私は紺野先生が思ってるよりも、彼のことが許せない!!

 

 

「いい!人の命ってね、1つしかないの!それを奪うということは、その人の夢も、何もかもを奪うことになるの!!君はそれがどれほど重いものなのかわかってるの!!!あと、これだけは言っておくよ……人の命ってのは奪うものじゃない、次の世代へと繋ぐものなんだよ!!!」

 

 

「紺野先生、彼を離してください」

 

 

「楓子ちゃん……」

 

 

私が言うと、先生は離してくれた。私は先生と代わって彼の前に立つ。

 

 

「ゲホッゲホッ……く、倉崎さん……僕の元に来る気になったのかい」

 

 

この人は……先生にあれだけ説教されたのに、まだ呑気なことを言ってるの?怒りを通り越して呆れてしまうわ。でも、私は1発ビンタをしないと気が済まない。だから、私は彼の頬を思い切りビンタした。

 

 

 

(バチン!!!

 

 

「痛っ!!」

 

 

「二度と私や奨真君に近づかないで」

 

 

「え、な、なんで!」

 

 

「そうか、お前が犯人だったのか」

 

 

部屋の外から声がして、そっちを見ると、見舞いに来てくれた式と藤乃さんが来ていた。

 

 

「浅上、あいつらに連絡したか?」

 

 

「ええ、彼らだけじゃなくて、警察にも連絡しておきました。話を聞く限り、立派な殺人未遂でしたから」

 

 

「く、クソ!!」

 

 

「逃げても無駄だぜ。外に出る頃にはあいつらがいるからさ」

 

 

あいつらって……きっとサッちゃんたちね。今頃彼はみんなから罰を受けてるに違いないわ。

 

 

「全く……あんなに心がイかれた人は初めて見たよ」

 

 

「先生、とても素晴らしいことを言ってましたよ」

 

 

「えっ……あーなんか恥ずかしいな」

 

 

「外で聞いてましたが、とても素晴らしかったですよ」

 

 

「あれは誰でも心に響くと思うぜ」

 

 

私たちはそんな感じで話してると、サッちゃんたちが中に入ってきた。

 

 

「楓子、あの男は我々が痛い目に合わせておいた。今頃パトカーの中さ」

 

 

「当然の報いね」

 

 

犯人も捕まったし、あとは彼が目覚めるだけ。私は彼の手を両手で包み込むと、彼の指が少し動いた。勿論私はそれを見逃さない。奨真君に声をかけると、奨真君は少しずつ、瞼を開いていく。

 

 

「うぅ……ここは……」

 

 

「奨真君!!!!」

 

 

私は嬉しくて、彼に抱きつく。奨真君は何があったのかわからない感じで困っていた。

 

 

「ど、どういう状況なんだ?あと、楓子苦しい、離して」

 

 

「嫌!離さない!ずっとこうする!」

 

 

「目が覚めたのだな」

 

 

「やっと目が覚めたのか」

 

 

「よかったです!!」

 

 

「本当によかったです!!」

 

 

「目が覚めてよかったですよもう!!」

 

 

「よかったの!」

 

 

「しょーにぃ!!」

 

 

「心配した」

 

 

「よかった……です!」

 

 

「もう怖くて夜も眠れなかったんですよ!!」

 

 

「心配したよ全く……」

 

 

「もう!心配したんですよ!!」

 

 

「心配したんだよ!」

 

 

「ようやくお目覚めか……」

 

 

「本当によかったです!」

 

 

「目が覚めてよかった」

 

 

「よかった!本当によかった!」

 

 

「全く……心配したよ」

 

 

「ふ、ふん!心配なんか……じでないん……だからね!」

 

 

「痛みとかないか!」

 

 

「もう!お兄ちゃん!目が覚めたことを喜ぼうよ!」

 

 

「安心したわ」

 

 

「よかった……」

 

 

サッちゃん、白夜君、鴉さん、タクム君、チーコ、あきら、ういうい、美早、綸、白雪、レミ、ジャンヌ、ニコ、マシュ、アルトリア、リサ、蓮君、オルタ、衛宮君、イリヤちゃん、クロエちゃん、美遊ちゃんの順番で言った。オルタはあー言ってるけど、泣いてるじゃない。

 

 

「俺……確か刺されて……」

 

 

「白夜君とマシュが病院に連絡してくれて、紺野先生が治してくれたわ」

 

 

「ボクだけじゃないよ。君たちの協力があってこそだよ」

 

 

「そっか……みんな、助けてくれてありがとう」

 

 

「気にするな。それに、我々よりもフーコのほうが心配していたよ。久しぶりに2人だけになって話でもしてみるといい」

 

 

サッちゃんが言うと、みんな部屋から出て行った。式は私の方に向くと微笑み、藤乃は『ごゆっくり』と言って出て行った。みんなが出て行ったあと、少しだけ沈黙が続く。けど、それも一瞬、それを破ったのは奨真君だった。

 

 

「その……心配してくれてたんだな」

 

 

「当たり前よ!」

 

 

「うぅ……その、楓子に謝らなきゃいけない。この前出かけた時、その……途中で無視したりしてごめん」

 

 

「そんなこと気にしてたんだ」

 

 

「そんなことって!俺にとっては本当に悪いと思ってたんだ!」

 

 

「ふーん。なら、今度また出かけよう!それで許してあげるわ!」

 

 

「そ、それだけでいいなら……あと……その……」

 

 

どうしたのかな?急に歯切れが悪くなったけど……。

 

 

「む、胸が当たってるんだけど……」

 

 

「えっ?」

 

 

私はあれからずっと抱きついてたせいで、奨真君の胸板に私の胸が当たっていた。そうだ、ちょっとからかってみようかな。

 

 

「あらあら、エッチな奨真君♪」

 

 

「うぐっ……」

 

 

「ふふっ冗談よ」

 

 

「やめてくれよ全く…………あ、そうだ」

 

 

「どうしたの?」

 

 

「楓子、聞いて欲しいことがあるんだ」

 

 

 

楓子side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は目が覚めたばかりだけど、俺はあの日、楓子に会って言おうと思ってたことを言うことにした。

 

 

「楓子、俺……お前のことが好きだ。1人の女性としてだ。俺は、だんだん魅力的になっていくお前のことが好きなんだ」

 

 

「えっ?」

 

 

「ごめんな、お前にはもう好きな人がいるのに、告白なんかして……迷惑だよな」

 

 

でも、言うことを言った。俺は後悔していない。これで振られてしまったら、また新しい恋を見つければいい。そう簡単にはいかないと思うけど。

 

 

「迷惑じゃないよ」

 

 

「えっ?」

 

 

俺は驚いて顔を上げる。すると、目の前には涙を流した楓子がいた。

 

 

「だって……私の好きな人って……君だから。その君から告白されて、迷惑なわけないよ……」

 

 

「でも、俺は楓子の好きな人に全く当てはまってないよ」

 

 

「もう……鈍いんだから。あれは奨真君のことを言ってたのよ」

 

 

「そ、そうだったのか……それで……その……返事を聞かせてくれないか」

 

 

返事を聞かなきゃ……たとえ両思いだったとしても、それだけは聞きたい。

 

 

「私もあなたのことが大好きです!私と付き合ってください!」

 

 

俺はそれを聞くと、楓子を抱きしめる。なんでだろう、今は楓子を離したくなくて仕方がない。

 

 

「なあ楓子。俺……我慢できなくなってきたかもしれない……」

 

 

「あ、ちょっと待っててね。紺野先生に病室の鍵をかけていいか聞かなきゃ」

 

 

楓子は立ち上がると、一度病室を出る。数分後、楓子は帰ってきて、鍵を閉めて、カーテンを全て閉める。そして、ベッドに乗ると、布団の中に入って服を脱ぐ。

 

 

「初めてだから……優しくしてね?」

 

 

「それは大丈夫だ。俺も怪我は完治してないんだし」

 

 

それから俺と楓子は少しの時間だが、幸せな時間を味わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ楓子……」

 

 

「なぁに?」

 

 

「えっと……その……気持ちよかったな……」

 

 

「そうね、直接じゃなかったのは残念だったけど」

 

 

「そんなことして妊娠したらどうするんだよ……」

 

 

「私は構わないわよ?」

 

 

「俺がダメなの」

 

 

今、俺と楓子は同じベッドで寝ている。もう動けない……動いたら傷が開きそうで怖い。

 

 

「あー早く退院したいなぁ」

 

 

「一週間後には退院できるわ」

 

 

「一週間かぁ」

 

 

「夏休みが終わる前に、みんなで海に行きましょう!」

 

 

「まだ行ってなかったのか?」

 

 

「当たり前よ、奨真君1人置いてはいけないよ」

 

 

「あ、ありがとうな」

 

 

「ふふっ……ねえ奨真君、このまま寝てもいい?」

 

 

「構わないよ」

 

 

俺がそう言って頭を撫でると、楓子は気持ちよさそうに眠った。でも……本当によかった。ぶつからなきゃ伝わらない……か。紺野先生、あなたのおかげです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘクチッ!うーん風邪でも引いたのかな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから1週間が経って、俺は無事退院できた。そしてみんなと海や夏祭りに行って、新学期を迎えた。俺を刺した犯人は学校は勿論退学、そして家からも追い出されたらしい。今そいつがどこで何をしてるのかは誰にもわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しょーにぃ!遊んでほしいのです!」

 

 

「わ、わかったから……」

 

 

「ういちゃんって奨真さんのことが本当に好きだよねー」

 

 

「イリヤも人のこと言えないじゃない」

 

 

「な、なんでお兄ちゃんの話になるの!?」

 

 

「あれ〜お兄ちゃんとは一言も言ってないんだけどなぁ〜」

 

 

「イリヤ……」

 

 

ある日はういういたちと遊んだり。

 

 

「男4人で出かけるなんて久しぶりだな」

 

 

「いつもは女子の1人はいたからな」

 

 

「なんか新鮮だな」

 

 

ある日は俺と白夜、蓮と士郎の男4人で出かけたり。

 

 

「先輩!体力危ないです!」

 

 

「なに、心配無用だ!」

 

 

「私が回復してあげる!」

 

 

「チーちゃんは僕が守る!」

 

 

ある日はサッチたちとゲームしたり。

 

 

「寿也!やん!そこはダメェ!」

 

 

「ちょ、ちょっと!やぅん!」

 

 

「…………」

 

 

ある日は寿也に胸を揉まれてるマシュとジャンヌを見たアルトリアを慰めたり。

 

 

「ここはこの公式を使って……」

 

 

「白雪さんの説明は……わかりやすいです」

 

 

「奨真さんとは全然違いよ!」

 

 

「悪かったなわかりにくくて」

 

 

ある日は白雪と一緒に綸とレミの勉強を見上げたり。

 

 

「おら!」

 

 

「流石ニコ」

 

 

「百発百中なの」

 

 

ある日はニコとあきら、美早の3人と射的ゲームをしたり。

 

 

「奨真君!どこかに出かけよう!」

 

 

ある日は楓子とデートをしたり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな感じの日常を過ごしてるうちにいつのまにか数年が経った。みんなは自分のやりたいことを見つけて、それに向かっていった。そして、みんな自分のやりたかった職業についた。俺は明日奈さんの旦那さん、和人さんのところで物の開発をしている。そして、その日の仕事も終えて、家に帰る。

 

 

「ただいま」

 

 

「おかえりなさい!」

 

 

「「おかえりなさーい!」」

 

 

俺を迎えてくれたのは、妻である楓子と俺たちの子供だった。先にご飯を食べて、その後に風呂に入る。風呂から出てくると、楓子は子供達と何か見ていた。

 

 

「それは?」

 

 

「アルバムよ」

 

 

「これパパとママなんだ!」

 

 

「懐かしいな」

 

 

「ねえねえ!パパとママはどんな風に結婚したの?」

 

 

「話すと長くなるぞ?」

 

 

「そのまま話しても面白くないから、物語みたいに教えてあげるわ」

 

 

「「わーい!」」

 

 

「じゃあ教えてあげるよ」

 

 

「これは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パパとママが結ばれる恋物語」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………完。

 

 




はい!
以上1周年記念特別話でした!
ほとんど奨真君と楓子さんの2人がメインでしたけど(笑)


これからもよろしくお願いします!!

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