アクセル・ワールド 君の隣にいるために   作:フラっぴー

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第15話 ジルバの実力・新たな魔眼

 

 

「そろそろ始めようぜ」

 

 

「…………ああ」

 

 

背中のガンブレードを手に取り、構える。ジルバは強化外装を持っていなく、素手で戦うみたいだ。でも、もしかしたら必殺技が飛び道具の可能性もあるかもしれない。警戒しておかなきゃな。

 

 

「…………ゆくぞ」

 

 

「っ!?速い!?」

 

 

咄嗟に剣をクロスさせ、拳を防ぐ。そのまま押し返して、俺は蹴り上げる。ジルバは後ろに飛んで後退し、俺の蹴りを避ける。

 

 

「速いみたいだが、そこまで重くはないんだな」

 

 

「………………」

 

 

「今度はこっちからだ!!」

 

 

俺は急接近して、両手の剣を振りかざす。だが、ジルバも対抗して、攻撃を仕掛ける。俺の剣とジルバの拳が激しくぶつかり合い、周りのオブジェクトは吹き飛んでいった。その時、俺の剣から嫌な音がした。

 

 

(バキン!

 

 

「なっ!?」

 

 

「…………もらった」

 

 

「があ!」

 

 

俺の剣が二つも真っ二つに割れ、ジルバに腹を殴り飛ばされた。地面を転がり、勢いが収まって殴られた腹を見ると、少し凍っていた。

 

 

「なんだ……これ」

 

 

「俺の強化外装、アイスグローブ」

 

 

「まさか……あの時に俺の剣を凍らせていたのか」

 

 

「強化外装はなくなった。さて、どうする」

 

 

武器の強化外装はないけど、俺にはまだ心意が残ってる。

 

 

投影開始(トレース・オン)

 

 

俺はエミヤが普段使っている武器を投影した。ギルガメッシュとの戦い以降使ってなかったが、やっぱりしっくりくる。

 

 

「まだ持っていたか……なら……それも壊すまで」

 

 

「同じ手が通じると思うなよ!」

 

 

俺とジルバは互いに接近して、攻撃を仕掛けた。さっきと同じように、ジルバの拳と俺の剣がぶつかり合う。だが、俺はさっきと全く同じことをしていない。俺は一度しゃがみこみ、足を引っ掛けた。

 

 

「っ!?」

 

 

ジルバは驚き、そのまま倒れて、俺は剣を振りかざしたが、間一髪のところで避けられた。

 

 

「なぜだ……なぜお前の剣は壊れない」

 

 

「気づいてると思ってたけど、その様子だと、気づいてないみたいだな」

 

 

「なに……?」

 

 

「剣でお前の拳を防いでたと思ってただろ、正確にいえば、軌道をずらしていたんだよ」

 

 

「だから剣は凍らない……か」

 

 

「そういうことだ!!」

 

 

俺は距離を縮め、至近距離から攻撃する。流石にジルバも防げなかったのか、俺の剣が直撃する。クリティカルヒットは出ただろう。

 

 

「くそ…………なら、軌道がずらせないようにするだけだ」

 

 

すると、ジルバは自分の拳を上に上げると、その周りに氷が集まっていき、巨大な手となった。まさか、あれで攻撃する気か!?

 

 

「潰れろ」

 

 

ジルバの拳が目の前に迫る。俺は投影した剣で防ぐが、そのまま押される。もしこのまま建物と激突すれば、俺のHPはかなり消えるだろう。その前に踏ん張らなきゃ。

 

 

「こんのおおおおお!!!!」

 

 

足を地面に思い切り力を入れ、俺は踏ん張る。けど、勢いは止まらない。地面が削れる度に俺の必殺ゲージは溜まっていき、やがて満タンになる。

 

 

unlimited blade works(アンリミテッドブレイドワークス)!!」

 

 

固有結界を発動して、無数の剣で拳を防ぐ。やがて勢いは死んでいき、止まった。

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 

「しぶとい……」

 

 

「これでケリをつける!!」

 

 

俺は走り出し、接近する。もちろんジルバは構えるが、俺は滑り込み、下を取る。剣を振り、ジルバの両足を斬りつける。バランスを崩したジルバは膝から崩れ落ちそうになったが、地面に手をついて体を回し、体勢を立て直した。だが、俺にとってそれは予想済み。剣を自由自在に操り、ジルバの背後から剣を刺し、俺はトドメを刺しにいく。

 

 

「まだだ!!」

 

 

ジルバは拳を地面に勢いよく当てると、地面から氷でできた岩が飛び出してきた。けど、そんなものは俺には通用しない。飛び出してきた岩を両手の剣で全て斬り、ジルバとの距離はゼロ距離になる。

 

 

「…………無念」

 

 

「もらったああああ!!!!」

 

 

ザシュッ

 

 

首を刎ねると、ジルバの体は倒れこみ、HPがゼロになってダウンした。それと同時に固有結界が解けて、元の世界に戻る。

 

 

「エイト!!」

 

 

「うおっ!?」

 

 

レイカーは猛スピードで俺に抱きついてきて、倒れそうになったが、なんとか耐える。その後ろからブラッドも近づいてきた。

 

 

「いい戦いだったぜ。見てるこっちも興奮したよ」

 

 

「なかなかの強敵だったよ。さて、ジルバが復活するまで待つとするか」

 

 

それから1時間が経ち、ジルバは復活する。

 

 

「………………」

 

 

「立てるか?」

 

 

俺はそっと手を差し伸べると、ジルバはそれを掴んで立ち上がる。

 

 

「お前は…………俺の想像上の強さを……持っている」

 

 

「お前も強かったぜ。次戦ったら、今度は負けるかもしれない」

 

 

「フッ…………あと気づいたが」

 

 

「ん?」

 

 

「お前には…………もう一つの力が隠れている。邪悪な力が…………」

 

 

「「「っ!?」」」

 

 

どういうことだ……。邪悪な力って……まさか……災禍の鎧の……。

 

 

「でも、エイトの邪悪な力って災禍の鎧のことよね?それならもう取り除いたはずよ!!」

 

 

「自分の身から取り除いても…………心からは簡単には取り除けないとしたら……どうする……」

 

 

そう言われても……俺にはまだわからない。

 

 

「俺なら克服するな」

 

 

「ブラッド?」

 

 

「だってそうだろ?取り除けないものなら、それをコントロールできるように克服するしかないだろ」

 

 

それも一理ある。けど、コントロールなんて……災禍の鎧をコントロールするなんてできるのか?

 

 

「今は……災禍の鎧が……覚醒してなくても…………いつか必ず……どこかで出てくる…それまでに…………どうにかすれば……いい」

 

 

「…………」

 

 

「エイト……」

 

 

「ま、そういうのは仲間にでも相談すればいいだろ?お前には黒のレギオンの奴らがいるじゃねえか」

 

 

ブラッドの言う通りかもしれないな。一人で抱え込むよりも、仲間に相談した方がいいもんな。

 

 

「そうだな」

 

 

「俺は帰る……楽しめたからな」

 

 

「ジルバ、お前はレギオンに参加してるのか?」

 

 

「…………レオニーズ」

 

 

レオニーズ……青のレギオンか。

 

 

「なら、いつか領土戦をする日が来たら、また戦おう」

 

 

「…………望むところだ」

 

 

ジルバはそう囁くと、その場から去っていった。俺たちも帰るために帰還ポータルに向かう。その途中、ある人物と出会う。

 

 

「あれ?式さん?」

 

 

「おい……ここでリアルネームは禁止だ。藤乃」

 

 

「あなたも言ってますよ?」

 

 

「ブラッド。この人は?」

 

 

「アメジストマインと申します。リアルネーム浅上藤乃です」

 

 

「いやいやいや!!リアルネーム言ったらダメだろ!?」

 

 

この人って天然なのか!?

ん?浅上藤乃?どこかで聞いたような……。

 

 

「あ、空の境界の登場人物の人!?」

 

 

「ご存知なんですね。なら、リアルネームを言っても問題ありません。あなたたちのことは式から聞いてます」

 

 

「どういうことだ?」

 

 

「ちょくちょく連絡を取っててな。その時にお前たちのことを教えた」

 

 

「近々会いに行きますので、その時はよろしくお願いしますね」

 

 

「お、おう」

 

 

「あ、その前に……盗み聞きとは感心しませんね」

 

 

マインは横を向くと、何か呟いた。

 

 

「凶れ……」

 

 

「ひっ!?」

 

 

マインが凶れというと、近くの電柱がへし折れて、地面に落ちる。すると、その後ろから小さな悲鳴をあげて誰かが出て来た。

 

 

「ぬ、盗み聞きしてたわけじゃありません!!えっと!たまたまエイトさんと先生を見つけたのでおどろかそうかなーと思ってただけなんで!!」

 

 

「あ、アンクル?」

 

 

「お前何してんだ?」

 

 

「な、何もしてません!!今言った通りのことなんで!!」

 

 

「なるほど、エイトさんのご友人でしたか」

 

 

「そ、それより!!なんで電柱がへし折れたんですか!?」

 

 

たしかに気になるな……。凶れって言っただけであんなことができるなんて……。

 

 

「ねえマイン。もしかして、あなたのアビリティって歪曲の魔眼?」

 

 

「ええ、よくわかりましたね」

 

 

「映画と一緒だからね。それに、ブラッドも直死の魔眼を持ってるから、もしかしたらと思っていたわ」

 

 

さすがレイカーの観察眼だ。そんなすぐには気づかないはずなのに、レイカーはすぐに気づいた。

 

 

「というかお前今鮮花と一緒にいるって聞いたけど」

 

 

「彼女なら少し出かけてるので、暇でしたから加速しました」

 

 

「なるほどな」

 

 

その人も空の境界に出て来た人だな。

 

 

「さて、そろそろ帰ろう。今日の目的だった三銃士も倒したし、当分何も起こらないだろう」

 

 

「ふふっ、そうね」

 

 

「ええ!?三銃士を倒したんですか!?」

 

 

「でも弱かったわよ?アンクルでも余裕で倒せたわね」

 

 

「そ、そうでしょうか?」

 

 

そんな感じで話しながら、俺たちは現実世界に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後……

 

 

 

俺たちネガ・ネビュラスやいつものメンバーで集まっていると、式が藤乃を連れてきた。藤乃は軽く自己紹介を済ませたが、俺たちはどうしても聞かなきゃダメなことがあった。

 

 

「初めまして、浅上藤乃と申します。あの……どうしてそんな目で見るんですか?」

 

 

「いや……だって……」

 

 

「うん……この人のおっぱいもいい!!」

 

 

「なんで寿也に胸揉まれて平然としてられるんだよ!?」

 

 

「「「「うんうん!!」」」」

 

 

これは全員が思ってることだった。だからこそ、言いたくなった。

 

 

「えっ?あ、そういえばそうでした」

 

 

藤乃はそう言うけど、剥がそうとはしなかった。あとは……。

 

 

「白雪さん……落ち着いて……ください!」

 

 

「藤乃さんだ!!藤乃さんだ!!」

 

 

「あんたねぇ!いいから落ち着きなさいっての!!」

 

 

綸とオルタが必死に白雪を抑えていた。あの二人も大変だな……

 

 

「ひゃうん!!」

 

 

少し目を離しただけなのに、いつのまにか寿也はマシュの胸を揉んでいた。

 

 

「ねぇ奨真君」

 

 

「ん?」

 

 

「寿也君のあれってある意味才能なのかな?」

 

 

「……だろうな」

 

 

将来役に立たない才能だと思うけどな。そんなことを思いながら、その日はみんなと楽しく過ごした。

 

 


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