アクセル・ワールド 君の隣にいるために   作:フラっぴー

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第30話 最後の島ニーベルハイム

砂漠エリアの上空に浮かんでる神殿に辿り着いた奨真たち。祭壇にオーブをはめ込む窪みが6つあり、オーブを全てはめ込む。すると、祭壇の奥に新しい扉が現れた。

 

キリト「あの扉の先に……あの時のボスが」

 

黒雪姫「あの巨大なやつだな」

 

楓子「たしかキリトとアスナさんとサッちゃんは見たって言ってたわね」

 

アスナ「あの時は挑めなかったけど、今はみんながいる。絶対に勝てる」

 

クライン「っしゃあ!!さっさと倒してユイちゃんを助けようぜ!!」

 

そう言ってクラインは思い切り扉の中に飛び込んだ。他のみんなもそれに続いて、扉の中へと入っていった。

 

最後のエリアに到着すると、目の前に大きな塔がそびえ立っていた。その前にさっきキリトたちが言っていたエネミーが待ち構えている。

 

アリス「あれが……」

 

ロニエ「大きいですね……」

 

ういうい「……皆さん!あそこを見てください!!」

 

ういういが指を指す方を見ると、真っ黒でメカメカしいアバターがいた。それは間違いなく黒の王『ブラックロータス』だった。

 

エギル「巨大なボスの前に最後の王かよ」

 

リズ「でも数だと圧倒的にあたしたちの方が有利よ」

 

奨真「とにかくいこう」

 

ブラックロータスのところへ走り出し、近くに行くと突然上空から何かが降ってきた。その何かとは『ネガ・ネビュラス』の一員である『ブラウンクリエイト』と『エメラルドルーク』と『オシラトリ・ユニバース』の『デスパペット』だった。

 

藤乃「……これは非常にまずいですね」

 

式「ああ……気配でわかるぞ」

 

リーファ「こんな時に……」

 

あきら「サッちんの偽物に近づくには、びゃーくんたちの偽物を倒さないと」

 

白夜「自分の偽物は自分たちで倒す。だからみんなはサッチの偽物を倒すんだ」

 

蓮「全く……俺たちの偽物まで作るなんて、敵は悪趣味だな」

 

奨真「これは男として負けるわけにはいかないな」

 

奨真と白夜、蓮はみんなの前に立ち、戦闘態勢に入る。そして不意打ちではあるが、奨真は高速で背中のガンブレードを相手に投げて分担させた。

 

その隙にロータスのところに行くように指示して、3人はそれぞれの敵に走っていく。キリトたちも急いでロータスのもとへ向かい、対峙した。

 

黒雪姫「キリト、こいつは私がやる」

 

白雪姫「サッちゃん、1人じゃ危険よ。私も手伝う」

 

黒雪姫「っ!?姉さん……」

 

キリト「もちろん俺もだ。3人で戦えば楽勝だ」

 

アスナ「じゃあ私たちはあのボスね」

 

黒雪姫と白雪姫、キリトはロータスと戦うことにし、残ったみんなは巨大エネミーの討伐となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人side

 

 

 

キリトたちから少し離れたところでは、多くの武器がぶつかり合って火花を散らしていた。

 

奨真「チッ!俺が投影したものと同じものをぶつけてくる……。戦い方も俺と全く同じってことかよ!!」

 

今まで奨真がしてきた戦闘スタイルでいくと、相手もそれに対抗して同じ戦闘スタイルでくる。そのせいで隙を作ることもできない。

 

それは奨真だけじゃなくて、白夜と蓮も同じ状態だった。白夜のほうはカウンターを使えば相手も同じタイミングでカウンター。蓮のほうは人形で戦えば相手も人形で、糸で戦えば相手も糸で。

 

白夜「このままじゃ倒せないぞ!?」

 

蓮「しかもこれはまずい……」

 

2人は蓮が言ったことがどういうことなのかわかってない。戦いながら理由を聞く。

 

蓮「時間がかかればかかるほど、俺たちの勝機は無くなっていく。あいつらの体力は無尽蔵かもしれないが、俺たちの体力は少しずつ消耗していく。持久戦になれば確実に負けだ」

 

奨真「どうすれば!!」

 

蓮「それは戦いながら考えるしかない!!」

 

考えながら戦う3人だが、いい案が浮かばず、少しずつ押され始めていく。奨真は剣の動きが鈍くなり、白夜は盾に入れる力が抜けて、蓮は糸を操るための集中さが無くなっていく。

 

それでもなんとか対応できるのは、普段自分が使ってる戦闘スタイルと対峙してるからだろう。自分自身を相手にして苦戦する要素が出るとしたら、きっと自分が知らない動きなのだろう。

 

そんな時、奨真は気づいた。相手に自分が今までしたことない動きをすれば、いくら自分自身でも対応できないんじゃないかと。

 

奨真「そうか!わかったぞ!!2人とも、今まで自分がしたことない動きをするんだ!そうすれば、俺たちの偽物は対応できない!!」

 

白夜「そういうことか!奨真!武器交換だ!!」

 

奨真はガンブレード、白夜はダイヤモンドシールドをお互い交換する。奨真が盾を、白夜が二刀流という今までにない戦闘スタイルが出来上がった。一方蓮は糸を地面に突き刺して動かなくなった。

 

奨真は盾で相手の攻撃を全て弾きながら走って接近する。近づくと、盾で思い切り殴りつけて吹っ飛ばす。白夜はとにかく攻撃して、相手がカウンターを使ってくるのを待つ。カウンターを使うときは必ずほんの少しだけ隙ができるから、白夜はそこを狙う。蓮は相手が近づいてきたときに地面に刺した糸を別の場所から飛び出させて相手を貫く。

 

3人「「「これでトドメだあああ!!!!」」」

 

奨真と白夜はまた武器交換して、奨真はガンブレードで斬りつけ、白夜は盾で『ドレインクラッシュ』を、蓮は糸でそのまま拘束して、最後に体を思い切り捻った。

 

3人の偽物はそのまま砕け散り、跡形もなくなった。

 

 

 

3人side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒雪姫side

 

私は今、姉さんとキリトと共に私自身の偽物と戦っている。もちろん苦戦するのはわかっていたが、思ってた以上に奴は強かった。

 

黒雪姫「はぁ……はぁ……」

 

白雪姫「いつものサッちゃんよりも凶暴です」

 

キリト「そのせいなのかはわからないが、攻撃の速さが桁違いだ。まずはあれを崩さなきゃ、こっちから攻撃できない」

 

私の偽物はどうやら、姉さんの偽物の時と同じように操られてるらしい。今まで戦ってきた王はオリジナルと同じような感じだったが、私の偽物は私じゃないみたいだ。

 

ロータス「デスバイピアーシング」

 

黒雪姫「させない!」

 

突進してきた偽物の刃を私は両手でなんとか防ぐ。その隙にキリトが二刀流で攻撃をするが、偽物は私から離れてキリトの攻撃を全て捌いた。

 

キリト「今のもダメなのかよ」

 

白雪姫「プリフィケーション・レイ!!」

 

姉さんは偽物の頭上に光の柱を落とした。避けれたなかった偽物はジワジワとHPが減っていく。それに光の柱の中にいる限り、奴は上手く動くことができない。なら今がチャンス。

 

黒雪姫「今だ!!」

 

キリト「スターバーストストリーム!!!」

 

キリトは光の柱の中に入ってソードスキルを発動する。パーティメンバーである私たちは光の柱の中に入ってもダメージはない。だから思う存分奴を攻撃できる。そして私もキリトの後ろから心意技を発動した。

 

黒雪姫「スターバーストストリーム!!!」

 

私は16の星を相手に斬りつけるように放った。偽物に直撃して、奴は光の柱から出てきた。あとは一斉に攻撃すれば倒せる。だが私たちは油断してしまったのだ。

 

ロータス「デスバイバラージング」

 

2人「っ!?」

 

白雪姫「サッちゃん!?キリトさん!?」

 

私とキリトは咄嗟に防御体制に入って防いだが、私のほうが攻撃の回数が多かったのか、後方に飛ばされてしまう。キリトはガードを崩されて、奴の刃がキリトの体を貫いた。

 

ロータス「デスバイピアーシング」

 

キリト「がはっ……!」

 

刃をキリトから引き抜くと、キリトはその場に倒れた。

 

黒雪姫「キリト!?」

 

ロータス「人の心配をしてる場合か?」

 

白雪姫「ルミナリー、力を貸して!!」

 

姉さんは椅子から降りて近接戦闘へと移る。近接戦闘は全くできなかった姉さんだが、英霊級エネミー『ディルムッド』との修行のおかげで克服することができたらしい。

 

神器『ザ・ルミナリー』を2つに分離させ、槍へと変換させて、私と偽物の間に入る。奴の攻撃を防げたが、近接戦闘なら圧倒的に奴の方が上。姉さんに勝ち目はないに等しい。

 

黒雪姫「姉さんダメだ!!近接戦闘なら私の偽物である奴の方が上だ!!」

 

白雪姫「わかってるよ。でも足止めくらいはできる。サッちゃん、私があいつの相手をしてるうちに大技の準備をして」

 

黒雪姫「でも、私の『ジ・イクリプス』で倒せるとも限らない」

 

白雪姫「私が言ってるのはそれじゃないよ。とっておきがまだあるのを私知ってるよ」

 

黒雪姫「あれは発動するまでの隙が長すぎる!そのうちに奴にやられる!」

 

白雪姫「だから言ったじゃない、その間に私が相手するって。頼んだよ、サッちゃん」

 

姉さんはそう言うと奴に向かって走っていった。たしかに私には『ジ・イクリプス』を超える技がある。だが姉さんは何故それを知っていたのだろう……。いや、考えるのは後だ。早く準備をしなきゃ。

 

私は両腕を上に掲げて、心意の力を腕に集中させる。両腕からは少しずつ雷が走っていく。この技は力を最大限まで溜めないと発動できない。だからまだまだ足りない。

 

姉さんのことは心配だ。だが、意識を途切らすわけにはいかない。今は姉さんの無事を祈ることと信じることだけだ。

 

半分まで貯めると腕が千切れるような感覚を襲う。以前モードレッドから言われたな。

 

モードレッド『今のお前じゃこの技を使いこなすことは無理だ。必ず体に大きな負担が掛かっちまう。使うとしても一発だけだ。連発は絶対にするな』

 

あいつの言う通りだ。これは相当やばいな。溜めれば溜めるほど体が痛くて仕方がない。それでもやめるわけにはいかない。

 

白雪姫「ゲイジャルグ!!」

 

ロータス「そんな変形させただけの武器が私に通用すると思うな!!」

 

白雪姫「きゃあ!!」

 

前を見ると、姉さんが偽物に吹き飛ばされていた。このままだと奴はこっちに来る。奴はチャンスと思ってるようだが、それは間違いだ。むしろこっちがチャンスだ。もう最大まで溜めることが出来たからな!そして私は両腕を思い切り振りかざした。

 

黒雪姫「クラレント・ブラッドアーサー!!!!」

 

私の両腕からは巨大な雷が走り、一気に奴を飲み込む。奴のHPは一瞬で消し飛び、その場で大きな爆発が起きた。土煙の中、私は膝をつき、両腕を抑える。普通なら泣き叫んでもおかしくないくらいの痛みが両腕を襲う。けど、弱音は吐いてはいられない。まだこの先も戦いがあるから。

 

キリト「終わったみたいだな」

 

黒雪姫「キリト!?無事だったのか!?」

 

キリト「なんとかな。白雪姫が回復させてくれたんだ」

 

白雪姫「サッちゃんも回復させるよ」

 

姉さんの回復アビリティで私のHPは最大まで回復した。けど、私の両腕の痛みは癒えることはなかった。

 

キリト「あれだけの大技だ。反動があってもおかしくない。黒雪はしばらく戦闘を避けたほうがいい」

 

黒雪姫「それは断りたいが、変に戦って足手まといにはなりたくないな」

 

キリト「早く行こう。もう奨真たちも合流してるだろう」

 

私は姉さんとキリトに肩を貸してもらって、アスナたちの元へと急いだのだった。

 

 


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