アクセル・ワールド 君の隣にいるために   作:フラっぴー

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第31話 塔の番人

 

超巨大エネミーと交戦してる楓子たち。数では圧倒的に有利なのだが、かなりタフでなかなかHPを削れないでいる。

 

まずは下の方にあるコアを攻撃して、エネミーのHPを半分まで減らさなきゃいけないが、そのコアからは超高火力のレーザーが放たれるため、なかなか近づけず、HPを減らせない。

 

楓子「スワールスウェイ!!」

 

あきら「メイルストロム!!」

 

ういうい「フレイムボルテクス!!」

 

3人の攻撃がコアに直撃する。ゲージ5本のうち、ようやく一本を削るが、一本だけでもかなり時間がかかった。このままじゃ半分削っても後半さらにきつくなって倒すのも難しくなるかもしれない。

 

アスナ「なんてタフなの」

 

イリヤ「斬撃(シュナイデン)!!近づいたらレーザーで遠距離でもレーザー。厄介すぎるよぉ!!」

 

美遊「それでもやるしかない」

 

クロエ「イリヤ!文句言ってないで手を動かす!!」

 

フィリア「まって!何か変だよ!」

 

エネミーは動きを止めると、下の方にあるコアが急に消えていった。それと同時に頭部を覆っていたバリアは消えて、無数の宙に浮いた腕が動き始める。

 

腕はバラバラに動き、楓子たちに襲いかかる。それに対抗しようとするが、思った以上に素早い。

 

エギル「くそ、攻撃が当たらねえ」

 

ストレア「あーん!全然当たらないよぉ〜!」

 

クライン「なんつー速さだよ……」

 

タクム「はぁ……はぁ……」

 

ハルユキ「重たい武器だと当たらないってことなのか?」

 

ニコ「お前らうまく避けろよ!ヘイルストームドミネーション!!!」

 

ニコは強化外装『インビンシブル』を装備して大量のミサイルを撃ちだす。楓子たちはそのミサイルを避け、ミサイルは腕目掛けて追いかける。

 

だが、それでもミサイルが当たったのは少しだけだった。

 

楓子「ニコ、遠距離攻撃は当たらないと思ってたほうがいいわ」

 

あきら「ミサイルや魔法攻撃だと余計にダメなの」

 

ういうい「たしかにそのほうがいいのです。でも私なら当てられるかもです」

 

アスナ「ういちゃん?何か策があるの?」

 

ういうい「賭けに近いですけど、これなら」

 

ういういは矢を持ち、弓を構える。一見ただ狙いを定めてるように見えるが、矢が少しずつ光り始めていた。

 

ういうい「メディアさんとの修行で身につけた私の新しい技」

 

光が一定量集まり、ういういは腕のコアに目掛けて矢を放つ。

 

ういうい「光輪の矢!!」

 

その矢は名前の通り、光の速さで放たれる。矢は見事に腕のコアに命中してHPは一瞬で消し飛んだ。

 

シリカ「み、見えなかった……」

 

リズ「これならいけるんじゃない!?」

 

アスナ「でもういちゃんにばかり任せるわけにもいかないわ。私たちもやるのよ」

 

ジャンヌ「はい。そのためにも作戦が必要です。皆さん聞いてください。あの腕はすごく素早いので、私たちが近づこうとしてもすぐに逃げてしまいます」

 

セブン「それはそうだけど、どうするの?」

 

ジャンヌ「逆に考えるのです。私たちから(・・・・・)から攻めるんじゃなくて、向こうから攻めてもらうんです」

 

ロニエ「えっ!?それだとやられるんじゃ……」

 

式「なるほどな。お前の作戦はもうわかった」

 

ジャンヌ「さすが式さん。さっきの戦闘でエギルさんやストレアさんのような重量系の武器を持ってる人は攻撃を当てるのはほぼ無理に近いことがわかりました。ならその人たちとマシュさんのように盾を持ってる人でタンクになってもらうんです。攻撃を受け止めてもらってる隙に腕を攻撃するんです」

 

たしかにエギルたちはタンクに回ったほうがいいだろう。ジャンヌはそれを頭に入れてこの作戦を考えた。

 

クライン「お、俺タンクとかうまく出来る保証はねえぞ?」

 

エギル「刀でガードするだけだ。難しいことじゃねえ」

 

ストレア「ならタンクはアタシとエギル、クラインとスメラギ、あとはマシュとタクム、ティアとリズ?」

 

楓子「そうね。そしてジャンヌは後方から指示をお願いできる?」

 

ジャンヌ「任せてください」

 

式「ジャンヌ、追加いいか?俺を含めた速さに自信があるやつに素早さ向上の魔法をかけてやつに近づくのはどうだ?」

 

ジャンヌ「それもいい考えですね」

 

リーファ「ならあたしやるよ!」

 

ユウキ「ボクも!」

 

式「そして俺の3人だな」

 

そして作戦を実行するため、全員再び動き始める。タンク組は前に、アタッカーはその後ろ、そしてリーファとユウキ、式はアスナとセブンに素早さ向上の魔法をかけてもらう。

 

残り5本のうち一本が攻撃してくる。それに対してタンク組が前に出て防御する。その間にアタッカーたちが攻撃する。

 

だが他の腕がアタッカーたちを妨害しようとしてくる。それを邪魔させまいと他のタンクが防御する。

 

タクム「皆!!僕とエギルさんが持ちこたえてる間に腕を倒すんだ!!」

 

エギル「長くは持たねえ!!早くしろ!!」

 

シノン「ソードスキルを最大限でいくわよ!!」

 

タクムとエギルが邪魔をしてくる腕を抑えてる間に、ストレアとティアが抑えてる腕をシノンとシリカ、アルトリアとオルタがソードスキルと必殺技、心意技で攻撃する。

 

オルタ「ラ・グロントメント・デュヘイン!!」

 

アルトリア「ストライクエア!!」

 

2本目の腕を破壊したと同時に別の腕が攻撃してきた。今度はクラインとスメラギが防御に入る。アリスは金木犀の剣で、ティーゼは青薔薇の剣で攻撃する。そしてロニエはストレージからかつてキリトが使ってた愛剣『夜空の剣』を取り出した。

 

3人の連携プレーで腕のHPは急激に下がり始める。他のみんなもそれに続くが、それを邪魔するように2本の腕がものすごい勢いで突っ込んできた。素早さ向上の魔法をかけてもらったリーファとユウキ、式の3人は残り1本の腕の相手をしてるため、そっちを止めることはできない状態だった。

 

アスナ「くっ……、急にエネミーの動きが」

 

楓子「凶暴になった?」

 

カムイ「きっと腕の数が少なくなるほど、凶暴化するんだろう」

 

リサ「でもだったらリーファちゃんたちが相手してる腕が凶暴化してないのは?」

 

クロエ「3本までしか凶暴化できないってことじゃないの?」

 

そんな話をしてるうちに、リーファとユウキ、式はエネミーを倒して楓子たちと合流する。

 

それに続いて、自分たちの偽物を倒した奨真と白夜、蓮と偽黒の王を倒した黒雪姫と白雪姫、キリトも合流する。

 

奨真「なんて速さだよ……」

 

白夜「あれじゃ防御はできても攻撃できねえぞ」

 

皆今の状況に絶望してきていた。たしかに目で捉えるのもやっとの動きをしてるエネミーに攻撃を当てるのは困難だ。ジャンヌも必死に戦略を立てようとするがなかなか浮かばない。

 

そんな時、突然誰かの笑い声が聞こえる。その声は奨真たちバーストリンカーが聞いたことのある久しぶりに聞く声だった。その声が聞こえてくる空を見上げると、黄金の戦艦のようなものに乗った金ピカの鎧を着た人物がいた。

 

???「フハハハハ!!無様よなぁ雑種!!この程度のやつ相手に苦戦するとはおもわず笑ってしまうわフハハハハ!!!」

 

その人物とはかつて奨真と死闘を繰り広げた英霊級エネミー『ギルガメッシュ』だった。

 

「「「「ギルガメッシュ!?」」」」

 

ギルガメッシュ「フハハハハ!!!ここまで笑ったのも久しぶりだ!!貴様らの歴史に刻むがいい!!『王腹筋崩壊』とな!!」

 

???「ギル、そろそろ彼らを助けてあげたら?」

 

楓子「他に誰かいるわ」

 

ギルガメッシュの後ろから、緑色の髪をした青年が姿を現わす。

 

黒雪姫「あれは誰だ?」

 

奨真「わからん。というかあの金ピカ友人いたのか」

 

オルタ「さあ?」

 

ギルガメッシュ「聞こえておるぞ雑種!!」

 

???「自己紹介は後でするよー!!」

 

ギルガメッシュ「我にとっては非常に不本意だが、今回は貴様らを助けてやらんこともない。光栄に思え」

 

そう言って身を乗り出すギルガメッシュ。するとギルガメッシュの背後から無数の発射口が現れて、そこから大量の武器が雨のように巨大エネミーに向かって降り注ぐ。

 

近くにいた者は急いで後ろに下がり、避難する。エネミーの腕はあっという間にHPがゼロになり、残るは本体のみとなった。

 

レイン「す、凄い……まるで奨真君の必殺技みたい」

 

腕を全滅させたギルガメッシュは青年と共に戦艦から飛び降りて、奨真たちの前に移動する。すると今度は青年が自分の体から鎖を出現させて、エネミーの動きを封じる。

 

???「ギル、今だよ」

 

ギルガメッシュ「ふん、余計なことを。まあよい」

 

今度はエアを取り出してエネミーに向ける。エアが動き出すと、大地が大きく揺れ始める。

 

ロニエ「わわわっ!な、なんですか!?」

 

ティーゼ「じ、地震!?」

 

???「盾を使える子たちはみんなを守ったほうがいいよ」

 

そう伝えると、白夜とマシュは盾を構え、奨真は『ローアイアス』を投影する。

 

ギルガメッシュ「エヌマ・エリシュ!!!」

 

技が放たれると、エネミーは跡形もなく消し飛び、あたりの地形は衝撃によって一瞬にして変わってしまった。

 

???「さて、終わったことだし自己紹介だね。僕はエルキドゥ。そうだね、ギルのサポート兼ストッパーかな?」

 

ギルガメッシュ「こんな雑種ごときにエアを使わせよって。貴様はこの我に勝ったのにもかかわらず苦戦したのか?」

 

楓子「奨真君は自身の偽物と戦ってたわ。エネミーの相手はしてない」

 

ギルガメッシュ「貴様はあの時の女か。ふん、そんなガラクタような姿じゃあどんな女かもわからんな」

 

エルキドゥ「ごめんね、ギルは女の人を見ると興味が湧いてくる性格でね」

 

キリト「とりあえず戦闘は終わったし、楽にしたらどうだ?」

 

バーストリンカーたちはデュエルアバターからダミーアバターへと切り替える。楓子の目の前にいたギルガメッシュは楓子を見るととんでもないことを言い出す。

 

ギルガメッシュ「ほう、なかなかの美人ではないか。よい、お前を我の妻にしてやろう光栄に思えフハハハハ!」

 

楓子「えっ?」

 

奨真「喧嘩売ってるのかおい。楓子は俺の彼女だ。お前の妻になんかさせるかよ」

 

ギルガメッシュ「この我に刃向かうのか?」

 

奨真「何度だってぶっ倒してやるよ!」

 

アスナ「ちょちょちょ!!ストップストップ!!喧嘩してる場合じゃないでしょ!?」

 

エルキドゥ「そうだよギル。とりあえず彼女に謝ろうか」

 

ギルガメッシュ「いだだだだ!?エルキドゥ!!貴様いつのまにそんな技を!!」

 

エルキドゥはギルガメッシュにアイアンクローを決めていた。しかも顔は怒ってるのではなく笑っているから余計に怖い。

 

ハルユキ「あの、英雄王ってあんな感じの人……でしたっけ?」

 

黒雪姫「いや、違った……ばずだ」

 

いつまでもギルガメッシュとエルキドゥがじゃれあってるので、奨真はそれを止めに入る。

 

奨真「で?俺たちに何の用なんだ?まさか事情を知ってて助けに来たってわけじゃないだろ」

 

ギルガメッシュ「わかってるではないか。我はお前たちの手助けなどせん」

 

イリヤ「さっき助けてくれましたよね?」

 

エルキドゥ「あれはギルの気まぐれだよ。僕はもともと助けに入るつもりだったけどね」

 

ギルガメッシュ「まあ我にもやることがあるからなぁ。どうしても助けが欲しいと言うなら、エルキドゥ、お前がいけ」

 

エルキドゥにそう指示するギルガメッシュ。まさかあの王が手助けのために自分を使わせるとはエルキドゥも思わなかったのか、驚きを隠せないでいた。自分勝手な王は困ってる人がいても決して誰も向かわせなかった。その王が初めて人助けで誰かを使わせたのだ。

 

エルキドゥ「驚いたな。まさか君がそんなことを言うなんて」

 

ギルガメッシュ「我の気分が変わらんうちにさっさと行くんだな。だが、そうだな、条件付きとしてエルキドゥは援護のみだ」

 

奨真「それでも助かる。じゃあ行こうか。エルキドゥ、よろしく頼む」

 

エルキドゥ「任せておいてよ」

 

奨真たちはギルガメッシュに背中を向けて、塔の入り口に向かう。入り口にある窪みに7つのオーブを全てはめ込む。すると扉は開いていき、全員中へと入っていった。

 

 


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