フラっぴーです!
はい、約3ヶ月ぶり?ですね。
今回は番外編です。
本編進んでないのに何故番外編と思うかもしれませんが、実はこの番外編は3周年記念に投稿しようとしてた話のデータが消えてしまったのでその代わりみたいなものなんですよ……。
なのでちょこっと前のデータを思い出しながら執筆しました。
記念話は本編に全く関わってない感じにしてたんですが、今回はちゃんと本編に繋がる感じの番外編です。
3周年記念特別話ではないですがその代わりみたいな感じで呼んでいただけると嬉しいです。
それではどうぞ
ある日、奨真と楓子はいつも通り奨真の義手のメンテナンスのためにユウキが勤めている病院に来ていた。特に異常もなく、メンテナンスはすぐに終わる。
待ってる楓子は棚の薬品などを見ていると、何か気になるものを見つけてユウキへと質問する。
楓子「あのぉ先生。この薬品は何ですか?」
ユウキ「ん?あーそれはラベルが書いてある通りのものだよ」
奨真「なになに……『入れ替わりの薬』?」
奨真は薬品を手に取り、ラベルを読んでみた。ちなみにその薬は1つだけじゃなく2つ置いてあった。
ユウキ「その薬は飲んだ人の体が入れ替わるようになって開発したんだ。まあ実験してくれる人がいなかったから未完成に近いんだけどね」
奨真「めちゃくちゃ怖いんですけど……」
なぜ実験してくれる人がいないのかというと、ユウキはよく自分が面白そうと思ったものを作るが、他の従業員は怖くてその実験にだけは付き合いたくないそうだ。
普段のユウキはいろんなドクターやナースさんに慕われているが、この手の時は恐れられているのだ。
楓子「何だか面白そう」
楓子は薬品の蓋を開けてグイッと飲んだ。それを止めようとする奨真だが、気づくのが遅かった。気づいた時にはもう楓子は飲み干していた。
奨真「何で飲んだんだよ!!」
楓子「面白そうだったから」
奨真「くぅ……こうなったら俺も飲むしかないのか……」
奨真も薬品の蓋を開けて楓子と同じように飲み干す。空になった瓶はユウキの机の上に置かれた。
ユウキ「うーん、この薬品の効果は飲んだ2人にしか表れないから楓子ちゃんだけ飲んでも効果なかったのに」
奨真「それ先に言ってくださいよ!!!」
楓子「まあまあ」
ユウキ「でも効果が表れるかはわからないから気にしないでいいよ」
奨真「それが一番気になるけど……もういいや」
奨真は鞄を持って扉の前に立つ。礼を言って病室を出て家に帰り始めた。
楓子「ねえ奨真君」
奨真「なに?」
楓子「もし本当に入れ替わっても、変なところ触っちゃダメよ?」
奨真「入れ替わらないよ……」
楓子「もう……夢がないんだから」
奨真「現実を見てると言ってくれ」
そんな何気ない会話をしてると家につき、いつも通り風呂に入って晩ご飯を食べて、ジャンヌも誘って3人でテレビゲームをしていつもの時間に寝た。
だが次の日に事件は起こった。
次の日
???side
???「ふあぁ……そろそろ起きるか」
朝になっていつもの時間に起きる俺。ん?待てよ?俺って声高かったか?
まあいいや……。さっさと着替えよう。
俺は立ち上がろうとするが何か違和感を感じる。それは今まで全く感じたことのない感覚。何故か胸がものすごく重く、下の方がスースーするのだ。
???「ん?胸が重い?」
視線を落として自分の手で胸を持ち上げてみる。この感触や重み、これは絶対俺にはないもの。
???「嫌な予感がする……。まさか!?」
俺は急いで部屋の鏡の前に立つ。そこには俺の姿はなく、楓子の姿が映っていた。
???「な、な、な、なんじゃこりゃあああああああああ!!!!!!!」
???「奨真君!?どうしたの!?」
俺が叫んでるとその声を聞いた誰かが部屋に入ってきた。扉にはなんと俺が立っていた。
???「へっ?私?」
???「とりあえず部屋に入ってくれ。そして扉を閉めてくれ」
俺は俺?を部屋に入れてベッドに座らせる。まずは冷静に考えよう。まず俺の姿は楓子。そして目の前にいる俺だが、これは楓子で間違いないだろう。
???「まず確認をとるぞ。楓子だよな?」
楓子「う、うん。じゃあもしかして……」
奨真「俺は奨真だ」
楓子「ねえこれって……入れ替わってるよね?」
奨真「それしか考えられないだろ。とりあえずあのマッドサイエンティストに問い詰めねーと」
奨真はそう言いながらニューロリンカーの電話帳から連絡先を探し出して電話をかける。ちなみにマッドサイエンティストとはユウキである。
何故マッドサイエンティストなのかというと、ユウキは薬剤師の資格も持っていて薬を作ったりもしていて、いつもとんでもない薬を作ってるからだ。
ユウキ「はぁい……もしもし?」
奨真「おいマッドサイエンティスト。これはどういうことだ?」
ユウキ「どうしたの楓子ちゃん……。いつもの楓子ちゃんの口調じゃないよ?あとマッドサイエンティストは酷くない?」
奨真「あんな薬作ってる時点でマッドサイエンティストだろ!!あと俺は楓子じゃねえ!あんたの薬で体が入れ替わった奨真だよ!」
ユウキ「本当に入れ替わったんだ……。まさかの成功!?」
奨真「呑気に喜んでる場合か!!こっちは大変なんだよ!!」
ユウキ「それより、奨真君ちょっと怖いよ?前までそんな風に話さなかったじゃん。ボクのこと慕ってくれてたじゃん」
奨真「話をすり替えようとするな。とにかく、この入れ替わりの効果はいつまでなんですか」
ユウキ「24時間に設定して作ってあるから次の日には元どおりだよ」
奨真「ホッ……よかった。話はそれだけです。それじゃ」
きる直前何か涙目で訴えようとしてたけど……まあろくなことじゃないか。
楓子「とりあえず今日1日はこの姿で乗りきるしかないわね」
奨真「そうだな。とりあえず制服に着替えなきゃ……」
楓子「もちろん奨真君は私の制服を着るのよ」
奨真「えっ?俺があのスカートとか履くのか!?」
楓子「当たり前じゃない。奨真君は今私の姿をしてるのよ。大丈夫、スカートの履き方やブラの付け方はちゃんと教えるから」
はあ……黒歴史ができてしまった……。
楓子「とりあえず今私が付けてるブラを渡すね」
楓子はそういうと自分の服の中からブラを取り出して俺に渡してきた。まて、なんで俺の体から!?
奨真「なんで俺の体から出てくるんだよ!」
楓子「だって私寝る時は付けて寝るから。ほら、付け方教えるから服脱いで」
楓子はそう言うが、今服脱いだら楓子の胸が露わになる。俺は見るわけにはいかないと思い、目を瞑りながら服を脱ぎ始める。
楓子「奨真君?目瞑ってどうしたの?」
奨真「なんでもないから早く付けてくれ」
俺は楓子にブラをつけてもらい、制服も貰って着替え終える。楓子も俺の制服を着替え終わったようだ。
あとは……ニューロリンカーの交換か。
奨真「楓子。ニューロリンカーも交換しないと変だ」
楓子「そうね」
ニューロリンカーを交換してお互いの首につける。これで完全に入れ替わったな。
奨真「今日1日は楓子として過ごさなきゃいけないのか。口調とかも気をつけないと」
楓子「そうだな。ボロを出さないようにしないと」
奨真「俺の真似上手いな」
楓子「そう?あ、そういえば今日体育あるから体操服も渡さなきゃ!」
奨真「えっ?」
マジかよ……よりによって今日体育あるのかよ……。
奨真side out
学校……
奨真(今のところバレてる様子はないな)
奨真は周りをかなり気にしている様子だが、楓子はその逆で全く気にしてはいなかった。気にしていたら余計に変な風に思われると思ってしているのか。
楓子(奨真君の体で1日過ごすのって楽しい!)
いや、何も考えてない様子のようだ。むしろ奨真と体が入れ替わってることを楽しんでいた。なのにバレる様子が全くないのは普通に凄い。
そして一番の問題である体育の時間。奨真たちが通う学校の体育の時間は2クラス混合で男女別で行われる。普段なら奨真は普通に男子更衣室に入るが今回はそうはいかない。
今の奨真の体は楓子。だから楓子が男子更衣室にいるのはおかしいことなのだ。つまり奨真は女子更衣室に入らなければいけないのだ。
奨真(はぁ……なるべく端っこで着替えないと)
楓子は何事もなく男子更衣室に入り、奨真は女子更衣室へとトボトボと入っていく。奨真が中に入った頃にはもう女子生徒たちは着替え始めていた。
一般の男子生徒なら眼福ものだろうが奨真の場合は違う。彼はこう見えて紳士的なのだ。例えば風でスカートがめくれても彼は絶対に別の方を向くのだ。
なるべく見ないようにして端っこのロッカーに移動して体操服に着替え始める。着替える時も自然に楓子の胸や下着が目に入ってしまうがなるべく見ないようにする。着替え終えてホッとした時にジャンヌが突然話しかける。
ジャンヌ「楓子ちゃん?どうしたの?」
奨真「えっ!?な、何が!?」
ジャンヌ「なんだか様子がいつもと違うけど」
奨真「そ、そ、そんなことないわよ!ほら、ジャンヌも早く着替えて遅刻しないようにね!」
奨真は急いで更衣室から出て先生のところに向かう。
奨真(やばい心臓に悪すぎる……)
楓子side
男子の体育は走り幅跳びかぁ。私記録あまり良くないから心配……。そんなこと思ってると私の番が来ちゃった。
「次、橘」
楓子「はい!」
こうなったら何も考えずにただ思い切り跳ぶだけ。私はいつも通り思い切り地面を蹴って走る。
あれ?体が軽い?体というより胸が軽い?
なんだかいつもよりも早く走れてる気分になる。白線ギリギリで思い切り踏み込んでジャンプする。結構跳んだけど何メートルだろう?
「5.6m。少し伸びたか」
奨真君の体ってすごい。私の記録は4mいくかいかないくらいなのに。
「これで運動部に入ってないなんてもったいねえなあ」
楓子「えっ?そうか?」
「そうだぞ!今度野球部の助っ人してくれよ!」
楓子「い、いや俺野球やったことないし」
「基礎は教えるから!!」
楓子「……考えておく」
もしかして奨真君っていつもこんな感じで助っ人を頼まれてるのかな?運動できる人が運動部に入ってないとこんなことになるのね。
あ、そういえば奨真君のほうは大丈夫かな?たしか女子の体育は持久走だったような……。
楓子side out
奨真side
女子の体育は持久走だって聞いたから大丈夫かと思ってたけど大間違いだった……。今の俺の体は楓子。つまり楓子の体で長距離を走ることになる。最初は体が楓子でもいつも通りにすればいけると思ってたけど、走り出したらかなり辛いことに気づいた。
胸が重りをつけてる感じでめちゃくちゃ辛い……。走るたびに上下に揺れるしその反動で体力は削られるし……。楓子っていつもこんな重いものを胸につけてたとは……楓子の体になってその大変さが思い知ったよ。
奨真「はあ……はあ……」
「倉崎さん大丈夫?いつもよりペース遅いけど」
奨真「っ!?だ、大丈夫大丈夫!ただ今日は調子悪いだけ……」
「ならいいけど。なんだか辛そうに走ってるからちょっと心配で」
奨真「ほ、本当に大丈夫よ。わざわざ心配してくれてありがとう」
「気にしないで。無理はしないでねー」
そう言ってクラスメイトは先に走っていった。楓子ってこんな重いものつけてるのに速いんだな。やっぱり慣れてるからか?
俺も無理せずに早く走って終わらせよう。ペースを上げようと急に走り出したが事故が起きた。
奨真「うっ……も、もげる……」
本当に胸がもげそうになり、俺は立ち止まって胸を押さえて蹲る。あまりの衝撃で自然に涙が出てきた。
奨真「もう嫌だ……早く自分の体に戻りたい」
なんとか立ち上がり、俺はゆっくりのペースで残り3周を走り切った。やっと体育が終わり、あとは国語だけ。……と思っていたが、まだ着替えが残ってた。
更衣室の端っこに移動して体操服から制服に着替えるために上の服を脱ぐ。その時、俺は楓子の胸に目がいってしまった。
こうやってよく見たら本当に大きいよな……。思わず手で胸を持ち上げてそう思う。ただ重いだけじゃなく、弾力もあってすごく柔らかい。これは世の中の女性たちが欲しがるものなんだろうなぁ。
「倉崎さん?何してるの?」
その言葉で俺は我に返り胸から手を離す。声のする方を見ると、さっき俺のことを心配してきたクラスメイトがいた。
奨真「べ、別に何もしてないよ!」
「胸を持ち上げてたけど……。うわぁ……近くで見たら本当に大きいし、すごく柔らかそう」
「なになに〜?倉崎さんの胸の話〜?」
「どんな感触なのか知りたいから揉ませろ〜!!」
まずいぞ……この流れだともみくちゃにされそうな……。そうなる前にここから逃げ出さないと。まだ着替え終えてないけど……仕方ない、トイレで着替えよう。
俺は素早く制服と脱いだ体操服を手に取りその場から逃げ出す。廊下に出たら普通なら間違いなくいろんな生徒に半裸の俺を目撃されるが、幸いにも今はまだ授業中。ここから一番近い女子トイレに駆け込めば誰にもバレずに済む。
なんとかトイレに駆け込んだ俺は制服に着替えて中から出る。その時、男子トイレの中からちょうど楓子が出てきた。
奨真「よ、よう楓子。偶然だな」
楓子「奨真く〜ん?私の体で、しかも校内で何してたか正直に話してくれない?」
奨真「へっ?」
楓子「私の気のせいならいいんだけど、下着姿の私が走って女子トイレに駆け込んでいくところを見た気がするんだけど」
奨真「い、いやぁ……それは……」
楓子「ど・う・な・の?」
奨真「…………はい、本当です。ごめんなさいいろいろあったんですだから許してください」
俺はその場で誰もが感心するような綺麗な土下座をする。まさか楓子に見られてたとは……。
楓子「全く……私の体は奨真君のものなんだから、胸やお尻を触られるのは全然気にしないけど下着姿とかはあんまり他の人に見られたくないの」
奨真「いや、でも着替える時とかは見られるだろ?」
楓子「男子に見られたくないの。レギオンメンバーとかはあまり気にしないけどね。あまりね」
まあ……レギオンメンバーには加速世界でトラップに引っ掛かった時にあられもない姿を見られたことあるし。楓子だけじゃなくて全員がなったからお互い様みたいな感じだったけど。
楓子「さて、教室に戻ろっか」
奨真「あ、ああ」
俺と楓子は教室に向けて足を進める。
楓子「そういえば奨真君。持久走大丈夫だった?」
奨真「あーそのことなんだけど。お前よくこんなもの身につけながら走れるよな」
楓子「あら、失礼よ。それは女の象徴なのよ。こんなものなんて言っちゃダメ。うーん、私はやっぱり慣れかな?」
奨真「慣れかぁ。本当にもげるかと思ったよ」
???「たしかに不慣れな人だともげそうになるよね〜」
奨真・楓子「「ん?」」
俺と楓子は思わず振り返る。俺たちの後ろに立っていたのは悠花だった。
悠花「やっほ〜。入れ替わって大変そうだね」
奨真「待て、なんで知ってる」
悠花「お母さんが家で言ってたから。すごく喜んでたよ〜。お父さんはそんなお母さんをみて呆れてたけど」
うん、ひとごとのように喜んでる先生と呆れてるカムイが思い浮かぶ。カムイ、頼むから一度先生を思いっきり怒ってやってくれ。
楓子「それでどうしたの?」
悠花「ううん、入れ替わった2人がどんな感じかなぁって思って声かけただけ」
悠花はそれだけ言うとどこかに走っていった。さすが先生の娘というか自由なやつだ。
俺たちは教室にたどり着くと、扉の前には白雪が立っていた。近づくと俺たちに気づき、こっちに走ってきた。
白雪姫「あ、奨真さん!駅前の喫茶店で新作のパフェが出たんですけど、それがカップル限定みたいでして……、今度一緒に来てくれませんか!」
奨真「ああいいぞ」
白雪姫「えっ?楓子さん?」
楓子(奨真君……)
しまったぁ……いつもの癖で返事してしまった……。
今俺が返事したら楓子が返事したことになるのに……。
奨真「って奨真君なら言うよね!!」
楓子「えっ!?あ、ああいいぞ!先に読まれたか〜」
白雪姫「変なの……。じゃあ日にちが決まったらまた連絡しますね!」
楓子「おう!」
白雪はパタパタと走って自分の教室へと戻っていった。うっかりボロが出てしまったけどなんとか誤魔化せたみたいでよかった。
楓子「奨真君……。もう少し慎重になろうねぇ」
奨真「ごめんなさい……」
体が入れ替わっても相変わらず楓子には頭が上がらないなぁ。そのまま教室に入り、席に着くと明日奈さんが入ってきて授業が始まった。
奨真side out
放課後。
いつもの帰り道を通っている奨真と楓子。公園の横を通り過ぎようとした時、公園から謡とイリヤと美遊とクロエが出てきた。
楓子はいつものように謡に抱きつこうと足を進めようとするが奨真に止められた。
奨真「今の俺たちは入れ替わってるんだ。今楓子が俺の姿で抱きついたらいろいろおかしくなる」
楓子「ご、ごめんなさい……つい癖で」
謡「あ、しょーにぃとフーねぇ!」
謡は奨真たちに気づくと手を振りながら歩み寄ってきた。それはとてもかわいらしい。イリヤたちも続いて歩み寄ってきて挨拶をしてきた。
イリヤ「こんにちは!」
美遊「帰宅中ですか?」
楓子「ああ、さっき学校が終わって家に帰るところだ」
クロエ「あれ?そういえばいつもの楓子ならういちゃんに抱きつくのに今日はしないんだ」
奨真「えっ!?ほ、本当なら今すぐにでも抱きつきたいんだけど今日は我慢してるの!なんかいろいろ止められなくなりそうだし!」
謡「そんな状態で抱きつかれたら本当に窒息死してしまいます……」
楓子「あはは……。でもういうい家遠いのによく来たな」
謡「遠いって言っても電車だとすぐなのです」
イリヤ「ごめんねういちゃん。いつも来てもらって」
謡「大丈夫なのです。学校がある日はいつもこっちで遊んでるんですから、休みの日はそっちに行きたいのです!」
謡とイリヤたちは同じ小学校に通っている。謡は地元だが、イリヤたちの地元は俺たちと同じ。だから学校は遠いから美遊の家の車で送り迎えしてもらっている。謡たちは学校がある日は学校の帰りにそのまま謡の地元で遊び、休みの日はイリヤの地元に遊びに行くという感じにしてるらしい。
謡たちの遊び事情を聞いてると後ろから声をかけられる。振り向くとそこにはイリヤとクロエの兄である衛宮士郎が立っていた。
士郎「よう2人とも。さっきぶりだな」
奨真「士郎君?」
楓子「さっきぶり」
イリヤ・クロエ「「お兄ちゃん!!」」
イリヤとクロエは士郎を見るとすぐに抱きつく。楓子と謡と美遊は微笑みながらその光景を見て、奨真は士郎の背後の方から何かが向かってきてるのに疑問を浮かべながら見続ける。
その正体は同じ学校に通うちょっとした問題児の2人だった。
???「衛宮君!!追いついぐへぇ!!」
???「シェロぉぉ!!先に帰るなんて酷いですわ!!」
士郎「おわぁ!!ルヴィアさん!?」
ルヴィア「わたくしずっと生徒会室の前で待ってましたのに窓を見たらシェロが帰る姿が!!それをみたわたくしはすぐに飛び出したのですわ!!」
奨真「どうでもいいけどなんで凛にジャーマンスープレックスきめたんだよ」
ルヴィアよりも早くに士郎の所についた遠坂凛だが、ルヴィアにジャーマンスープレックスをきめられて今はピクピクと小刻みに動いている。
意識がはっきりとした凛は立ち上がりルヴィアの髪の毛を思い切り引っ張る。
凛「こんのぉぉぉ!!!よくもやってくれたわねこの金髪ドリル!!!」
ルヴィア「痛たたた!!あーら遠坂凛いたのですね!全然気づかなかったですわ!!」
凛「なぁにが『気づかなかったですわ』よ!!思い切りジャーマン決めてよく言うわ!!」
楓子「ルヴィアのプロレス技って本当にキレがいいよね」
奨真「金持ちお嬢様からは想像がつかないな」
ルヴィアは渋谷で有名なエーデルフェルト家の当主。物腰優雅で白鳥の美貌、気品溢れる言葉遣いのお嬢様。成績はトップ10の中に入り、運動もそれなりにできる。そして美遊はエーデルフェルト家の養子なのでルヴィアは美遊の姉になる。ちなみに趣味はプロレス。
ルヴィア「そんなことより、奨真と楓子。あなたたちなんだか口調が変ですわよ?」
楓子「そ、そそそんなことねえって!な、楓子!」
奨真「え、ええ!気のせいよ気のせい!」
凛「ルヴィア!!今日という今日は許さないわよ!!」
ルヴィア「いい度胸ですわね!!なら決着をつけましょうか!!」
士郎「け、喧嘩はやめろって!」
凛とルヴィアはその場で決闘しようとするが士郎が止めようとする。すると2人はケロっと態度を変えた。
ルヴィア「シェロがそう言うなら仕方ありませんわね!」
凛「衛宮君がそう言うなら……」
奨真・楓子((チョロい……))
クロエ「相変わらずチョロいわね〜」
見てわかると思うが、凛とルヴィアは士郎のことが好きなのだ。学校の登下校や昼休憩の時はいつも争ってるのだ。士郎本人は全く気づいていないみたいだが。
士郎「そろそろ帰らないと。イリヤたちはどうするんだ?」
イリヤ「わたしたちも帰るところだよ」
楓子「ういういは俺たち一緒に行こうか」
謡「はいなのです!」
奨真と楓子、謡は士郎たちと別れ、駅へと足を進める。本当なら奨真はバイクで送ってあげたいが、今は2人は入れ替わってるためそれができない。楓子は中型バイクの免許を持ってないため、奨真の体でも運転はできない。
駅に着いて奨真は楓子に自分のニューロリンカーから電車代を渡すように言った。楓子は奨真のニューロリンカーから電車代を引いて謡に渡す。
謡「どうしたのです?電車代ならあるのです」
奨真「いやぁ……本当ならバイクで送ってあげたいんだけどな。今俺と楓子の体が入れ替わっててできないんだ。だからせめて電車代くらい出してあげたいと思ってさ」
楓子「私中型免許持ってないから……。車もお母さんが使ってると思うし」
2人は事情を謡に話す。謡はすぐに納得して電車代を受け取る。
謡「そうだったのですね。だからフーねぇはいつもみたいに抱きつかなかったのですね」
楓子「本当なら今すぐにでも抱きつきたいけど……今日は我慢」
謡「できれば当分そうしてほしいですが……。送ってくれてありがとうございます。さよならなのです!」
謡はホームへと向かい、奨真たちは家へと帰ろうとするが途中であることに気づいた。入れ替わってることを親に伝えた方がいいのかということを。
奨真「…………どうする?」
楓子「ジャンヌにも説明してなかったもんね……」
奨真「ジャンヌには言えないだろ。今言ったら俺女子の着替えを覗いてたことになるぞ。でも親に説明するのもなんか……嫌だなぁ」
楓子「そんなこと言っても晩ご飯食べてる時にはバレるかもしれないよ?」
奨真「なら今日は外食にしよう。ジャンヌには『あら、奨真と楓子じゃない』ん?」
2人は歩いていると、前からオルタとジルが買い物袋を持って歩いてきていた。袋から見える材料から見て鍋の材料だろう。
楓子「おーオルタか。それは……鍋の材料か?」
オルタ「そうよ。今日は姉さんも呼んで3人で鍋でもしようと思ってね」
その言葉を聞いた2人はナイスタイミングと思った。バレるのを覚悟でジャンヌを外食に誘うつもりだったからだ。
楓子「そうなのか。ジャンヌはもうそっちにいるのか?」
ジル「はい。先ほどわたくしが倉崎家にお迎えにあがりました」
オルタ「姉さんあんたたちに連絡するとは言ってたけどきてないの?」
楓子はジャンヌからのメッセージを見て確認をとった。そこには今日はオルタたちと晩ご飯を食べると書かれていた。2人にとってはバレずに済むみたいで結果オーライというところだ。
楓子「来てるみたいだ」
ジル「そうでしたか。では、わたくしたちはそろそろ行きますよ。支度をしなくてはいけませんので」
オルタとジルはマンションへ向かい、奨真たちは親に外食することをメールし、ファミレスへと向かう。ファミレスの近くまで来ると、入り口に見覚えのある赤髪の女性が見えた。
その女性は『ティーゼ・シュトリーネン』
大人気女優だった。その隣には夫の『レンリ』と娘のスティカとリーランもいた。
レンリ「家族で外食なんて久しぶりだね」
ティーゼ「たまにはいいでしょ。リーラン、美味しかった?」
リーラン「うん!でもママの料理が世界一!!」
スティカ「だってさ、よかったねママ」
奨真「ティーゼとレンリ!久しぶりだな!」
ティーゼ「奨真君!久しぶり!」
レンリ「楓子さんも久しぶりだね。……あれ?なんか2人ともいつもと感じが違うけど」
奨真・楓子「「あっ……」」
2人はティーゼとレンリに事情を説明する。すると2人は納得した感じで頷いた。
ちなみに2人はALOでティーゼと知り合ったが、レンリと知り合ったのは2人が買い物してる時にティーゼと一緒にいるところを目撃したからなのだ。
ティーゼ「ユウキさんはいつも通りだね」
レンリ「あはは……」
スティカ「あまりあの人をいじめちゃダメですよ?」
奨真「いじめはしないよ。成敗だよ成敗」
スティカ「笑ってるけど目が笑ってない」
2人はティーゼたちと別れてファミレスの中に入る。2人はメニューを見て品を決めて注文し、談笑しながら食事をする。
ファミレスから出てそのまま家に帰って2人は一緒に風呂に入った。何故2人一緒に入ったのかというと、奨真は楓子の裸を自分で洗うわけにはいかないと思ったため。だから風呂に入ってる間の奨真は常に目隠し状態だった。
風呂から出てパジャマに着替えた2人は部屋に戻って寝ることにした。
次の日……
2人は元どおりになっていた。それに気づいた奨真は歓喜の声を上げる。
その声を聞いた楓子は奨真の部屋に入る。
奨真「よっしゃあ!!元どおり!!」
楓子「ふふ、1日だけだったけど楽しかったよ」
奨真「俺はもうごめんだ。それより、今日も昨日の朝も大声あげたのになんでジャンヌや母さんたちは気づかなかったんだろうな?」
楓子「ジャンヌはぐっすり寝てたみたいだし、お父さんはもう仕事に行って家にいなかったし、お母さんは朝ご飯作るのに忙しかったから気づかなかったんじゃない?」
奨真「なるほどな。さて、今日は土曜日で学校もないし、着替えて出かけるか」
楓子「どこに?」
奨真「軽いお仕置きをしに」
その時の奨真の顔は楓子が言うには少し、いやかなり邪悪な顔をしてたそうだ。これはロクでもないことを考えてそうと。
病院……
カムイ「全く……自分の弁当を忘れるなんて。仕方ないなぁ」
カムイは病院にユウキのお昼ご飯の弁当を届けにきていた。隣には娘の悠花も同行していた。カウンターでユウキの仕事部屋を聞いて、お礼を言って部屋へと向かう。
悠花「今日は仕事ないんだね」
カムイ「土曜日は月に一度だけ休みだからね。今日がその日なんだ」
親子で他愛もない会話をしてるとユウキの部屋の前にたどり着いた。コンコンとノックしてユウキがいるかどうか確認する。声は聞こえてきたが、何故か涙声が聞こえてきた。
少し疑問に思いながら扉を開けると、そこにはユウキが床に(座布団は敷いている)正座して足の上にコンクリートの塊を置かれていた。
ユウキ「えーん!助けてよカムイ〜!」
カムイ「…………とりあえず何があったの?」
カムイの問いには一緒に部屋にいたナースがユウキの代わりに答えてくれた。さっき奨真と楓子がやってきて、奨真がユウキに座布団の上に正座してくださいと言って、両手を後ろで縛り、さらにその上に持ってきていたコンクリートの塊を乗せて動けないようにしたのだ。
何故奨真がそんなことをしたのかというと、先日入れ替わりの薬のせいで酷い目にあったため、ユウキには少し反省してもらおうと思ったかららしい。事情を聞いたナースは止めることはしなかった。
悠花「新しいプレイなのかと思った」
ユウキ「こんなのただの拷問だよ!!というかこれ外してよ!!ボク仕事できないよ!」
ナース「先生には少し反省が必要だって彼も言ってたじゃないですか。先生の仕事は代わりに私がやっておきますから」
ユウキ「うぅ……カムイぃぃ……」
カムイ「こればかりは僕も何も言えないかな」
ユウキ「そんなぁ……」
カムイ「それで、いつまでこの状態なんだい?」
ナース「たしかお昼休憩が終わるまでって言ってました」
ユウキ「こんな状態じゃご飯も食べれないよ!!しかもボク今日弁当忘れちゃったし!!」
カムイ「弁当なら持ってきてあげたよ。ご飯も食べさせてあげるから」
ユウキ「あ、ありがとう〜」
悠花「私はお邪魔かな?じゃあ私は帰るね〜。ごゆっくり〜」
悠花は部屋から出て病院の出入り口に向かう。病院を出て家に帰る途中で悠花は呟いた。
悠花「本当、いつまで経ってもラブラブな2人ね」
設定
スティカはティーゼの子孫ですが、本作ではティーゼとレンリの娘。
リーランはオリキャラです。