今加速世界ではある問題が出ていた。
『災禍の鎧』の復活。
災禍の鎧を完全消去するために七王が討伐に向かっていた。
俺はその様子を陰で見ていた。
『グオオオオオォ!!!!!』
『……………』
グランデは相変わらず無口だな……。
グランデが防いで、ナイトとロータスが接近で、レディオ、ライダー、ソーン、コスモスが遠距離で攻撃していた。
そんなに時間はかからず、戦いは終わった。
災禍の鎧がストレージにないか確認しているみたいだな。
俺はずっと様子を見ていた時、事件は起きた。
ロータスがライダーを不意打ちで殺したのだ。
「っ!?あいつ何やってるんだ!!」
他の王達は一斉にロータスに攻撃し始めた。だが白の王、ホワイトコスモスだけは攻撃しなかった。
ロータスはすぐにその場から逃げていった。
「ホワイトコスモス……。何か隠しているな」
現実世界でネガ・ネビュラスの主要メンバーで集まった。(俺はまだ用心棒だが)
サッチが話があるらしい。
「みんな、今日ネガ・ネビュラスは帝城を攻略しようと思う」
「帝城って神獣級エネミーがいるところだろ!俺たちで大丈夫なのか」
「わからない。けど我々はさらなる高みを目指すには帝城の攻略が必要だと思う」
「まあ俺は構わないが……」
「私も大丈夫なの」
「私もなのです」
「私もいいわ」
「奨真君はどうする?私としては君の力が必要なのだが」
「悪い、俺はいけない。この後予備の義手の調整があるから病院に行かなきゃならない。ローカルネットからも遮断されてるしいつ終わるかもわからない」
「そうか……」
「まあ、俺の分まで頑張れよ」
「ああ」
「っとそろそろ時間だ。俺は先に帰るよ」
「わかった。またな」
「さよならなのです」
「またなの」
「じゃあなー」
「奨真君!車に気をつけてね!」
「……ガキじゃねえんだから。じゃあな」
俺は先に帰り、そのまま病院に向かった。
義手の調整が終わり、俺は病院を出た。
俺はあいつらが心配になってきた。
帝城を攻略なんて神獣級エネミーを相手にする。
あんな奴らを倒すなんてほぼ不可能だ。
嫌な予感がする。俺はすぐに無制限フィールドに飛んだ。
「アンリミテッドバースト!!」
「帝城はあっちだな。デュアルクロス!ジェットレッグ!!」
俺はブースターレッグとハイジャンプレッグをデュアルクロスさせ、ジェットレッグを着装した。
「もっと速く……もっと速く!!」
飛び続けてると上を誰かが通過した。
あれはレイカー?
何かあったんだな。急ごう!!
俺は帝城の奥へと飛んでいった。
奥まで行くとメイデンがいた。
「メイデン!!」
「しょーにい……」
「大丈夫だ。すぐに逃げるぞ!!」
俺はメイデンを抱き抱え、もう一度飛んだ。後ろを振り向くと、朱雀が追ってきていた。
「このままじゃ追いつかれる!!もっとだ………もっと速く!!!」
俺はジェットレッグを限界まで加速した。
「おおおおおおお!!!!!!」
なんとか振り切ったみたいだな。
「しょーにい!!怖かったよぉ!!」
「もう大丈夫だ」
「奨真君…」
「ロータス」
「……すまない。私のせいで」
「自分を責めるな。誰もお前のせいだなんて思ってないはずだ」
「しょ、奨真か?」
「ん?」
声のする方を振り向くとカレンを抱き抱えたルークがいた。
「っ!?何があった!!」
「チッ。やられた。俺は大丈夫だか、カレンがレベルドレインを食らっちまった」
「しくじったの……」
カレンのレベルが1に下がっていた。その時の詳しい内容を聞いた。
「くっ!!」
「カレン!!」
まずい!このままじゃ無限EKだ!
「おおおお!!!」
俺はカレンの前に立ち、盾で攻撃を防いだ。
「ぐぅ!!」
「ルーくん!!」
「お前は……俺が守る」
チッ、流石神獣級エネミーだな。もう限界だ。
そんな時だった。意外な人物が助けてくれた。
「…………」
「グ、グリーングランデ!?」
「ということなんだ」
「グランデの奴、どういうつもりなんだ」
「わからねえ。だが助けてくれたのは事実だ」
「大丈夫!?」
レイカーも逃げ切ったみたいだな。
「しょ、奨真君!?」
「みんなにも言っておくが一応ここではデュエルアバター名で頼む」
「す、すまん」
「……みんな聞いてほしい。今日限りでネガ・ネビュラスは解散する」
「なっ!?どうしてだよ!!」
「私はみんなを無限EKにしてしまいそうになった。私はマスター失格だ」
そう言って、ロータスは走って帰還ポータルに帰って行った。
「……本当にレギオンを解散させやがった」
ルークたちに聞くと所属レギオンが消えていたらしい。
「サッちゃん……」
「サッチ」
「サッチん」
「……とりあえず帰還ポータルに向かおう」
俺たちは一度帰還ポータルに向かって現実に戻った。
「……早く帰ろう」
俺は走って家まで帰って行った。
「ただいま」
家に帰るとまだ父さんたちは帰ってきてなかった。とりあえず楓子のところに行こう。
「楓子、入るぞ」
中に入ると、ベッドの上で座っている楓子がいた。
「楓子」
「……奨真君」
楓子に近づいて行くと、楓子が抱きついてきた。
そして俺の胸の中で大声で泣いた。
「うわあああああん!!!」
俺はそんな楓子を黙って見ることしかできなかった。
理由はこんな時なんて言ってやればいいかわからないからだ。
こうして加速世界ではネガ・ネビュラス崩壊という噂が広がっていった。