アクセル・ワールド 君の隣にいるために   作:フラっぴー

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第5話 黒雪姫の事故

 

 

長い出張から帰ってきた父さんと母さんにごちそうを作った翌日、学校が終わって放課後、俺と楓子と綸は『パティスリー・ラ・プラージュ』に来ていた。

 

 

 

「あの……なんでここに?」

 

 

 

「ん?今日から俺も綸に稽古をつけるから、その前にケーキを奢ろうと思ったんだ」

 

 

 

「え!ほ、本当ですか!?」

 

 

 

「そうよ。綸は昨日負けたから悔しがってると思ってそろそろ稽古をつけてやろうって言ってたわよ」

 

 

 

「師匠と奨真さんの特訓ですか……。が、頑張ります!」

 

 

 

「お待たせしました。苺のショートケーキ3つです」

 

 

 

「サンキューミャア」

 

 

 

俺がミャアと呼んだ人物はこの店の経営者『掛居美早』。

七大レギオンの二代目赤の王『スカーレットレイン』の右腕『ブラッドレパード』である。三獣士の第一位でもあるかなりの実力を持ったバーストリンカー。

 

 

 

「NP。これは当然のこと。ごゆっくり」

 

 

 

ミャアは厨房に戻っていった。

 

 

 

「はむ……おいしい!」

 

 

 

「ここのケーキは本当においしいわね!」

 

 

 

「ああ、ここのケーキが一番美味いな!」

 

 

 

「THX。そう言って貰えると嬉しい」

 

 

 

「これは?」

 

 

 

「私からのサービス」

 

 

 

「えっと……私も貰ってもいいんですか?」

 

 

 

「NP。私はこの店の経営者」

 

 

 

「じゃあありがたく貰うわね」

 

 

 

俺たちはミャアがサービスでくれた紅茶を口に入れた。

うん、美味い。

ケーキを食べ終え、店を出た。

 

 

 

「また来るよ」

 

 

 

「THX。いつでも来てね」

 

 

 

「それじゃあね」

 

 

 

「ご、ご馳走様でした」

 

 

 

俺たちはミャアと別れて、俺は駐車場に停めていたバイクを押して、三人で歩いた。すると楓子が何かを思い出したように俺に言った。

 

 

 

「そういえば今日の晩御飯のおつかいを頼まれてたんだった。奨真君先に帰ってて」

 

 

 

「わかった。綸もこの後何かあるか?」

 

 

 

「わ、私は兄の病院に行きます。もう病院の前ですし……」

 

 

 

横の大きな建物を見ると、そこには病院があった。

ここに綸の兄貴が入院してるのか。

 

 

 

「そうか。じゃあ先に帰るよ」

 

 

 

「あ……今日の夜加速世界で!」

 

 

 

俺は楓子と綸と別れて、バイクを走らせた。

梅郷中の前を通り過ぎ、そのまま走っていると向かいの車線から車が暴走して横に突っ込んで来た。

俺は咄嗟に加速した。

 

 

 

「バーストリンク!」

 

 

 

今は車にAIが搭載されているから車が暴走するなんてありえない。

AIが壊れているか、AIを停止させたかのどちらかだろう。

ありえるとしたら後者だろう。

俺は突っ込んで来た車に近づくと、そこには見覚えのある人物がいた。

 

 

 

「サ、サッチ!?」

 

 

 

「奨真君!?どうして!?」

 

 

 

 

「バイクを走らせてたら突然車が突っ込んで来たんだ。だから俺は加速した」

 

 

 

蝶の姿をしたアバターのサッチとピンクのブタのアバターの人がいた。

 

 

 

「奨真君って……もしかして奨真さんですか!?」

 

 

 

このブタの声どこかで聞いたような………あ!!

 

 

 

「有田君か!?」

 

 

 

「奨真さんもバーストリンカーだったんですか」

 

 

 

「ああ、お前の子か?」

 

 

 

「そうだ」

 

 

 

「じゃあ君がシルバークロウか」

 

 

 

「は、はい」

 

 

 

ってこんなことをしてる場合じゃないな。現実のサッチたちを見るとかなり危険な状況だ。

 

 

 

「これは報いなのだろうな。人の心を弄んで来たからな」

 

 

 

「え……」

 

 

 

「奨真君。すまないがハルユキ君と二人で話したい」

 

 

 

「わかった。絶対に死ぬなよ」

 

 

 

「ああ。私を誰だと思っている」

 

 

 

「黒の王、ブラックロータスだろ。じゃあ、また後でな。バーストアウト!」

 

 

 

 

俺は現実に戻り、バイクのタイヤを横に滑らして、急ブレーキをかけた。あの車との衝突はなんとか避けることができた。

俺はバイクを降り、有田君とサッチのところに駆けつけた。

 

 

 

「っ!?有田君!大丈夫か!」

 

 

 

「イテテッ。っ!?先輩!!先輩!!」

 

 

 

「サッチ!!」

 

 

 

建物にもたれて大量の血を流したサッチがいた。俺は突っ込んで来た車の運転手のところに向かった。どうやら中学生みたいだ。年は有田君と同じか。

 

 

 

「ヒャハハハハハ!!!!ざまあねぇな!!!この俺に舐めた口を開くからだ!!そのせいでお前の大事な先輩が死んじまったよ!!!」

 

 

 

こいつ狂ってやがる!!有田君に恨みがあるみたいだが、まさか殺そうとするなんて!!

 

 

 

「テメェ!!俺の大事な友達に何してるんだ!!!」

 

 

 

俺はそいつの顔面を右腕で思い切り殴った。右腕は義手だから殴った時変な音が聞こえた。倒れたそいつを見ると鼻が曲がっていた。

 

 

 

「イテエエ!!!」

 

 

 

曲がった鼻を押さえて倒れていたそいつは警官に無理矢理立たされ、パトカーに放り込まれた。俺はそれを見終わり、すぐに救急車を呼んだ。

 

 

 

「今救急車を呼んだ!もうすぐ来るはずだ!」

 

 

 

「あ、ありがとうございます!!」

 

 

 

「礼はいらん!君はそのままサッチと一緒にいてやれ」

 

 

 

救急車が来て、意識不明のサッチを中に入れて有田君も中に入っていった。俺はそれを見送り、バイクに乗って家に帰った。

 

 

 

 


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