アクセル・ワールド 君の隣にいるために   作:フラっぴー

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OP4『Burst The Gravity(ALTIMA)』


第6話 孤児院

 

あきらside

 

 

 

ここに来るのも久しぶりなの。

いつもはびゃーくんがバイクで会いに来てくれてたからこっちにはたまにしか来なかった。

あ、まだ言ってなかったの。

私はびゃーくんが暮らしている孤児院に来ているの。

びゃーくんは生まれてすぐに親を亡くし、ここに引き取られたって聞いたの。

しょーくんも親を亡くし、フーコの養子になったって聞いたの。

話はこれぐらいにしてそろそろインターフォンを押さなきゃ。

 

 

 

ピンポーン……

 

 

 

『私出るー!』

 

 

 

私がインターフォンを押してすぐに誰かが出て来た。

声で誰かわかったけど…。

 

 

 

「あっ!あきらお姉ちゃんだー!」

 

 

 

美奈(みな)。久しぶりなの」

 

 

 

「え!!あきらお姉ちゃん来たの!!」

 

 

 

「本当だ!!あきらお姉ちゃんだ!!」

 

 

 

美奈に続いてぞろぞろと出て来た。

そしてこの孤児院の院長さんが出て来た。

 

 

 

「お久しぶりです、あきらさん」

 

 

 

「お久しぶりです」

 

 

 

「どうぞゆっくりしていってください。あなた達。あきらお姉ちゃんを案内してあげて」

 

 

 

「「「はーい!」」」

 

 

 

私は子供達に案内してもらい、孤児院のリビングに入った。

 

 

 

「今日も白夜お兄ちゃんに会いに来たの?」

 

 

 

「そうなの、でも今日はびゃーくんに来ることは言ってないの」

 

 

 

「じゃあ今から呼んでくるね!」

 

 

 

美奈がリビングから出て行き、ドタドタと階段を上がっていく音が聞こえた。

私は荷物を置いて、座布団の上に座ると寿也(としや)君が話しかけて来た。

 

 

 

「ねえねえ!あきらお姉ちゃんは白夜お兄ちゃんと付き合ってどれくらい経つの?」

 

 

 

懐かしいな。

ネガ・ネビュラスのみんなで集まった時、私はびゃーくんに一目惚れして思い切って告白しようとしたらびゃーくんも告白して来たから本当にびっくりした。

 

 

「3年ぐらい経つの」

 

 

 

「デートはどれくらいしたの?」

 

 

 

「数えられないくらいしたの」

 

 

 

「ちゅーは何回した?」

 

 

 

「え、ええと……」

 

 

 

こ、これはさすがに答えづらい質問なの……。

寿也君は調子に乗るとこういうことをぐいぐい聞いてくる。

 

 

 

「コラッ!寿!あきらが困ってるだろ!」

 

 

 

びゃーくんが二階から降りて来て、寿也君の頭に軽く拳骨を下した。

寿也君は少しだけ痛そうにしていた。

 

 

 

「痛いよ!」

 

 

 

「お前が悪い!ごめんなあきら」

 

 

 

「ううん、気にしなくていいの」

 

 

 

「そっか。それより急にどうしたんだ?」

 

 

 

「たまにはここに来たいと思ったの。それと今日はびゃーくんを驚かせようと思って来たの」

 

 

 

「急に来たからびっくりしたよ。でも、寿也と美奈、香奈(かな)も嬉しそうだな」

 

 

 

「あきらお姉ちゃん!いつもの膝枕してー!」

 

 

 

香奈は私の膝枕がお気に入りみたいで、私が来る度にこうやって膝枕をお願いして来る。

 

 

 

「いいよ。ほらっ」

 

 

 

私が膝を叩くと香奈は私の膝に頭を乗っけた。

 

 

 

「んー気持ちいい」

 

 

 

「ふふっ」

 

 

 

「ねえねえ!この荷物何ー?」

 

 

 

「そういえば凄い荷物だな」

 

 

 

忘れてた……。

私は横に置いていた荷物の中からあるものを取り出した。

 

 

 

「それは?」

 

 

 

「みんなの分のお昼ご飯なの」

 

 

 

私が取り出したのは大きなお弁当箱。

3年前は料理なんか全くしなかったけど、付き合い始めてから料理をするようになった。

 

 

 

「よし!そろそろ昼飯の時間だしあきらが作ってくれた弁当を食うか!お前ら準備を始めるぞ!」

 

 

 

「「「はーい」」」

 

 

 

びゃーくんはみんなを連れて、準備を始めに行った。

 

 

 

「白夜君はよく動いてくれてとても助かるわ」

 

 

 

「びゃーくんはここの孤児院の中で最年長ですもんね」

 

 

 

「ええ、他の子達の面倒も見て大変なのに私たちの手伝いもしてくれるから」

 

 

 

びゃーくんは子供達の面倒を見て院長さんの手伝いもして、さらに今通っている高校の勉強もしている。

もちろんブレインバーストも。

始めてここに来た時、それらを全て行なっていたのを見たときは超人だと思った。

実際超人だけど……。

 

 

 

「あきらー。準備出来たぞー!」

 

 

 

「あ、うん!院長さんもどうぞ食べてください」

 

 

 

「ありがとうございます」

 

 

 

私はお弁当箱を全て取り出し、机の上に置いて蓋を開けた。

中には焼き魚を食べやすいように小さく切ったものや唐揚げ、サラダ、などちゃんとバランスのとれた料理を入れていた。

 

 

 

「「「「「「いただきます!」」」」」」

 

 

 

お箸を手に取り、みんな食べ始めた。

 

 

 

「美味いな!この唐揚げどうやって作ってるんだ?」

 

 

 

「それは……秘密なの」

 

 

 

さすがにびゃーくんにも味付けは教えられないの。

ごめんね。

 

 

 

「おいしい!」

 

 

 

「うめえ!」

 

 

 

「私もこんなおいしいものを作れるようになりたいな!」

 

 

 

「大きくなったらきっと作れるの」

 

 

 

「こんなにおいしいものはそう簡単に作れませんよ。たくさん作ったんですね」

 

 

 

「びゃーくんにおいしいものを作ってあげたかったので」

 

 

 

最初は何度も失敗したの。

ミャアにも手伝ってもらってやっとおいしいものを作れるようになった。

 

 

 

「あれ?びゃーくん頰にご飯粒がついてるの」

 

 

 

私はびゃーくんの頰についたご飯粒をとり、それを食べた。

食べた後びゃーくんを見ると何故かびゃーくんは顔を赤くしていた。

 

 

 

「どうかしたの?」

 

 

 

「い……いや…」

 

 

 

びゃーくんはそう言ってまた食べ始めた。

私も早く食べちゃお。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お弁当を食べ終えて、私たちは片付け始めた。

 

 

 

 

「美味かったよ。じゃああきら、上に行くか」

 

 

 

「うん」

 

 

 

私とびゃーくんは二階に上がり、びゃーくんの部屋に入った。

私はベッドに腰掛け、びゃーくんは椅子に座った。

 

 

 

「そういえばこの前用心棒(バウンサー)の仕事があったんだよな。どんな奴だった?」

 

 

 

「あのシルバークロウだったの。安全マージンを取らずにレベルアップしたせいで全損危機だったらしいの」

 

 

 

「ははは!リアルで見て見たいな!」

 

 

 

「私はリアルで見たの。まさかあんな感じでリアル割れするなんて思わなかったの」

 

 

 

「どんな感じだったんだ?」

 

 

 

「カフェでぶつかった時に、タブレットを落として彼の写真を見られたの」

 

 

 

その前に胸を触られたけどこれを言うとびゃーくんは暴走してしまいそうなので言わないでおこう。

 

 

 

「あらら。シルバークロウって新生ネガ・ネビュラスに入ったんだよな。お前はまだ入らないのか?」

 

 

 

「まだエレメンツが集まるのは早いと思うの」

 

 

 

「そっか…」

 

 

 

「びゃーくんの方こそまだ入らないの?」

 

 

 

「悩むな…。ま、俺もまだかな。でも」

 

 

 

びゃーくんは立ち上がり、私の隣に座って抱き寄せた。

 

 

 

「っ!?」

 

 

 

「お前がネガ・ネビュラスに戻る時は俺も一緒だ」

 

 

 

「びゃーくん」

 

 

 

「あきら」

 

 

 

私たちの顔は少しずつ近づいていった。

私は目を閉じてびゃーくんの唇と私の唇を重ねた。

しょーくんとフーコもよくしているけど、ラブラブ度なら負けないの。

しばらくして唇を離した。

それからはお互いの学校の話やブレインバーストのことを話した。

時間のことを忘れて話していたから外はかなり暗くなっていた。

 

 

 

「そろそろ帰るね」

 

 

 

「おう!また遊びに来いよ!」

 

 

 

「あきらお姉ちゃんまた来てね!」

 

 

 

「その時はまた膝枕してー!」

 

 

 

「おいしいご飯も食べたい!」

 

 

 

「また遊びに来るの。お邪魔しました」

 

 

 

私は歩いて駅まで行き、電車に乗って家に帰った。

家の中に入り、洗い物をしてからお風呂に入り、ベッドに寝転んだ。

 

 

 

「ネガ・ネビュラス……。びゃーくんは私が戻る時に一緒に戻るって言ってたけど本当はすぐにでも戻りたいはず……。……ごめんねびゃーくん」

 

 

 

私は瞳から少しだけ涙が流れたがすぐに拭き、そのまま眠った。

 

 

 

 


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