次の日……。
俺はいつもより早く起きて考え事をしていた。
それは昨日白雪が言っていた言葉だ。
『奨真さんならきっと……私のことも救ってくれるはずですね』
どういうことだ?
白雪には何か秘密があるのか?
まさか加速研究会とグレーマインドが関係してるのか?
「……ちょっと外を走ってくるか」
俺は横で寝ている白雪を起こさないようにして着替えて、外に走りに行った。
「はあ……はあ……はあ……」
しばらく走っているとフードを被った青年とすれ違おうとした。
その時、青年は小さな声で、いや…まるで俺にしか聞こえないような声で言った。
「あなたが橘奨真さんですね」
「っ!?」
俺は驚き、立ち止まって青年をみた。
その青年も足を止め、こっちに振り向いた。
「何で俺の名前を知ってる」
「あなたほどの学校の有名人はそうそういませんよ。自己紹介がまだだったね。俺は葉山三郎。あなたがバーストリンカー『ブラウンクリエイト』だということももちろん知ってます」
「何故知ってる。お前は何者だ!」
「会長から聞いてないんですか?なら言いましょう。『グレーマインド』って言えばわかるかな?」
「っ!?」
こいつがグレーマインド。
白雪を操り、サッチにライダーを殺すように命令したやつか!
俺は顔を覚えようと葉山の顔を見ようとしたが、フードを深く被ってるせいか見ることができなかった。
「お前の目的は何だ!何故コスモスを操ってロータスにライダーを殺させた!!」
「さあ?何ででしょうね?とりあえず俺は用事があるから失礼するよ。また会うといいですね、ブラウンクリエイト」
俺は追いかけることが出来なかった。
葉山と名乗ったやつから出てきた禍々しいオーラにビビってしまったからだ。
「お前の目的はいったい何なんだ」
誰もいない道で俺はそう囁いた。
俺は家に帰り、扉を開けて自分の部屋に戻ろうとした時に楓子と会った。
「奨真君、どこに行ってたの?」
「早く目が覚めたからちょっと走ってきた」
「そう。白雪が心配してたわよ」
「わかった」
俺は自分の部屋に入ろうとしたが、もしかしたら白雪は着替えてるかもしれないと思い、ノックをした。
何故か楓子はそれを見て小さく笑っていたが気にしないでおこう。
「白雪、入っても大丈夫か?」
『奨真さん!?は、はい!大丈夫です!』
俺は白雪の了承を貰って中に入った。
中に入ると白雪は私服に着替えていた。
相変わらず白いな……。
「なあ白雪、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいか?」
「は、はあ……大丈夫ですが…」
白雪ならグレーマインドのことを知っているはずだ。
そのことを聞いてみよう。
「グレーマインドとはリアルでも知り合いか?」
「っ!?」
「その反応は知ってるってことでいいのか?」
「…………」
「無言でも知ってるってことにするぞ?」
「……知ってます。でも、それがどうかしたんですか」
「あいつの……加速研究会の目的を教えてくれ」
「……私は会長の座を降りたので詳しくはわかりませんが教えましょう。彼らの目的は私です」
「どういうことだ?」
「私の心意は消えたものを生き返らせることができるのは知ってますよね。その力を悪用してとんでもないものを呼び出すつもりなのです」
「でも何で白雪を操ってサッチにライダーを殺させたんだ?ライダーと加速研究会は関係ないだろ?」
「それが関係があったのです。ライダーは私以外で加速研究会の目的を唯一知っていたレベル9。それを止めようとしたライダーが邪魔だったのでしょう。そして私は不意を突かれて操られてしまった」
「なるほどな……。それでそのとんでもないものって?」
「それは………この加速世界を変えてしまうかもしれないもの……聖杯」
「聖杯?」
「聖杯については私もわかりませんが、それはとんでもないものだってことはわかります」
「聖杯については加速研究会に聞くしかないってことか……」
「そうですね」
でも俺と白雪だけでは成すすべもない。
ネガ・ネビュラスのメンバーを集めるか……他のレギオンにも協力してもらうしないな。
「このことについてなんだけど、ネガ・ネビュラスのメンバーが全員集まった時にしても構わないか?」
「大丈夫です」
「白雪。お前は絶対に救ってみせる、だから心配するな。お前には俺たちがついてる」
「っ!?………はい!」
白雪は満面の笑みを浮かべて、俺と白雪は部屋を出た。
出ると部屋の前には楓子とレミと綸が立っていた。
「朝ごはんが出来てるわよ」
「奨真さんが遅いからなかなか食べれないじゃないですか!白雪さんに何したんですか!」
「何もしてねえよ!!」
「お……落ち着いて」
朝から騒がしいが、そんなことを気にせずに下に降りて朝ごはんを食べた。
それから片付けをして、三人を見送るために外へ出た。
「「「ありがとうございました!」」」
「いつでも来いよ」
「歓迎するわ」
「はい!奨真さん、言っときますけど先生は渡しませんよ!」
「そんな生意気なことを言ってるのはこの口か!だいたい楓子は最初から俺のもんだ!」
「いいい痛いです!ごごごめんなさい!引っ張らないで!」
「仲……いいですね」
「喧嘩するほど仲がいいとはこういうことですね」
「ふふっ」
レミと軽く戦ってから、三人を見送った。
それにしてもあいつは本当に俺をいじるのが好きだな……。
「さて、中に入るか」
「ええ!」
楓子は俺の腕にしがみついて体を密着させてきた。
そのせいで楓子の柔らかいものが腕に当たってしまう。
「楓子、当たってるんだが」
「ふふっ、当ててるのよ♪」
「そ、そうか」
俺は理性を保ちながら、今後どうするかを考えた。