倒れたシルとクロウの前に『シャドウアサシン』と名乗る黒いデュエルアバターが現れた。
バイスは新手と思い、一瞬構えるが、すぐに警戒を解いた。
「君の相手をしてもいいけど、情報がなさすぎて不利だね。ここは大人しく退かせてもらうよ」
バイスは地面の影に潜り、その場から消えていった。
シャドウはシルの元に駆け寄った。
「大丈夫?お姉ちゃん?」
「えっと……あなたは?」
「あ、この姿だと初めてだね」
そう言ってシャドウはいきなりシルの胸を揉み始めた。
一回だけ揉んですぐに離れた。
「ひゃん!」
「これでわかった?」
「こんなことする人なんて………もしかして、寿也?」
「そうだよ。お姉ちゃん!」
「で、でもどうして!なんでここが?あ、その前にいつからバーストリンカーに?」
「い、いっぺんに言わないでよ!」
「ご、ごめんね!いきなりすぎて頭が混乱して……」
「まずは1つ目、僕は2年前にバーストリンカーになったんだ。2つ目、たまたまお姉ちゃんたちを見かけたから追いかけた。3つ目、あいつはお姉ちゃんを虐めたから」
「な、なんで私がわかったの?」
「お姉ちゃんが帰ってきてから何度か対戦を観戦したからね」
2人は話していると、別の黒いバーストリンカーが現れた。
その脇にはフランとアンクルが抱えられていた。
「ん?終わってたのか」
その黒いバーストリンカーはフランが戦った『デスパペット』だった。
シルはフランと別れる前にみたのは人形だったからパペットとは初対面だった。
「あなたは?」
「デスパペット。加速研究会の1人だ」
「っ!?なんで加速研究会の人が!!」
「待て待て!!俺はお前らと戦う気は無い!!」
「あなたに無くても私は……つぅ!」
「無理するな。バイスとあれだけ戦ったんだ」
倒れかけたシルをシャドウが受け止め、パペットはゆっくりと2人に近づいた。
そしてパペットはシャドウに倒れてるクロウを連れてくるように頼んだ。
「君、あそこにいる銀のやつを連れてきてくれ」
「は、はい!」
シャドウは遠くでずっと倒れたままだったクロウの元にいき、肩に担いでパペットたちの元に戻ろうしていた。
シルは加速研究会の1人であるパペットが何故敵意無しでここにいるのかが疑問に思っていた。
「あなたはなんでここに?」
「俺はさっきまでこの黄色い子と戦って、そのまま帰ろうとしたんだが……。………なんでかわからないが放って置けなかったんだ」
「加速研究会の人がいったい……どういう風の吹きまわしですか?」
「どうもなにも、俺は戦闘不能のやつを痛めつけるほど根性は腐ってない。それより黄色い子はHPは満タンだが気を失ったままだし、この子は傷も酷い。早く休ませないと」
「そ、そうですね」
「お姉ちゃん。辛いと思うけど案内お願いするよ」
「大丈夫よ」
「さて、行くか」
あきらside
私は先に進み続けるびゃーくんを必死に追いかけた。
びゃーくんはしょーくんとの戦闘で体力を消耗してるはず。なら、近くまで行けば必ず追いつく!
必死に追いかけて、私はびゃーくんの前に回り込み、道を塞いだ。これ以上行かせないために。
「あきら。お前も邪魔するのか?」
「びゃーくん!昔のこと聞いたよ。何でなの………何で私に話してくれなかったの!!」
「お前が知って何か変わるのか!!」
びゃーくんが怒鳴って、私は体を震わせたけど、びゃーくんの目を見続けた。
びゃーくんの心はきっと今は暗いところにいる。今救わなきゃ、びゃーくんは遠いところに行ってしまう!
「私はびゃーくんの力になりたいの!」
「っ!?………俺がやろうとしてるのは殺しなんだぞ。お前はその手伝いをする気か!!そんなこと絶対にさせない!!」
「じゃあ何でびゃーくんはやろうとするの!!」
「それは……」
「びゃーくんは優しいよ。でも今のびゃーくんはびゃーくんじゃない。何で?何でそんな風になったの?」
「俺はあの日からずっと復讐のためだけに生きてきた!!それを邪魔するならお前でも容赦しない!!」
もう何を言っても無駄なの……。
びゃーくんは復讐のするためにその邪魔をしてる私を倒そうとしてる……。
なら、私は………。
「なら、私は全力で止めるの!!」
私は手に氷を作り、そして地面に手をつけて、心意技『スキューアフロスト』を使った。
氷はびゃーくんの元に行ったが、ジャンプで避けられた。
でも空中では身動きは取れない。早速チャンスがきたの!!
私は地面を強く蹴ってジャンプしてパンチしようとした。
けどびゃーくんは盾でそれを防いで、そのまま押し返した。
私は落下していき、地面に激突する前に受け身をとった。
前を見ると、盾を持って立っていたびゃーくんがいた。やっぱりびゃーくんが持ってる盾が厄介なの…。
まずはあれを何とかしなくちゃ。
「グランドデス!!」
「っ!?」
突然地面にヒビが入って、私は咄嗟にその場を離れた。
けど、びゃーくんは私が避けるところを予測していて、避けたほうに先回りしていた。
そして盾で思い切り殴ってきた。
「ぐう!!」
「………もう諦めろ」
「……何を?諦めるの?」
「俺を追いかけるな」
「………それは私が決めるの」
私は立ち上がって『スキューアフロスト』を放った。今度は横に避けられたけど、狙い通りなの!
「はあああ!!」
「無駄だ!」
盾で塞がれたけどこれも私の狙い通りなの。私はその場をすぐに離れて、さっきいた場所に私の水分身を置いた。
びゃーくんは本体の私が離れたことはまだ気づいてなかったの。
私の攻撃はまだ止まらないの。
「コピー・ボム!」
「何っ!?」
水分身は爆発して水蒸気となって視界を悪くさせた。
その隙に私はびゃーくんの後ろに回り込んだ。
そして私のとっておきの技を放った。
「
「しまった!?」
私は氷を纏い、尖った氷で覆われた手足でびゃーくんに攻撃した。
何発かはダメージを与えることができたけど、盾で防いできた。
ただ防いでるだけじゃなかった。これは私の攻撃の威力を吸収して、吸収した分の威力を放つ『ドレインクラッシュ』だった。
「させない!!」
私は隙ができないように何度も何度も攻撃をし続けた。
攻撃してる分吸収されるが、それを放たれなければ意味はない。だから私は攻撃し続けた。
びゃーくんも少し押されてるのに気づいて、放とうとするけど、放つタイミングが掴めなかったみたいなの。
そして私は渾身の一撃をびゃーくんの盾に放った。
するとびゃーくんは衝撃で後退した。
盾は………やっぱり吸収されたまま。近くに行くと、いつ放たれるかわからないの。なら………。
「これで決めるの!!」
「はあ……はあ……お前の全てをぶつけてこい!!耐え抜いてやる!!」
私は目の前に水の渦を作りだして、手には水を纏った。水を纏った手を水の渦に突っ込んで私の最強の心意技を放った。
これでびゃーくんを止める!!
「メイルストロム!!」
「ジュエルウォール!!!」
私は技を放ち、びゃーくんが発動した盾に当たると、とてつもない衝撃が起きて、あたりは爆風に包まれた。