今、俺の後ろには、水着が流されて胸を露出してしまった楓子がピッタリとくっついている。
何故なら、俺が楓子の胸を見えないようにこうしろと言ったからだ。
「どうすりゃいいんだ……」
レミside
奨真さんも先生もどこにいったんだろ?
みんなの代わりに探しに来たけど、手掛かりが全然ないなぁ。
聞き込みでもしようかな。
「あの、すみません。この辺りに超絶イケメンと超絶美人を見ませんでしたか?ちょっと紺色っぽい黒髪の男の人と茶髪ロングで胸の大きい女の人なんですけど」
「胸の大きい美人……」
「あんたまさかその人に興味があるの!?」
「ち、違えよ!えっと、そんな感じの人は見てねえな」
「そ、そうですか。ありがとうございます」
聞き込みでもダメかぁ……。
いったいどこに言ったんだろう…。
『あんた絶対あの子が言ってた人に興味あったでしょ!!私みたいな貧乳はやっぱり嫌なんだ!!』
『ま、まて!落ち着けぎゃあああ!!』
さっきの人……凄く怒られてるなぁ。
……ん?
「これって……水着?」
なんでこんなところに水着が…?
波に流されたのかな?
それに見覚えがあるような………あっ!?
「これ先生の水着だ!?」
もしかしたら近くにいるかも!
私は海の方を探すと、海に入っている奨真さんと先生を見つけた。
「奨真さーん!先生!今そっちに行きますからー!」
「レミ!?」
私は先生の水着を持って、奨真さんたちのいるところまで泳いでいった。
奨真さんたちのところについて、私は先生に水着をつけてあげた。
「ありがとうレミ」
「助かったぜ」
「砂浜まで流されてましたよ?」
「マジかよ…」
「そろそろお昼なのでみんなもう集まってますよー」
「わかった。じゃあ戻ろうか」
私たちはみんなのところに戻っていった。
その時、私はあることをすると決めた。
今日、奨真さんに告白することを……。
レミside out
奨真side
俺たちはバーベキューセットを用意して、みんなで昼飯を食べていた。
「もらった!」ひょいっ
「なっ!?アルトリア!それ俺が狙ってたやつだ!」
「バーベキューは弱肉強食ですよ!」
「ぐぬぬ…」
「びゃーくん、私の食べる?」
「はふはふ」
「ういちゃん、頰にタレがついてるよ」拭き拭き
「ジャンヌさん、ありがとうなのです!」
みんな楽しそうだな…。
旅行に来て本当によかったよ。
昼飯も食べ終わって、今はみんなシートの上で休憩していた。
「美味しかったね」
「そうだな」
「マシュお姉ちゃん!日焼け止め塗ってあげる!」
「え、じゃあお願いしようかな?」
本当にマシュのことが好きなんだな。
まあイタズラしなけりゃいいが…。
マシュはうつ伏せになり、寿也は日焼け止めを手につけて、マシュの背中を塗っていた。
「気持ちいい♪」
「おりゃー」
むにゅっ
「ひゃん!」
「えい!」ブスッ
「目がああああ!!」
また始まったか…。
しかも、日焼け止めのせいで手がヌルヌルになってるな。
「と、寿也!ダメ!そこは!」
「マシュお姉ちゃんのおっぱい柔らかい♪あ、そうだ!」
寿也はマシュから一旦離れて、楓子のところにきた。
すると、いきなり楓子の胸を揉み始めた。
「きゃっ!」
「凄い!柔らかい!」
そう言って離れて、次はジャンヌの方に行った。
まさか一人一人確認する気じゃないのか!
「楓子お姉ちゃんと同じだ!」
次に向かった先はアルトリアのほうだった。
なんか嫌な予感が……。
「…………」
「何故ノーコメントなんですか!!」
「寿!ストップだ!」
「アルトリアさん落ち着いてください!」
「せ、先輩!手伝ってください!」
「わ、わかった!」
アルトリアはハルユキたちが抑えて、寿也は白夜が抑えたおかげで、このことは収まった。
「楓子、大丈夫か?」
「え、ええ。ビックリしただけよ」
「そうか」
俺たちはそのままシートの上で休憩することにした。
数時間が経って、夕方の砂浜で俺と楓子は海を眺めていた。
「綺麗ね」
「ああ」
あの海の向こうに、父さんと母さんはいるのかな……。
あれからもう5年以上経ったのか。
「奨真君?」
「……なあ楓子」
「何?」
「キスしていいか?」
「いつもは聞かないのに急にどうしたの?」
「えっと……特に理由はないけど……ただ、楓子とキスがしたくて…」
「じゃあ、しよ?」
楓子は目を閉じて、俺からのキスを待ってくれた。
俺も目を閉じて、顔を近づけて、楓子の柔らかい唇に自分の唇を重ねた。
その時、俺は楓子を離したくないと思い、ひたすら唇を重ね続けた。
楓子も嫌がらずに、唇を重ねてくれた。
数秒が経って、俺は楓子と唇を離した。
「奨真君、どうしたの?」
「えっ?」
「泣いてるよ?」
「あれ……なんでだ……拭いても止まらない…」
ひたすら涙を拭き続ける俺に、楓子は優しく抱きしめてくれた。
「やっぱりお父さんとお母さんのことを思い出していたのね。辛いのは当たり前よね。泣きたい時はいっぱい泣いて?私の胸でよければ、いくらでも貸すから」
「うぅ……う……」
そっか……俺は怖かったんだ…。
父さんと母さんの時のように楓子を失うんじゃないかってことを…。
いや、それだけじゃない。
みんなを失うことも恐れていたんだ。
暫くして、俺は泣き止み、楓子をじっと見つめた。
「みっともないところを見せてしまったな」
「人間誰でも弱いところはあるわ。だから気にしないで?」
「はは。楓子、もう一回キスがしたい」
「今日は積極的ね」
「ダメか?」
「ダメじゃないわ」
俺は楓子の唇にそっと自分の唇を重ねた。
さっきとは違って、重ねてすぐに離した。
「楓子、大好きだ」
「私も奨真君が大好き。絶対幸せになろうね」
「ああ」
奨真side out
レミside
告白しようと思ったけど、あんな場面を見てしまったら、私が入る隙なんてないよ…。
2人は本当に愛し合ってるんだなぁ。
「レミさん?」
「どう……したんですか?」
「白雪さん、綸さん。私、奨真さんに告白しようと思ったんですけど、あんな場面を見てしまったら、間に入ることなんて…」
「確かにそうですけど、あとで奨真さんを呼んで2人きりの時に告白すればいいじゃないですか」
「うんうん……」
「それにレミさんもでしたか」
「何がですか?」
「レミさんも奨真さんが好きなんですね。なんとなく予想してましたが」
「気づいてたんですか?」
「私たちなら……すぐにわかります」
「とにかく頑張ってください!」
「は、はい!」
よし!頑張ろう!