アクセル・ワールド 君の隣にいるために   作:フラっぴー

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第7話 強くなるには…

アーチャーに技を見せて欲しいと言われ、俺はネロとの戦いで溜まった必殺ゲージを消費して技を放った。

 

 

unlimited blade works(アンリミテッドブレイドワークス)!」

 

 

固有結界を作り、辺りの景色を変えた。ネロは初めて見たからかなり驚いていた。アーチャーの方を見ると、周りを見て固有結界をジロジロと見ていた。

 

 

「おお!世界が変わったのだ!」

 

 

「見せてやったぞ」

 

 

「なるほど。私の思った通りまだまだなようだな」

 

 

「まだまだ?」

 

 

「君の固有結界はまだまだ未完成だ。というより、この固有結界の力を最大限まで発揮出来ていないといったほうがいいかな」

 

 

技の力を最大限まで発揮出来ていない?今まではこれが最大と思っていたが、アーチャーが言うにはまだまだ上があるみたいだ。つまり、俺はまだまだ弱いということか?

 

 

「さて、次は私の番か」

 

 

「固有結界の時間が切れるまでは無理じゃないのか?」

 

 

「まあ見ていたまえ。

I am the bone of my sword(体は剣で出来ている)

Steel is my body, and fire is my blood(血潮は鉄、心は硝子)

I have created over a thousand blades(幾たびの戦場を超えて不敗)

Unknown to Death(ただの一度も敗走はなく)

Nor known to Life(ただの一度も理解されない)

Have withstood pain to create many weapons(彼の者は常に独り剣の丘で勝利を酔う)

Yet, those hands will never hold anything(故に、その生涯に意味は不要)

So as I pray, UNLIMITED BLADE WORKS(その体は、きっと剣で出来ていた)

 

 

アーチャーが呪文を唱え終えると、さっきまで張っていた俺の固有結界が消えていき、また新たな固有結界が張られた。それは俺の固有結界とよく似ていて、違うところは巨大な歯車のようなものがあった。だが、そんなことよりも、俺はなぜ自分の固有結界が消えたのかがわからなかった。

 

 

 

「なんで俺の固有結界が……」

 

 

 

「それは君の固有結界が私よりも劣っているからさ」

 

 

 

「おお!其方も固有結界を使えるのか!」

 

 

 

こんな簡単に負けるなんて……、同じ技を持つ者としてやっぱり悔しいな……。

 

 

 

「どうした?」

 

 

 

「こんな簡単に負けたから……悔しいなと思ってな……」

 

 

 

「そうか」

 

 

「ねえアーチャー。今はアーチャーのほうが上かもしれないけど、必殺技を強化すれば、アーチャーを越えることができるのよね?」

 

 

「ああ」

 

 

「あ、でも必殺技を強化するならレベルを上げなきゃダメよね?エイトのレベルは8だから……」

 

 

「レベルは関係ないさ。確かにレベルを上げて強化するのが普通だが、別にそれをしなくても強化できるさ」

 

 

「それって?」

 

 

「己自身を鍛えることだ。簡単に言えば経験だな」

 

 

「経験……」

 

 

「ネロだったかな?君は自分の技をどうやって強化した?」

 

 

「むっ、余か?余は鍛えて鍛えまくったぞ?自身を強化するならそれが一番だからな!」

 

 

「そういうことだ。もちろん君だけじゃない。彼女も鍛えれば技を強化できるぞ」

 

 

「私も?」

 

 

「そんな方法があったのか……」

 

 

「そこで提案なんだが、エイトでいいのかな?」

 

 

「あ、ああ」

 

 

「私が鍛えてあげようか?」

 

 

「えっ……」

 

 

「むっ!ずるいぞ!余だってエイトを鍛えてやりたいのだ!」

 

 

「同じ技を持つ者が鍛えたほうが効率はいいだろう?」

 

 

「そ、そうだが……。なら、レイカーよ!余が其方を鍛えてやるぞ!」

 

 

俺はいきなりそう言われて、頭の中がごちゃごちゃになっていた。エネミーに鍛えてもらうなんてことはなかったし……そもそも誰かに鍛えてもらったことなんてなかったからな。レイカーも同じようにかなり動揺していた。

 

 

アーチャーが鍛えてくれると言ってくれた時は、正直嬉しかった。だが、他のみんなを放って自分だけ強くなってもいいのか…。頭の中ではそういう感情が出てきた。

 

 

「それは嬉しいが、仲間を放って自分だけ強くなるなんて……俺には出来ない」

 

 

「仲間か……」

 

 

「あ、この前いた者たちか?」

 

 

「そうよ。私もエイトと同じように、自分だけ強くなるなんて出来ないわ…」

 

 

「なら、その仲間たちも一緒に鍛えればいい。なに、私には知り合いが多いのでね」

 

 

エネミーにも知り合いがいるとは思わなかったな。もしかしてエネミー同士で交流を深めたりするものなんだな。もしかして、1対1で鍛えるのか?

 

 

「そんなに多いのか?」

 

 

「まあね。それでどうする?」

 

 

「みんなには説明しておくから、また今度でもいいか?」

 

 

「構わないよ」

 

 

「じゃあ少しの間待っていてくれ。また来るから」

 

 

「私はこの辺りでいるから、何か用があったら叫んでくれればいい」

 

 

「わかった」

 

 

「余も待っておるぞ!」

 

 

 

俺はジェットレッグ、レイカーはゲイルスラスターを装備して、レイカーのホームがある塔の最上階に登った。その光景を下で見ていたネロは何か叫んでいた。

 

 

『其方は飛べるのか!?余も飛びたいのだ!乗せてほしいのだー!』

 

 

『君は子供なのか?』

 

 

『誰が子供だ!余はローマ皇帝なのだぞ!』

 

 

 

ネロはアーチャーにまで子供扱いされるのか。まああの身長と態度だと誰でも子供扱いするよな。それにしても、今気づいたが、アルトリアに似すぎだろ……。ある部分は結構あったが……。

 

 

 

「エイト?なに想像してるの?あとアルトリアに失礼なこと考えなかった?」

 

 

「俺が何を考えてたか気づいてるだろ……」

 

 

「アルトリアと似ているけど、胸は凄くあるって考えてた?」

 

 

エスパーかよ……。

 

 

「私の胸じゃ不満?」

 

 

「んなことねえよ。っていうか楓子のほうが大きいだろ……」

 

 

「そ、そう?」

 

 

自覚は無し……か…。

 

 

俺は腕に抱きつかれた時、いつも楓子の胸が腕に当たって理性を保ってるのに……。

 

 

「あと、俺は楓子一筋だからな」

 

 

「ありがとう♪現実世界に帰ったらまたデートしようね」

 

 

「ああ」

 

 

最上階について、ホームの近くにある帰還ポータルの中に入り、現実世界に帰った。

 

 

まさかエネミーがプレイヤーを鍛えてくれるなんてな…。みんなが聞いたらどんな反応をするか……。加速研究会は聖杯を復活させて、必ず勢力を上げてくるからな、俺たちも強くならなきゃ……。

 

 

 

 

 


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