「ここは、どこだ?」
寺戸先生に肩を揺らされ気を失った俺は目覚めると知らない場所にいた。
「あら、目が覚めたかしら?」
声のする方を見ると紅髪でスタイルのよい一人の女子生徒がいた。
(あれ?なんで目の前にリアス・グレモリーがいるんだろう?あ!これは夢だ!もう一度寝よう!)
現実から目をそらしながら俺は再び寝ようとすると止められた。
「この状況で普通二度寝するかしら?」
「えっと、どちらさまで?」
他人の空似という一縷の望みをかけて名前を尋ねるがそれはすぐに打ち砕かれた。
「私の名前はリアス・グレモリー。貴方の先輩にあたるわ、相模礼君?」
「で、そのグレモリー先輩は何故俺の名前を?それより何故ここにいるんですか?」
「胸につけている名札を見れば名前ぐらい直ぐにわかるわ。それに私がここにいるのは貴方に興味があるからよ。」
(って言っているけどどう思う?リュウイグ。)
俺は神器を通してリュウイグに語り掛ける。
『ほぼ百パーセントの確率で礼が漏らした魔力の件だろうな。』
(やっぱりかー、ほんとにやらかしたわ。)
いまさら後悔しても遅いが俺は少し前の自分を恨んだ。
「まぁ、今ここで話しても時間が足りないから放課後に使いをだすわ。」
「あ、はい。」
つい状腱反射で返事をしてしまった。
「では、また放課後に会いましょう。相模礼君。」
そういいリアス・グレモリーはこの場から出て行った。
「そう言えば、ここってどこだ?」
『保健室という場所だ。担任の教師が礼を担いで運んできたのだ。』
俺の体重がざっと六十五キロだから、それを考えると寺戸先生はものすごい力持ちで体力を持っていることになる。
(寺戸先生って少し人間止めてないか?)
『たぶん止めているだろうな。礼を担ぎ、走りながら会談を降りてここにつくまでに息切れ一つすらしていなかったからな。』
どうやら俺等の担任は人間という枠組みを飛び出しているようです。
『保健室にいた白衣をきた人間も特別驚いている素振りも見せてなかったから、日常的な出来事なのだろうな。』
(寺戸先生は人間を別の意味で止めてないよな?悪魔になっているとか?)
『それはないな、あの男からは悪魔の気配を一切感じられなかったからな。純粋に人間を止めていることになるな。』
(あの人悪魔に誘われてもおかしくないよな...。俺なんかより絶対に。)
『そうとも限らんさ、礼に限界はないがあの男には限界があるからな。だが、それよりも速く教室に戻った方がいいのではないか?』
リュウイグに言われ腕時計を見てみると俺が気絶してから約二時間近くたっていた。
「やばっ!??急いで教室に戻らねぇと!!」
保健室を飛び出し俺は急いで教室に戻った。
その後は特に変わったこともなく時は過ぎて放課後になった。
(さて、リアス・グレモリーが使いを出すっていったが恐らく来るのは木場佑斗だろうな。まだ教室に兵藤一誠がいるし。)
そう考えていると教室の入り口の方から女子の悲鳴に近い声が聞こえてきた。
「やぁ、兵藤君に相模君はいるかな?」
笑顔のイケメンフェイスで木場佑斗がやってきた。
「え!!!まさか木場×兵藤!!!」
「いいえ!ここに謎の転校生相模が加わって、木場×兵藤×相模よ!!」
「兵藤×相模×木場かもしれないわ!!!」
木場の一言で爆弾が投下されたかのように教室に残っていた腐女子達が騒ぎ始める。
「おい木場!速く俺達を連れていけ!」
「きゃあああああ!連れていけですって!!??」
「これは夏が楽しみなってきたわ!」
余計な兵藤の一言でさらに腐女子達が騒ぐ。
「あ、うん。とりあえず付いてきてくれるかな?」
「「いいぞ」」
俺と兵藤の声が重なる。
その言葉を聞き木場はどこかに向かって歩き始め、俺と兵藤もそれに続いて歩き始める。
(まぁ、行く場所は旧校舎のオカルト研究部の部室だろうがな。)
予想通り木場は旧校舎まで歩き一度歩を止める。
「なぁ、木場。ここにリアス先輩がいるのか?」
「そうだね、ここにリアス先輩がいるよ。」
「それでなんで俺と相模はここに連れてこられてるんだ?」
「さぁね?僕は何も知らないね。ただリアス部長に二人を部室まで連れてくるように言われただけだから。」
そういうと再び歩き始め旧校舎の中に入っていった。
(完全に俺空気の扱いじゃね?)
『俺も手伝えばここからあの悪魔の男に気付かれないで立ち去れるがどうする?』
(今日のところは撤退したいな。まだ十分な準備が終わってないし。)
『了解だ。魔力を地面に流せ。そのあとは俺がその魔力を使って転移の魔法陣を描く。それと同時にばれないように結界もはる。』
リュウイグに言われたとおりに地面に魔力を流し、転移の魔法陣を描いてもらい俺はこの場から立ち去った。
リュウイグさん万能説