揺籠から棺桶まで
さあ、目覚めなさい。私の可愛い子よ。
六つの理を抱く夢幻の揺籠よ。
貴方には使命がある。運命がある。希望がある。
その輪廻の果てには万象の救いがある。
その偉業の果てには永遠の安寧がある。
全てを忘れ、全てを無くし、しかし全てを求めるその欲深さ。
それこそ、人類が持つべき原動力そのもの。
ただし、その身に余る欲はいずれ自分自身をも滅ぼします。
ああ、戦火が見える。
ああ、災禍が見える。
ああ、滅亡が見える。
これは夢なのかしら。それとも現実なのかしら。
いえ、そんなもの、私に解るわけないわ。
私が解るのは、人類の幸福と祝福だけ。
決して、現世に干渉してはいけないの。
でも、今回は特別。
貴方の"母"として、その道に名誉と栄光の飾り付けを施します。
此度の戦いは過去起きたあらゆる戦争や災害よりも酷く、そして惨いもの。
故に、私達も全霊を以って戦わなければなりません。
しかし、貴方なら。
新たなる人類の代表たる貴方ならば。
必ずや、他のあらゆる全ての罪を退け、対処することができるでしょう。
これは貴方にしか出来ないこと。
人類が享受すべき幸福を護るための戦い。
そう、その為に私達は存在する。
全ては世界を救う、ただそれだけのこと。
抑止から外れた者が抑止を司る者に命じます。
—生きて、その身を捧げなさい。
文明とは、人類の叡智の結晶。
それは何者にも犯されず、しかし何者も犯してはいけない禁忌の術。
神秘とは、世界の叡智の結晶。
それは何者にも侵されず、しかし何者も侵してはいけない禁忌の法。
二つは背反にして対立、故に交わることはなく。
しかし、”例外”というものは常に付き物です。
そう、今この状況こそがその”例外”、回避すべき”悪”なのです。
悪を淘汰し、世界の均衡を保つことこそ私達の行動原理。
ならば、貴方の為すべきことは分かっているでしょう。
それこそが、貴方—いや、
…ええ、辛いことを頼んでいるのは承知の上です。
ですが、私では現世に干渉できないため、どうしても代理人を用意しなければならなかったのです。
ああ、こんな私を、お許しください…。
いよいよです。
これから待ち受けるのは数多の障害。
貴方は何度も敗れ、そして、また立ち上がるでしょう。
それは無限の地獄。許されざる悪夢。
…不安ですか?
では、そんな貴方に、私からの言葉をあげましょう。
—その勇気に、祝福あれ、と。