※カズマ視点があります。あと筋力増加ポーションは勝手な想像です。本当にあるかはわかりません。
今日は寒い。屋敷で毛布に包まって暖まってるのは、俺、リュウト。今日は特にする事が無い、というのも、昨日、死んだという事で俺は少しだけ休みを取っているのだ。
さすがに死んだその翌日にすぐ働けっていうのは、無理がある、というか俺が嫌だ。という訳で、今日は休日にしたのだ。
借金はあるが、一応、昨日の雪精がそこそこ稼ぎが良かったので、そこまで、急ぐ必要もないだろうし、俺も少しだけ懐が暖かくなったし、という訳で、気分転換に俺はウィズの店へと向かった。
カランッ! と言う音と共に、俺はウィズの店へと入っていった。
「いらっしゃいませ、あ、リュウトさん、お久しぶりですね、どうかしたんですか?」
「おう、久々だな、ウィズ。いや、ちょっとだけ、面白い物でも入荷してないかと」
と俺は店を見ていく。
「あ、だったら、良い物がありますよ!」
とウィズが笑顔で持ってきたのが、何かのポーションだった。な、なんだ? この毒々しい色したのは、ポーションって青色のイメージが強いんだけど、これはなんというかピンク?
「これ! 最近入荷したんですけど、飲むだけで筋力が上がるポーションなんですよ! しかも、副作用が無いらしいんですよ!」
本当かよ……騙されてんじゃねぇだろうな? でも飲むだけで筋力が上がるポーションか……どれ、一つだけ買ってみるか。
「じゃあ、それ一つだけくれないか?」
「はい、五万エリスになります」
ひ、一つ五万エリスか……。結構値が張るな。サイフがまた極寒に……。とりあえず、俺は買い、それをその場で飲み干す。
「どうですか? 感想は……?」
味は悪くない……力は、上がった気がしないでもない……でも、なんか……頭がポーッとするような……? 気のせいか?
「そうだな……なんか、ウィズを見てると、ぶん殴りたくなってくる……ぐらいかな? なんていうか、嫌いになりそう」
「えぇっ!?」
「とりあえず、サンキューな、また今度来るわ、多分ウィズをぶん殴りに。嫌いだし」
「えぇっ!!?」
そんな訳で、俺はウィズの店から出て行く。なんで俺はこんな所に居たんだ? 絶対に行きたくない場所、ベスト3には入るのに。
「な、なんかリュウトさん……今日は変な気が……?」
そんな声が聞こえた気がしたが、気の所為だろう。俺はその後、適当に回る。それにしても、この街は素晴らしいな、魔王軍幹部をぶっ倒したというのに、借金を背負わされたり、本当に素晴らしい!
それにしても、俺のパーティメンバーは性格は素晴らしいが、顔がダメな連中が多いのが残念なんだよなぁ、こう考えてると、なんだか嬉しくなってくるぜ。まあ、パーティメンバーは正直、アイツらじゃなくても良いんだけどな。
―――――
そんなこんなで屋敷に戻ると、めぐみん、ダクネス、アクアの三人とカズマが居た。ふむ、めぐみんとダクネスはボードゲームをしているようだ、アクアとカズマは二人で暖炉の取り合いをしている。
おいおい、カズマ、アクアに譲ってやれよ、まあいいや。それにしてもこの世界にもボードゲームがあるんだな。
「どうかしたか? リュウト?」
ふむ、俺はボードゲームを終わるのを待っている。だが、先程からずっと見ているから気になっているのか、こちらをチラチラ見てくる。
「な、なぁ、何なのだ?」
「『エクスプロージョン』!!」
そこでめぐみんがエクスプロージョンと言って、台をひっくり返した。
「あぁ!!」
「フフ、どうです……」
「クソぅ、あと少しで勝てたのに」
「まだまだつめが甘いですよ、それよりリュウトはどうしたんですか?」
「あぁ、そうだった、それでどうしたんだ? リュウト」
「いいや、お前らがあまりにも変でさ、ちょっと気持ち悪いなって」
「「「「……」」」」
その瞬間、なぜか、周囲が固まった。
「どどどど、どうしたんですか! リュウト!!」
「リュ、リュウトが責めを……んぅ!」
ガクガクと揺さぶるめぐみんに、変態ドMクルセイダーは興奮している。そして俺は笑顔で。
「ハハ、なんだよ、いつも思ってる事だぜ、お前らは性格は最高だが、顔は悪いと。そして嫌いなんだよな、お前らの事」
愕然とする四人、カズマだけは。
「おい、どうしたんだよ? コイツらは性格は最悪だが、顔は良いだろうが……というか言ってる事がなんか支離滅裂だぞ?」
「性格が最悪って、カズマには言われたくありません」
とめぐみんがおかしな事を言っていた。
「あぁ? 何言ってんだ。お前……つか、お前アレだろ、お前、えぇっと……名前忘れたわ、誰だっけ? お前、俺、嫌いなヤツの事はすぐに忘れちゃうんだよな」
「ひ、酷いぞ!?」
「何驚いてんだよ、いつも通りだろうが……つか、暖房を占拠してんじゃねぇよ。アクアに譲ってやれ」
「まぁ、今日は良い事言うわね、リュウト!」
「ど、どうしたんだ、今日のコイツはいつもと様子が違うぞ……?」
カズマが引き気味に言ってくる。チッ、なんかコイツの顔見てると、無性に腹が立ってきたぜ。あぁー、世界が滅亡すれば良いのに。
そんなこんなで四人が集まって、話合いをしている。
「どうする! リュウトの様子が今日は絶対に変だぞ!」
「そうですよ! あれは間違いなく、何かありましたよ!」
「そ、そうだな……あれじゃ、私も興奮できない」
「何言ってんの、お前……」
「と、とにかく、アイツがなんでああなったか、調べる必要があるぞ」
「そういえば、今日、リュウトは確か、ウィズの店に行くと言ってませんでした?」
「……それか!! ウィズの店で何か買ったんだ、多分、飲み物系だろう、それでその副作用かなんかで、アイツは今、おかしくなってるんだ。今すぐ、ウィズの店に行くぞ!」
とカズマが言った瞬間だった。屋敷からチャイムが鳴る。カズマは屋敷の玄関の方へと向かうと、そこにはウィズが居た。
「あ、あの……すみません、リュウトさんは……いますか」
と息を切らしながら、来るウィズ。
「なんだ、ウィズ。ぶっ飛ばされに来たのか?」
「ち、違います! そ、それよりカズマさん! あの、今のリュウトさん何ですが!」
とウィズがカズマに説明した。なんでも俺が先程飲んだ、筋力増加のポーションには実が副作用があったようで、本心とまったく逆の事を思って、口にしてしまうという恐ろしい副作用があった。
ちなみに一時間で元に戻るらしい。チッ、また適当な事を言いやがって。やっぱりウィズは後でぶん殴る事にしよう。
「そ、それであんな態度を取ってたのか……」
「って事は、私達って結構リュウトに好かれてるんですね」
「そうなのか、以外だな……てっきり嫌われてるかと、思ったぞ、私を満足させてくれないからな……」
「というか、なんか照れるな、こういうの……」
と口々に言う三人。
「ねぇ、私だけちょっと優しくされてなかった? ねぇ、もしかして私、嫌われてるの? ねぇ!」
「あぁ、なんかアレだなぁ、世界破壊したくなってきたわ、お前らの顔見てると」
「と、突然なんだ!? これも副作用の効果なのか!?」
「マズイですね……今の状態のリュウトならやりかねませんよ」
「そ、そんなにイライラするなら、私を殴ると良い!!」
「あぁ、だったらそうさせてもらう!!」
ブンッ! と俺の渾身の一撃がダクネスの腹部へと直撃した。それを喰らったダクネスはと言うと。
「んっ!! こ、これは凄まじいぞぉ!! もっとだ、もっとだぁぁぁ!!!」
「こんな時にバカやってる場合か!! そ、それよりも、お前、本気なのか……?」
「あぁ、本気だぜ? えっと、カズマ……? カスマ? ゲスマ……? クズマだ! おい、クズマ、俺はお前もぶっ飛ばしてやるぜ!?」
「おい、なんだその名前は!!?」
そんなこんなで、俺達は外へと出て、決闘する事になった。
―――――
俺、佐藤和真。今、凄い大変な事態になってるんだ。俺達のパーティメンバーで最も安定した火力を持っているリュウトってヤツが居るんだが、ソイツが今回、敵に回っている。
なんでもウィズの店で買った筋力増加ポーションを飲んだ、その副作用でああなってるらしい。本当に恐ろしいものだ。
「ほ、本当にすみません! 今回は私が悪いです!!!」
「いいや、ウィズの所為じゃないよ、とりあえず、一時間、時間を稼ぐしかない……めぐみん! ダクネス! アクア!! 戦闘準備はバッチりか!」
「えぇ、いつでもいけますが、本当にリュウト相手に戦わなきゃいけないんですか?」
「私もバッチリだ。いつでも喰らう準備はできてるぞ」
「ねぇ、私って嫌われてたの? ねぇ」
「わ、私も戦います! 元はと言えば、私があんなポーションを入荷していた私が悪いんですから」
ウィズが居るなら、心強い! ここまでの布陣だ! そう負ける事はない。アクアは回復、ダクネスは壁、めぐみんはいざって時の火力で、安定した火力のウィズ。これで勝てる!! そう思った瞬間だった。
「『フルキャンセル』」
無情なまでのチートスキル。俺の体は途端に動かなくなる。そして、それを連続で使われ、全員が動けなくなった。
(しまったぁぁぁ!! アイツにはチートスキルがあるんだったぁぁぁ!! ま、まずい……いくら盾が居ようと、火力があろうと、動けなくちゃ、何もできねぇ……クッソォ!! どうして俺の仲間にあんな超強いやつが居るんだよぉ!!)
本気で困っている俺。
「ぐ、動かない……っ! どういう事だ!?」
「わ、私もです……! これは一体」
「カズマさーん!! 私達どうなっちゃうのー!!」
「な、なんですか、このスキルは……?」
「くそぉ!! 三度も死にたくねぇぞ!!!」
俺は必死に叫んでいたが、リュウトが一番初めに俺の方に来た!! クッソ!! どうして、俺が一番初めなんだよ!!
むしろアクアにしやがれぇぇぇぇ!! と俺は必死で心の中で叫んでいた。待てよ? アイツは俺に殴りかかってくるつもりなんだよな? そうしないと、俺には攻撃できない……ある、たった一つだけ、アイツを倒す方法が……!!
「さてと、一丁いきますか!!!」
とリュウトが言った瞬間、とてつもない衝撃が俺の腹部を襲う。うげぇぇ!!? こ、こいつ、手加減なしだと、やべぇ!!? だ、だが俺の体に触れたな……!
「『ドレインタッチ』ッ!!」
「何? ドレインタッチか、考えたな、クズマ……だがよ……その前に気絶させてやる!!」
と俺の腹部に入れている拳を押し出してきやがった!! ぐえぇぇ!! だ、だがぁ!!
「なめんな!! ウォーターからのフリーズ!!!!」
「ぐ!!? この寒空の下にはちと、こたえるが……まだまだだぁぁぁ!!」
うごぉぉぉぉ!! コイツ、もっと力入れやがった……! なめんなぁぁぁぁ!!!
どちらが、先にやられるか、ドレインタッチが先なのか、俺が気絶するのか、というか内蔵が……!! ぐぅぅぅ!!! う
らぁぁぁ。
「……ハァ、ハァ、ハァ……」
「ど、どうした……随分と顔色が悪くなってきたじゃないか、リュウト……」
「な、なめんな……俺は……まだ……やれ――」
そう言って、リュウトはバタリと倒れこんだ。さすがにこれだけ吸われちゃな……その後、俺達の体も動くようになり、ひとまずは決着がついた。
「ねえ、結局、私だけ嫌われてたって訳?」
「ち、違うと思いますよ。アクア様……」
そんな風にしつこく聞いていたアクアにフォローを入れたウィズだったのだ。というかアイツしつこすぎるだろ。
―――――
「……んぅ……?」
目を覚ますと、なぜかイスで寝ていた。あれ……? なんで俺、屋敷に居るんだ? なんか記憶が……おかしいな? 俺が起き上がって周囲を見回すと、ビクッと肩を震わせたカズマが居た。どうしたんだ?
「どうかしたのか、カズマ」
「え、いや……大丈夫なのか?」
「は? 何がだよ」
「……ふぅ、元に戻ったみたいだな」
「これで、ようやく一安心ですね」
「まったくだ」
そんな感じで三人に心配された。ちなみにアクアは向こうでグースカ眠ってる。本当に何なんだ? それにウィズも居るし、なんか珍しいな。
「あの、本当に、この度はすみませんでした!!」
唐突に謝られた。
俺はその後、事情を聞いて、納得する。
「なるほど、そりゃ、あれだ……なんつーか、悪かった」
俺は頭を下げる。どうやら今回、俺がコイツらに迷惑を掛けてしまったらしい、まったく冬将軍に続いて、また迷惑を掛けるとは、俺もまだまだだな。
そんな事を思っていたら、三人が、ニマニマとこちらを見てくる。
「な、なんだよ……」
「いえ、なんだかんだ、私達は好かれていたようなので」
「そうだな、好かれてるというのは、悪くないんだが、だったらもう少し私に厳しくな、ハァ、ハァ、ハァ……」
「だ、そうだ」
「ぶん殴りてぇ……はぁ、まあ嫌いだったら、同じパーティには居ねぇよ……」
もっと笑顔になる三人に俺は呆れながら。
「とりあえず、今日はなんか奢るわ。迷惑掛けた謝礼に……ウィズも来るか? ついでに奢ってやるよ」
「え、良いんですか? 私の所為でもあるのに……」
「良いんだよ、丁度、そこの女神様は寝てて、来ないみたいだし」
「行くわ!!」
ガバッ! と起き上がる現金女神アクア。
「…………ま、金はある。大丈夫だろ」
俺がそう言い、今日は外食する事になった。いろいろあったが、やっぱりいつもが一番って事でね。
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