俺達は今、ダンジョンに潜っている。
というのも、セナからの話によると、最近、ここで、変なモンスターが出現するらしく、しかもそのモンスターが出てくる場所が俺達が前に潜ったキールダンジョンから出てくるという事らしい。
(これは疑われてもしょうがないな……でも、俺達は悪くない。だって覚えが無いしな)
「なぁ、お前ら特に何もしてないよな?」
と俺が聞くと。
「えぇ、爆裂魔法絡みで無いなら、私ではないです」
「そうだな、そもそも私はそんなに問題は起こしてないはずだ」
まあそうだろうな、こういった事に関しては、コイツは問題を起こさないからな、どちらかと言えば、コイツと居ると、生命の危機を感じる程度だ。うん、ダメダメじゃねぇか。
だがこの二人は良い、それよりも問題なのは、俺達と一緒に潜った、こっちの二人だろう、いやもっと言ってしまえば……。
ジロリとアクアの方を見る。
「私も無いわよ! いくらなんでも私を疑いすぎじゃないの? あのダンジョンに関しては、モンスターが寄り付かないはずよ!」
んんっ? なんか……大丈夫か? ちょっと後ろを向かせながら、小声で聞くと。
「私がリッチーの部屋で描いたのは、本気も本気、今でもしっかりと残ってて、邪悪な存在が立ち寄れなくなるわ!」
……つまり、だ。邪悪な存在が立ち寄れないから、ダンジョン外に出てるって事か。
「バカやろうぉぉぉぉおおおおおお!!!?」
「ひゃっ!?」
この駄女神がぁ! 悪気が無い分、性質が悪い!!! はぁぁ……なんで、後始末はいつも、こっちに回ってくるんだ……。
カズマに目配せし、言い訳を言わようとする、カズマはとりあえず、セナに対して。
「こほん……とりあえず、そのモンスターの事は放ってはおけません。俺達がそれをなんとか、解決します。困ってる人を見捨てないのが、冒険者ですから」
後ろの目線に、負ける程、カズマの意思は弱くない。そう、弱くないから、きっと、普段はダメ人間的なカズマだが、別にこういう後始末をしない訳ではないぞ。
というか、しなきゃ、さすがにマズイだろう。カズマ自身の事もあるんだし、ここはビシッと決めるしかない。
そうして、俺達はキールダンジョンへ再び、向かう。
辺りはもう既に真っ暗、俺はダンジョン外から出てくる人形のようなモンスターを見ながら。
「なんだ? あのモンスター……? 人型……だよな? 仮面をつけてる小さい人みてぇだな」
俺はそれを見ながら、思った事をそのまま呟く。
「サトウさん」
「はい?」
「ご協力感謝します。どうやら何者かが、あれを召喚してるらしく、だから術者を倒して、これを召喚の魔法陣に貼って下さい」
と渡されたのは、小さな紙で、その紙にはそういう効果があるのだろう。俺はそんな事を思いながら、俺はモンスターを見ていると、そのモンスターの一人が、アクアの方へと近づいてきて、そのまま足に抱き付く。
「あら、これを見てると、無性にムカムカしてくるけど、案外かわいいかも――――ッ!」
その言葉は最後まで発されず、数秒して、爆発した。倒れてるアクア。
「ご覧の通り、このように、しがみ付き、自爆するという方法を取ってきます」
なんとも冷静に返していた。俺はアクアに近づき、しゃがみ込んで、ツンツンと頭を突付く。
「だ、大丈夫か? おーい、生きてますかー?」
「だ、大丈夫……」
生きてるみたいだな。さすが女神。この程度では死なないってか。すると、ダクネスが歩き出すと、人形がダクネスに抱き付き、自爆する――だが、どうやらほとんど無傷のようだ。
こ、こいつ、ここまで硬かったのか……驚きだ。
「私が露払いをしよう。カズマとリュウトは私の後ろに付いてこい」
やっだ、頼りになるぅ!! ちなみにダンジョンに潜るのは、前の時にトラウマになったアクアは嫌がり、めぐみんはそもそも役に立たないので、入らず、俺とカズマとダクネスだ。ちなみに他の冒険者達も俺達と一緒に入る事になっている。
「し、しかし、カズマとリュウトと一緒に入るのか……モンスターよりもそちらに身の危険が……はぁ、はぁはぁ」
「お前もダンジョンの中に置き去りにして、トラウマ植えつけてやってもいいんだからな?」
「まぁまぁ……気にするな。あとで、ゴニョゴニョ」
「あぁ……覚えてろよ? ダクネス?」
「……?」
そんなやり取りがあったが、とりあえず俺達はダンジョン内へと入り込む。結構、モンスターの量が多い、俺は『フルキャンセル』をしながら、止めつつ、相手を切り裂いていく。
強さで言ったら、たいした事は無い。ちなみにダクネスは剣も当たるらしく、ご機嫌で突き進んで行った。
「あぁ!! なんだこの高揚感は!! 初めて、クルセイダーとして活躍してる気がする!!」
ちなみに他の連中は途中で、抱きつかれて、自爆されたので、そのタイミングでカズマが走れ! と言い、俺達はなんとかアイツらを撒く事ができた。
そうでもしないと、バレてしまうからな、俺達の仲間がしでかした事だってな。
―――――
前に潜っただけに場所は覚えているし、ダクネスという盾が居たおかげか、苦なく、進む事ができた。そしてダンジョンの奥に人形をせっせと作ってる男が居た。
格好はスーツで仮面をつけている男だ。というか姿が完全に作っている人形と同じなんですが……。
なんて思っていると、ダクネスが突然、走り出す。
「お、おい!?」
制止する間もなく、突撃するダクネス。
「貴様が元凶か!」
と剣を構えながら、堂々と言い放つダクネス。おぉ、やっぱりカッコイイ時はカッコイイな。俺はそんな風に思ってた。ちなみに向こうに居る仮面の男は立ち上がり。
「よもや、ここまで来るとは、歓迎するぞ。冒険者共よ、我輩こそが諸悪の根源にして、元凶。魔王軍の幹部にして悪魔を導く、地獄の公爵……この世のすべてを見通す、大悪魔バニルである」
ま、マジですかい!? おいおい、魔王軍幹部とか、一対一で!?
「お、おい! 一回、態勢を立て直して!!」
と俺は叫んだが。
「女神エリスに仕える身である私が、悪魔を前にして引き下がれるか!!」
ともっと堂々とする。コイツはどうして余計なところで、クルセイダーとしての身分を発揮するの!?
「ほう、魔王よりも強いかもしれないバニルさんと呼ばれる、この我輩を? まあ、結界の維持を頼まれてる、いわばなんちゃって幹部ではあるのだ、ベルディアの消息が断ったので、それを調査しに来てたのだがな……」
ほう、つまりはこういう事だ。俺達で倒した所為で、他の魔王軍が来たという事で……おいおい、自分の身を守れば、守る程、魔王軍がどんどん襲ってくるって事かよ!?
「ついでに、働けば働く程、貧乏になっていくという不思議な能力を持つポンコツ店主にも用があるのだ」
あ、それってもしかして……ウィズの事なのか?
「そして、私は悪魔族。悪魔の最高のご飯は汝ら、人間の悪感情でなぁ、汝ら人間が一人生まれる度、我は喜び、庭を駆け回るだろう!!」
「というか、お前が作ってるこの人形の所為でダンジョンから出てくる、このモンスターに俺達は難儀してるんだが?」
「なんと? コイツらを使い、ダンジョン内の敵を駆除していたのだが……どうやらモンスターは駆除し尽くしたようだな……ならば、次の段階へと移ろうか……」
何? コイツ、何かするつもりか……?
「何を企んでいるんだ!?」
「失礼な! そこの鎧の娘が何日も帰ってこなかった所為で自室を熊のようにウロウロして心配してきた男よ」
「お、おい!!? なんで見てきたみたいに言ってるんだよ!? お前もモジモジするなぁ!!」
お、おそろしい! 恥ずかしいってのも悪感情だよな? 食ってるのか……?
「我輩にはなぁ、とびきりの破滅願望があるのだ」
「はぁ? 破滅願望ってぇ事は……お前は死にてぇのか?」
「あぁ!! まず、ダンジョンを手に入れる。各場所に悪魔やら罠を仕掛ける。そして挑んでくるのは歴戦の冒険者達、やがて、苛烈な試練を潜り抜け、最奥の部屋へと辿り着く!! 勿論! そこで待ち構えているのは、我輩!!! よくぞ、ここまで来たな! 冒険者共よ!! 我輩を見事倒し! 莫大な財宝を手に入れよ!! そして始まる最後の戦い! 凄まじい戦いの末に倒される我輩、そしてそこに封印された宝箱が出てくる! そしてその中には――スカと書かれた紙が、呆然とする冒険者達を眺めながら……私は滅びたい……」
た、性質悪ぃ……。それが正直な感想だった。二人もなんとも言えないという顔をしている。そりゃそうだろうさ……だって、性質悪いもの。
「その計画を実行しようと思っていたのだが……友人の店で金を貯め、巨大ダンジョンを造るつもりだったのだが、主の居ない、このダンジョンを見つけたので、もうここでいいかなぁ。なんて思い、だがこの奥にけしからん魔方陣がありな」
「あぁ……」
俺がつい呟くと。
「ほう、そこの鎧の女が数日帰ってこなかったから、領主をぶっ殺してやりたかったそこの男の仲間か……どれどれちょっと拝見」
コイツ……本当に性質悪い……!!
「見るな、俺を見るなぁ!!」
そうすると――。
「なんという事だ!! お前達の仲間のプリーストがこのけしからん魔方陣を作ったのかぁ!! 見える。見るぞぉ……」
目が淡く光るそれに見られると、本当に覗かれて気分だ。というかなんか嫌だ。
「そのプリーストが茶を飲んで、寛いでるところ見えるわぁ!!!」
アイツ……。こっちが結構ヤバい状況なのに!! 本当に身勝手だなぁ、おい!!
「その男との賭けに負け、どんな要求が来るかと持て余して、モジモジしてるそこの娘よ!!」
「も、持て余しても! モジモジしてもいない!!!」
「その凄い要求、俺にも見せてくれよな」
見たい、超見たい。
「この件が終わったら、どんな要求をしようかと思ってるそこの男と、それが楽しみで仕方ない男よ!! そこを通して貰おうか!」
「やめろ!! てめぇ! 本当に性質が悪ぃなぁ!!」
「お、思ってねぇし!! 思ってねぇしぃぃ!!!」
「まあ、人間は殺さんのが主義の我輩だ。人間は殺さない……そう、人間はなぁ、こんな迷惑な魔方陣など作りおってぇ!! 一発キツいの喰らわしてやるぅ!!!」
(コイツ……アクアの正体に――? いや、それよりも……アクアを殺すつもりか、コイツ……!!?)
「アクアに危害を加えるというのなら、引く訳にはいかない!!」
「腹筋だけでなく、脳筋の娘よ! 今すぐそこを退いて貰おうか!! そうすれば、二人は邪魔されず、ゆっくりと、その要求とやらを楽しめるぞ! 貴様もそれを鑑賞するとよい!!」
「あ、悪魔の囁きだ! 耳を貸すな! ダクネス!!」
「だ、誰が惑わされるか!! カズマこそ! 時と場所を考えろ!!!」
コイツら顔を真っ赤にして、何、言い合ってんだか……。ま、良い。ちょっとだけ、楽しみでもあるが、今はそれよりもコイツをどうにかする事が先決だ!!
「ええい!! お前と話してると頭がおかしくなる!!」
とダクネスが先手を取り、掛け出して、バニルを斬りつけようとするが、バニルはそれを優雅に避けつつ、しかも、ダクネスは攻撃が当たらないだけに、完全にバニルの方が有利だ。
ここは俺が参戦するしかねぇな。
「こっちは当たるぞ! 『瞬斬』ッ!!」
「おおっと!! 早くそちらに行き、しけこめば良いモノを! ご休憩といけばよかろう!!」
「ご、ご休憩!!!」
「カズマ!! 惑わされるな! そもそも一緒に屋敷に住んでるのに、そんな関係になってどうする!!?」
「はっ! 見てくれは良くて、体も良いが、性格がアレな、ダクネスだ……! しっかりしろぉ、俺」
うんうん、そうやって保とう。
「か、帰ったら、覚えておけよ!」
涙目で言うダクネス、うん。そういう言い方されると、傷つくよね。ま、とりあえず。
「悪いが、そんな甘言に惑わされる程、甘かねぇんだよ! 『閃光斬り』!!!」
「おおっと!! そちらの小娘よりはやるようだなぁ……! だが、甘い、甘いぞぉ!!」
「くっそ、コイツ、マジで強い……!」
「ん? あの姑息そうな男はどこに行った? こっちの脳筋二人より、あちらの方が厄介な手合いなのだが」
どこに隠れてるかは知らねぇが……多分、すぐだ。だったら、こちらに引きつけつつ、近づけた方が良いか……? というか脳筋だとか、失礼だな。俺は脳まで筋肉のこの女とは違ぇ!
「嘗めんなぁ!」
振り下ろした剣を右へ左へひらひらと避け、向こうへと後退していく。
「チッ、なかなか上手い事、避けるじゃねぇか」
そろそろ……。バニルが避けたタイミングで、カズマが隠れた場所から一気に飛び出し、剣を振りかぶろうとした瞬間、岩か何かで躓き、転んだ。何してんだぁぁぁあ!!? だが、バニルにぶつかり、そのままこちらに向かってくるバニル。お、だけどチャンス!!
「終わりだぁ! 『閃光斬り』!!」
そのまま砂になったバニル。お、終わった……。なんだか今回は呆気なかったな。
「やったな!」
「あぁ」
二人が喜んでいると、不穏な空気を感じ、そちらを見ていると……。
「と、期待させて」
バニルが復活した。そしてなんと、仮面をダクネスに張り付けられた!!!
「もしや討ち取ったとでも思ったか? 残念、何のダメージもありませんでしたぁ! 汝らの悪感情、大変美味だ」
「だ、ダクネス!? 返事をしやがれ!! ダクネス!!!」
「フ、フハハハハ!! 小僧共、聞くが良い。我が力により『どうしよう! どうしよう二人とも!! 体を乗っ取られてしまった!!』貴様らにこの小娘を攻撃する事は『一向に構わない! 早くやってくれ! 絶好のシチュエーションだぞ! これは!!』やかましいわ!!! 何なんだ!! お前はぁぁぁ!!?」
……すみません。なんかすみません。
―――――
「な、なんだ……この『麗しい』娘は……!? 一体どんな頑強な精神を……『まるでクルセイダーの鏡のようなやつだな』。ええい!! やかましいわ!! ゼェーゼェー……わ、我が支配力に耐えるとは、なかなかどうして、大した娘よ……『いやぁ』、だが耐えれば、耐えるほど、その身には抗い難い激痛が『なんだと!?』……喜びの感情!?」
コイツはドMだ。きっとバニルが思っているような事では、コイツを喜ばせる事しかできないぞ。
本当に魔王軍に対して、悪い意味で予想の斜め下を行くやつだよなぁ……。
そうこうしてる間に、カズマが魔方陣を消して、再び戻ってくる。
「『わ、私はこんな痛みに負けはしない!』その心意気や良し! だが、いつまで耐えれるか……? 許容量を超えると、精神が崩壊し…………お前、この状況を楽しんでないか?」
「お前ら、コントでもしてるのか……?」
「さ、そろそろ帰るぞ、ダクネス」
と言ったが、そうしたら、剣の切っ先をこちらに向けてきたダクネス。
「それ以上近づくな……『二人とも、先に行くんだ』そうそう貴様を思い通りに行くか。『んぅ!! 一度は言ってみたかった、台詞!!』貴様らも憎からず、思っているこの小娘を傷つけたくないだろう? 『はっ! い、今気になる事をこの自称見通す悪魔が言ったのだが!』ええい!!! やかましいわぁぁぁ!!! この体は失敗だった!! 『し、失敗とか言うな!!』。さっさとこの体から出て――」
「それは困る」
そう言い、カズマが封印の札を貼る。
「……? なんだこれは」
「このまま、お前をここで倒させてもらう。リュウト」
「合点!」
剣を構える。
「ほう、貴様が私を……? さて、できるか? 『た、楽しみにしてるぞ! 私はリュウトとも戦ってみたかったからな!』よくわからんがかかってくるがよい」
「魔王らしく、待ってるってか、嘗めんなよ。すぐ終わらせてやる!! 『瞬斬』!!」
「ぐっ!?」
とダクネスは剣を使って、ガードする。筋力は俺の方が上だ。そして、この距離ならば――。
「『フルキャンセル』!!」
「『ん!! 避けろ! まずいぞ!』むっ!?」
とっさに横へと飛んだダクネス、俺のフルキャンセルを避けやがった……初めて避けられた。
というか避けれるものなのか、あぁ、そういう事か、これは相手に向かって言ってるから、その相手がタイミングよく避ければ、意味なくなっちまうのか……俺がそう思った瞬間、ダクネスが俺の方へと攻撃してきて、片手に血が滴る。
「ぐっ!? な、何教えてやがる……」
片手を押さえつつ、悪態をつく。
「『す、すまない。リュウト。だが、この時間をそんなスキルで止められるのは嫌だったから、つい……』き、貴様らも苦労してるな」
悪魔にすら同情される始末、俺はかなり涙目になりながらも、スキルを発動する。光の太刀――。
「『閃光斬り』!!」
「『光る太刀だぞ!! 気をつけろ!!』あ、あぁ……」
コイツは敵か? 敵なのか!!? もういやっ! 味方にやられそうになる!! 何これ! 凄い悔しいんだけど……。しかも、避けた瞬間に俺の方へと太刀が再び来る。俺の頬に血が伝う。
「て、めぇ……!」
血を拭いつつ、俺はちょっと本気でキレそうになっている。
「『あ、す、すまない!! わ、わざとではないのだ。こ、こいつに抗えないから……!』だが、貴様が手伝った所為でもあるのだがな」
あーイライラしてきた。ぜってぇぶっ殺す。
「ど、どっちもうろたえてる……というか、いくらなんでもリュウトが可哀想なんだが……」
「ええい、うるせぇ!! もう見れない顔にしてやるからなぁ!!!」
俺が駆け出し、一気に距離をつめる。それに対して、バニルつきダクネスが後ろに飛び退く、そして俺はその瞬間、右手に。
「『フルキャンセル』!!」
ガタンッ! と剣が落ちる。俺はニヤリと笑みを零した。そして、驚いてるバニルに続いて、左手、右足、左足という順に『フルキャンセル』していく、さらに笑みが深くなってくる。
「どうする?」
「貴様……なかなか『やってくれるな』。わ、我輩の命もあと『少しのようだ』……やかましいわぁぁ!! 先程から、我輩の台詞を取るなぁぁぁ!!! ゼェゼェゼェ……」
「ま、まぁ……良い。とりあえず、これで最後だぁ!! 『瞬斬』ッッ!!」
ズバッ! とバニルの仮面のみを綺麗に切り裂いた。ダクネスの顔は一切、傷はなく、そのままダクネスは倒れこむ。
どうやら、さすがに、あれだけの時間、ずっと激痛が走ってたのだから、体力が限界だったのだろう。
「大丈夫か?」
「し、心配してくれるのか……? わ、私の所為で傷をつくってしまったのに……」
「バカだなぁ、俺があの程度で怒るはずないだろ?」
優しい笑みを浮かべながら、俺は静かに微笑んだ。
「俺も似たような事するけど、これってこんなにあからさまだったんだな……」
「あぁ、そうだな」
俺はまだ笑みを浮かべたままだった。
―――――
ギルドへ戻り、俺達は借金を全額返して、しかも4000万エリスが報酬として、貰った。バニルはそこそこの報酬があったという事だ。俺は生傷をアクアに治してもらい、そして、俺はギルドのテーブルに立ち、言い放った。
「みんなぁぁぁ!!! 今日は飲むぞぉぉぉぉぉおおおおお!!」
ワイワイとバカ騒ぎ、それはまるで宴のようで、俺は気分爽快だった。だがそれでも、俺にはやりたい事があった。
そう酒の勢いってやつで、俺は大声で、叫んだ。
「知ってるかぁぁぁぁ!! ダクネスの本名は、ララティーナって言うんだぁぁぁぁぁぁああああああああ!!」
ワイワイバカみたいに騒いでる連中はそれを聞くと、ダクネスの方を見て、大声でみんなが一斉に言ったのだ。
「そうだったのか! ララティーナ!!」
「ララティーナ!! かわいいよ、ララティーナ!!」
「ララティーナ! ララティーナ! ララティーナ!!」
ダクネスは真っ赤な顔をして、こちらをジロリと睨み、今にも襲い掛かってきそうだ、だが、俺には勝てない。襲い掛かってくるダクネスに対して、俺は言う。
「『フルキャンセル』」
途端に動けなくなるダクネスに対して、俺は酒の所為もあったのだろう。俺は魔王のように笑いながら。
「貴様が俺に勝てるはずがなかろうがァァァァあああああああ!!!!」
「貴様! ぶっ殺してやるぅぅぅぅぅううううううう!!!」
フハハハハ!!! と笑いながら、満足した。俺は超満足だ。その後、フルキャンセルを解いてやる。
こちらに次、襲ってきても、俺は何度も、何度も、使うだろう。
その後、俺達は、報酬を均等に分けて、一人一人に800万という割り振りになった。カズマがちょっと気にして。
「な、なぁ、いいのか? 俺達は今回、あんまり役立ってないぞ?」
「良いんだよ、俺一人に4000万エリスも要らないし」
俺はそう言いながら、今日は最高の日で終わったのだ。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
感想、批判。大歓迎です。