この素晴らしいキャンセルに祝福を!   作:三十面相

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ようこそ、めぐみん家

 俺たちは今、ゆんゆんの家に向かっている。その前にアクアが石化したグリフォンを解こうとしてたり、とふざけた事をしていたので、耳を摘んで、引っ張って進んでいた。

 

「痛いー! 痛いわよ!! リュウト――ッッ!!」

 

「うるせぇ。お前はなんかアレだ。ここにいると、洒落にならない事態になりそうで怖いわ」

 

「大丈夫よ!! もうしないからー!」

 

 ハァ……。

 

 その後、耳から手を放し、ゆんゆんの実家に向かっていた。里の中央に位置する大きな家がゆんゆんの家だ。コイツは金持ちという訳か。里の長なんだよな? 里の次期、長が普通の感性とか……。

 ゆんゆんの家に向かい、テーブルの向こうに中年の、ゆんゆんの父親が居る。俺たちはゆんゆんの父親の話を聞いてる。

 

「いやぁ、あれは娘に宛てた、近況報告でね。紅魔の血が、どうしても普通の手紙を書かせてくれなかったんだよ」

 

「ちょっと何を言ってるか分からないです」

 

 ゆんゆんはポカンと口を開けている。

 

「あ、あの、お父さんが生きてるのは、大変、嬉しいんだけど。あの手紙にあった『この手紙が届く頃には、もう私はこの世に居ないだろう』って言うのは……」

 

「ん? あれは紅魔族時候の挨拶じゃないか。学校で習わなかったのか? あぁ、めぐみんとゆんゆんは優秀だったからなぁ、卒業が早かったから、習わなかったか!」

 

「…………魔王軍の軍事基地が破壊できない状況だって」

 

「あぁ、それは破壊するか、新しく観光名所にするか、意見が割れててなぁ」

 

 つまり……あの手紙は全部、受け取り方を間違っていただけって事か? カズマが苛立ちを隠せない表情で。

 

「なぁ、ゆんゆん。お前の親父さん、殴って良いか?」

「どうぞ」

 

 ゆんゆんも変わらずだった。父親は驚きの声を上げていたが、悪いが全面的にゆんゆんの父親が悪い。それを聞いたダクネスは。

 

「魔王軍の基地が建設されたのだろう? 大丈夫なのか?」

 

「魔法抵抗が強い、魔王軍幹部が来てますが、まあ大丈夫でしょう。あ、そういえばそろそろ攻めに来ますね。見ていきますか?」

 

「……ッ!?」

 

 驚きだよね。このテンション。

 

 

 

 

―――――

 

 

 

 

 

 魔王軍が千匹程度、攻めに来たという通告があり、驚いた俺たちだったが――。

 

「慌てなくても大丈夫ですよ。ここは強力な魔法使いの集落、紅魔の里ですよ。皆も見ますか?」

 

 凄い。

 凄すぎる。

 圧倒的蹂躙。もう魔王軍に逆に同情をしてしまう。

 

「うわあああ、うわあああああああ!!」

 

「シルビア様ー!! 撤退を! どうか、あなただけはーっ!!」

 

「畜生! 畜生!! せめて、近づければ、一矢報いれるのに!!」

 

 えっと……千匹だったよな……。それで、紅魔族は五十人程度。千VS五十……その圧倒的差を埋めるかのように、上級魔法の雨が降り注いでいる。

 正直強すぎて、微妙に引く。というかこれ見ると、範囲攻撃が強いってのが分かるな。凄く欲しい。そろそろそういうのを取っておくべきかもな、ちょっと考えとくか……。

 

 戦闘も一通り終わると、今度はめぐみんの家へと向かう。ゆんゆんは手紙を送った張本人に制裁をしてくると、かなりやる気に満ち溢れていた。あんなゆんゆんを見た事が無いぐらい。

 

 にしても……。

 

「あれが本物の紅魔族かー」

 

 俺が思った事を先に言うカズマ。それを。

 

「ほう、本物がいるという事は、偽者も居るというわけですか、その偽者についてちょっと聞こうじゃないか!」

 

「ま、爆裂魔法を使える偽者の話は置いといて」

 

「なんですと!!?」

 

 元気だなぁ。

 

 さて……ここがめぐみんの家のようだが、なんというか、言っちゃなんだが、こぢんまりとしていて、なんというか……一言で申すと、貧乏そうだよね。

 

「ここが私の家です」

 

 そうめぐみんが言い、コンコンとドアをノックする。すると、ドタドターッ!! と勢い良く駆けてくる音が聞こえてくる。

 玄関のドアがそっと開かれ、中から覗くのは、めぐみんそっくりな、少女だった。年齢は多分7,8歳ぐらい。

 

「ほう、めぐみんの妹か? 随分とかわいらしいな」

 

「ちっこいめぐみんだわ。小めぐみん。飴ちゃん食べる?」

 

 二人がめぐみん妹に構ってる間、俺はついつい、顔を綻ばせ、手を振っている。俺は決してロリコンではない……。俺は小めぐみんに近づいて、しゃがみこみ、笑顔で。

 

「名前はなんていうのかなー?」

 

「こめっこ!」

 

「そうか、そうか。自己紹介できて偉いぞー」

 

「うん!」

 

 よし。つかみはバッチリだ。カズマたちが、またか……。みたいな顔をしているが、俺は気にしない。

 

「こめっこ。ただいま帰りましたよ。元気にしてましたか?」

 

 カズマの隣に居ためぐみんがそう言うと。こめっこは少しだけ目を見開き、その後、大きな声で。

 

「おとうさーん!! 姉ちゃんが、男をひっかけて帰ってきたー!!」

 

 俺はその言葉に少し驚きながら、カズマの事を指しているのだろうと気付く。カズマはちょっと固まった笑顔をしていた――。

 

 

 

 

―――――

 

 

 

 

 

 カズマはめぐみんの親父さんとお袋さんと対面している。ちなみに俺はアクアの手品を見ていた。種はわからんけど、なんか鉄製のマグカップを動かしている。ちなみにテーブルの後ろから磁石か何かで動かしている気配が無い。 

 

 どーなってんだろ。

 

 カズマも驚いたようにしていると、カズマの向かいに居る親父さんが――。

 

「あー……ゴッホンッ!」

 

 わざとらしく咳払いをすると、カズマが気付き、すぐさま目の前に視線が移る。めぐみんの親父さん。ひょいさぶろーさんだ。

 黒髪で鋭い目つきのおじさんって感じだ。その親父さんが威圧感を醸し出しながら、カズマと対面しているのだ。

 

「あー。娘のめぐみんが世話になっているようだね。それは心から感謝する」

 

 そう言い、ペコリと頭を下げる。

 そしてその隣には黒髪のめぐみんの面影がある女性が居る。綺麗な女性だ。

 

「本当に家の娘が、お世話になっています。娘からの手紙で、よくカズマさんの事を書かれているので、知っていますよ」

 

 へぇ、カズマの事を良く書いてるのかー……なんの事書いてるんだ……ッ!? 

 あ、あのカズマの事を親に伝えるなんて、親父さんのあの態度だって、頷けるぜ。俺が親だったら、ぶっ殺してる。

 

「ほらー、お菓子だぞー? 何か食べたいのがあるかー?」

 

「全部ー!」

 

「そうかー。じゃあ全部あげよう!」

 

「わーい!」

 

 カズマが目の前の威圧に晒されてる間、俺はこめっこと会話している。子供好きのリュウトさんと呼ばれた俺だぞ。いや呼ばれた事ないけどね。子供好きは確かだ。

 

 ちなみにめぐみんはそんな俺に対して、ちょっとだけ警戒しながら、こめっこを離そうとする。

 

「おい、なんだその顔は……ふざけるな。ロリコンじゃねぇ!!!!!」

 

「そんな事を言っても、無駄です。私のかわいい妹が毒牙にかかろうとしてるのですよ?」

 

「ひ、ひでぇ……なんでそんなに信用が無いんだ? 俺ってそこまで酷い事……してる……かも?」

 

「はい」

 

 そ、即答……だと。

 そんな会話をしてる間に、向こうも向こうで会話をしているようだ。

 

「それで、君は娘とはどんな関係なんだね?」

 

「だから、何度も申しますが、友人です……」

 

 そう言うと、同時にひょいさぶろーさんが……。ちゃぶ台返しをしようとする。なんか凄い古い。

 

 

 

―――――

 

 

 

 

 その後、いろいろと会話をした。カズマがつまらない物と言いながら、食べ物を差し出すと、それを二人で奪い合うめぐみんの両親。

 そしてそれを食べる際に、こめっこが物欲しそうにしていたので、カズマが渡そうとすると、アクアとダクネスが危ないと、近づけようとしなかったりと、結構面白かった。ちなみに俺も渡した。

 そして、その後、めぐみんに対してしていた事が手紙で書かれていたらしく、それを言うめぐみん母。

 

「それでも放っておけないからって、私が目を離すとすぐ死ぬからだとか、書かれていたわ」

 

 ……それってダメ男に引っかかる女じゃね? すーはー……まあ、まだダメ男よりもマシだよね? た、多分……。

 

 その後、いろんな仲間の事が書かれていたらしく、ちなみに借金の事についても書かれていたらしい。

 

「それで、まだ借金はあるのかしら?」

 

「いえ、もう借金は無くて、近々、三億エリスが入る予定で」

 

 

 

「「三億!!?」」

 

 

 

 その言葉を聞いた途端。

 

「な、なら、私達の家に住まないか!? ぼ、冒険者なんてやってるなら、家なんて無いだろうし!」

 

「い、いえ、アクセルの街に屋敷があるので」

 

 

 

「「屋敷!!?」」

 

 

 

 なんか聞くだけだと、貴族みてぇだな。さらに目を輝かせてるよ。俺達に助けを求めるように見るが、口は災いの元……。

 どうする事もできませんので、俺はアクアの手品を見る事にした――。

 

 

 




ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


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