この素晴らしいキャンセルに祝福を!   作:三十面相

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駄文ですが、読んでいただければ、幸いです。


まさかの新事実

 ホカホカになって帰ってきたアクアとそのすぐ後にカズマが上がってきた。

 

 

「あれ? なんでアクア、お前風呂上りみたいになってるんだ?」

「外のお風呂に入ってきたの。『混浴温泉』って言う」

「何っ!?」

 

 

 帰るのを一日だけ伸ばそうとか考えてるんだろか。なんて適当に考えながら、俺は風呂に入りに行く。

 サッパリした後に、居間に行くと、後ろから気配が感じる。俺はとっさに、言う。

 

 

「別に邪魔しませんから、『スリープ』はやめてくださいよ」

「あら、気付かれちゃいましたか?」

「俺だって、冒険者の端くれですから。どうせ、カズマとめぐみんが一線越えて、財産をっ! とか思ってるんでしょ?」

「そんな事考えてませんわ。ただ、めぐみんに幸せになって欲しいだけで……」

「まあ、なんでも良いですけど」

 

 

 俺は呆れながら、ひょいさぶろーさんの部屋で眠る事にした。

 

 

『魔王軍襲来! 魔王群集来!! すでに魔王軍の一部が里に侵入した模様!!』

 大きな音が響く、突然だが、俺は実は寝起きがあまり良くない。何が言いたいかと言うと。

 

 

「……」

 

 

 眉間に皺を寄せながら、俺はイライラして、魔王軍幹部シルビアと戦う。

 外に出て、気配を感じ取りながら、一番強い気配を発している場所に一気に向かう。するともう既に、カズマとめぐみんと対峙していた。俺は遠くから、そちらに向かうと――。

 

 

「あら、もしかしてその子とお取り込み中だったのかしら? それは悪い事をしたわねぇ?」

「へぇ、そうなの?」

「え?」

 

 

 ガヅンッと俺の一撃がシルビアの頭を打った。

 

 

「リュウトッ!」

「おぉ、一緒に寝てて良い雰囲気になってたのに、シルビアに邪魔されて、苛立っている少年よ! その感情――美味である!!」

「何、バニルの真似して、遊んでんだよ! さっさと倒してくれよ」

「まあ、焦るなよ。おいテメェの所為で寝起きが最悪なんだよ。責任ぐれぇ取ってくれるんだろうなァ?」

「こ、このっ! 『バインド』!」

「『フルキャンセル』」

 

 

 即座にスキルを打ち消し、俺は笑みを浮かべる。

 

 

「どうしたァ?」

「あ、あなた……一体何者なの?」

「そうだな。一言で言えば、魔王を屠る者ってところか? このスキルを封じない限り、お前に勝ち目なんてな――」

「『スキルバインド』!」

 

 

 『スキルバインド』? 俺は聞いた事のないスキルを聞いて、その上で、少しだけ嫌な予感がした。

 

 

「……カズマちょっといいか?」

「なんだ?」

「『フルキャンセル』」

 

 

 髪の毛の色素を完全に抜いてみようと思ったが、一切そんな事は起こらず、正常な状態である。つまり――。

 

 

「……えっ? 俺のスキルってああいうので防がれるの……?」

「フ、フフフっ!! どうやらあなたはそれだけのようね!! 『バインド』!!」

 

 

 うぉっ!? 俺はそれから逃れようとしたが、さすが、魔王軍幹部相手に、そんな簡単に逃れるはずもなく、いとも容易く捕らえられてしまった。

 

 

 

 

 

―――――

 

 

 

 

 

「マジかよ」

 

 

 俺が捕らわれちゃったよ。

 

 

「フフフ、人質としてあなたを使わせて貰うわよ」

「……人質ねぇ」

 

 

 まあ実際、そこまで辛くない。胸の心地はなかなか良いし、そこまで辛くもないし、俺、このまま人質で良くないー。

 

 

「ど、どうしたら……」

「あら、ミツルギ・キョウヤ。あなたの仲間が人質だと言うのに、剣の一つも振らないの?」

「……っ!」

「バッカ、お前。アイツが剣を振ったら、俺まで死んじまうわ。だがよぉ、アイツだってバカの一つ覚えみてぇに、剣だけ振るうわけじゃねぇんだぜ」

「それよりもお前、なんか羨ましいぞっ!!」

「好きでこんな事してる訳じゃねぇんだけどな」

 

 

 せっかくハッタリをかましたが、その後の台詞で台無しである。正直、なんとか俺さえ、抜け出せれば、この状況はなんとかなんだけどよぉ。

 そんな事を考えていたら、アクアが来た。

 

 

「ほーん? あんた、なんか悪魔っぽいわね。そこに居る、胸に顔を埋めているのはウチの大事な……大事な……? ねぇ、リュウトー! 私とリュウトの関係って何かしらー?」

「なんでもいいから、助けてくれ」

「あら、ボウヤ。私の胸がお気に入りじゃないのかしら――?」

 

 

 ぎゅぅっと俺に抱き寄せる。ぐ、ぐるじぃ……。

 珍しいぜ。いつもだったら、こういうのは俺以外の誰かの場面のはずなのに、まあ自力で絶対に抜け出さないと、いけないと思うし、少し頑張るか。

 なんて考えていたら――。

 

 

「セイクリッド・エクソシズムッ!!」

 

 

 輝かしい光がシルビアに襲い掛かる。恐ろしい程の光の柱がシルビアを包み、そしてその一撃は悪魔系にとっては、最大の攻撃と言えるだろう。

 

 

「あああッ――ッ!?」

 

 

 む? 思ったよりも効いてない? てっきり完全に消え去るかと思ったが、よく考えたら、デュラハンのアイツも一発では死ななかったから、多分そういう耐性があるんだろうな、というかそう考えたら魔王って結構やばくね? 

 俺とは正反対にボロボロになったシルビアを見ながら、そんな事を考えた。

 

 

「ぐっ、下級悪魔の皮でこしらえたドレスが……。結構効いたけど、私は純粋な悪魔じゃないわ。次、攻撃したらこの子の命はないと思いなさい」

 

 

 そんな脅しをしている。半裸で、まあ俺は動けないし、殺されたら最悪、生き返らせて貰おう……生き返らせて貰えるか? いや、さすがに貰えるだろ。

 なんつーか、眠くなってきたわ。

 

 

「我が名はシルビア! 強化モンスター開発局局長にして、自らの身体に合成と改造を繰り返してきた者! そう、私はグロウキメラのシルビアよっ! さあ、この男は貰っていくわ、なかなかの力を持っているようだしね、私もより一層強くなれるわっ!」

 

 

 グロウキメラ――合成と改造……改造生物か、なんというかこういうのを聞くと、やっぱり技術力なり倫理観なりが欠けてると思うが、まあ自発的に自分にしかやってないならいいのか? 

 そういやコイツのさっきの名乗りに既視感があると思ったら、アレか、紅魔族か……。ハァ……敵ながら、憐れだな。

 

 

「な、何? あなた、どうして私をそんな憐れむような目で見るわけ……?」

「いいや、気にするな」

 

 

 俺はそう言って、とりあえず黙って見てる。そろそろ動きづらくて、もっとどうにかして欲しいが。

 

 

「リュ、リュウト……羨ましいぞ」

「お前はブレねぇな」

「そろそろ私の仲間を返してほしいのですが」

 

 

 めぐみんってこうしてみると、実はまともなのか……? よく考えたら、面倒事ってなんだかんだ、アイツらばっかり持ってきてる気がする。たまには俺にも、休みというものがあってもいいんじゃないか? たまにはこういうのも悪くないだろ。

 でも、俺が飲み込まれたら、いよいよやべぇよな。コイツの実力の上がり方が……。能力はスキルバインドでどうやら封じられるみたいだから、これは新しい発見だな。

 

 

「くっ……! この私がこんな時になんという不覚!」

 

 

 と、俺がこうしていると、ダクネスがやってきた。どうやら鎧を着ている時間がなかったようで、ラフな格好に大剣だけを所持している。黒シャツにタイトスカート姿で、息を荒げていると、なんか浮気現場に走ってきた奥様みたいだな。いや、そんな事はないか、頭の寝癖も直さずにやってくる辺り、割と本当に心配してたみたいだな。そんなダクネスがアクアの前に立ち、シルビアを睨みつける。

 

 

「魔王軍幹部っ! この家の者が、援軍を呼びに行った、援軍が来るのも時間の問題だ、そこで貴様に捕まえられた、ちょっと幸せそうな顔をしているどうしようもないヤツを置き去って、さっさと去るがいい! ど、どうしても言うのなら、わ、私が代わりになろう、というか私を人質にしてくれっ!」

 

 

「あら、ボウヤ……なかなか罪作りね?」

「いや、アレは一種の病気だからな……」

「あなたさえ良ければ、魔王軍に降ってもいいのよ? あなたの実力はそれこそすぐに幹部になるだけの実力だもの」

 

 

 なぜか頭を撫でられながら、色仕掛けっぽい事をしてくる。

 確かに、悪くないかもしれない。こうして、いつまでもおかしな連中とおかしな空間に居るよりはどちらかと言えば、魔王軍の方がまともっちゃまともだ。まともよりだ。というかこの世界には魔王軍以外のおかしな連中が多すぎる。それに問題がある。

 

 

「おい、リュウト……らしくないぞ! どうしてそんなところに居るのだ。お前なら油断でもしてない限り、そんな事になるわけないだろう。まったく仕方ない……今助けてやるから、大人しくしていろ」

 

 

「お前が、俺を助けれるのかよ、ポンコツクルセイダー」

「くぅっ! リュ、リュウト! 時と場所を考えろ!」

「ブーメランッ!!」

 

 

 俺、こんなヤツに助けられるの。

 

 

「あら、あの子、別にあなたの事が好きってわけじゃなさそうね」

「あぁ、どっちかって言うと、カッ……ミツルギの方が好みなんじゃないか?」

「あらそうなの」

「というか、魔族の癖に、随分と女心をわかってるじゃねぇか」

「えぇ、そりゃわかるわよ、女心も男心も」

 

 

 なんだ? 魔性の女気取りか?

 

 

 

 

「だって、アタシ、半分男ですもの」

 

 

 

 

「は?」

 

 

 何つった? 半分男? つまり何か……俺は男の胸で――。

 

 

「あら聞こえなかった? アタシはキメラよ? あなたにつけてるこの胸は後からつけたものよ」

 

 

 ……嘘だろ。しかも、あのピアス。右耳にピアスをつけるのに、確か理由があったはずだ。確か――右耳にだけピアスをつけてる男は……確か。しかもこのシルビア、なかなか大きいからコイツの下腹部辺りが俺の太股辺りに当たってるんだが、何かが――。

 

 

「あの、シルビアさん。何か当たってるんですが……」

 

 

 

「あててんのよ」

 

 

 

 俺はその一言を聞いた瞬間、フッと意識が飛んだ。




ここまで読んでいただき、ありがとうございます。



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