ふぅむ……。ギルドに居る、俺達、どうやらカズマは気付いてしまったらしい、自分が全然、冒険者らしい事をしていないと。
「という事で、一応、金もある事だし、俺はショートソードを買って、クエストを受けさせて貰うぜ」
「まあいいが……どうすんだ? 何からにする? 一応、オススメとしては『ジャイアント・トード』なんだが、どうする? 正直言って余裕だぞ?」
「そうなのか? だったら、俺達はそれにしようぜ」
「そうね、私は女神様だから、こんなの余裕よ」
(さて、本当にコイツらは余裕なんだろうか……なんつーか、嫌な予感がして仕方ねぇんだけど……)
「いくぞ! アクア!!」
「おー!!」
「あ、あと、俺はお前らに力を貸さないから、いいな? その程度の雑魚はできる事なら、二人でなんとかして欲しいしな」
「余裕よ!」
「あぁ!!」
―――――
「余裕だな――なんて訳がねぇだろうがぁぁぁぁああああああ!!! 嘘吐きやがったのかぁぁぁ!! リュウトぉぉぉおおおお!!!」
「プークスクス! カズマ、超必死に逃げてるんですけどー! 超ダサイんですけどー!!」
「アクア、お前も早く行きやがれ」
「もう仕方ないわね。ほら、カズマ、助けて欲しかったら、私の事をアクア様と崇めて、アクシズ教に入信する事、そして私が頂戴って言ったら、反抗せずに私に――」
その言葉は最後まで紡がれず、バクッ! と頭から喰われた。どうやら、偉そうに声を上げている間に、標的がカズマからアクアに変わったようだ。俺はさすがにマズイ! と思ったが、それよりも先に近かったカズマがアクアをなんとかしてくれた。
ちなみに何かを食べている最中だと、『ジャイアントトード』は動きが止まり、カズマでも倒せたという事だ。
「うぅぅ、グスッ! ありがどうねぇ、ガズマァァ、ありがどうねぇ!!」
「な、生臭い……」
カズマがそんな事を呟いていた。俺はハァ、とため息を吐き、今日はやめておこう、と言おうとした瞬間だった。
「め、女神をここまでコケにして……か、神の怒りを喰らいなさい!!! 『ゴッドブロー』!!! ゴッドブローとは神の怒りの一撃、相手は死ぬ!!」
そんなエターナルなんちゃらを真似したヤツを出したところで正直言って――。
バクリ! と再び食べられるアクア。俺はハァ……と一際大きい、ため息を吐いて、アクアを助けに、ショートソード片手に蛙をぶっ殺した。
「あ、ありがどぉ……リュウドォォ……!!」
「……なんつーか、うん。今日は止めよう、止めとこう……な?」
俺はそんな事を言いながら、アクセルの街に行き、大衆浴場へと――。アクアはさっぱりしたようだ、俺達も何気に粘液まみれになっているので、浴場で浸かっている。そしてギルドで話をする。
「パーティーを増やしましょう!」
「あぁ、確かにな……そうした方が俺も良いと思う。そもそもリュウトがチート持ちなだけに、強いからな……他から引っ張りだこになる可能性もあるしな……できる限り、強いヤツを入れたい所だな……」
「まぁ、確かにここより待遇が良い所があんなら、そっちに行くけどさぁ……」
「何言ってるの!? チート持ちなんだから、私のお願い聞いてよ! 鬼畜! 悪魔! リュウト!!」
「ちょっと待て、鬼畜、悪魔と並んで、俺の名前があるのはなぜだ?」
そんな事を喋っていたが、とりあえず、パーティーメンバー募集の張り紙をアクアが作っていた。ちなみにそこにはこう書かれているのだった。
『パーティーメンバーを募集しています ※ただし上級職に限る』
(上級職に限るって……かなり制限されるんじゃねぇか? ここはただでさえ、アクセルの街って言う始まりの街なんだからよ……)
そんな事を思っていたのだが、どうやらアクアは自信満々なようだ。自分がアークプリーストというのが、一番の自信になっているようだ。正直言って、あんまり役立ってる場面が見当たらなくて、困る。
まあいいか。とりあえず、待とう――。
―――――
それから半日が過ぎ、一人、来たのだ。それは美少女で年齢はおそらく十四歳ぐらい。そして黒い髪に赤い眼と眼帯という少しばかり中二病心をくすぐる美少女だった。
「募集の張り紙を見てきたのですが」
「……ん? あぁ、そうか……えっと……俺はミネサワ・リュウト。アイツはアクア、んでこっちの男がカズマっつーんだ」
「我が名はめぐみん! アークウィザードにして、最強の魔法、爆裂魔法を操る者!!」
「……………………バカにしてるのか?」
「ち、ちがうわい!!」
ふむ、バカにしてる訳ではないみたいだな……一瞬、冷やかしにきてるのかも、とも思ったが、どうやら大丈夫みてぇだな。
「その瞳の色と変な名前……もしかして、あなた紅魔族?」
「いかにも! そ、その前に……何か、食べさせてくれませんか……もう三日も何も食べて無くて……」
「まあ、それぐらいなら、問題ねぇよな?」
二人に聞いてみる。
「えぇ、無いわ」
「大丈夫だ」
どうやら大丈夫のようだ、そうして、めぐみんと名乗った変な女の子に食べ物を与えた。
「それで、紅魔族つったか? それってなんだ?」
それはカズマも知らないので、気になっているようだ。アクアは胸を張りながら、説明を始める。
「えっとね、紅魔族は赤い瞳と変な名前が特徴的で生まれながらに、高い知力と魔力を持っているわ、そして大抵の人は変な名前を持っているの」
「ちょっと、待て。私の名前に文句があるなら聞こうじゃないか」
めぐみんがそう聞いてきたので、俺はこう返した。
「両親の名前は?」
「母はゆいゆい。父はひょいざぶろー」
「…………まあ、あれだ。アークウィザードって事は強ぇって事だ。それに爆裂魔法とか言う、なんか超強そうな魔法を持ってんだし、きっと強ぇんだろう、彼女は」
「私の両親の名前に文句があるなら、聞こうじゃないか!!」
それに続いて、二人は。
「そうね、きっと強いのよ、この子は」
「そうだな、きっと強いんだろう、コイツは……」
そんな事を言うと、めぐみんが。
「この子とかコイツとか、彼女ではなく、ちゃんと名前で読んで貰おうか!」
―――――
「爆裂魔法はその威力が絶大な故に詠唱が結構、長いのでその間に時間稼ぎをお願いします!!」
ほう、ちなみに俺はまた高みの見物だ。『アークウィザード』がいるんだからおそらく、瞬殺だろう。上級職ってのは本当に強いからなぁ……それも魔法使いだ。いくら駆け出しと言っても、多分、火力じゃ俺達の中じゃ最強かもしれないしな。
「うらぁぁぁ!!!」
今、二匹のジャイアント・トードがいる。遠くにいるカエルを狙っているのが、めぐみん、そして近くにいるのが、二人で戦っている。というか、本当に大丈夫なんだろうか……ちょっと見てて、心臓バクバクしてきた……いいや! 大丈夫だ。カズマは正直いって、なかなか、強いからな、それに何気に機転がきく、おそらく上手くコイツらを使うだろう。まぁめぐみんも爆裂魔法とか言う、最強魔法を使うんだ。その威力を見てみるか。
そしてカズマは喰われたアクアを囮にし、カエルを倒した。軽く鬼畜に見えたが、仕方が無い。この世は弱肉強食。
「できました! いきますよ!! 『エクスプロージョン』!!!」
激しい閃光がすべてを穿った。光輝くその爆焔は凄まじく、カエル程度には完全にオーバーキルとなっていた。ほう、やっぱり火力は最強だな。俺もあそこまでの攻撃はできない……。軽くチートだよなぁ……何気に凄いヤツが仲間になったんじゃないか? と俺はめぐみんの方に視線を移すと、なぜか倒れこんでいるめぐみんがいる。
「…………?」
俺の目にはなぜか、倒れているめぐみんが映っている。どういう事だろうか? どうして倒れているのだろうか? 俺はここで一つの可能性に辿り着く。それは魔力切れ、ここの世界は魔力が切れると、激しく体力を使うため、動けなくなるらしい。つまり、彼女は今、魔力切れを起こしているということだ。しかもと言うべきか、その爆音に引き付けられ、ポヨンッポヨンッとカエルがこちらに来ている。そしてカエルに今にも喰われそうになってるのに、動かないところを見ると、本当に動けないようだ。
「バカやろぉぉぉぉおおおおおお!!!」
俺は叫びながら、カエル達を倒しに行く。ジャイアント・トードなんて一気に三匹ぐらい来たし、カズマ一人では絶対に無理だ。そもそもその間に二人が死ぬ。とりあえず、こちらに来たジャイアント・トード三匹を殺しに行こうとしたのだが、カズマの方にも一匹来ていたようで、どう頑張っても、めぐみんは食べられる運命になってしまったようだ。ちなみに食べられる速度はそこまで早くないので、俺はなんとかめぐみんも助け出す。
「ハァ、ハァ、ハァ……わ、わかった。俺はどうやらパーティーを間違えたようだ……」
「おい、俺を置いて、別のパーティーメンバーに行くなんて絶対に許さないからな」
「わかってる。さすがにこんな状況を放っておける程、鬼になれない」
そんな事でカズマはとりあえずめぐみんを背負い、ギルドへと戻る。一応はジャイアント・トード討伐は成功したので、なんというか、はっきり言って、状況が状況なだけに涙目でしかない。
俺はそんな事を思いながら、めぐみんに言う。
「なぁ、今度から爆裂魔法以外の魔法を使ってくれないか?」
「――使えません」
「「……は?」」
二人は素っ頓狂な声をあげた。そう、爆裂魔法なんていう最強魔法を操る者と言っていたな。なんというか、え? これしか使えないわけなの? 他にも覚えれるだろ? こんな魔法が使えるんだから、こんな使い勝手が悪い魔法でただただスキルポイントが高い、クソ魔法だろ? おい。
「どういう事だ? まさか、これだけしか使えないのか? 他の魔法もスキルポイントで使えるのに?」
「あ? スキルポイントってなんだ?」
「あぁ? 知らないのか? スキルポイントってのは、レベルに応じて貰えるポイントだよ。そしてそれでスキルを覚えなきゃいけねぇんだよ、お前も結構あるんじゃないか?」
「えっと……あ、本当だ」
「だろ? さて、それで、だ。めぐみん、お前は爆裂魔法以外覚えるつもりはないのか?」
「はい。私はスキルポイントが溜まったら、それををすべて爆裂魔法に使います。私は爆裂系統の魔法が好きなんじゃないんです、爆裂魔法が好きなんです。おそらく、他の魔法を覚えたら、冒険も楽になるだでしょう。ですが! 私は爆裂魔法しか愛せない!!!!」
「素晴らしいわ! 非効率的ではあるけど、ロマンを求めるその姿に感動したわ!!」
あぁ、なるほど、これはアレだ。ダメなやつだ。ダメなアークウィザードだ。
「そ、そうかぁ……それじゃ、俺達はこの辺で、また機会があったらなぁ」
とカズマはめぐみんを引き剥がそうとしている。だがめぐみんも負けじと、頑張って抵抗している。そんな事をしていると、周りから囁き声が聞こえてくる。
「ちょっと見て、あの男、あんな女の子を捨てようとしてるわよ!」
「それに後ろの女性と女の子どちらとも粘液まみれよ、一体どんなプレイをしたのかしら!? あの男共は!!」
(俺もかよ!!!!)
そんな俺の心の声も知らずに、めぐみんはニヤリと笑みを浮かべ――。
「カエルを使ったヌルヌルプレイでもなんでもやりますからぁぁぁああああッ!!!」
「わ――っっ!!! わかった! パーティー組もうな、めぐみんッ!!!」
新たな仲間ができた……その名をめぐみん。ポンコツ魔法使い。
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