TOWRM3 〜ThePlain's Walker〜 作:赤辻康太郎
Prologue
−−地球−−
真夏の強い日差しが燦燦と大地を照らす正午過ぎ。一人の少年が一本の大木の根元でうたた寝をしていた。少年の名は「津浦樹」。彼が寝ている大木を御神木としている神社の裏手にある孤児院「生命の木」に住む高校生だ。今日は終業式だったこともあり、学校から直接此処に来て昼寝をしている。大木特有の広い枝葉で根元は蔭が出来ていて夏の昼だが心地好い昼寝スポットだった。
「スースー」
樹は穏やかな寝息を立てて寝ていたが
−−ゴゴゴゴ−−
強い地震が彼を襲った。
「な、何、ッツ!」
揺れに驚き飛び起きた樹だが起きた途端、激しい頭痛に見舞われうずくまってしまった。
「クッ、早、く。家に」
痛みを堪え家である孤児院に帰ろうと立ち上がるが、揺れは更に激しくなった。それに呼応するかの様に、頭痛も痛みを増してきた様な感覚がした。
「ぐぅっ!何だってんだよ……」
−−……を……さい−−
「……あ゛?」
痛みで意識が朦朧とするなか、樹の頭の中から声が聞こえた。
−−お……なさ……へ−−
「幻聴とか、こりゃーヤバいか?」
自嘲気味に笑う樹。だが薄れ行く意識とは対称的に声はハッキリと聞こえてきだした。
−−お行きなさい、ルミ……へ−−
その瞬間、の地面が割れ樹は出来た大穴に飲まれてしまった。落ちて行った時また声が聞こえた。
−−お行きなさいルミナシアへ−−
−−ルミナシア−−
世界樹の恩恵によって、人々が暮らす世界『ルミナシア』。世界樹から齎される非物質『マナ』と未知の鉱石『星晶(ホスチア)』。人々は星晶をエネルギー源とし、文明は目まぐるしく発展していった。だがそれにより膨大な富と権力を得た大国は星晶を独占せんと、各地で争いを繰り広げる様になった。そして星晶はほぼ採り尽くされ、大地は痩せ、力を持たない小さな村人々の生活は困窮を極めていった。
海風薫るルミナシアの大海を、一隻の奇妙な船が航海していた。形は船というより戦艦をイメージさせ、胴体部分の側面にはモザイク画の様な模様が施されていた。
「ん?」
船の甲板で絵を描いていた少女、ピンク色の髪を紅葉を象った髪留めでサイドポニーに纏めている、は不意に顔を上げた。
「どうかされましたか?お嬢様?」
傍らにいた執事服をきた青い毛並みで人でいう腰の当たりから一対の羽が生えた猫の様な生物が少女に尋ねた。
「うん。今世界樹が光った様な気がして」
「世界樹が、ですか?」
「うん。ロックスは見なかった?」
少女の問いに『ロックス』と呼ばれた生物は「いいえ」、と首を横に振った。少女は「そっかぁ」と息を吐きながら甲板から見える大樹『世界樹』に眼を向けた。
「確かに光った気がしたんだけどなぁ」
少女が呟いた時、不意に何が落ちてくるヒューという音がした。
「何?」
「何でしょう?」
二人が上を向いた途端
−−バッシャーン!−−
という音と共に盛大な水柱が立った。水柱は船の割りと近くに出来たため二人とも少し水を被ってしまった。
「今のは?空から一体何が……」
「お、お嬢様!あちらを!」
ロックスが叫ぶ方に眼を向けると、自分と同じ年頃の少年が仰向けの状態で海に浮かんでいた。
「っ!?た、大変!皆ーちょっと来てー!」
少女はそう叫びながら甲板から船内へと走って行った。
−−運命の歯車が今廻りだす−−
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