「う~ん…ここは?」
目が覚めると、真っ白で広い場所だった。
「…何処ここ?」
「気が付いた様だな」
声がしたので振り返ると、男が立っていた。
「えっと…何方?」
「君の世界では神と呼ばれていた」
「神…えっ?」
その言葉に、流石に男は驚く。
「驚くのは当然だな」
「まぁ…ところで、何で俺はこんな場所に?」
「その事だが、実は…」
言葉を止めてるので、男も自然に緊張する。
「私のミスで、君を殺してしまったのだよ」
「…はっ?」
信じられない言葉を聞き、男はこう聞き返した。
「あの、もう一度言ってもらっていいですか?」
「だから、間違って君を殺してしまったのだよ」
「……」
すると男は、黙ったまま神と名乗る男の前に立つ。
「何かな?」
「…少し面貸せや」
「…えっ?」
今度は神がそんな言葉を発した。
「いいから面貸せって言ってんだよ」
そして男は問答無用で神を引き摺っていった。
「ま、待て!は、話せば分か…あ、ああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
そんな神の叫び声が、広い空間に木霊したのであった。
「んで、何で俺は死んだんだ?」
数分後戻ってきた男と神。男は地べたに座り、どこにあったのか煙草を吸っていた。一方神は、無数のタンコブと顔面を殴られており、正座していた。
「ええとですね、実は貴方の書類を間違えてシュレッダーにかけてしまいまして…」
「それが原因で死んだって訳か」
「その通りです。というより、先程と随分と喋り方や態度が変わってますが…」
「あっ?これが本来の俺だよ。普段からこんな話し方じゃ無理だろ。普通に考えりゃ分かるだろボケ!」
男は神に対してその様な話し方になっていた。
「フーッ…で、俺はこれからどうなんだよ?」
「えっとですね、お詫びとしまして新しい世界に転生して頂くことに…」
「転生だぁ?」
男は顔を近づける。
「どの世界に行くんだよ」
「えっと…BLACK LAGOONの世界になります」
「あの世界か。漫画やアニメを見てたから知ってるぜ」
ニヤリと笑いながら、生前の時の読んでた漫画を思い出す。
「けどよ、あんな世界にそのまま放り出したりしねぇよな?」
「も、勿論です!いくつかの特典を差し上げますです!!」
あまりにもビビりすぎてる神であった。
「特典は何でもいいのか?」
「多少の事なら…」
そう言われ、男は考え出す。暫くすると、考えが纏まったので言う。
「ならさ、俺が生前で知ってる年寄りキャラの能力をくれ」
「と、年寄りキャラですか?何故??」
「だってよ、ト○コやワ○ピー○なんかに出てくる年寄りキャラ、ほとんど強いじゃん。あれに憧れて、この歳でキセルで煙草吸ってたからな♪」
無邪気な顔でそう言う。
「な、なるほど…分かりました。他には?」
「そうだな…いざって時に使える金が欲しいな。普段が働きながら稼ぐけど、馬鹿デカイ買い物したい時は流石にな」
「なるほど…分かりました。では、転生していただきます」
いよいよ転生する。
「貴方には、転生したらBLACK LAGOONの主人公の岡島緑郎になってますので」
「そうなのか?」
「はい。ですが、あくまでも憑依なので性格等は貴方のままです」
「ならいいわ」
「それでは…新しい人生に幸福を」
そして男は神によって転生したのであった。無事に転生というか憑依したので、生まれてから働くまでの事はカットさせてもらう。
「岡島君、明日からカンボジアに出張をお願いできるかな」
岡島「出張…ですか?藤原課長」
藤原「悪いけど頼むね。なにせ、我が社の一大プロジェクトだからね」
岡島「分かりました(面倒だな~。上司は上司で、上の連中にペコペコしてよ。ま、さらに上の上司は上司で、何考えてるか分かんねぇけどな)」
そして、出張に備えて家に戻り準備するのであった。翌日、出発前にディスクを渡された。
岡島(ディスク…って事は、いよいよ原作突入ってとこか)
そう思いながら、南シナ海を船で進んでいる。
岡島「にしても、いい天気だよな~。こんな日に仕事なんてバカバカしいったらあらしねぇ。それと…」
先程から後ろについてくる小型船に気づく。
岡島「あんなのが無きゃ、楽しい船旅だったんだがな」
そう思いながらも、必要最低限の荷物を持ち、後ろの連中が乗り込むのを待っていた。そして乗り込みあっという間に制圧される。
岡島(こいつらもう少し抵抗しろよな。にしても、マジでゴツイな)
サングラスをかけた男を見ながらそう思う岡島であった。
「おい、東京の旭重工からの積み荷はこれだけか?」
岡島「(ここは、大人しく答えておくか)そ、そうだよ!さっさと開放してくれ!!」
すると男は、岡島目掛けて殴りかかる。
岡島(遅いな…けど、喰らっておくか)
そして顔面に拳を喰らった。
「少し大人しくしなベイビー」
「ダッチめんどくせぇ…膝の辺り撃っちまえ。小鳥みたいに喋りだす」
ダッチ「必要ねぇ。報酬としちゃ、ディスク1枚で充分なんだ」
「ふん…報酬ねぇ」
男と女、2人はそんな会話をしていた。すると、無線機になにか通信が入ったようだ。
「チッ…」
ダッチ「焦るなベニーボーイ。全て片付いてる…エンジン回しとけ」
そう言うと、ダッチはこう叫んだ。
ダッチ「OK!ジェントルマン!!俺達は退散する。あんたらは自由になる。ただし、俺達を追おうとするな。その場合、約束はチャラだ。あそこに見えてるのは魚雷発射管だ。ポカチン喰らいたくなきゃ、後半時間は大人しくしとくのが懸命だ…それで、諸君らは自由になる」
岡島(へ~、海賊にしちゃ随分と優しいこったな)
そう思ってると、女が銃口を突きつけてきた。
「おい、お前も一緒に来るんだよ」
銃口を突きつけられたまま、岡島は小型船に乗せられた。
岡島(やれやれ…)
顔は焦ってる表情をしてるが、本心は女の行動に呆れていた。船が暫く進むとスピードがゆっくりになる。
ダッチ「レヴィお前な…こんなの攫ってきてどうすんだ?ええおい?」
レヴィ「分かってねぇ…分かってねぇよダッチ。考えてもみろよ!この仕事二万だぞ!たったの二万!!身代金でボーナス稼いで何が悪いってんだよ!!」
「そりゃ考え甘いよ」
岡島(金髪メガネに同意だ。課長はどうにか俺を助けたいと思ってるだろうけど、景山部長やその上の連中が、俺なんかの為に身代金出すはずないだろ)
心の中でそんな風に思ている岡島であった……
レヴィ「殺されてぇかベニー!!」
ベニー「別に…」
ダッチ「一体誰が日本と交渉するんだ?お前がか?相手の電話番号は?身代金受け渡しの銀行口座は?」
そう言われ、だんだんレヴィの表情が怒りに染まっていく。
レヴィ「ああそうかい!!ぶっ殺して海ん中叩きこみゃいいんだろ!!!」
そう言いながら、レヴィは岡島目掛けて発砲する。
岡島「や、止めろ!!(バカかこの女!こんな狭い中で発砲すりゃ、跳ね返って仲間に当たる事を考えない単細胞なのかよ!!!)」
ダッチ「バカ!船壊すな!!」
レヴィ「うっせ~!!」
そう言いながら、ダッチはレヴィを羽交い絞めして止める。
レヴィ「ダッチ…ダッチ分かった」
ダッチ「なにがだ?」
レヴィ「分かったから手ぇ離せ」
ダッチ「OKレヴィ。クールにいこうぜ」
レヴィ「チッ!」
ダッチはゆっくりとレヴィを離す。
岡島「……」
ダッチ「オーライ、上に出て一服つけよう」
そして岡島とダッチは甲板に出て行った。
岡島「やれやれ…俺は一体どうなるのやら」
ダッチ「ま、何とかお宅の会社と連絡付けて引き取ってもらうさ」
岡島「そうなるかね…」
そう言いながら岡島は、持ってたキセルに火を点ける。
ダッチ「随分変わった物で吸うんだな」
岡島「まぁな。昔からこれで吸ってるんだよ。お気に入りさ」
ダッチ「フッ」
そしてダッチも、持ってた煙草を吸い始めた。
ダッチ「それと、こっちの都合で悪いが、ディスクを依頼人に渡すのを先にさせてもらう」
岡島「そう言えば、そんな事言ってたな」
ダッチ「俺達は単なる運び屋だよ。食うためにはたまに法に触れる事もやるが…それが家業さ」
岡島「なるほどねぇ…」
そして互いに煙を吐く。
ダッチ「お前…名前は?」
岡島「岡島…岡島緑郎」
そんな他愛ない話をしていると夜になり、とある島に到着したのであった。
ダッチ「行くぞロック」
ロック「ロックって…まぁいいけどよ」
「そうなのかい?」
すると横から、金髪メガネの男が出てきた。
ベニー「さぁ、行こう」
ロック「行くって何処へ?」
ベニー「酒を飲む所さ」
ロック「…やれやれ」
取り敢えず、ベニー達について行くのであった。やって来た酒場の客は、日本ではまずお目にかかれない連中ばかりだった。
ロック「(どいつもこいつも柄悪い連中だな…)日本じゃ、まずこんな酒場はないな」
ダッチ「だろうな。ここは元々南ベトナムの敗残兵が始めた店だが、逃亡兵を匿ったりしてる内に、気が付きゃ悪の吹き溜まりだ。
ロック「みたいだな。じゃなきゃ、こんな連中が集まったりしないさ」
そう言いながら、ウイスキーを飲む。
ベニー「彼は変わり者なのさ」
ロック「みたいだな」
レヴィ「なにしけた面して飲んでんだよ」
レヴィが2人の話に割って入る。
レヴィ「折角酒を飲りに来てるんだ。もうちょっとクールな話をしようや?なぁ日本人」
ロック「これは?」
するとレヴィはニヤリと笑って、酒を飲み干す。
レヴィ「ビールなんぞ
ロック(随分と言ってくれるな。神のお陰で能力はついてるから酒も強い。そもそも俺は生前の時はアホみたいに飲んでたから自信あんだよ。レヴィに目に物見せてやるよ)
そして目の前に置かれたラムを一気飲みする。
ロック「プハ~…何か言ったか?」
レヴィ「こいつ…」
そしてロックは先程のお返しと言わんばかりにニヤケ顔をする。
レヴィ「!!おいバーテンダー!」
「「バカルディ、店にあるだけ持って来い!!」」
2人の声が重なったのであった。そしてレヴィと飲み比べで、店内は盛り上がっていたのであった。