遊戯王ARC-V 転生少女の決闘   作:YM

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第十四話 人違い 前編

「ハハハハ!もっと速く走れー!」

「ぜぇ……はぁ……」

「も、もう限界……」

「ぐっ……」

 

 どうも、花吹雪香だよ。今、高笑いしながら山でますみんたち三人に修行をつけているところだ。

 

 なんでこうなったかと言うと、それはこの前の一対三変則デュエルのすぐ後、零児君に講師行方不明事件の調査を依頼された後まで遡る。

 

◆ ◆ ◆

 

「はぁ……」

「あれ、ますみんたち、まだ残ってたの?」

「あ、カオリ!どうだった!?何かわかったことある?」

 

 私を待ってたのか。マルコ先生好きだなあ、ますみん。それに付き合ってあげる二人も優しいよね。

 本当は教えない方がいいのかもしれないけど、遅かれ早かれわかることだしなあ……。

 

「これは本当は秘密なんだけど。また講師が一人連絡がつかなくなったって」

「!!」

「で、私も本格的に捜査に加わる……っていうか制服組とは別で捜査しろってさ」

 

 制服組もジュニアユースの私が捜査にちょっかい出してきたら面白くないだろうけど、零児君は私が制服組や講師陣より強いことを知ってるから、下手に組ませるより別口で探せってことらしい。

 

「私にも手伝わせて!」

「んー……NO!」

「なっ、何で!」

「残念だけど、今のままだと足引っ張るだけだね」

「ぐっ……」

 

 ますみん――否、三人の顔が悔しそうに歪む。しかし言い返せないみたいだ。でもこの三人と捜査するにしても黒ゆうやんが犯人の可能性と三人の実力を考えると、別行動は三人を危険に晒すことになる。そして私は修行してたおかげで三人より身体能力が高いので、三人を連れて歩くのは私の行動速度が低下することを意味する。

 

「でも私はマルコ先生のことが……」

「ああ、もう、わかったよ。放っといたら一人で暴走しそうな顔してからに」

「うっ……」

「実力が足りないなら、実力を高めればいい」

 

 デュエルの実力を高める方法はいくつかあるけど、私が提案するのはこれ。

 

「修行を始めるよ!」

 

◆ ◆ ◆

 

 そうして屍が三つ出来上がった。

 

「……死んでないから」

「ぜぇー、はぁー……」

「……」

「おっと、声に出てた?失敬失敬」

 

 今は悪路というか、道無き道を駆け回るトレーニングを終えたところ。言葉にするとなんでもないが、実際走るというかハードなアスレチックのようになっているので一般人にはかなりしんどい。

 

「どうしてカオリは汗一つかいてないのよ……」

「た、体力お化けめ……」

「……」

 

 ホクティーはさっきから一言も喋らんな。そんなにしんどかったか。やーくんは他二人より鍛えてるみたいで、息は切らしてるけど二人に比べると体力が残ってるっぽい。しかし修行はまだ始まったばかりだ。

 

「はい、デュエルするよー」

「マジで言ってるのか……」

「え、だってまだ走っただけだよ?」

 

 まだデュエルのデュの字も出てきていない。今のはウォーミングアップのようなものである。あ、ホクティーの目が死んだ。

 

「いつもこんなきつい修行してるの?」

「私一人の時はもっとハードな修行をしてるけど……最初はもっと軽めから始めたよ。でも三人には時間がないでしょ?」

 

 三人の目標を考えれば、ちんたらしてはいられない。

 

「そう……そうね。こんなところで止まってられないわ」

 

 その言葉を引き金に、三人が立ち上がる。うん、まだまだやれそうだね。メニューを倍に増やしても大丈夫そうかな?

 

◆ ◆ ◆

 

「んじゃ、一旦山降りて事件の調査してくるから」

 

 ちなみに私が付き添うのは今日だけだし、今日もそんなに一緒にはいられない。トレーニングメニューだけ教えて実際に一回やらせたら、あとは自分たちで頑張ってもらう。私の拘束時間が増えたら調査が滞るし、それじゃあ本末転倒だし。

 そのため、熊とかの危険生物がいない安全な山――一応、前日のうちに山全体を確認済み――を選び、その中でも安全な箇所のみを修行に使っている。彼らに熊と戦うのは無理だ。もし出会ってしまったら熊を一頭伏せてターンエンド!どころか熊に三人伏せられて人生終了(ターンエンド)!となりかねない。

 

「「「……」」」

 

 ちなみに三人とも修行で声も出せないほど疲れている。

 

◆ ◆ ◆

 

 それは山を駆け下りている時のことだった。

 

 なんかいきなり光ったと思ったら、目の前にバイクが現れて突っ込んできた。とっさにジャンプして、バイクを駆る男に飛び蹴りをかます。

 

「ぐわっ!」

 

 しかし相手も咄嗟にハンドルを右に切り、打点をずらした。私は衝突の衝撃で右――崖側に飛ばされる。しかしまだ慌てる時間じゃない。満足式デュエルアンカー――個人的にデュエルディスクを改造して作った自信作――を襲撃者のデュエルディスクに接続し、崖下への落下を阻止する。

 

「よっと」

「うおおお!?」

 

 襲撃者は崖側に引っ張られるのをバイクの力で踏ん張って耐える。私はその間にロープクライミングの要領で崖の上に復帰した。

 

「こいつが襲撃者か……」

 

 思わぬところでLDS講師行方不明事件の犯人が判明した。黒ゆうやんは濡れ衣だったようだ。

 

 なるほど、いかに優秀なLDS講師でも、このように目の前に瞬間移動してバイクでリアルダイレクトアタックを敢行されれば回避はほとんど不可能。私のようにデュエルアンカーを持ってる人はたぶんいないだろうし、こういう崖際とかでやられたらどうにもならない。目撃証言がないから人気のないところで――たぶんここみたいな「吹っ飛ばされると危険な場所」でダイレクトアタックされたのだろう。おそらく行方不明のLDS講師はもう……。ますみん悲しむだろうなあ。

 

 悪いね、ますみん。仇は先生方の仇は私がとる。このデュエリストの風上にも置けないリアリストは、私がとっちめてやる!

 

「ふぅ、危なかった――」

「デュエル!」

 

 カオリ LP 4000

 ??? LP 4000

 

 私のデュエルアンカーは長さ変更が効くから、気をつければバイクに振り回されることはない。注意は必要だけど。ここは電波が届いてないから、応援は呼べない。正真正銘、一対一のデュエルだ。

 

「な、何だ!?」

「年貢の納め時だ、覚悟しろ!」

「くっ、あいつらの仲間か!(年貢ってなんだ……?)」

「私のターン!アロマージ―ジャスミンを召喚!」

 

 アロマージ―ジャスミン レベル2 ATK 100

 

「さらに永続魔法、魔法吸収を発動。そしてフィールド魔法、アロマガーデンを発動!」

 

 周囲が花畑に代わる。崖が見えにくくなるから少し気を付けないと。

 

「魔法カードが発動した時、魔法吸収の効果でライフを500回復する」

 

 カオリ LP 4000 → 4500

 

「ここでジャスミンの効果。私のライフが回復した時、カードを一枚ドローする!さらに私のライフが相手のライフより多い時、ジャスミンの効果でもう一度植物族を召喚できる。アロマージ―ローズマリーを召喚!」

 

 アロマージ―ローズマリー レベル4 ATK 1800

 

「ここでアロマガーデンの効果発動。アロマモンスターがいる時一ターンに一度ライフを500回復し、相手のターン終了時まで自軍のステータスを500アップするよ!」

 

 カオリ LP 4500 → 5000

 アロマージ―ジャスミン ATK 100 → 600

 アロマージ―ローズマリー ATK 1800 → 2300

 

「そして自分のライフが回復した時に、ローズマリーの効果発動。表側表示モンスターの表示形式を変更する。ジャスミンを守備表示に」

 

 アロマージ―ジャスミン ATK 600 → DEF 2400

 

「私はカードを一枚セットしてターンエンド!」

「リンを助けるためにも、ここで負けるわけにはいかねぇ!俺のターン!」

 

 そう言って白いライダースーツを身に纏った男はバイクで私の周りを疾走する。おいおい、またリアルダイレクトアタックする気?

 

「魔法カード、スピードロー!デッキから二枚ドローして、手札のSR(スピードロイド)一体を墓地に送る。俺はSR赤目のダイスを墓地に」

 

 えっ……普通にデュエル続けるんだ。バイクに乗る意味は一体……。

 

「……魔法吸収でライフを回復。ジャスミンとローズマリーの効果!デッキからカードをドローして、ローズマリーを守備表示にするよ」

 

 カオリ LP 5000 → 5500

 アロマージ―ローズマリー ATK 2300 → DEF 1200

 

 魔法吸収はチェーンに乗らず強制的に回復する効果だし、アロマの回復時の効果は強制発動だからしょうがないね。ジャスミンを攻撃表示にする理由がないし。ローズマリーは杖を盾のように構えてかわいい防御態勢。

 

「俺はSRダブル・ヨーヨーを召喚!」

 

 SRダブル・ヨーヨー レベル4 ATK 1400

 

「ダブル・ヨーヨーが召喚に成功した時、墓地のSR一体を特殊召喚できる!来い、赤目のダイス!」

 

 SR赤目のダイス レベル1 DEF 100

 

「俺はレベル4のダブル・ヨーヨーにレベル1の赤目のダイスをチューニング!」

 

 くっ、シンクロ使いか!面倒なことになりそうだね。

 

「双翼抱くきらめくボディー。その翼で天空に跳ね上がれ!シンクロ召喚!現れろ、レベル5、HSR(ハイスピードロイド)マッハゴー・イータ!」

 

 HSRマッハゴー・イータ レベル5 ATK 2000

 

 見た感じ、素良っちとは違うベクトルのおもちゃモチーフのテーマかな?だからどうしたって話かもしれないけど。あとは名前的に、速攻でシンクロすることに重きを置いているテーマのような気がする。かもしれないで話しててもしょうがないな、デュエルに集中しよう。

 

「バトル!マッハゴー・イータで、ローズマリーに攻撃!」

 

 くっ、ローズマリー……。魔法カードをあえて発動してローズマリーの効果を逆手にとったのか。このリアリストはテクニカルなタイプかもしれないね。リアリストの割にデュエルも強そうだ。……いや、リアリスト代表ロットンも大概だったしリアリストは総じてデュエルも強いのかな。

 

「だけどアロマモンスターが破壊された時、アロマガーデンの効果発動!ライフを1000回復するよ!」

 

 カオリ LP 5500 → 6500

 

「くっ、ライフを増やしちまったか。俺はカードを一枚セットして、ターンエンド!」

 

 アロマージ―ジャスミン DEF 2400 → 1900

 

「私のターン、ドロー!私はアロマガーデンの効果発動。攻守をアップしてライフを回復!ジャスミンの効果で一枚ドロー!」

 

 アロマージ―ジャスミン DEF 1900 → 2400

 カオリ LP 6500 → 7000

 

「グローアップ・バルブを召喚!」

 

 グローアップ・バルブ レベル1 ATK 100 → 600

 

「フレグランス・ストームを発動!場の植物族を破壊して一枚ドローする。さらにそれが植物族ならもう一枚ドロー出来る!グローアップ・バルブを破壊してドロー!」

 

 最近バルブにも愛着が湧いてきたから罪悪感があるけど、バルブは結局繋ぎ役だから単体で活躍とかはさせられない。心の中で感謝するにとどめておく。

 

「ドローしたのは植物族のアロマージ・ベルガモット。よってさらにドロー!魔法吸収でライフを回復するよ」

 

 カオリ LP 7000 → 7500

 

「そしてにん人を召喚!」

 

 にん人 レベル4 ATK 1900 → 2400

 

「バトル!にん人でマッハゴー・イータに攻撃!」

「ぐっ……!」

 

 ??? LP 4000 → 3600

 

「バトルフェイズ中にダメージを受けた時、SROMK(オーエムケー)ガムを特殊召喚できる!」

 

 SROMKガム レベル1 DEF 800

 

「まだだ!私は速攻魔法、ライバル・アライバルを発動!バトルフェイズ中に召喚を行う!にん人をリリースしてアロマージ・ベルガモットを召喚!」

 

 アロマージ・ベルガモット レベル6 ATK 2400 → 2900

 

「魔法吸収でライフを回復。さらにベルガモットの効果発動!ライフを回復した時、相手のターン終了時まで攻撃力を1000ポイントアップする!」

 

 カオリ LP 7500 → 8000

 アロマージ・ベルガモット ATK 2900 → 3900

 

「さらに、相手よりライフが多い時、ベルガモットは自軍の植物族に貫通効果を与える!」

「何!?」

「ベルガモットでOMKガムに攻撃!クリムゾン・パフューム!」

「それは通さねぇ!手札のSRメンコートの効果発動!相手の攻撃宣言時に、こいつを特殊召喚して相手の表側表示モンスターを守備表示にする!」

 

 はあ?地味にインチキ臭いカードだな。きっとOCGになったら修正受けるやつだよ。

 

「さらにチェーンしてリバースカードオープン!速攻魔法、スピードリフト!自分のフィールドのモンスターがチューナー一体だけの時、デッキからレベル4以下のSRを特殊召喚する!この効果の特殊召喚成功時に他のカードの効果は発動できない!俺はチューナーモンスター、SR三ツ目のダイスを特殊召喚!」

 

 SR三ツ目のダイス レベル3 DEF 1500

 SRメンコート レベル4 DEF 2000

 

 ダイスがドリフトを決めるのは何かシュールだな。うっ、メンコートの風凄い……。ベルガモットは吹っ飛ばされて膝をついちゃった。

 

「……魔法吸収でライフを回復。カードを二枚セットして、ターンエンド」

 

 カオリ LP 8000 → 8500

 

 モンスターを揃えられちゃったのは痛いな。チューナーが二体いるし……。

 

「俺のターン!レベル4のメンコートに、レベル3の三ツ目のダイスをチューニング!その美しくも雄々しき翼翻し、光の速さで敵を討て!シンクロ召喚!現れろ、レベル7、クリアウィング・シンクロ・ドラゴン!」

 

 クリアウィング・シンクロ・ドラゴン レベル7 ATK 2500

 

「シンクロ……ドラゴン……!?」

 

 何だって……。頭に血が昇ってて気が付かなかった。よくよく聞けば声はゆうやんと同じだし、体格も同じように見える。LDS襲撃事件の犯人は黒ゆうやんではなかった。しかし白いライダースーツに身を包んだこの男、まさか白ゆうやんだったとは!




???「我が力を植え付けておいたぞ」
クリア「ごめん、勘違いだった」
カオリ「襲撃事件の犯人か!」
ユーゴ「あいつらの仲間か!」
???「どうしてこうなった」

本編で語る場所がないのでここで語りますが、今回の事件はどっかの誰かさんがカオリに植え付けた力をクリアウィングが勘違いしために発生しました。つまり事故です。
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