遊戯王ARC-V 転生少女の決闘   作:YM

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今回はデュエルなし。


第一話 やっぱりアニメの世界だった

「ペンデュラム召喚!」

 

 今、私は光津真澄――融合コースのエリートにして私の親友、ますみんとLDSのロビーであるデュエルを観戦していた。それはデュエルチャンピオンのストロング石島と榊遊矢のデュエル。遊矢はアクションデュエルの創始者、榊遊勝の息子。遊勝はストロング石島とのデュエル直前に失踪、そのまま現在まで行方不明のまま。遊勝の名声は地に堕ちた。遊矢は父の汚名を晴らし自分もエンタメデュエリストになろうと奮闘しているがいまいち成績もデュエル内容もパッとしないデュエリスト……だった。

 

「何だ、あの召喚法は!?」

「上級モンスターを含めて同時に召喚だと!」

「インチキかトリックじゃないの?」

 

 ロビーはざわついている。私の心もざわついている。だー!見逃してた!榊遊勝は知ってたけど、さすがにオッサン主人公はないだろうなと思ってた。まさか息子がいたとは……。遊戯王主人公共通の「遊」の字を名前に含み、トマトみたいなど派手な髪形と失踪した父という遊馬のように含みの在りそうなバックストーリー。そして新たな召喚法、ペンデュラム召喚。完全にビンゴだこれー!寧ろ数え役満とかいうやつだ!麻雀知らないけど!

 

「ペンデュラム召喚か……。これから大変なことになるかもね」

「ああ、うん。たぶん、ますみんが思ってるより大変なことになるよ」

「その呼び方やめてってば……。っていうか、大変なことって何?ペンデュラムが関係してるの?」

「さあ?わからないけど、彼を中心にきっと大変なことが起こる。否が応にも彼は巻き込まれるだろうね。それとも彼が巻き込むのかな?」

「何それ……」

 

 ますみんの頭にはクエスチョンマークが浮かんでる感じだ。でも、私もこれから何が起こるかなんて知らないし。ただ間違いなく世界の命運とか懸けることになるんだろうなあ、デュエルモンスターズで。

 

◆ ◆ ◆

 

 今、私の前にはゴーグルをかけて落ち込んでいる遊矢がいる。どうしてこうなった。

 

 私はペンデュラム召喚はともかく、遊矢という人物を知りたかった。これから何が起こるのかわからないし、世界の命運を知らない人にかけるのは不安がある。あとアニメの主人公にあってみたいというミーハー的な気持ちもあった。

 

 遊勝塾を訪ねると、先客がいっぱいいた。また後でいいか思ったら、遊矢の幼馴染とかいう柊柚子ちゃんに入塾希望者と勘違いされてそのまま見学へ。で、遊矢がペンデュラム召喚に失敗し、ズルだのインチキだの言われて今に至る。なんかペンデュラム召喚を成功させたときの様子が変だったけど、別人格的なものだったのかなあ。遊矢自身にも秘密がいろいろありそう。

 

 それにしても、メンタル弱いな!主人公なのに!あと相変わらず遊戯王世界の人間は民度低いな!ペンデュラム召喚は出来たばっかりの召喚法なんだから、専用カードがないと使えないなんて愚痴るなよ!それじゃあ融合とかチューナーとかはどうなんだって話だ。大体、融合もシンクロもエクシーズもそれぞれのモンスターをエクストラに入れてないと使えないだろ!専用カードなしでバンバン手札から大量召喚できると思ってたのか!?そんな世紀末環境やばいだろ!……くっ、ツッコミ疲れた。

 

 そして私は自分がもしかしたらヒロインかもとか考えてたので、思いっきりヒロインポジの柚子ちゃん登場で恥ずかしくなっている。妙にテンションが高いのはそのせいだ。いや、別に遊矢に一目惚れしたとかじゃないんだけど。アニメのヒロインかと思ってたら全然違った気分って、他の人に伝わるかな?穴があったら入りたいってやつだ。

 

「まあ、初めてっていうのは何だって難しいよね。それが世界初なら、尚更」

「あ、あなたは入塾希望の……」

「あれ、LDSのバッジだ!」

 

 おう、青い髪の少年は目敏く気付いたか。バッジはちゃんとつけてたからね。そこのストロング柚子ちゃんは今しがた気付いたみたいだけど。

 

「あなた、LDSの子だったの。入塾希望者かと思ってたわ」

「ペンデュラムを見に来たの?」

「いや、ペンデュラムというより、件の遊矢君をちょっと見に来ただけだよ」

「……俺を?」

「ああ、うん。ファン第一号……いや、この様子だと第七号くらいかな?」

「え?」

「高が一度失敗したくらいで、本当のファンなら見放さないものよ。彼らのように」

 

 遊矢が顔を上げる。彼の前には遊勝塾の子供たちと柚子ちゃん、塾長らしい人とあとなんかでっかい人がいる。たぶんこのでっかい人は友達かな?

 

「そうだよ、遊矢兄ちゃん」

「俺も、ずっと前から遊矢兄ちゃんのファンだぜ!」

「私も!」

「タツヤ、フトシ、アユ……」

「そうだ!諦めるな、遊矢!熱血だ!」

「塾長……」

「この男権現坂、お前がペンデュラムに成功するまで付き合おう」

「権現坂……」

「遊矢、大丈夫よ。みんな応援してる」

「柚子……。うん、エンターテイナーがみんなをがっかりさせちゃ、駄目だよな」

「ふふっ、もう大丈夫のようね」

「ああ、ありがとう。大事なことを思い出させてもらったよ」

「本当のファンは、君が諦めない限り付いてきてくれる。それを忘れないでね」

「ああ、勿論だ!あ、そうだ、君の名前は?」

「私は花吹雪香。カオリでいいよ、ゆうやん」

「ゆ、ゆうやん?」

「あ、そうそう。ペンデュラム召喚のことだけど。たぶんペンデュラムのスケールっていうのが関係してると思うんだよね。ペンデュラムスケールが一桁の数字であることを考えると……レベルかな?デュエルモンスターズのモンスターのステータスで一桁なのは他にないし」

「スケールとレベル……」

「ま、参考程度にしといてよ。それじゃあ、またね」

 

 ま、初めての邂逅で第一印象はこれ以上ないくらいに高かったかな?あ、っていうか思いっきりストーリーに関わるフラグ建てちゃったよ。また来るって言っちゃったし。

 

◆ ◆ ◆

 

「ペンデュラム召喚!来い、俺のモンスターたち!」

「……成功、だな」

「ああ、ありがとう権現坂。おかげでペンデュラムを完全にものにできた」

「うむ。……しかし、あのカオリという少女の言ったとおりだったな」

「ああ、ペンデュラム召喚はセッティングした二体のペンデュラムのスケールの間のレベルを持つモンスターを召喚できる召喚法だったんだ」

「たった一度ずつペンデュラム召喚の成功と失敗を見ただけで、そのカギとなる要素を言い当てるとは……凄まじい洞察力だ」

 

 カオリが遊勝塾を去った後、遊矢はペンデュラム召喚の特訓を行っていた。相手は権現坂である。

 

「あの子、結構有名な子だったのね」

「柚子」

「思い出したの。確か隣のクラスで、LDSの無敗女王とか言われてたわ」

「同じ学校だったのか……」

「きっと舞網チャンピオンシップにも出てくるぞ」

「ああ、強敵だ」

「その前に遊矢は出場条件を満たさないとね」

「あっ、そうだった」

「そうだったじゃないわよ!」

 

 ハリセンの小気味いい音がデュエル場に木霊した。

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