リヴェンジ!=その者達、復讐代行者   作:國崎ユーヤ

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 まず序章から始めています。
 ですが、序章の内はなのはさんの要素がありません。
 


序章 少女、狂気の街に降り立つ

どことも分からぬその世界、そこに一つの悪が牛耳る巨大な都市があった。

 

 

 この都市を支配するその男は、手を付けたことの無い犯罪は無いと言っても過言ではない。強盗、殺人、人身売買。その経歴は数え切れず、その罪の数だけ数多の人間を踏み台にこの地位に上り詰めたのだ。

 

 

 都市の中央にそびえ立つ、闇夜を貫くかの如くそびえ立つビルディング。そこの最上階にその男がいた。

 男のいる部屋はオフィスとなっており、部屋の窓際に備えられたデスクがある。そしてデスクと共にある椅子に、男は足を組んで座り込んでいる。

 

 

 そしてその男の目の前には、横一列に並ばされた女達の姿があった。その数は6、まだ年端も行かない少女達だ。その全員が一糸纏わぬ裸体を晒し、その首には鎖に繋がれた首輪が嵌められていた。目は虚ろ、その年齢ではありえない、絶望に染まった表情だ。

 

 

 「ボス、本日はどの娘を所望でございますか?」

 

 

 少女達の首輪の鎖の先――その鎖を束ねて持った初老の男が、ボスと呼んだこの都市の主に尋ねる。

 

 

 「ふん………今日もなかなかのモノを揃えたみたいだな」

 

 

 男は並ばされた少女達の体を、舐めまわす様に眺める。一人がその視線に怯え、びくりと体を震わせる。その反応に男はにやりといやらしい笑みを見せる。男は時間を掛け、じっくりと観察を終えると、にやにやと笑いながら初老の男に告げる。

 

 

 「俺の好みは最初の女だ、スタイルもいいし、気が強そうな所が気に入った。だがなぁ、そいつを選んだら、他の奴らが『可哀想』だよなぁ」

 

 

 その言葉は、少女達にとっては最悪の一言だった。先ほど震えた少女に置いては、その大きな瞳から涙を流し始めた。その様子を見て男は満足したのか、椅子から立ち上がり高らかに宣言する。

 

 

 「今日の営みは、お前ら全員とだ!」

 

 

 男の発言に、沈黙していた少女達の何かの糸が、音を立ててぷっつりと切れる。その瞬間、弾ける様に少女達は一斉に悲鳴を上げた。

 

 

 「クッ、貴様!」

 

 

 最初に男に選ばれた少女が吠える、だがその瞬間に初老の男が少女の首輪の鎖を力任せに引く。突然掛かる力に少女はバランスを崩し、絨毯の敷かれた床に倒れる。すると男は倒れた少女に駆け寄り、その髪を掴んで乱暴に起こす。

 

 

 「おいおい、お人形は勝手に動いちゃだめだろ?」

 

 

 「お前の相手をするのは私のはずだ、他の子達には手を出さないと言って置きながら!」

 

 

 「あー、そんな事いったな。まぁどうでもいいがな、最初っからお前ら全員相手になってもらおうと考えていたしな」

 

 

 男の表情は邪悪そのものだった、その表情を間近で見せられる少女は腹の奥底から更なる怒りがこみ上げる。

 

 

 「外道が!」

 

 

 「ほぉ、いいねえ。やっぱりお前らに高い金を払ったのは正解だったな、何せ『昔』から気に入ってたからな。特にお前は一番気に入っている、女子校の中であの子達を纏めていたお姉さん役。いいねぇ、そんな女を羞恥で染め上げるのはゾクゾクする」

 

 

 そう言い男は少女の髪を離す。少女は床に倒れ、憎しみを込めて男の顔を睨む。

 

 

 「いいねぇ、その顔。大好物だ。まぁいい………俺はシャワーを浴びてくる、その間に楽園《ハーレム》の準備をしておけよ」

 

 

 男の命令に、初老の男は頭を深々と下げる。その傍らには泣き崩れる少女達、屈辱と恥によって怒りと涙でその美しい顔立ちは悲惨な物へと変貌していた。

 

 

 その様子を見て、男はくくっと含み笑いを漏らす。そしてシャワールームに消えていくと、狂気を含んだ笑いが部屋中に木霊した。

 

 

 

 

 

  

 狂気に満ちたこの都市、そびえる悪夢の象徴。そのビルから離れた建造物に、それはいた。

 

 

 外見の年齢は十七歳程の、麗しい少女だった。美しく長い頭髪は、彼女を取り巻く闇夜よりも黒く、そして美しい。その髪は摩天楼に吹き当たる、ビル群から生み出された風によって靡く。

 

 

 その様な彼女がこの場所にいる事自体がおかしな事だが、少女の出で立ちも奇妙な物であった。ネコ科の動物を思わせるしなやかな体は、全身にフィットする黒色のスーツを身に纏っている。そして胸部、肩、腕と足には、黒と銀のツートンカラーで彩られた金属製のアーマーが取り付けられている。そのアーマー同士の間には一定間隔に青い光が走り、その間隔は心臓の脈動にも似ていた。そして両腿と両腰にはハンガーが設けられ、右腿には自動拳銃が、そして左腰には鞘に収められた小刀にも似た剣が二本取り付けられていた。

 

 

 少女は左手一本で建物の頂上のアンテナに掴まり、遠くのビルの様子を眺めていた。

 

 

「………目標確認、対象のデータと本人の情報照会――対象とデータの人物を同一人物と認定」

 

 

 少女がそう呟くと、彼女の左目に変化が起きる。サファイアに似た蒼色の瞳が一度瞬きをする。その手には双眼鏡が握られており、そのレンズが向かう先はこの都市の黒幕の居城――この都市の支配者のいる部屋だった。

 

 

 少女の視界には、その部屋の様子を事細かく映し出される。男の笑う姿、涙を流す少女の姿。それらは彼女の目にはしっかりと見えていた。

 

 

 ぽつり、ぽつり。月の光さえ見えぬ闇の中に、徐々に雨粒が降り始める。やがて雨は激しくなり、少女の髪を濡らす。だが少女はそんな事を気にす様子も無い、只、遠くの男と少女達の様子を見続けていた。そして双眼鏡を双方の眼から離すと、少女はその双眼鏡をそこらへんに投げ捨てる。双眼鏡はビルの屋上へと落下し、闇の中へと溶けていった。

 

 

 「今回の任務の確認――ターゲットの抹消。敵対勢力は生命体、オブジェクト問わず破壊を承認。モードを待機《スタンバイ》から戦闘《アクティブ》に。各種センサー、感度良好。スーツ内補助金属筋肉、正常作動」

 

 

 その言葉に反応し、身に付けたスーツの各所から、微細な機械の駆動音が鳴り始める。すると全身に走る光のラインの間隔が徐々に短くなっていく、やがてラインは止まることを止め、青い紋様となった。彼女はこの時を得て、戦闘形態へと移行したのだ。

 

 

 少女は視線を、ターゲットと呼んだ男のいる部屋から下へと落とす。そこはそのビルのエントランス、そこには小銃で武装した屈強なガードマン達が警備をしていた。信じられない事だが、この少女はこの距離から遥か下の光景が見えているのだ。

 

 

 「現時刻をもって、作戦を開始する」

 

 

 それだけを言うと少女は躊躇もなく、アンテナを握る手を開いた。その行為がどれだけの事なのか、誰が見ても分かるものだ。彼女がいるビルの高さは約120メートル、それだけの高さから人間が落ちれば、言うまでもない。だが彼女はそれを気にする事など無く、重力に身を任せてアスファルトの地表に向かい――着地した。普通この高さから落ちた生物は、まるで地面に落としたアイスクリームの様に、体内に収められた内蔵を無残に撒き散らすのだ。だが、それでも彼女は無事だった。それどころか、高度からの落下による加速、そして彼女が身に纏う装備の重量が生み出す破壊力は、アスファルトを巻き上げてその場に巨大なクレーターを生み出す程であった。

 

 

 その衝撃的な光景は、エントランスを守る三人のガードマン達の目の前で行われているのだ。それにはガードマン達も驚き、手にした小銃をクレーターに向ける。

 

 

 「おい、貴様!何者だ!」

 

 

 ガードマンの一人がクレーターに向かって叫ぶ、小銃の引き金には人差し指が掛けられ、何時でも発砲を行える体勢だった。

 

 

 だが少女はそんなガードマン達の警告を気にする様子も無く、体中に付着したアスファルト等の粉塵を払う。そしてクレーターから飛び出し、男達の目の前に姿を現した。

 

 

 「何、子供だと?」

 

 

 少女の姿を初めて目撃したガードマン達から、驚きの声が上がる。無理もない、あんなクレーターを作る様な物、隕石か機動兵器くらいの物だ。

 

 

 そんな驚くガードマン達を尻目に、少女は篭手《ガントレット》に包まれた右手を腰の剣の一本に伸ばし、グリップを掴むとそれをゆっくりと引き抜いた。露になった刃には輝く紫色のラインが走っており、ブレードの根元には三日月の模様が彫られていた。

 

 

 「作戦、開始」

 

 

 冷たい印象を与える少女の一言と共に、その剣の切っ先を目の前のガードマン達に向けた。その瞬間、辺りに雷鳴と共に激しい閃光が、戦いのゴングを鳴らした。

 

 

 

 




 初の投稿ですので、至らぬ点が目立つかもしれません。
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