「はあ、何の仕事がいいんだ?討伐系は言うなれば戦闘だし今は正直やめたい、洞窟で宝探しもモンスターなんかがいないとは限らないから結局は戦闘があるだろうから却下かな。…劇の魔法演出の手伝いも俺の魔法は綺麗じゃないから向いてないし。魔法初心者の子供に魔法の基本レッスンなんてなー」
現在、ジークは目覚めてから一週間たち体もほとんどかいふくし会話もゆっくりではなく普通のスピードで話せるようになり始めたので仕事を探している。とはいえ、病み上がりなため、ポーリュシカの言った通り一気に魔力を使おう者なら倒れてしまう。そのため、出来る仕事は限られている。
「ジーク、仕事は決まった?」
看板娘のミラジェーンが声をかけてくれるが、ジークはクエストボードを見ながら無言で首を横に振る。ミラジェーンもクエストボードを見てみるが、彼女から見ても彼一人で出来そうな仕事はなかった。
「うーん。あっ、一人で出来ないならチームを組んだら?」
「チーム?」
「うん、仕事は別に一人でしなければいけないわけじゃないのよ。チームを組んで協力して難しい依頼を攻略するのもありよ。そうね、ウェンディ〜、シャルル〜!」
ミラジェーンはギルド内を見渡し、ちょうどデザートを食べながら休憩していたウェンディとシャルルを見つけた。
呼ばれた二人は首を傾げながらもミラジェーンの元へとやって来た。
「どうしたんですか?ミラさん」
「ジークと一緒に仕事に行ってくれないかな?」
「ジークくんとですか?」
「ええ、ジークは病み上がりだから一人で仕事に行くのはちょっと心配なの」
「ごめん、ウェンディ。そういうわけで付き合ってくれるか?」
「はい!任せてください。いいよねシャルル」
「まあ、いいわよ。でも危険が少ない依頼に限るけど」
「それなら、これなんかいいんじゃない?」
ミラジェーンが選んだのは護衛任務だった。
「ミラ、できるだけ戦闘は避けたいんだが……。護衛ってことは襲われる危険があるってことだろ」
「違うの。この依頼主は心配性で、商談で移動するときはいつも護衛をうちに依頼しているんだけど、みんないつも言ってるわよ。この任務は何もなさすぎるって」
「……ミラがそう言うなら。いいかな?ウェンディ、シャルル」
「はい、大丈夫です」
「いいわよ」
こうして、三人はチームとして依頼を受注した。
「じゃあ、明後日の朝7時にここ集合な」
「はい」
「俺は今日は帰るわ。じゃあな」
ジークは別れを告げギルドから出ていった。
そのあと、ウェンディたちもやることがないので帰ることにした。
そのあと、ミラジェーンはあることに気づいた。
(あれ?なんでいつもより依頼料が高いのかしら?)
●●●
2日後
朝の7時に集合した三人は依頼主の所に行き仕事の詳細を聞き、今は移動中である。ウェンディとシャルルは依頼主を守れるように依頼主と一緒に馬車に乗りジークはすぐに行動に移れるように馬車の屋根の上に乗り待機している。
(ミラの言ってた通り驚くほど何も起きないな。やっぱり、無理してでも討伐系とかにするべきだったか?)
などと、ジークはもう少しで目的地という所で警戒を一瞬解いてしまった。そしてその時、馬が急に荒ぶり始めた。手綱を握っていた御者は暴れだした馬に引かれて落下し、馬車は道を外れて走り出した。急な方向転換で車体が大きく傾き、ジークも落下した。
そして、ジークは急いで馬車を追おうとしたが、その前に二人の男が立ちはだかった。
「おいおい、
「黙れ、俺たちは与えられた任務を遂行するだけだ」
「……何者だ」
「俺たちは闇ギルド【
その二人の男の体には、二角獣を模した紋が覗えた。
(闇ギルドか。あの依頼主、荷台になに載せてやがんだ!)
●●●
馬車内では、ウェンディが依頼主の盾になるように位置どりしていた。
「ミラったら何が安全よ」
「シャルル、文句を言っても仕方ないよ」
「ていうか、何で襲われてるのよ!」
危険が少ないと言われていたのにかなりのピンチになったことでシャルルが依頼主に詰め寄った。
「……どこで漏れたかは不明だが、たぶん滅竜魔法の
「滅竜魔法の
「はい。特別な物で、適応者が体に埋め込むことで滅竜魔法が使えるようになります。適合しないにしても高値で取引されるものです」
「なるほど、この馬車を襲う動機は十分ね」
滅竜魔法の
「ねえ、シャルル。馬を止めることって出来るかな?」
「無理ね。あの馬はもう自分の意思で動いてないわ。たぶん、精神操作系の魔法ね。まあ、止める方法があるにはあるんだけど」
「あるの!?どうするのシャルル」
「簡単よ。馬を殺せばいいのよ」
「えっ!?」
「ほらね、あなたのことだから絶対にそんなことは出来ないでしょ」
ウェンディという少女はとことん甘い。若さゆえもあるが、それを踏まえてもなお甘い。そんな虫も殺さぬような少女は、依頼のためとはいえ、自分の意思ではなく操られているだけの馬を殺すのでさえ躊躇してしまった。
「……でも、それしか方法がないのなら」
ウェンディは覚悟を決め馬を攻撃しようとした時、シャルルがそれを停止させる。
「もう、手遅れよ。敵のアジトに着いてしまったわ」
シャルルに言われウェンディは前方を見ると石造りの建物が見えた。
●●●
「おい!お前たちのアジトはどこだ!」
立ちはだかった二人の男はあまり強くなかったのか、ジークはあっさりと倒してしまった。一人は気絶させたが、もう一人はわざと気絶させず、胸ぐらを掴んでアジトの場所を聞き出す。その顔は子供が出すにはおっかなすぎる顔であった。
「ここから先の森の中にある石造りの建物だ」
ジークは場所を聞くと男を一発殴って気絶させた。
(間に合ってくれ)
「星神の
ジークは黒い光を纏うと、光速で移動し始めた。
●●●
「邪魔だ、小娘!」
「行かせません!天竜の咆哮!」
ウェンディとシャルルは分かれて行動することにした。ウェンディが囮となって
「バーニア、アーマー」
天空魔法で自らを強化するウェンディ。攻撃を避けることに専念する。
しかし、敵は1VS1ではなく見た所数は少ないが腐っても1ギルド。彼女はどんどん傷付いていった。そして、後退していた時地面からはみ出た木の根にかかとが引っかかりこけてしまった。
「きゃあ!」
そこを見逃さず、一斉に彼女に襲いかかる。ウェンディは目をつぶり体を丸めて少しでも衝撃に耐えようとした。その時、黒い光と共に青髪の少年が間に割って入った。
「星神の怒号!」
その少年から口から放たれた光線は、ウェンディを襲いかかろうとした者に直撃し、吹き飛ばした。ウェンディは目の前の少年に、以前自分を助けてくれた恩人の面影を重ね、懐かしく感じた。
「……ジェラール?」
そう呟くように言った彼女は、急に脱力感に襲われ、倒れてしまった。
「……ジェラール?誰だ?悪いけど俺はジークフリートだ」
そうして苦笑するジークは、彼女の背中と膝裏に手を回し持ち上げると近くの木にもたれさすように優しく置いた。
そして、残っている
(くそ、魔力はあるが体がきついな。正直一人一人はそんなに強くなさそうだが数が多い。倒せても体が耐えてくれるかわからない。だけど……)
「仲間傷つけられて手加減するほど、俺は賢くねえぞ!」
ジークが叫ぶその瞬間、無数の黒き光の玉が彼の後ろに現れた。
「星神の
ジークの声と共に光の玉が一斉に発射され、
「星神の
次にジークが地面を突くと、黒いガス状の物が噴き出し
「がはっ!」
体の不調は続き、さらに吐血してしまうジーク。それに気づいた
その攻撃により、体の内側だけでなく外側にも激痛が走る。ジークは立ち上がって戦うどころではなく腕を動かすのがやっとだった。
「くそ、こんな子供一人にほとんどやられるなんてなどうなってんだ」
「だが、ほっといてもこいつは直に死ぬ。それより、そこの小娘殺して早くあのネコを追うぞ。評議員を呼ばれたら厄介だ」
「そうだな」
(よし、まだ使える)
そして、ジークは地面に魔力を流し込むすると、三箇所輝き出した。その後その点同士をつなぐ様に地面に光の線が現れ、三角形が出来る。
「なんだ!?」
「あいつ、まだ何かやる気か!?」
「先にあいつを殺せ!」
二角獣の蹄の連中は危機を感じ、ウェンディからジークに標的を変えて迫って来た。
「もう遅い。さっきは攻撃しながらこれを画いてた。ありったけの魔力だ。くらいやがれ!」
ジークが叫んでさらに魔力を込めると、三角形の内側も輝き始めた。
「星神の
光はさらに濃くなり、そして、爆発が起こり火柱が上がった。
●●●
ジークはゆっくりと目を開ける。そこには見慣れない天井が見える。状況を確認しようと上半身を起こすと、いつもより動かしにくく感じ、体を見ると全身包帯が巻かれていた。
「えっと、何が起きたんだ?まずここは?」
ジークが考えてるとガチャっと扉を開く音がし、ウェンディとシャルルが入って来た。ウェンディの腕にも少し包帯が巻かれていて顔にもガーゼが貼ってあった。
「あっ、シャルル!ジークくん起きてるよ!」
「言われなくてもわかってるわよ」
「あっ!二人とも。ここは?てか、ウェンディはその怪我大丈夫か?」
「あなた、自分の方がひどいのよ」
「こんなの大したことない。ていうか、状況は?」
「ジークくん!大したことあるよ!私も途中から治療を手伝ったけど、本当に危なかったんだから。もっと自分を大切にしてね」
「ご、ごめん」
ジークは急に歳下であるはずのウェンディに怒られて少し緊張した。
「えっと、急に怒ってごめんなさい。でも、本当に自分を大切にしてね。私、ジークくんが目を覚まさないんじゃないかって、心配だったんだよ」
今度は歳相応の涙を見せ、いたたまれなさを感じた。
「本当にごめんな。もう、ウェンディを心配させるようなことはしない。そうだ!約束する。俺は強くなってどんな敵が相手でも余裕でウェンディを守れるようになってやる。そうすればウェンディもそれなら安心だろ?」
「……うん!」
(ジークもウェンディも、他人にはプロポーズにしか見えないってこと、気づいてないのかしら?)
シャルルは目の前の純粋な会話にため息をついた。
「えっと、ジーク。状況が知りたいんでしょ」
「あっ、そうだった。頼む」
「はい。シャルルが依頼主さんを目的地に送った後、評議院に通報したらすぐに駆けつけてくださった検束部隊の方々の働きで、
「あと、一応依頼主の護衛ってのは達成されたから報酬は貰ったけど、あなたとウェンディの治療代でほとんどなくなったわ」
「そうか。でも、無事ならいいか」
「で、体の方はどうなの?」
「大丈夫だ、問題ない。だから、マグノリアに帰ろうか」
ジークが言うとウェンディは頷き、シャルルも了承したので三人はマグノリアに向かった。
●●●
マグノリアに戻り、一応ポーリュシカの所に顔を出したジークは現在呆れられてる。
「全く、あれほど魔力の使いすぎはダメだと言ったのに、お前はそんなことも守れないのかい?ったく、奇跡だね。無理に魔力を使ったから、それに合わせて体が耐えられるように急成長してる。だから、これからは普通に魔法を使って大丈夫だよ」
「本当ですか!」
「そうだよ。わかったらとっとと出て行きな」
「ありがとうございます」
ジークはポーリュシカの家を飛び出すと、森の真ん中で叫んだ。
「よっしゃああ!完全復活だ!」
書いてて思いました。技名がセンスないなって