落第騎士の英雄譚 破軍剣客浪漫譚〘本編完結〙 作:どこかの超電磁砲
―破軍学園・理事長室―
一枚の資料を片手に、黒乃は口にタバコを
くわえながら目の前に立っている少女を見る。
長い金髪を後ろに束ねて、輝く紫の瞳を持つ
美少女を。
「それで『シャルロット・デュノア』。
君は何故この学園に入ろうと思った?」
「ボクは・・・・この学園にいる綾崎翔真君に
会いに来たんです」
シャルロットは真剣な眼差しで黒乃を問いに答える。
「ふむ。デュノア、目的はそれだけなのか?」
「はい。ボクはどうしても彼に会わなくちゃ
いけないんです・・・・」
「そうか。その表情から察するに訳ありと
いうわけだな?なら、この部屋へ行け」
黒乃は懐から鍵を取りだし、それを
シャルロットに投げる。彼女は簡単に
キャッチする。
「その部屋には綾崎が住んでる。ルームメイト
という形での同居になるがいいのか?」
「はい、ボクは大丈夫です」
黒乃はシャルロットにこの学園について色々説明し、
全てを聞き終えた彼女は理事長室を後にした。
「はァー・・・・アイツも隅に置けんな」
窓に写る青空。今日も平和だなと黒乃はかみしめ
ながらタバコを吸いながら仕事を始める。
理事長室を出たシャルロットは荷物を
背負いながら翔真の部屋へ向かう。
「(ようやく会えるんだね翔真。待っててね
今からボクが行くから)」
シャルロットは期待を胸に部屋へと向かう。
場所は戻りショッピングモール。ここからは
一旦翔真・明日菜ペアと一輝・珠雫・アリス・
ステラ組に別れる。
「はぁ~・・・・これじゃあイッキに近付けないわ」
「まあまあ。時間はたっぷりあるし諦めたら
ダメだよステラちゃん!」
「そ、そうよね!明日菜、アタシ頑張るわ!」
「どうしたんだあの二人?」
「お買い物の話かな?」
落ち込むステラを励ます明日菜。到底
翔真と一輝には分からなかった。
――――
「ねぇ翔真君!これなんてどうかな?」
「お、水玉か。明日菜らしいしいいんじゃない?」
「本当に?・・・・じゃあこれも買っちゃおうかな」
翔真と明日菜ペアは洋服屋に来ていた。そして
ただいま明日菜のファッションショー中である。
4着目の試着、しかも全て買うというのだから
凄い。
「(それにしても・・・・さっきから嫌な胸騒ぎがする)」
一輝達と別れて数時間経つ。周りを見渡すと
客一人居ない事に気づく。それに妙な胸騒ぎが
翔真の中で起こっていた。
「翔真君お待たせ!」
「ああ。じゃあ会計に『そこの二人動くな!』
明日菜!逃げるぞ!」
「キャッ!」
背後を向くと覆面を被った数人の男がいた。
覆面集団に危機感を感じた翔真は明日菜を
連れて逃げる。
向けられる銃口。飛び交う弾丸を避けながら
二人は逃げる。
「(くそ!)」
右手に天鎖斬月を呼び出し、明日菜を前に
走らせ覆面の集団に立ち向かう。
「飛天御剣流ッ!龍巻閃ッ!」
飛び交う弾丸を天鎖斬月で叩き斬り懐に
飛び込む。真半身で交わし、背後に回り
ながら一撃を与えてゆく。
『がっ!?』
覆面の集団は倒れてゆく。一方の明日菜は
女性集団に取り囲まれていた。
「さあ大人しく来てもらうわよ?」
「来なさい」
「・・・・やるしかない」
明日菜は服の入った紙袋を思いっきり
上に向けて投げる。何事かと女性達は
それに視線を向ける。
「おいで!レヴァンティン!」
自身の固有霊装『レヴァンティン』を召喚。
そして握りしめて魔力を刃に乗せる。
「はあァァ!」
「なに!?うわああ!」
「がっ!」
レヴァンティンを横へと一閃。振るったと
同時に、発生した爆風により女性達は吹き
飛ばされる。
「ッ!このクソガキィ!」
隙を見せた女性が発泡。
「やらせるかッ!」
しかし、神速を生かし明日菜の前へとたどり着いた
翔真。弾丸を斬り素早く移動すると女性の首を掴む。
「がっ!!」
「・・・・今殺そうとしたな」
掴む力を徐々に強くする。殺気を散らす
翔真をよそに女性は今にも窒息死寸前だ。
「た、たす・・・・けて」
「聞こえねぇな?」
このまま殺す事も考えた――だが明日菜が
それを止める。
「ダメだよ!いくら理由があっても殺しちゃ
ダメだよ!翔真君・・・・」
「・・・・仕方ねぇ」
女性を離し、明日菜の言う事に従う。
「あら、どうやら無事だったみたいね」
「二人共大丈夫!?」
前を向くとアリスと一輝がいた―――。